人間の国における身元証明証発行の為ですが、クラフターは(意味不明で)危険なので受験資格を剥奪(リムル達に)されてしまう……。
じゃあ入国審査が厳しそうな隣国へはどうやって?
大丈夫。 元より冒険者でもあるので其れ相応の裏技があります。 いつもの事です。
問題なのはシズさんと弟子のやり取りです。
意見募集中(殴。
リムルと同じ道を歩かぬ創造主。
(今更感。
日記ネタを微妙に混ぜつつ。
「あの人達に試験受けさせないの?」
創造の自由を阻害され、拉致に遭う創造主。
今はどこかの建物に連れて来られた。 そこそこ大きな建物である。
酷い目に遭わされると思ったが、なんだ。 評価して欲しいのか。 そう改め首をグリグリと動かしてみる。
先ず動き回る村人が目に付いた。 装備はバラバラなれど防具なり剣なり装備している者が多い。 少なくとも冒険者の匂いを漂わしていた。 駆け出しもベテランもいる。 マルチならではな光景だ。
郷愁にも似た何かが湧き上がる。 クラフターは頷き微笑んだ。
「どの部門に申請させても迷惑かけるだろ」
「言葉の問題か?」
「でもちゃんと教えれば採取や探索は勿論のこと、討伐部門だって出来そうよぉ」
「やり方は奇妙になりそうでやすがね。 ランク飛び級しそうでやす」
一方で内装は少ない。 申し訳程度に観葉植物があり壁際を多くのカウンターが取り囲む。
時々冒険者と住まう村人との取引が見て取れた。
……ここは取引所の一種らしい。 浮世の知識を多少知り得たクラフターだ。 納得し頷いた。
「外の騒ぎを知ってもなお、それ言える?」
「……あ」
「そういう事だ。 身元証明はギルドが発行、保証するんだろ。 仮にコイツらに発行出来たとして、その後は? 気分屋なアイツらが好き勝手に物作りをして許される保証までしてくれる訳じゃない。 取り返しが付かない事態になったら、ギルドやこの国のお偉いさんが責任取るのか? そうでなくても人類の敵扱いされかねない……俺以上に」
何故エメラルドを持ってないのか。
あれば何が取引出来るか確認したかったのに。 それか別物で取引出来るか。
いや出来そうだ。 花を取引に使用している者がいる。 その辺の草と石でも良いかも知れない。
「で、でもぉ……道や家屋を直してくれたし、悪い印象は……」
「行政の許可なく勝手にしたんだぞ」
「なら十分手遅れでやす」
「そうだぜ旦那。 過ぎた事より今だ」
一方リムルを見た。 今は仮面で顔を隠し、トリオと鳴き合って……ひとつのカウンターに向かっていた。 取引するらしい。
かと思えば本と羽ペンモドキを使用し始める。 よく分からない取引方法だ。
しかしまぁ、人の姿で差分を出す親切心に感謝する。
色や身長を除けば、容姿はシズと酷似している故に。
「……その仮面、英雄に憧れるのは分かるけど、あなたには早いと思うわよ?」
「……本物に説得して貰おうかな」
「ごめんねリムル。 私の存在、今は渋いみたいだから」
「あ、うん……ごめん」
……唐突に複製と本物の違いについて思う。 記憶や経験、行動や容姿が違えば別個体と認識出来るのか。
もしそれらが同一なら、同一人物として認められるだろうか。 分からない。
取り敢えずリムルとシズは違う存在だ。 少なくとも意思疎通具合が違う。 ハァンなるスライムだ。
「まぁまぁ、そう言うなって。 旦那はこう見えて俺ら3人が束になっても敵わねぇんだから」
「えっ!?」
「あとシズさん、大丈夫。 ローカルブームが来てる」
「そう……」
「このバカバル! 乙女心は複雑なのよぉ!」
「えっ? 責められる事言った!?」
「落ち着くでやす」
ハァンハァンと村人は相変わらず騒がしい。
聞き慣れた筈なのに時に慣れない。 原因は知れている。 シズの様に言葉を理解出来ないからだ。
だが希望はある。
刮目相待。
とある湖底にて……同志がシズに代わる通訳の研究をしてくれている。 どうやるつもりかは知らない。 看板や本と羽ペンを使用するのだろうか。
あいやそんな簡単ならとっくに会話をしている。 事は単純であるべきだが許されないか。
「……討伐部門。 ねぇ本当にいいの?」
「実地試験なんだろ? 採取や探索じゃ時間がかかる」
「それはそうだけど……」
既存の創造で無理なら人工的に生み出すしかあるまい。 人生とは常にクラフトと隣り合いだ。
何より甲斐がある。 邁進する姿勢は数少ない我々の取柄であり美学ではなかろうか。
「確かにな」
おや。 リムルに別の村人が絡みにいった。
まぁそれは想像しうる範疇として……注目するのは別にあった。 頭がチリモジャだが、ソレではない。
「あんたは?」
「試験官のジーギスだ。 討伐の実地試験なら隣の棟でできる。 1番お手軽で1番危険な試験だ」
なんと右足が棒なのである。
クラフトに通じる何かがある気がした。 同時に疑問が浮かぶ。 何故棒なのか。
「……義足か」
部位欠損というやつか。
この世界にて学んだ事がある。
腕や足の耐久値を超えた攻撃をすると千切れてしまう事があるのだ。 なんという事か。 我々はどんな目に遭おうと腕や足が千切れた事がない。 死んでも遺品をばら撒き身体は消えるだけである。
兎の足や蜘蛛の目の様に、動物の部位は知り得ていたが……人型にもソレはあったのだ。 当初、切り離せる事が不思議でならなかった事例である。 あいやネザースケルトンの頭蓋骨が手に入る時点で疑うべきであったか。
素材に使えないかな、村人の四肢。
「受けるつもりなら、ついて来い……カバルどもの紹介ね……はッ。 どれほどのもんか知らんがな」
「なんかお前ら嫌われてねぇ?」
「あれー……あっ! 髪型素敵ですねって言っちゃったからか。 ほら、俺ってサラサラだし」
「このバカ! バカバル! なんて酷い事をいうのよぉ!」
「確かに生理的に無理でやすが、言っちゃ駄目でやしょ!」
「違うわッ!? お前らが急に信頼され始めたから妬んでるんだい!」
「うわっ、それはそれで酷いでやす」
「なんて小さい男なんだ」
「……すまん。 試験始めてくれない?」
様々な表情を浮かべては未だ騒がしい村人達。
つらつら思う。
果たしてシズ越しでなければ延々と理解出来ないのだろうか。 理解出来ないなら仕方ない。 元の世界の村人達に対してもそうであった。
ただ取引が出来た様に言葉が無くても通じ合えるのだ。 雑でも機敏さを理解出来る。 何故なら言葉が世界の全てでは無いのだから。
だからクラフターはニコニコする。
ニコニコしつつカウンターに草と石を置いてみた。 何と交換出来るかね?
「こ、困ります……これただの草と石……」
拒否された。
……少しは理解出来た方が良いなと思った。
進まないのもいつもの事(おいw
でもシズさんと弟子の会話や反応に悩みます。