「実は雪山まで行って何を取ってきたかと言うと~?」
と言いつつドラムロールの真似をしながらインベントリの中に手を突っ込む。
「ジャン!これは[白恋の実]って言うすごく美味しい果実だよ!元気出してくれるといいなって思ったから取ってきたから食べてみて!」
そう言って僕は自慢げに白恋の実を渡す。
「ほう…イチゴに似てるな…美味そうだ。オレは甘いものに目がないんでな。貴重な甘味、食べさせてもらうぜ。」
シュバルツはそう言いながらヘタを取って白恋の実を食べる。
「な、なんだこれ!?たったの小さい一粒の実のはずなのに甘酸っぱさがギュッと入ってやがる!スゲー!」
一粒食べ終わった彼女はもう1つ食べていいか?と言う目でこちらを見てくる。
「食べていいけどこれでおしまいだからね!」
そう言うと少し悲しげな顔をしてもう1粒食べる。悲しいって言ってたけど、食べている時は嬉しそうな顔してる。
と、その時モニターさんに通知が入る。なんだ?と、思って見てみると
《ライバー名:シュバルツからの好感度が上がりました。》
との事。…なぜそれをわざわざ通達してくるのかは分からないけどまぁいいか。
「それより、これからシュバルツはどうすんの?ここじゃ雪や寒さを凌ぐしかないけど、もし良かったら―」
そう話をしていると遠くからドスン、ドスン、と音がなる。シュバルツは様子を見てこようとする僕を止めた。
「今、足音がなっているのは外にいるスノーゴーレムで、名前は[冬将軍]だ。」
そう言いシュバルツは眉間にしわを寄せる。
「スノーゴーレム…。ゴーレムの一種か。…でもゴーレムって生命体が作って何かを守るために命令してるもんじゃないのか?」
この間モニターさんから聞いた話からしたら少し違う気がするんだが。
『ここからは私の出番ですね。』
満を持した様にモニターさんが言う。
『あれはこの地域の《環境》が自身をゴーレムとして具現化させた特殊で名前付きのスノーゴーレム、[冬将軍]です。』
環境が自身を具現化させた…?
『要はこの地域の化身です。異例なのでゴーレムコアはないです。まぁ操り人形みたいなものですよ。』
なるほど。でも…
「そしたらよ、へんなの。アイツは何を守ってるんだよ?」
僕の思ってた事をシュバルツが言ってくれた。シュバルツも、そこまではわからなかったみたいだ。
『生態系を脅かす存在や外部の者からこの地域を守っているそうです。』
へぇ。
「なるほど…だからこないだオレのこと攻撃して来たのか…」
へぇ。…じゃないわ!
「シュバルツ戦ったことあるの!?」
「あるけど名前しか分からないまま強すぎて撤退した。あと1人いたら勝てただろうな。」
そんなに強いのか…
「あとアイツ人工物を極端に嫌うんだよ。だから拠点は洞穴にしないといけねぇんだよなー」
待て待て、今なんつった?人工物を…?
そんな事考えてたら突如木箱が揺れた。何者かに上に持ち上げられてる様だ。
「コイツは…!よし、シュバルツ!配信&戦闘準備だ!」
「乗った!」
そして僕達が入ってる木箱は地面に打ち付けられた。
ニュジオがよく見てなかったみたいなので白恋の実について少し。
白恋の実:甘味を多く含む、美味で少し珍しい果実。
男性が女性に向けてプレゼントとして贈る事が多く、男性から贈られた白恋の実を女性が食べると不思議と相手への好感度が上がってしまう。
この効果を見つけた学者はこの実に[悪魔の果実]と言う異名をつけた。