寝て起きてクラフト案件。【完結】   作:ハヤモ

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リムル不在のテンペストの話が続きます。
転スラ日記参考。 ダイジェストに。
国主不在中も様々な事が起きました。


93.近状と報告

荒らし警戒態勢が続く魔国連邦だが、相変わらず村人は呑気ながら騒がしい。

 

対して我々は連邦領土圏手前に関所を建てようかどうかとか、その際予想される弊害について議論したりしている。

一方、地下ではIRPの新型砲弾が開発される。 BB研究の方は平行線に近いらしいが、喜ぶべき進展だろう。

 

まぁそれは"創造"の範疇として……他に変わった事を同志に報告するものとする。 情報共有は大切だ。

 

 

「街中での野良スライム出没が後を絶ちませんな」

「幸い被害は出ていませんが、何にせよ例年にない事です」

 

 

夏と呼ばれる季節になり、スライムが森に大量発生。 連邦にやってくる。

沸き潰ししているのだが、樹木が複雑に乱立しているからか。 或いはゾンビイベントの様に光量が関係ないからか。 そもそもスライムだし……兎に角、今回もそうなった。

 

 

「もしやリムル様不在と何か関係が?」

「どうでしょうか……どちらにしても、ただの自然現象と片付けられませんね」

「それにしても、こんな都市の中心までどうやって……あの人達が絡んでいるのか」

 

 

とはいえだ。

リムルと異なり、とても弱い。 下手すると元の世界のスライムより弱い。 当たっても痛くない。

故に大きな対策はしていない。 精々トラップに嵌めたり柵で侵入を阻止する程度だ。 スライムボールも手に入るし。

しかもである。 この世界のスライムは喰えるらしい。 それに美味いという。 シンプルな楽しみ方は、冷やして食べる方法だ。

 

 

「……シオン。 貴女の手に持っているものは?」

「ち、違うんです! これは迷子をちょっと保護しているだけで……」

「森に戻してきなさい」

「内部の犯行でしたか……」

 

 

そんな最弱スライム達だが。

今回は何時にもなく都市内に大量侵入。 荒らし警戒をしているのにスライムを許す様では駄目だとの意見も上がり、渋々原因を探究。

するとシオンがリムルに飢えて連れ込んでいたのを目撃。

シュナと呼ばれる村人と共に部屋に押し入れば、スライムで溢れているときた。 何か。 リムルと間違えているのか。 いやそこまで馬鹿じゃない筈だ。

 

 

「ほら見なさい。 この方達も思案顔になってますよ。 下手すると殲滅しかねません、直ぐに森へ逃してきなさい」

「はいシュナ様……」

「ですが個人的な規模ではないですね。 トレイニーさんに聞いてみましょう」

「そうですね。 森から来てますし、ここは管理者の方に……そう。 正規の管理者に……」

 

 

それかスライムを家畜化しようと?

スライムボールのみならず、食糧としての有用性があるなら分からなくもない。

アレを口にするのは抵抗があるが……握飯も形状はボールだ。 それを口にしている時点で今更か。

 

 

「───迷いスライムについて詳しい事はよくわかっていません。 何故都市部に入るのか、何故強い魔物を恐れないのか。 捕獲し調査する必要があるでしょう。 リムル様と同種である彼らの生態を調べるのは禁忌とする傾向があるかも知れませんが、敬愛の対象を知ろうとするのは罪ではありません。 理解はより深い愛となるのですから。 森を綺麗に白樺にしてくる人間達も、もっと森を愛して真の管理者に配慮して欲しいと……」

「脱線してますドライアド様」

 

 

今度食べてみよう。

少なくともシオンの料理より酷い事はない筈だ。

料理のクラフト研究をしている同志は、是非試してみて欲しい。 そのまま食う以外にも美味い食べ方や調理法があるかも知れない。

 

干してみてはどうだろう?

それか飲料と混ぜてみるのも良いかも。

砂糖漬けも試す価値あり。

それらもまたクラフト案件だ。

 

 

「───皆さん、お揃いで。 実は迷いスライムについて報告があります」

「おやベスター殿」

「どうやら都市に入り込んだ一部のスライムが、細かなゴミを食べているようなのです」

「なんとスライムが!」

「迷いスライムは街の為に働いていたんですか!?」

「そうですね。 もしかすると、彼らは彼らなりに街の役に立ちたいと思っているのかも。 同じスライムであるリムル様と、この街を愛し造った人間の皆さんの為に」

 

 

よし。 やろう。

剣を振り狩り立て始めるクラフター。

スライムボールは粘着ピストンのみならず、今後食糧ともする。 一部は実験、繁殖用で確保して残りは倒す。

水色スライムを見ていると、偶にイラッとくる所為もあった。 地下都市……ミリム誘導……破壊。 荒らし許すまじ。 八つ当たりしてやる。

 

 

「言った側から狩り始めたーッ!?」

「急いでスライム達を森に返して!」

「シズ殿が帰って来たら、狩らないよう伝えて貰いましょう!」

 

 

というスライムイベントであった。

 

他にも報告はある。

詳細は省くが、洞窟で量産されている村人製回復ポーションの路上取引が始まった。

最初に取引を始めたのはドラゴン風村人のガビル達である。

 

 

「さあてお立ち会い! 取り出しましたるは魔国名産の回復薬! そんじょそこいらの回復薬とは訳が違う! 即効性・回復量共に目を見張るほどの優れものである!」

 

 

村人製のポーションは興味深い。

故に路上取引開始前、生産地の洞窟で戴いた。 只ではなく取引だ。 我々のポーションと交換し比較会を行ったのである。

結果は素晴らしいものだった。

大きく大・中・小の回復量で分かれており、中までなら我々と同等とも云えるレベル。

だが大を経験した時……格の違いを見せつけられたものだ。 アレを飲むなり浴びるなりすると完全回復する。 そればかりか村人に関しては欠損部位をも治す。

村人の間ではフルポーションと呼ばれている。

シンプルイズベスト。

 

改めて侮れない……この世界のクラフターは。

 

 

「どれほど素晴らしいか。 それでは早速ご覧に入れましょう。 えーとはい、そちらの方」

「ん?」

「素手でも得物でも我輩に一撃入れてみて貰えますかな」

 

 

残念ながらフルポーションは上位金林檎以上の希少性があるらしい。

生産も出来て1日に数本程度。 これを取引するとなると大変なレートになる様で、こうして取引場に出されるのは中ポーションに当たる回復薬である。

それでも我々と同等かそれ以上だ。

 

 

「おいおい、こっちは獣人だぞ。 よっぽど手加減しねえと殺しちまうよ」

 

 

仕方ないね、とも思う。

一方で悔しいとも思う。

クラフトの道は数多あるとはいえ、どんな分野であれ学びはある。 そして並び立ち、欲張れば超えていく。

フルポーション……我々も作りたいものだ。

今は目の前の取引を観察していよう。

 

 

「心配ご無用! 我輩はあの魔王ミリム様の一撃を耐えたほどの益荒男でありますからに!」

「マジか! すげえな! なら遠慮なく」

 

 

刹那。 ガビルは野次馬に……いや。 いつか見た山猫風村人に殴られた。

見ていて清々しいノックバックが発生するが、かなり痛そうだ。

そこにすかさず取り巻きが回復薬をぶっかけ、ノーカンにしている。 助け合い。 マルチならではな光景だとも思う。 クラフターは妙な親近感から頷いた。

そうだ。 助け合いなさい。 戯れ合いも損害が出ない程度にしなさい。

 

 

「ど、どうでありましょう! この通り忽ち治り元通り!」

「おー!」

 

 

しかし身体を張った実演取引だ。

周囲からも感心したハァンが上がる。 流行するのも遠くなさそうだ。 我々も負けていられない。

 

 

「あれスフィア殿? 何時こちらに!?」

「ついさっきな。 誇り高き三獣士としてウチの使節団の働きぶりを見たくて……というのは建て前で遊びに来た!」

「あ、はい」

 

 

騒ぎ足りないらしい。

ハァンハァン喚き始める山猫風村人。 熱は上がるばかり。 最悪は武力鎮圧も已むなし。

荒らし警戒中だ。 ダイヤフル装備は常に携行している。 斬り捨てるのは造作もない。

 

 

「美味いメシ食って美味い酒飲んで強い奴と喧嘩するためはるばる来た!」

「正直ですなぁ」

「あと最近フォビオの奴が急に真面目ぶりやがってアルビスとつるんでオレをハブにするから飛び出してきた!」

「…………」

「あの去勢野郎、ガキの頃に前のシッポオレに引っ張られて泣いてたくせによぉ! アルビスもオレの夏毛が変とかぬかしやがって万年酒浸りのスベタ───」

 

 

そろそろ黙らせようとしたところ。

何処からともなく山猫風村人の仲間がやって来て、羽交締め、黙らせた。

語るハァン。 語る目線。 相変わらず理解は出来ぬが故に歩み寄る。

 

取り敢えずクラフターは頷いて見せた。

模擬戦は然るべき場所でやる様に。




クラフト描写も少なく本編が進んでませんが……。
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