未来の花   作:ZANGE

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第11話
Side: 沙代


藤の香

藤の花の香りがする

 

甘いような、爽やかな、優しくて落ち着く匂い

 

桜が咲いて散って、気温が暑くなってくる頃

 

紫色の花がたくさん、滝のように垂れ下がって

 

夜空に煌めく天の川のように、綺麗で幻想的な藤の棚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待って待って待って。

 みんな歩くの早いよ!」

 

「だって、遅いじゃん」

 

「そうだよ、もっと早く歩いてよ」

 

「・・・・・・」

 

「もう、待ってあげてもいいじゃない」

 

「さーちゃん、早く行こうよー」

 

「楽しみだねー」

 

「そうだねー」

 

「・・・先に行ってるぞ」

 

今日は、お花見の日。

 

と言っても、桜ではなく、紫色の藤の花。

 

見るだけじゃなくて、花を摘んで、持って帰る。

 

匂いが強いので、嫌いな子は嫌いだけど、わたしは好き。

 

ちょっと離れて、ふんわり香るくらいがちょうど良い。

という気持ちも分かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はむ、はむ、はむ」

 

「おい!おれのにく!」

 

「うわーん!勝手に取ったー!」

 

「・・・・・・うまい」

 

「あなたたち、人のご飯は取らないの!

 って、聞くわけないか」

 

「おにぎり、美味しいーーー!」

 

「お弁当美味しいねー」

 

「ねー」

 

「たしかに普段のご飯よりは、美味いけど・・・」

 

遠出をして、疲れたところで、お昼はお弁当でひと休み。

 

藤の花を眺めながら、みんなでがやがや食べる。

 

年も全然違うから、ご飯はいつも賑やか。

 

好き嫌いもたくさんある。

ケンカもする。

 

ケンカでご飯をダメにした時は、ふだんは怒らないお姉ちゃんが怖かった。

食べ物のうらみはこわい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいにおいが・・・

 う〜〜〜ん!届かない・・・」

 

「おれの方が早い!」

 

「ぼくのほうが大きい!」

 

「・・・・・・・・・臭い」

 

「みんな、取った花は袋に集めるから。

 バラバラに捨てないように」

 

「さーちゃん、取れたー?」

 

「きれいな花ー」

 

「いいにおいの花ー」

 

「こんなもので、本当に鬼が・・・?」

 

お弁当の後は、お花摘み。

 

藤の花を、たくさん集めて持って帰る。

 

持って帰った花は、たくさんたくさん、つぶして小さくする。

 

別に取れた木の皮を粉にしたものと、合わせて混ぜる。

 

お水をちょっと入れたら、お花の香りがずっと続くお香ができる。

 

お香は毎日使うから、お花もたくさん集めておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウチまで競争!」

 

「あー、ズルい!待ってよ!」

 

「・・・・・・ふぅ」

 

「今日は疲れたんだね。本当によく寝てる・・・」

 

「さーちゃんだけ、いいなぁー」

 

「つかれたー」

 

「わたしも歩きたくないー」

 

「ったく、お前ら、わがまま言わずに歩け。

 俺なんか荷物持ってんだからな」

 

「私を先導してくれて、疲れたのだろう。

 よく寝ている・・・

 それと、荷物ありがとう。力持ちだな」

 

「・・・チッ。いいんだよ」

 

ゆらゆら揺られて、夢の中。

 

楽しい楽しい遠足。

 

みんなで歩いた山の道も。

 

みんなで食べたお弁当も。

 

ぜんぶ、ぜんぶ、楽しかった。

 

「また来たいな・・・悲鳴嶼さん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おにが くるよ おにが くるよ

くらくなったら おにが でるから

はやく おうちに かえろうよ

ふじの はなの おこうを たいて

 

わがままいうと おにが くるよ

いじわるすると こわい おにが

なかよくしないと みんなをたべに

やみの なかから やってくるよ

 

おにが くるよ こわい おにが

おそろしいかおに つりあがった め

するどい きばを むきだした

こわい こわい おにが くるよ

 

くらい よるは おこうを たいて

おにの きらいな ふじの はな

あまくて やさしい ふじの におい

ふじの はなの おこうを たいて




この頃の獪岳はご飯が無い描写があったりします。
そこから、皆に追い出されて死にかけるまでは、協調性があった説など、どうでしょう。
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