寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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試験の時間。
投稿頻度と質が落ちる感が否めない……。


74.スポーンと観戦

 

 

「この中で戦うのが試験か?」

 

 

リムル達が広場に移動するから、クラフターも倣ってついて行く。

地面にはよくわからない模様が大円状に描かれていた。 それを除けば随分禁欲的建築だなもし、とクラフターは見解する。

 

 

「そうだ。 これは被害を出さない為のもの。 受験者であるおまえは この円から1歩でも出たら失格とする」

「成る程分かった。 で、相手は?」

 

 

石造なのは統一されているが、装飾や遊び心に欠けている。 そのくせ壁が妙に厚い。

何にせよ松明をばら撒く。 暗闇に身を置き過ぎだ。

国の趣味でも、こればかりは認められない。 少なくとも内側の危険を排除しなければ。

 

 

「なんだコイツら!?」

「急に松明を刺しまくっているぞ!」

「外の騒ぎはコイツらが原因か!」

「止めなさいアナタ達!」

「止めるの手伝うぜ……できる範囲で」

「そうでやすな」

「試験どころじゃなくなるわよぉ」

 

 

赴きの冒険者が騒ぎ、シズとトリオに抑えられた。 地下鉄での悪夢が蘇る。 慄として固まる他ない。 下手な抵抗はリスポーンへ直結する危機を孕む。 潔くした方が身の為だ。

実際に今は成功しているのが良い例だ。 暴行も最小限に済ませてくれた。

 

 

「……アイツらを殲滅したら合格になる?」

「なるか。 というか仲間だろ」

「……遊び人さ。 まぁ気にせず始めて。 試験どころじゃなくなる前に」

「あ、ああ。 ではEランク試験を開始する。 魔物に見事打ち勝ってみせよ」

 

 

しかしリムルは何をしているのか。

円の内側に入っているが。 対するはモジャ村人だ。 これも取引の一種だろうか。

或いは戦闘か。 様々な光景を見てきたが見極めは毎度困難だ。 日々勉学である。

 

 

「いでよ。 ハウンドドッグ」

 

 

不思議な事が起きた。 リムルの目の前に突如として大型犬がスポーンした。

連邦狼とは似て異なる。 レアスポーンではないか、これは。

 

 

「おお…っ」

 

 

リムルは感嘆と共に居合斬で首を刎ねた。

 

 

「は!?」

 

 

容赦無い一撃にモジャ頭も周囲も唖然とする他ない。 分かる。 安易な殺害に理解が遅れたのだ。

何故懐柔を試みない。 レアなら殺すのは悪手と知っての愚行か。 次会えるかも分からないのだぞ。

これが3体いるならまだ分かる。

1体に試斬し、ドロップ品や体力値を調べ、残り2体を繁殖用で確保する。

初心者染みた行為だ。 駆け出しでもなしに。

……いや仕方ないか。 既に敵対していた。 懐柔は無理な類か。 ドロップも期待出来ないか。 酸っぱい相手だったのだ、きっと。

 

 

「召喚魔法ってやつか。 すごいな初めて見たよ……次もよろしく」

「いいだろう。 次だ」

 

 

我々も初心の頃は考えもせず、出会い頭に屠殺したものだ。 最近の事例としては砂岩地帯でのウィッチモドキだ。

あれ以降、目撃例が無い。 迂闊であった。 あれはレアスポーンだったのだ。 だが反省しない。 無礼を働いたばかりか、敵対した挙句に碌なドロップも無い。 アレを思えばリムルの行為も肯定したくなる。

 

 

「いでよダークゴブリン!」

 

 

また何かスポーンした。

何処となくゴブタに似ている。 鎧を着込み、剣と盾を装備している。

先程より手強そうだ。 が、相手の初動より先にリムルは首を刎ねた。 容赦無い。 同時に良く斬り込めるな、と感心さえする。

 

 

「いやすまん。 なんか知り合いが煽ってきた時の顔に似ててつい……」

 

 

新手に対し、クラフターによってだが慎重に距離を計る。

土ブロックを10個くらい積み上げて上り、蜘蛛返りを作り見下ろし様子を見る。

相手は剣を所持しているから、ゾンビピッグマンの様なスタイルかも知れない。

が、常識に囚われてはならない今世界においては未知数だ。 シオンの様に大剣を背負いながら猛毒を振る舞うかも知れない。

 

 

「飛び級だ」

「へ?」

「カバルらを倒したというその腕、最早疑ってはいない。 このまま順々にランクを上げていくのも面倒だろう。 どうだ? 一気にBランクの試験を受けてみないか?」

「いいねぇ」

 

 

何にせよ見学も立派な勉強だ。

多種多様な脅威が蔓延る世界に身を置く以上は、一欠片とて攻略の鍵は拾いたい。

まだ戦闘は続く様子だから見ておこう。 戦っているのはリムルなのに、見ている我々の方がワクワクしてきた。

 

 

「お……おいおいジーギスさん、そりゃちっとやり過ぎだ」

「そうよぅ! Bランクの相手ってリムルさんにとって不利な相手だしぃ」

「外野は黙ってろ! 決めるのは受験者本人だ!」

 

 

何やらトリオとモジャ頭が揉め始めた。

観戦者として見応えが無いからか。 リムルは今のところ一撃で葬り去っている。

だがウィザー級を召喚されたら困る。 この辺一帯が吹き飛んでしまう。

リムルや周囲の村人が死ぬのはどうでも良いが、構造物が破損して欲しくない。

欠陥はあれど、それなりに良い造形なのだし。

 

 

「ヒューズ君……さんを呼んでくる。 これ以上は止めた方が良い」

「賛成だシズさん。 ジーギスさんはムキになり過ぎだ」

「案内するでやす!」

 

 

シズ達が駆け出した。 何処へ行く?

ついて行こうかと思ったが、やめた。 今は仕合を見学だ。

リムルを基点にして行動している以上、また戻ってくる。 やりたい方を優先する。

 

 

「ふん……だがまぁ、逃げるチャンスをやろう。 こいつの姿を見て勝てないと思ったら降参するがいい……来いっ! レッサーデーモン……!」

 

 

またスポーンした。

今までにない奇妙な形であった。 まず村人の2倍以上はありそうな身長。

蝙蝠の様な翼。 羊だか牛だかな動物的な顔。

角も2対生えている。

 

 

「おお……悪魔か! 初めて見たな」

 

 

仮に蝙蝠羊と呼称しよう。

さてどう攻略すれば良いのか。 リムルを犠牲に高みの見物だ。

 

 

「さ……さぁ決めろ。 戦うか否か」

「そんなの決まってる。 魔法の連続行使でアンタはもう精神力が尽きかけてるだろ」

「ふん……子供に見破られるとは情けないな……」

「すぐ楽にしてやる。 試験を受けよう」

「……よくぞ言った。 レッサーデーモン!!」

 

 

モジャ頭が叫ぶと、蝙蝠羊はリムルに襲い掛かる。 速い。 だが追い付ける。 リムルは難なく回避。

我々ならどうしようか。

リムルほど俊敏に動けないから、丸石の壁で防ぐなり穴掘って逃げるだろう。 上でも良いが、翼がある。 飛んで来られそうだ。

 

そう思考が終わる前には、リムルは刃を返し蝙蝠羊の腹を斬った。

が、切断面は霧状になるばかりで相手にダメージが無い様子。

まさか近接無効だというのか。

ウィザーとは逆の性質でも備えているのか。 なら遠方や安全圏を作り出し弓矢で削る。 その点が有効なら、ウィザーより脅威度は低い。 抑える術は楽な方が良い。

 

 

『告。 精神生命体に物理攻撃は無効です』

「成る程。 それで不利な相手、か」

 

 

それかアンデッド特効等のエンチャントを付加すれば効くかも知れないなと愚行する。

 

 

「アイシクルランス!!」

 

 

リムルが氷の矢を発射した。

が、あまり効いている様子が無い。 この分だと通常矢が効かないか。

なら氷以外を試すべきだ。 我々なら火矢を放てる。 あと毒とか。 ポーションでも良い。

 

 

「……魔法の効きもいまいちか。 剣か魔法……或いはその両方か」

 

 

そう。 突破口はエンチャントだ。

クラフターは思う。 通常の剣や弓矢では駄目だ。 強大な敵に有効ダメージを与えられた試しが少なかった。 あのミリムにせよ巨大魚にせよ。

だがミリムにはノックバックエンチャントが有効であった。

今までの創造力を凌駕する動力源兼演算装置であるBBのIRP攻撃が通用しなかったにも関わらず、である。

 

 

「魔法はイメージの具現化……刀に魔法を纏わすイメージをして……斬る!」

 

 

また不思議な事が起きた。

リムルが蝙蝠羊を斬り殺した。 先程まで無効であったのに。

故に刮目して食い入る様に剣を見る。 するとどうしたものか。 なんと、エンチャントされた雰囲気があるではないか。

 

 

『告。 エクストラスキル魔法闘気を取得』

 

 

よもや即席付加とは。 どうやった。

思い返せば、ドワルゴンで似た節があったか。 エンチャント剣を瞬時に量産した時だ。 エンチャント台無しにである。

だがアレは大元から複製したに過ぎない。 今回のケースとは別格であろう。

驚かされてばかりだ。 驚異の底が知れないスライムだ。

 

 

「で、どうなんだ試験は」

「……合格だ。 全く、おみそれしたよ。 今後、あんたの身分はギルドが保障する」

 

 

刹那、ハァンの大合唱。

リムルは村人に駆け寄られ、囲まれると様々な取引を持ちかけられていく。

 

 

「凄いね君!」

「なに今の!?」

「仮面取って顔見せてくれよ!」

「是非ウチに来てくれよ!」

 

 

分かる。 強大な力には あやかりたい。

だが同時に脅威である。 尚更対抗術を模索しなければ。

幸いなのは今回の戦闘は勉強になった事だ。 今後の戦闘に工夫がいるだろう。 先ずはエンチャントだ。 これは間違いない。

 

 

「Bランク試験だとぉ……?」

「ギ、ギルマス!?」

「静まれ貴様らぁ!!」

「ヒェッ!?」

「何故こんな事になっているのだ! リムル殿に何かあったらブルムンドが滅ぼされてもおかしく無いのだぞ!」

 

 

新手が来た。

いつかの村人だが、先程の蝙蝠羊より大迫力だ。

見学も悪くない。 見ているだけでも楽しい日々になりそうだ。




本編通りになり過ぎない様にしたくも、難しいです……。
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