戦争するかの様なガチ装備と対策へ。
「人間の国に行くに当たり、魔物は入れない。 なので擬態した俺とシズさん……それから不本意ながらコイツらを連れて行く。 見た目は人間だし大丈夫だ……たぶん」
助けて。
ただ一言シズに言われただけ。 それだけで鬼気迫る装備態勢を整えたクラフター。
仲間が心情を曝け出し手を伸ばしているのに、どうして振り落とす事が出来ようか。
何かを得る打算も無しに友は立ち上がる。
ダイヤフルエンチャント装備は当然で、インベントリを埋め尽くすシュルカーボックスには大量の物資が詰められた。 遠征なので必然と言えよう。
剣や弓矢、ツルハシやスコップ、その他戦闘に使える土や石は即使えるスロット位置に固定した。
本格拠点セットも準備。 シュルカーに入れるのを忘れない。
それに……ふとした拍子にクラフトしたくなるかも知れない。 建材も持ち込む。 当然だ。
後は石炭や木材、食糧等の消耗品を持ち込む。 かなり本格的で重装備となる。
ここまでの規模はそう多くなかったな、とクラフターは笑った。
「良い笑顔だけどな、遠足じゃないんだぞ」
「いいのリムル、お願いする立場だから。 それに自然な笑顔でいた方が怪しまれないよ」
「笑顔でダイヤモンドソードを持ってるけど!? そんな状態で街を歩いたら大騒ぎ確定なんですけど!?」
現地地下には拠点とは別の黒曜石による緊急事態応急対応拠点施設の設置も忘れまい。
ネザーゲートで一時離脱も考慮。
武器防具の予備も備えた。 留守番組は後方支援班として機能して貰う手筈となる。
「……現地入りの前に止めさせるから」
クラフターは眉間に皺を寄せながら遠征準備を進めている。
遠征先だけでなく、リムルや我々が不在の魔国連邦が脅威に晒されるのを深刻に考えていたからだ。
「今度は難しい顔をしているな」
「色々と考えてくれているみたい」
「……俺が苦労しない事なら良いがな」
元々考えていた事であったが、魔国連邦を快く思わない連中がいたとした場合の想定。
場合により魔国連邦首都圏が最前線にして最終防衛線となる。 防衛力が低下するのが露呈する程、荒らされる危険性は高まるのだ。
元世界では不在を狙う荒らしが多かった。 クラフターによるが都市1個を壊滅させるのに1夜あれば十分な者もいるのだから、この世界の荒らしがどれ程のものか。 考えたく無いが理想と共に現実も考えねば。
ミリムを参考に脅威査定をした同志は……飽くまで予測、いや予測ですらない悪夢……"蒸発"シナリオが提出された。
瞬殺。 無慈悲にも打つ手なし、という意味だ。
逆にゾンビ級集団の襲撃でも複雑な思考が出来ると想定した場合、卑怯で合理的な手段を取られる可能性すら示唆されている。
単純に感じる一方、潜伏型に破壊工作されても発覚する頃には時すでに遅し、という状況になる可能性が高い。
その場合、駐屯隊のみで対処出来るか不安が残る。 なんにせよ襲撃時は白兵戦は避けられないとしている。
当然、戦力になるモノは何でも使う。 無ければ作る。
IRPはいつでも動ける様に起動しておく。
多くのビル屋上にて設置してきたTNT砲台には観測手、装填手、砲撃手等が常に待機。
非効率的かも知れない。 だが備えられる事はしておきたい。
最後には地下に潜り籠城戦の覚悟。
死ぬ事は出来る。 後悔は出来ない。
また、敵の立場になって首都陥落を成そうとした場合だが……マッピングの時に思った。 立地にも不安があると。
大陸中央部に位置する魔国連邦は四方を植林場と手入れのなってない森で構成されている。
これを隔てた先には敵か味方かも分からない大集落が点在しているのも分かってきているのだが、もし結託されでもして一斉に襲われたら……推定被害報告によれば……眼を覆いたくなる事態だ。
元々森で湧き出た魔物が攻めて来るのは建国前から危惧していたので簡易な城壁や堀、流水トラップ等が郊外に作られているが……空を飛ぶ村人もいるし、そもそも原始的な罠に掛かる相手と楽観出来ないでいる。
何にせよシズも国も見捨てない。
誰も死なせないし絶対に生き残ってやる。
「あのね……」
準備に追われている時、シズに声を掛けられた。 武器防具は非常時以外、外す様にと。
クラフターは衝動的な疑問符を浮かべたが、察した事で仕舞う事にする。
アレだ。 郷に入ったら郷に従うのだ。 これから行く所は武装が禁止なのだと。
「一部を除いてね。 でも基本的には他所の街の中で真剣を出すのは駄目なんだよ」
そう言って、シズは鞘の話等をしてくれた。
嗚呼、と納得。 だいぶ前に渡した鉄剣をそのまま携行しなかったのはその為か。
思えば帯刀村人もそうだった。 インベントリが無い様子からして鞘に仕舞うのか。
不便ではあるが、対する工夫が見て取れた。 やはり楽しい世界だ、此処は。
益々荒らされる訳にはいかない。
「さて、案内役はカバル達に頼んである。 彼等は俺がスライムなの知ってるしな」
「あの子達とまた旅出来る……嬉しい」
さても準備が出来てシズを見た。
移動方法について話している様子。
ならばとシズに伝えたい。
既に交通手段は確保済みであると!
「え……」
「どうしたシズさん。 いや、察せるものがあるのが悲しい……一応聞こう、うん」
地下鉄に案内した。
新たな地下鉄路線を見せた。 長々と続くトンネルに長々と線路が続いている。
「ま、まさか……」
そう! 未知なる未来へ続く新たな道を!
クラフターは嬉々として紹介!
いつかの村人トリオの拠点座標方面と聞いている。 ならこの路線を使えば良いさ!
速い、安全、迅速輸送。 降車駅は既に拠点化しているから更に安心!
「……ねぇ」
あれ変だな。
シズもリムルも喜んでくれないぞ。
代わりに氷の様に冷たい冷気を感じる。
火炎能力が消えた代わりに氷の能力者になった?
「"クラフター"さん。 お話があります」
「奇遇にも俺もなんだ」
何故此処で抜剣? whyシズエ&リムル?
この後の事は思い出したくない。
だが分からないけど分かった事がある。
相変わらず村人達の沸点が不明、という事だ。
感動のカバル達と再会パーティメンバーが台無しに?
いやもうこの後どうしましょう。
特にシズさん絡みの件。 意見募集中です(殴。
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