あまり集会や会議、政治の話ばかりだとクラフターが拘束される気がするので省略。
酒の話はクラフターだからという事でお兄さん許して。
「なんか忙しそうな時に来ちまったかな」
「いや良いよ。 接客の練習相手になってくれ」
ヨウムなる村人団が再来したから、クラフターは酒を渡して共に飲む。
嫌がる様子なく飲んでいるので大丈夫か。
口当たりは村人のクラフトと負けず劣らずだ。 この程度で慢心しない。 追い越し先を常に走るくらいの気持ちで改良を重ねたい。
思えば苦労の連続だった。
酒のクラフトを試みていく何日も経つが、暗中模索の研究だ。
それ自体は何でもそうだが、酒という未知の開拓は困難を要する。
道具や材料を村人から見て盗み、我々の持ち得るツール類で何とか出来るかどうかを試みては失敗する……トライアンドエラーの日々。 だが中々結果は得られない。
だが遂にキッカケを得た。
行き詰まっていたある日。 飲まなきゃやってらんねぇと効能が低い酒を呑んでいた時の事。
酔った勢いのまま、ふざけて酒を原料にして空瓶を醸造台にセットした時だ。
なんと空瓶に水が溜まり始めた。 量こそ少なかったが飲んでみた。 先程より酔い時間が伸びた……つまり効能が増したのだ。
RSや砂糖による効果の延長や強化は知っていたが、逆に酒を原料にする事でより効果の高い酒に変化するとは驚きだ。
これは突破口になるやも知れぬ。 そう思い立ち、創造主はあれよこれよと試し……蒸留酒とやらが出来た。 これとリンゴをクラフトすると更に良い。 うん。 美味しい!
「接客? 誰か来るのか?」
「魔王カリオンとこから使節団が来るんだよ」
「ぶーッ!?」
嗜んでいたら酒を吹き出すヨウム。
口に合わなかったのだろうか。 先程まで平気そうだったのに。
クラフターは落ち込んだ。 やはり改良しなければなるまい。
「なんだってそんな事に……!?」
「話せば長いんだが……」
それかヨウムはこの手が苦手だったのか?
次はコーラスフルーツをクラフトしてみようか。
いや危ない。 飲んだらワープしそうだ。
「──と、いうわけで国交樹立のチャンスってワケなんだよ」
「は、ははぁ……なるほど……」
何か適当なクラフト材があれば良いが。
カカオを入れるか。 スイカか。 見つけた柿か。 栗か。
いっそ金リンゴでも良いかも知れない。 それか普段常食しているジャガイモや肉類を放り込むか。 握り飯を放り込むか?
「さぞおっかないのが来るんだろうなぁ」
「どうだろうな。 別に喧嘩が目的じゃないし」
「……互いにチャンスをふいにしたくない筈だ。 とはいえ無理しないと付き合えそうにない様なら付き合わないよ」
「ふーん……?」
「な、なんだよ」
ヨウムが我々を見る。
酒に不満があるか。 すまない。 低姿勢になって謝っておく。
「コイツらとは長い付き合いなんだろ?」
「……切っても切れない関係だからな。 勝手についてくるし……あー、外国行く時大丈夫かな……」
「はっはっはっ! 旦那なら大丈夫だろ!」
「むっ……あ。 ハクロウが会いたがってたぞ。 腕が鈍ってないか確かめたいってさ」
「師匠が!? 一気に酔いが醒めた……」
酒に酔ってみたり醒めてみたり。
村人もまた様々な物腰を取る。 それも我々のクラフトに対してにも。
クラフトとは奥深い。
喜劇ならず悲劇も生む。 改善出来る余地もある。 1で終わらず10にも100にもなり様々な世界へ波及していく。
そう思い行動できるのは、やはりこの世界の村人が我々に対して喜怒哀楽を見せてくれるからだ。
中々進まない感……。