本編にも戻らねば……。
あの後、有翼村人を加えシズと獣村人達と食事をとった。
様々に提供された料理はどれも我々の舌を唸らせる出来栄えで、研究対象が増えた喜びに歓喜する。
カレーやシチューは既に知り得た料理であったが、他のサンドイッチ、ピザ、スパゲッティ等は未知の領域。 我々も是非クラフトしたい。
探究心は留まる事を知らぬ。 あれもこれもだ。 その心境は水色村人も同じだったらしい。 激しく感動していた。
クラフターはフッ、と笑う。
また1人新たなクラフターが生まれたかと。
かつて料理とは腹さえ満たせればヨシとしてきた。 昔に気にした事は効率と食べる場所くらいである。
その点、ジャガイモは優秀な食糧であったから、携帯食は常にこれと決めていた。
些細な遊び心があったのは否定しないが。 家畜の牛や豚に小麦をチラ見させてからステーキや焼豚を食べるとか。
食の喜び。 料理への探求。 効率のみを追い求めた我々だけでは辿り着けなかった分野である。
またも学ばされたな、村人に。
「あたし、店の人に料理を教えて貰うわ!」
「私は警備隊の仕事に戻るです」
「頑張ってね……あれ? ハーピィの子はどこに行ったんだろう?」
その後は皆別れ、あちらこちらに散る。
それぞれの道があるのだ。 我々にもある。
それぞれ足を動かした。
創造した道は大きく、これからの道も幾つにも分岐し続けている。 果てしなく終わりが見えなさそうな道が続く。
寝て起きて研究しては創造していく日々。
限りない、飽くなき世界に生きていた。
そして今。
「いやー、まさか……メシを喰って意識を失うとは思わなかったよ」
いつの間にか帰還してきたリムルと共にシオン級の毒物を提供されていた。
横長テーブルの上は立体的なモザイク画が満遍なく広がる。
何故こうなった。
クラフターは絶望感を露わにする他なし。
これは料理分野と認めない。
劇的汚物だ、コレは。 或いは猛毒ポーション。
にも関わらずだ。 それを知っている筈のリムルは嫌々飲食している。
相変わらず理解が出来ない。 なんてスライムだ。 ある意味では一服盛る手間が省けたとも言えるが。 先程倒れた時は遂に死んだぜと糠喜びしてしまった。
暫くして起き上がったのを見た時は裏切られたが。
危うく止めを刺そうとしたが、やめた。 直接手を出すのは美学に反する気がする。
手を汚す行為は他人にして貰おう。 そうしよう。
取り敢えずモザイクを端からスタックしていく。 食いやしない。 代わりに後で火薬と混ぜて投擲武器にする。
「皆さん、勢いよく平げてくれるなんて! シオン感激です!」
「絶対違うわ!? 食べてるんじゃなくて仕舞ってるんだよ! ズルいぞお前らァ!?」
リムルが激昂しているが無視する。
シオン級の毒物をクラフト出来ぬので、これはこれで貴重な機会だ。
クラフターはポジティブに考え始め頷いた。
「そうですかお代わりが欲しいんですね!」
「あー大丈夫! 俺はもう腹一杯! それより皆を集めてくれ!」
「? はい」
将来的には自力で開発したい……野望は潰えた訳ではない。
研究は頓挫したシオン級だが、これを機に再度挑戦するのも面白い。 毒攻撃は卑怯とする者もいるが有効手段だ。
フルエンチャントダイヤ防具に包まれていようが、火炎はともかく毒に対する免疫は獲得出来ない。 牛乳を飲むしかない。
リムルやゴブタを見ていると、この世界の一部村人に耐性があるかに思えるが皆が皆ではない筈だ。
明らかに強そうな帯刀村人のベニマルなんて、偶に食堂で瀕死状態で発見される。
ひょっとしたら魔王にも有効かも知れない。 IRPに特殊兵装として積むのも面白そうだ。 効果範囲を広げ弾頭として使えるならば仮想敵国や軍団を一撃で鎮めるのも無理な話じゃない。
「……ドワルゴンでの仕事は済んだ。 次は人間の国に向かう事にする」
「それは……」
「シズさんの為なんだ。 イングラシアにいるシズさんの教え子、子供達を救う為に」
妄想していると、また集会状態になっていた。 ワラワラと集まり狭苦しい。
何より喧しいしシズ越しに会話を聞くだけでも面倒事である。 助けを求められたら助けるつもりではあるものの。
「"クラフター"さん」
シズに話しかけられる。 どこか不安気だ。
足を止めて傾聴する。
「……助けて」
我々は即答した。 創造主は二つ返事で引き受けた。
仲間を助けるのに逡巡の必要が無いからだ。
無理矢理感が否めませんね……。
この先、どうなることか……。