シズさんの心残りへも進めて行かねば。
日記ネタも混ぜつつ……。
52.流れる時と寂寥感
「なんですか、あの高出力の魔法兵器は。 機龍と関係が?」
「いや、その、魔王ミリムがね……」
「は?」
魚災から何度も寝起きしてからも様々な課題と作業、出来事があったかに思われる。
クラフターとしては新鮮な日々は大歓迎だ。 修繕作業ばかりは流石に戴けない。
荒らしのミリムは相変わらずだが、取り敢えず取り巻きの魚のドロップ品……魚肉は美味しかった。 満足だ。
また現れないだろうか。 他にもドロップしたし。 鱗は村人がクラフトして防具なんかにしていた。
見聞しただけで素晴らしい造形だった。
荒らしもいる世界だが、やはりオリジナルの創造主、同志がいるのは心躍る。 我々は1人ではないのだと実感出来る。 感動で涙が浮かんだ。
「……ガゼル王から正式な招待状をもらったよ。 国賓待遇だよ、ヤベェよヤベェよ」
「大変名誉な事ですな。 リムル様は気に入られておいでです」
「……2日に1通来るのも怖い」
「き、気に入られて……」
「これナニかされない?」
「……兎も角その、戦後処理の為、直ぐには行けない折を伝えた方が宜しいかと」
さても修繕作業は続く。
ミリムが地上のみならず地下でも暴れ回る為、苦労する。
これもリムルが道を教えたのが悪い。
「さあ! そのドラゴンで遊ぶのだ!」
強いて良い事を挙げるなら、IRPの演習になった事か。 今のバージョンではあるが、データはふんだんに取れたと思いたい。
実戦さながらであったし。 ジオフロントは大破した。 ビル群が崩壊した光景は、寝泊まり確定演出である。
……いや、これ、実戦だよね……?
「時々地面の底から音が聞こえないか?」
「気の所為じゃないっすか?」
IRPは何とか強くしたい。
第2戦級に降格したとしても、浪漫ある大型兵器であり続けて欲しいのもある。
通常の固定式砲台なTNTキャノンよりかは有用の筈であるし。
解決の糸口はこの世界の未知なる技術に隠されている気がしてならない。
何とか技術者を取り込めないか。 防具や武具を制作したヒゲモジャ達でも良い。
特にベスターとかいう白衣の村人等は興味を示していた。 シズ越しに頼むのもアリか。
「今度はリムル共々地上で遊んでやろう! 直接な!」
「戦闘訓練だからな! 加減してくれよ!」
地上でもドンパチはあった。
IRPではなく、直接のドンパチだ。 剣や弓矢でミリムの撃退を試みる。
が、駄目だった。 強すぎる。 リムルも協力してくれたが敵わなかった。
「作ってくれたドラゴンナックルも気に入っているぞ!」
「……どうも」
妙な、ドラゴンの手の様な防具なのか武器なのかを装備されて対抗された。
鬼に金棒か、と警戒したものの思っていた程でもない被害である。 あくまで今までと比べたら、だが。
あの武具だか防具だか見分け難い装備の影響かも知れない。
悪性ポーションが有る様にあれにも悪性エンチャントなるものが付加されている可能性がある。
つまるところ手加減されているのだ。 縛りプレイである。 にも関わらず一方的に殴られた。 屈辱だ。 精進しなければ。
「でもお前達、動きが良くなってきているぞ! リムルなんて魔王になると言い出してもワタシは反対しないのだ」
「……ならないって。 余計なしがらみを増やしそうだし、というか国創りで忙しいし」
「魔王も悪くないぞ……えーと……必殺技を叫んでも何となく分かってくれるのだ!」
「……皆の心に響く言葉だな」
取り敢えず街中で暴れてくれるなよと切に祈り続ける日々だ。
歩くだけで何かが壊れている気がしてならないのに、こんな戦闘を気紛れで起こされたら街の一角は吹き飛びそうだから。
「そういや、あのフォビオとやらはまた来た様だな?」
「使者に志願したんだと。 初めの頃と打って変わって慇懃な物腰で、カリオンからの言葉を携えてやって来た」
「なんか言っているのか?」
「互いの国から使節団を派遣して国交が有益かどうか見極めようではないか、と手紙でね。 いよいよ国らしくなってきたよ」
だがそんな戦闘も死ぬ前には必ず止まり、大抵その後はミリムとリムルが互いに話し合い始めた。
その隙を見て、クレーターを土ブロック等で修復しつつ、握り飯を食い空を見る。 リムル達も寝転がり時々空を見上げる。
なんだかんだで平和というヤツなのだろう。 我々同士だったらどちらかが死ぬまで斬り刻み矢で針山にしあっている。
それを彼等がしないのはリスポーンが出来ないからか。
恐らく死とは村人にとって永眠なのだ。 シズの様に我々の寝床の使用で偶然起きる、なんてのは奇跡に近しいのかも知れない。
そう考えて食う飯も美味かった。 食とは奥深い。
「よし! ワタシは今から仕事に行ってくる!」
「え、仕事って……」
「心配するな。 終わったら帰ってくるのだ」
これまた突然、ミリムが空を飛んでいく。
相変わらずどうやって飛んでいるのやら。 エリトラマントらしきものを羽織るから、それで飛んでいるのだろうか。
だが花火を所持している様子がない。 シズの時もそうだった。 謎は尽きない。
「来る時も突然だったが去る時の唐突さも凄まじい。 取り敢えずミリムの監督役もこれでひとまず終了か……俺もそろそろ出発時期を考えないとな」
さてもミリムがいなくなるなら、それはそれ。
討伐不可能な荒らしが消えた。 これで大規模な修繕作業から解放されそうだ。
ただ……とクラフター。
ちょっぴり寂寥感があるのは何故だろうと空を見上げたのであった。
愛着があった感。
ざっと流してしまいましたが。
これでだいたい本編8巻は終わりに。
……どこまで書けるんだろう(遠い目。