短文ですが投稿しなきゃ。
……みたいな(殴。
「は? 突然なんなのよ!?」
ケーキに戸惑われた。 駄目だ。 食わない。
判断したクラフターは早かった。 食い尽くし証拠隠滅を謀る。 相手が食わぬからと食糧を破棄、粗末にして良い理由にならないからだ。
特にシズの目前。 米粒ひとつ散らすだけでも怒られる。 その為、最近は上品に食す事を覚えた。 少なくともシズの目の前では。
それでも食事速度が衰えないのは相応の鍛錬をしたからにある。 剣技共に我ながら誇らしい。
「突然床に置いたと思ったら食べ始めたです!? 奇行です! 怖いです!?」
「こういう人達なの。 慣れてくれると嬉しいな」
「慣れそうにないのだけど!?」
食い終えたクラフターは安堵と共に熱が冷めた。 ミリムの様にいかない虚しさが襲う。
もしかしたらケーキ懐柔可能な生命体はミリム限定ではなかろうか。
検証したいが、人魔生物多様性に富む現世界において如何程の時間を消耗すれば理解出来るのだろう。
それに発情も繁殖現場も見た事が無い。 或いは見逃しているだけか。 にしては狐村人に対しての簡易実験は失敗している。
いずれ本格実験しなければ。 それで何かを得られる打算もなしに愚考する。
良い。 それがクラフターだ。 知りたいから知ろうとする。 それの何が悪い。
「ま、まぁ良いわ。 それよりミリム様が来たのは本当かしら?」
「おうおう来たべよ。 刀を打ってみたいってんで打たせたべ。 興味津々で楽しそうだったべよ……ただ台座ごと作業場を壊す所だったべが……。 それに力を抑制する武器をプレゼントしたら喜んでくれただよ」
「魔王ミリム様にそんな一面が……?」
さても一心、水色村人を警戒。
また荒らされても困る。 ミリム同等ならお引き取り願う。
「ふっ。 あたしはね、ミリム様がこの国を気に入っていらっしゃるから、どんな国か確認してくるよう神官長様から命を受けて来たの。 それでミリム様がいらしたという鍛冶屋がどんなものかと思えば……」
……しかしミリムよ、何処へ消えたのだ。 何故か寂しさを感じて目を細める。
「ミリム様のお力に耐えきれない作業場! さらにミリム様の崇高なお力を抑制するような武器を贈る感性! まったく大した事ないわね!」
対して目の前の水色村人と比較した。
今はドヤ顔を決め込んでいる。 ミリムと違う個性があるのは良い事だ。 意味は分からないが。
「ここの程度は分かったから失礼するわ」
「待って。 此処は凄い所だよ」
シズが引き止める。 荒らし予備軍だからか。
我々としても無視出来ない。 聞こう。
「クロベエさんは色々な凄い武器を作れるし、この人達もそうなの」
「へぇ? そこまで言うなら見せて貰おうじゃない」
「というわけで……」
シズに肩を叩かれた。 クラフトをお願いされた。
いや作るのは良い。 唐突過ぎるので理由を尋ねてみる。
「この子、エンチャントの魅力とか分からないみたい。 何か凄いモノを見せてあげて」
相分かったと頷く。
成る程、此処に来たのは芸を見たかったからかも知れない。
ならばとこの場所に置いてあるチェストを開ける。 蜘蛛の糸と木の棒を取り出し、作業台に向かう。
「なに? 糸と棒なんか出して玩具作りかしら……は!? 一瞬で釣竿に!?」
「……まさか鍛冶屋で釣竿を作られるとは思わなかったべ」
「そこは剣を作って欲しかったかな……」
「やっぱり意味不明な人です!」
これで終わりな訳がない。
更にエンチャント部屋へ行きエンチャントを施す。 取り敢えず"入れ食い"が付加された。
「釣竿が薄ら輝いているです!?」
「この人らが何らかの力を付加するとこうなるべ」
「大丈夫。 この街にいれば見慣れるよ」
「で、でも釣竿でどうする気よ?」
丁度良くある作業場内にある無限水源にブイを投げ入れる。 村人達が熱した剣等を冷やすのに使用する池だ。
「は!? いやいや魚なんていな……なんかいっぱい釣れ始めたんだけどぉ!?」
「あの人達の釣竿はね、水があるところなら、どこでも魚が釣れるの」
「わけわからんです! なんでですか!?」
「いつか慣れるべ」
「異常よ! いやあたしがおかしいの!?」
大漁であった。 今日は焼き魚だ。
そうだついでだ。 狐村人と水色村人に与えよう。 発情か懐柔出来るやもしれない。
「い、いらないです! 怖いです!」
「あ、あたしも遠慮するわ! それ食べて平気かも怪しいし!」
しかしまたも失敗した。
クラフターは落ち込んだ。 いやこれからだ。
上手くいかない方法をまた知り得ただけである。
中々進みませんが……。
クラフターの釣竿は不思議ですね(他人事。
なんならクラフター次第で戦闘にも使えます。