寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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転スラ日記も参考にしつつ。
本編から離れて学園生活の風景。


89.学舎と日常

学舎の匂いを嗅ぐのも悪くない。

クラフターは初心を思い出し、朝日を拝む。

敷地の外に出ると騒動になるから、行動制限は厳しい。 だが箱庭に籠る事で逆に研磨や教授出来る創造があるのだと疑わない。

 

 

「お、お前らちゃんと定時に起きれるんだな」

「みんなおはよう」

「おはようございますリムル先生、シズ先生と副担の皆さん」

「寝坊すると食堂閉まっちゃうのよ!」

 

 

残念ながら文字を用いた勉学は至難の業。

一方でクラフトに関する事ならばと皆して食堂へ。

取引もなし、無料で食事が提供される場所。

そこでは日々違う料理を頂ける。 それは朝昼夕と3食異なる為、大変興味深い。

ただし時間制限があるらしく、その間に取得しなければならないのだ。

 

 

「なるほど朝メシ目当てか。 さすが育ち盛り」

「"クラフター"の皆も嬉しそうだね」

 

 

シズに云われ頷いて見せる。

そりゃそうともさ。 未だ知り得ない知識がこの学舎に溢れているのだから。

さてもなんだかんだ配膳が開始され、順番に料理を貰う。 戴く。 食べる用は手に持ち、研究用はスタック。 後で原材料等を調査だ。

 

 

「おばちゃんの料理を喜んで食べてくれるなら、言葉の壁なんて気にならないさね」

「……おばちゃん、一部は食べる為じゃない可能性が」

「うん?」

「いや、何でもないです……」

 

 

中には知り得る食糧もあるにはある。

例えばパンがそうだが、コレひとつにしても見た目や味が違う。 どうクラフトしたのか。 材料は?

他も大抵知らないものばかり。 ハムエッグなる料理やマッシュなる料理、スープもそうだ。 キノコシチューの類か?

何にせよワクワクする。 膳の上を見ているだけで楽しい。

 

 

「ほい! これリムル先生の分ね!」

「ちょっ、生徒より多くない!?」

「先生だったらもっと大きくなんなきゃね!」

「…………1日の基本は朝食から。 それに食べられるだけ有難いよ?」

「シズ先生、食へのガチ思考も怖いです」

 

 

リムルを生贄にシズから離れた席で食事を摂る創造主一同。

食事もまた娯楽のひとつである。 愉しめる位置で愉しもう。 決してシズから逃走した訳じゃないと弁解しておく。

さてもリムルを犠牲にした飯は美味かった。

卵と豚肉が原料かな?

コッチはジャガイモを磨り潰したのか。

時間がある時に是非とも研究せねば……。

 

食事が終わると教室に戻り今度は座学。

本と羽ペンモドキを用いてナニかを筆記している。

文字は相変わらず理解出来なかったが、動く熊人形や兎人形は見ていて楽しい。

 

 

「アリス……授業中にぬいぐるみは先生どうかと思う」

「別に良いでしょ、席は空いているんだし。 ちゃんと計算もやってるわよ!」

 

 

前回の経験からして、金髪少女が動かしているゴーレムの1種だ。 鉄ではなく羊毛類で動いていたという、斬新な創造である。

此方も子供に負けていられない。 教師として、世界に生きる先輩として学ばせたいクラフトがある。

 

 

「副担が突然雪だるまを!」

「かと思えば動き出したー!?」

「背後には鉄のゴーレムがッ!」

 

 

スノーとアイアンゴーレムを作ってみた。

生徒が騒ぐ。 そうか、これは知らないか。 他者が知らぬ知識を見せられた事に満更でもない表情を浮かべる創造主である。

 

 

「お前ら、今そういう時間じゃねぇから!」

「え、えーと……アリスのスキルに感化されたんだろうね……」

「取り敢えず捕食で消し……いや、子供達の前だしな」

「作ったのに悪いんだけど、撤去してね」

 

 

シズに云われてしまった。

確かに、教室に対してゴーレムは大きい。

村人サイズのスノーは良いが、アイアンはゴツい。

仕方なくダイヤフルフォースセットを装備。 数撃でアイアンを斬り伏せ片づける。 鉄とダイヤ剣の耐久が勿体ないが仕方ない。 ゴーレムに反撃を受けるのは危険だし、何よりシズに怒られるよりマシ。

 

 

「なんだ、その淡く輝く水色装備!?」

「格好良い!」

「……子供達がコイツらの影響受けてる?」

「みんな、真似しようとしちゃ駄目だよ」

 

 

そうこうしてる間も昼飯に。

サンドイッチなる板状のパンで具材を挟み込んだ料理を戴く。 美味い。

簡単に見えるから、これなら我々でもクラフト出来るだろうか?

 

食べた後は教室外でも何らかの授業が行われる。

リムルやシズが引率し、我々や子供達はついて行く形だ。 最初は図書室に連れてかれたので思わず歓喜する。

 

 

「副担が首と腰と腕を振り回してる!?」

「暴れるなお前ら!」

「図書室では静かに!」

 

 

そうだな。 落ち着こう。

するべき事をしなければ。

 

 

「はぁ……この世界の本から色々情報を得たいんだろけど」

 

 

クラフターは嬉々として斧を取り出す。

大量の本棚が前だ。 破壊して本を得る。 その後はエンチャント本にしても良し、本棚を組み直しても良し。 何にせよエンチャントが絡む。 後は記録用の本と羽ペン用。

 

 

「おいこら待てや!? なぜ斧を出した!?」

「副担ご乱心!?」

「止めなさい貴方達!」

 

 

シズに静止を喰らい、やむ得ず斧を仕舞う。

言いたい事は分かる。 此処も立派な建造物内であり、その部屋である。

本棚ひとつひとつも作品のひとつだ。 それを破壊するとは何事かと。

その点、子供達に見せるのは悪影響だ。 下手すると荒らし助教になる。 クラフターは反省し、頭を垂れた。

 

 

「り、理解が追いつかない人達ですね」

「面白いけど……少し怖い」

「狂ってるぜ……」

 

 

代わりにエンチャント台を端に設置した。

場所的にレベルが微妙だが仕方ない。 他者による景観を破壊せず、実用性あるブロック類の配置は難しい。

 

 

「今度はなんだ……?」

「本棚から文字が飛び出しては、設置した本に吸収されている!?」

「あー……これアレだろ。 クロベエの工房にあるヤツだろ」

「へ?」

「気にするな。 害は無い。 無いが変に興味を持たない様に!」

 

 

次に向かったのは松明揺らぐ校庭と、校舎周り。

前回の模擬戦地の近くだ。 シズとリムルに暗くなるまで散々な目に遭った場でもある。

 

 

「松明は相変わらずなのね……」

「教頭先生は困惑していたな。 撤去しても刺し直されるし」

 

 

松明のボンヤリした明かりが身に沁みる。

雑然としているが却って良い。

初心を懐かしみ、そして忘れまい。 特にシズとのチャンバラは。

 

 

「さて今度は校庭の掃除をしよう」

 

 

また模擬戦かと思いきや、今度は皆して清掃を開始。 松明を撤去する訳じゃ無い事に、一先ずの安堵感を得る。

 

 

「なんと! あの子達が校庭の掃除を!?」

「座学や実技だけが教育じゃあありませんから」

「素晴らしいですシズ先生、リムル先生!」

「あの悪鬼のようなS組の面々が……教師生活25年。 今改めて教育の尊さを目の当たりに……」

 

 

ボワン! ゴオオオオオッ!!

 

 

突如、爆発音が響き渡る。

直ぐ側、校庭にて。

 

すわっ、クリーパー!?

あいや、ブレイズ!?

 

クラフターは慌てた。

松明の間隔は雑だったから、遂にその手が湧いたのか。 それ見た事か。 照度に気を付けないからフラット面に大穴が空くのだぞ。

と、思ったが杞憂だった。

クリーパーではなく、ただの子供村人のスキルだったのである。

……あいや、クリーパーより酷い被害が出ているぞ。 庭木も花壇も燃えており、クロエの水流が校舎を抉っている。

 

 

「何やってんだお前らー!!」

「いやゴミを燃やそうと」

「燃えてる! 関係ないのも燃えてる!」

「クロエー!! 水が校舎を抉ってる!!」

 

 

ここはアレか?

荒らし養成機関か?

 

クラフターは青空を仰いだ。

そうしてしまう位には、子供達の行為は破壊の限りである。 加減を知らない年頃か。

兎に角、壊されたモノを直さねば。 ナニ、ミリムより断然マシだ。

さっさと煉瓦や花を用意し、元の素材で修繕していく。 手慣れたモノだ。

怪我の功名とは違うが、元の世界でのクリーパー被害や連邦での修繕の日々はこういう時に役に立つ。

 

 

「おぉ……こういう時は役立つなお前ら」

「あ、有難い……修繕費は嵩む事はなさそうです。 ですが教育の方は……本当にお願いしますよ」

「……善処します」

 

 

子供達を救い、荒らしにしない為にもクラフターは善処するつもりでいる。

取り敢えず放火や建造物破壊の日常は止めさせたいとクラフターは思った。




リアルがツライさん。
耐える日々の中では小説を落ち着いて書けませんが、皆も大変な中で頑張っていると思います。
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