他の授業描写は日記の方でも伺えます。
ですが寄り道し過ぎると進まない気がするので、そこそこに。
所変わって青空教室。
皆で広く何も無い敷地に移動する。
建築を今すぐに着工したくなるフラット具合。 クラフターは心を躍らせていた。
「シズ先生は知っているだろうけど、君達の実力を見ておきたい。 いきなりだけど模擬戦をして貰う」
「リムル先生が相手ですか?」
「それでも良いし、コイツらでも良い」
だが例により照度が足りない。 実習用の空き地だとしてもだ。
松明が気になるのか。 ならグロウストーンを地面に埋め込めば良い。
設備投資のコストはあるが、それにしても夜が危険である。 ここで湧き出た怪物が周辺の住宅街に被害を与えたら責任問題に発展する。 マルチクラフターは詳しいんだ。
「ならあの人達と戦ってみたいな」
「そうだな。 俺の剣を防いだし」
「今なんて校庭に松明を刺してるよ。 儀式?」
「面白い人達!」
「リムル先生は後にしてあげる!」
「……あ、うん。 なんだろうこの差。 急に悲しくなってきた」
「ま、まぁまぁリムル」
よし。 取り敢えず松明を適当にばら撒いた。 これで直ちに影響は出ない。
実習で破損もあるだろうが、また刺し直せば良い。
グロウストーンはネザーで得られるが、松明の素材はこの世界でも容易に得られる。 この世界の村人でもクラフト出来るだろう。
配慮も出来てこそのクラフターだ。
「じゃあそれぞれ用意してくれ。 一斉に攻撃しても構わん」
「リムル」
「大丈夫だって。 シズさん、コイツらに伝えてあげて」
シズが声を掛けてくる。
どうやらクラフトの時間らしい。
「これから子供達と模擬戦して貰える?」
相分かった。 二つ返事で頷いておく。
先程の不意打ちからして、子供達はソコソコ高い戦闘力を有している。
此方としても調べたい。 出来る事と出来ない事を理解するのは大事だ。
松明だってレシピを知り得てなければ作業台の有無関係なくクラフト出来ない。
更に言えば興味を持たねば出来ない。 松明を撒く行為に疑問を投げかけるのをやめてしまえば停滞するだけである。
「ありがとう。 でも手は出さないでね。 怪我させる事は駄目」
縛りを受けた。
だが頷く。 防戦一方でも全然構わん。
剣ガード、盾、壁、回避も入れるなら幾らでもやり様はある。
いや待て警戒は強めよう。 慢心は駄目だ。 桃色嵐(破壊)と水玉嵐(悪食)の例がある。 喰らうのは勿論、見るのも御免なソレが。
「決まったな。 よーし、始めてくれ」
「よっしゃぁ! 先ず俺から!」
不意打ちの子が、またも不意打ちの如くハァンと叫ぶ。 かと思えば次には火の玉が複数飛んできた。 ブレイズか。
懐かしみを感じつつ、右へ左へぬるぬる動く。 火の玉の合間を縫い避けまくる。
初期シズ程の能力は無い様だ。 弾幕はあの時より薄い。 大人になったら同等になるのかも知れない。
「うわっ、動き超キメェ!?」
楽しくなってきたら、ドン引きされて即堕ち終了。
いや跳ね返しても良かったんだぞ。 素手でも十分テニスは出来るんだこちとら。 タイミングさえ合えば。
ただソレをやると相手が怪我をするかも知れない。 シズとリムルに処刑されそうだから自制しているだけだ。 感謝して。
「大怪我しても恨まないで下さいよっ!」
今度は金短髪から大玉が来た。
大きいぶん、避け難い。 丸石を積んで壁を立てる。 相手から姿を隠したら、今度はスコップで真下掘り。
「そのくらいならっ!」
また前みたいに地面の中に隠れると、これまたタイミング良く地上の丸石が壊れる音が。
「あ、あれ? 何処に行ったんだ!?」
見た目相応に高威力であったか。 取り敢えず真下に土を積みつつ青空の下に帰還。
「地面の中に隠れてたーッ!?」
また引かれた気がするが、感想を想う前に次が来たので対応せざるを得ない。
「ガルルルルッ!」
狼みたいになった黒短髪が飛び掛かる。
動作は単純なので横に避けると、着地地点の地面は軽く抉れた。 クリーパー被害より浅いクレーターが出来た。 見た目より強そうだ。
「グワァーッ!」
反転してきた。
クラフターは慌てず木のフェンスをひとつ使用。 すると木の棒が地面に突き出る様に設置された。
囲むためでは無い。 大人しい動物ならその手法で良いが、動き回る相手には難しい。
ならばと取り出したるはリードだ。
再度相手の攻撃を回避したクラフターは、着地のタイミングに合わせて黒短髪にリードを取り付ける。 次に素早くフェンスに括り付けた。
「ガッ……ハッ!?」
リードの限界を越えようとして首がしまったらしい。 そしたら急に我に返った。
あそこでリードを撤去しようとしない辺り、狼状態の時の知性は通常より著しく低下するのかも知れない。
まぁ良いや。 そのまま大人しくしてなさい。
「ウォータージェイル」
今度はアッと驚き。 クラフターを囲む様に水流が渦巻き始めた。 何の冗談か。 どこから水が湧いて出たのか。
なんか芸術的で美しくもあるが、戦闘中である。 たぶん危険なナニかをされている。
「そこから水の刃を降り注がせる事が出来る。 負けを認めるなら解除するけど認めないなら死んじゃうよ?」
「ちょっ、恐ろしい子!?」
「クロエ、本当にやっちゃ駄目だよ」
外の声からして黒髪少女の仕業らしい。
シズが止める様に言っているが、クロエと言う名前か。
いや今はソレよりもこの状況。 どうもただの水流ではない。 試しに突っ込んでみたらダメージを食らったのだ。 痛い。
丸石を設置して堰き止めを試みた。 すると直ぐにヒビが入り始めて壊れてしまった。
なら黒曜石だ。 地面を掘っても良い。 空も空いている。 上に逃れる手もある。
「でもこれで……あれ?」
結局それぞれ同志が全て試した。 情報は多い方が良い。
……ふむ。 どうやら全て上手くいくらしい。 上は待ち伏せされるかも知れないから、今度やられたら地面から逃げよう。
「なんか凄い。 面白い人達」
「……真似しようと思っちゃ駄目だからな」
「全くみんな情けないわね! こうなったら私が!」
次で5回目だ。 最後だろう。
金髪少女の声が聞こえたと思ったら、次には空飛ぶ小さな人形達が纏わりついてきた。
痛く無い。最小スライムに集られている気分である。 取り敢えず殴って叩き落とす。
「あっ!? ひ、ひどい……ひぐっ……」
泣かれた。
攻撃も止まる。 創造主の勝利である。 やったぜ。
子供に負けては教師として示しがつかない。 いや例え負けても取り返しただろう。 ナニかで。
「おいおい、ナニ泣かしてんだよ」
「……手を出しちゃダメって言ったよね?」
リムルに睨まれ、シズが笑顔で近寄って来る。
……待て。 ちょっと待て。
なんで我々はシズに責められてん?
手出ししてないじゃん!?
「お人形さん」
え、いやそれは。
ほら武器だったのだろう。 ならセーフだよ。
それに攻撃に使用した以上は耐久値は減るのが当然であり……。
………………。
その後の記憶は振り返りたく無い。
ただ簡潔に述べておく。 金髪少女の人形に羊毛を使用して修繕して赦しを請い、今度はシズとリムルに模擬戦やらなんやらを強制された。
……模擬戦50連戦は心身共に疲れる。 乙女の心はよく分からないのであった。