当然何も起きない筈がなく……。
日記ネタの方では、この辺の時系列でミュウランが対人恐怖症の所為で冒険者登録に苦労する話等が展開されていたかなと。
笑いのみならず、ミュウランの子供時代にあった悲惨な話なども描かれていきます。
一方、リムルがシズの仮面着用のまま食事する話もあります。 本編ではオマケ絵の様にシズの食事が描かれていた気がしますね。
「焚書処分」の方に【プリンセスリムル】追加。
これも日記ネタです(殴。
「旦那は明日にでも交渉に?」
日が暮れ、外の松明が搖れ目立つ刻。
リムルは皆と食事処で鳴きあった。 先程まで我々が血生臭い行為をしていたのも知らず。
「国王にいきなり謁見するんじゃないけどな」
「まぁ、そうよねぇ」
美味そうな湯気立つ料理を囲む。 だというのにクラフターは溜息混じりだ。
模擬とはいえ真剣勝負であった。 地上では目立つと言うので地下鉄のホームに拉致されての強制戦闘である。 突然の戦闘に地下労働班はビックリだ。
そんな同志も気にせず、シズは鉄剣を振りかざしてきた。 それをエンチャントダイヤ剣で凌ぐ。
地下鉄への損害もなく半殺しまでに止めてくれたのは不幸中の幸いであった。
とはいえだ。 リスポーン地点は設定し直しているものの、下手して死ぬと経験値の減少は免れないし、装備も無駄に擦り減るで良い事はない。
ミリムだったら更なる悲劇が起きている。 地上に向けて噴火が発生していた。
地下鉄駅は地上との往来の効率上、そんなに深くない。 重爆に耐えられるかも怪しい。
そのピンキーストームは元気かなぁ。
破壊者には違いなく荒らしに違いないのに。
妙な愛着が湧いている創造主であった。
「気をつけるでやすよ」
「心配すんな。 シュナがいないのは心細いけどな」
「ごめんね。 私がこの人達を抑えていれば」
「シズさんは悪くない。 さっき拷問してくれた訳だし、少しは反省しただろ」
「拷問じゃなくて仕合だよ?」
「割と本気だったよね。 死合だったよね」
過ぎた事は仕方なし。
リムルは3日ほどは滞在すると聞く。
その間にでも首都観光は済まし、改修を施していかねば。
ガードが固い隣国に移動してしまっては、そうも出来ないであろう。 武装村人に追いかけ回されるのは連邦で間に合っている。
自由とは謳歌出来る内に楽しむものなのだ。 当然、代償と少々の危機は常に付き纏う訳であるが、創造主にとっては日常茶飯事。 騒ぐ程でもない。
謂れもない暴力を受けるのは勿論の事、採掘中の溶岩浴や突然のクリーパー被害、直下掘りという愚行を犯しての地下渓谷落下やマグマダイブは忘れた頃にやってくる。
「まぁまぁ。 明日に備えて食いましょう」
「そうだな」
村人の話題は変わった様だ。
各自、ようやっと食事に手を出す。 大皿から取り皿とやらに取り分ける。
シズに聞く。 これも行儀だという。
「衛生の問題もあるけどね。 でも人によるよ……ここでは皆の真似しなさい。 良いね?」
シズの笑顔が最近怖い件。 頷く他なし。
しかし食事方法にも色々あるとは。 面倒だ。
我々なら皿を取り直食いしている。 だが、それをやってはならない、と。
パンは許されるのになぁ。 差が難しい。
郷に入れば、とは前から考えられる様になったが、何よりシズと同伴しているのがある種の危険だとも考え始めている。
特に食事時。 クラフターは作法を誤れば恐ろしい事になるのを既に存じているのだ。
満腹でも無理矢理喰わそうとしてきたり、食べカスを1粒でも散らしたら折檻される事がある。
「食器もちゃんと持ちなさい」
取り皿に受けたんだから、良いだろ。
「ここでは行儀良く」
厳しい。
そもそもフォークだのスプーンだの、どう使えば良いのだ。
「こう持つの。 持って、食べる」
模倣する。 スパゲッティとやらには時に両手をも使用する。
フォークとスプーンの合わせ技。 食事とは大変だ。 だが我々も似た事をするので理解出来た。
剣盾とか弓とエンチャント矢とかの組み合わせだ。 それらは両手を使う故に。
「溢さない」
……だが慣れない動作だ。 叱られた。
いつかの時に見聞きした鍋奉行。 この場合は食事奉行シズエ・イザワか。
練習するしかない。 食事時は楽しくありたいものだ。 ここの料理も大変美味しいのだし。
「シズさん、相変わらず厳しいでやすな」
「もっと厳しくしてくれシズさん。 少しでもコイツらを分からせたい」
「そう言う旦那は、仮面付けたまま食えるか?」
「へ? いや無理だろコレ。 流石にずらす」
「シズさんなら、そのまま食べていたぜ。 なぁシズさん?」
「え? うん、一応」
「マジ? どうやるの?」
「普通だよ?」
注意がリムルに向いた。
今のうちに掻き込む。 食い切れない分はストレージに仕舞い後で食う。
少なくとも皿の上は空にしないとならないからだ。 でなければ、また叱られる。
だが理由は分かるから良い。 有り余る食糧があるからと粗末にしてはならない。
「く、食えないぞ。 何度やってもベチョッてなるんだが? 流石に嘘だろ」
「嘘じゃないよ」
「残念よぉ。 もっと出来ると思ったのに」
「旦那に仮面の荷は重いんでやす」
「シズさんも木の葉の影で泣いてるぜ」
「泣いてないけどね」
「もう1度だ!」
急に賑やかだ。
騒ぐのは有りなのか。 よく分からない。
リムルなんて仮面を料理で汚している。 それこそ駄目だろう。 シズ的に。
「あーあー。 仮面をそんなに汚して!」
「シズさんはもっと上品だったわよぉ」
「道のりは険しいでやすねぇ」
「む、無理しないで良いからね?」
「いやシズさん。 俺はコイツらに馬鹿にされたままなのは納得出来ない! なによりシズさんに出来て俺に出来ないなんて事は……」
何故か楽しげなままだ。
仮面を汚すのは許されるのか。
「アンタ達! もっと静かに食べな!!」
かと思えば給仕の村人に叱られた。
シズ含め全員が頭を下げた。 シズの上位互換か、アレは。
「側の人達を見習いな。 行儀は悪いが静かにしてるじゃないのさ」
「いや、コイツらは喋れないっていうか……そうだ。 コイツらは仮面付けたまま食事出来るのか試すか。 俺だけなのも理不尽だ」
リムルに仮面を渡された。
意図が分からないのでシズ越しに尋ねて理解した。
「出来るか? いや出来てたまるか」
「意地にならなくても……」
仮面を装備した。 残り物のスパゲッティを食べた。 普通である。
「なん……だと……!?」
驚愕されたが、取り敢えず返却する。
これの何に良し悪しを付けて騒いでいるのか理解できないクラフターだった。
「くそぅ! カバル達もやれ! 俺だけ出来ないなんて認められるかーッ!」
「うおっ! 旦那ご乱心!?」
「食べ物で遊ぶのは感心しないよ」
「いい加減にしな! 出禁にするよ!?」
妙な争いを尻目に食事は続く。
理解は難しくも食とは奥深い。
だがやはり賑やかなのは良い事だと頷いた。
日記ネタの方では、大賢者がこの件に関しては不明です、のような補足(?)があった気が……。