寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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シズさんがまたも空気に……。
何とか出さねばと。


旅立つ者と残る者。
60.許す事と駄目な事


 

 

「シュナ様がリムル様と旅行に行くんですよ!?」

 

 

歩く汚泥の濁り、シオンが発狂しやがった。

癇癪を起こしやすいのは存じているが擾乱して良い理由は此処には無い。

ミリム程の被害が出なくとも、それなりに周囲が破壊される。 修繕役は損をする。

だからクラフターは即座に牛乳バケツを左手に、右手にノックバック強化の木剣を構えた。

稽古帰りのシズにも同様の剣を渡す。 素手でどうにか出来る相手ではない。 大抵そうだが。

 

 

「ズルイです! ズルイのです!! 私を置いていくなんてヒドイのです!」

「シオンさん、落ち着いて……」

「落ち着いてられません!」

 

 

現状通訳に於いて一縷のシズが諫言してくれているが、効果が見られない。

言葉で駄目なら叩くしかあるまい。 器物破損行為に及んだら現行犯である。

 

 

「……リムルがドワルゴンに行くんだけど、シオンさんは置いていくみたいで。 それで……」

 

 

シオンは心境を述懐中との事。

あいや仕方ないだろう。 クラフターは溜息を吐き空を仰ぐ他ない。

我々だってついて行きたいが、シズに止められている。 気持ちは分かる。

だが散々な破壊と汚物を見てきたクラフターだ。 政治に疎くても悟るものがあった。

相対する創造主である我々が止められる理由は不明だが、この1本角は駄目だ。

他者の土地を荒らした時、報復措置をされかねない。 つまりテンペストが攻撃される危険性を生むのである。

マルチクラフターである我々は詳しいんだ。

 

……あ。 我々も他人の土地でクラフトしてたわ。 成る程。 今頃合点がいく。

 

 

「シズ様も行きたいですよね!?」

「私はこの人達を引き留めないとならないから……シオンさんも何か秘書の仕事を……」

「……秘書の仕事って……何をするんでしょう」

「えッ!? 今まで何を!?」

「リムル様を抱いてお運びしたり、お茶を淹れたり……」

「書類の整理とか予定の取り決めとかは?」

「いえ……リグルドや他の管理部門の方々が処理してますし……」

 

 

だが当方迎撃の用意有り。

都市防衛思想計画は開始して間もないが、通常のTNTキャノンならビル屋上に備えている。 IRPもある。 我々の装備もある。

改良の余地だらけの問題放題な砲台ばかりだが、ゾンビやスケルトン級の集団程度なら鎧袖一触の自信がある。

それ以上の脅威が来たら地下に潜伏。 土地を掠奪されたくはないので考える。

 

……今は目の前の鬼に集中だ。

 

 

「そ、そうだ! 地下鉄駅の建設工事の視察とか手伝いとか!」

「ちかてつ? 確かこの人達が造った次世代の交通網ですよね。 今はドワルゴン近郊まで伸びているという……はっ!? そうです、それを使えばコッソリと」

「それは駄目」

 

 

怪しく身体をくねらすシオンにゾッとしつつシズに聞いてみた。

……どうやら地下鉄を利用して単身殴り込む腹らしく、それを止めている。

 

あいや待てよ。 良い着想じゃないか。

どれ、我々も脱走を企てよう。

 

 

「……貴方達も駄目だから、ね?」

 

 

暗黒微笑のシズに止められた。

もう激しく首を縦に振る他無い。 味方の筈なのに三巴の様相な気がしてならない。

 

 

「おーいシオン!」

 

 

そんな時。

リムルがやって来た。 最近は猜疑の念を送られているかに感じるが、別に喧嘩しているつもりはない。

 

 

「リムル様!」

「あー、その。 やっぱお前も連れて行く事にした」

「本当ですか!? ありがとうございます!」

「……泣いて喚いて暴れたらリグルド達が可哀想だからな」

「へ?」

「い、いやなんでもない。 それとシズさん……コイツらの事、くれぐれも頼む……」

「……出来る限りはするよ」

 

 

なんとシオンはお許しが出たという。

なのに我々は同伴は駄目らしい。 何故だ。

 

やはりリムルに嫌われているんじゃないか?

そう思って酒をリムルに渡してみる。 友好度を上げるのを試みたのだ。

 

 

「……いや良い。 仕事に行くからな」

 

 

拒否された。 酒なのに。

仕方ないからシズに渡す事にする。

 

 

「……うん。 後で飲もうね」

 

 

少し哀しげに受け取られた。

何故だ。 酒なのに。




時々不仲な雰囲気。
それを感じるシズの心境は……。
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