未来の花   作:ZANGE

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第46話
Side: 猗窩座


鼓打ち

見上げれば朧月夜。

どことも知れぬ山奥の、灯り一つない山麓に、相対する鬼が二体。

 

「響凱、今ここで血鬼術を使ってみろ」

 

「はい・・・」

 

ポン!

何も無い場所から、三本の鉤爪で引っ掻いたような斬撃が飛ぶ。

 

裂けた左腕が、一瞬で再生する。

 

「もっと力を込めろ!

 本気でやれ!」

 

ポポポポポン!!

 

三本の斬撃が五つ、計十五もの斬撃が上下左右から迫る。

 

しかし、避けない。

避ける必要がない。

 

手足の肉が裂けるが、血が流れ落ちるよりも早く、一瞬で再生される。

 

「よし、次だ。

 鼓打ちと組み合わせて攻撃して来い」

 

「は、しかし・・・」

 

「無用な心配だ。

 さっさと始めろ」

 

「承知しました。

 では・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう充分だ響凱、終わりにしよう」

 

「グ、ハァ、ハァ、ハァ・・・」

 

およそ一刻に渡り、響凱の能力を確認した。

 

発動条件は小鼓を叩くこと。

小鼓を叩くことで、鉤爪で引き裂いたような斬撃が飛ぶ。

 

連続で打てばその分、効果は連続で発動する。

叩く強さの強弱によって、鉤爪の数は三本から五本と変化する。

 

能力の効果範囲は、およそ響凱が視認できる範囲。

効果範囲を超えると、全ての効果が無効化される。

 

この能力の一番の特徴は、空間に直接作用するということだ。

例えば、三間先の枝を切り落とそうとすれば、その間に他の木があっても影響を受けることなく、目標の枝だけが大地に落ちる。

 

ただし、木の幹を斬り倒すほどの威力はない。

 

「面白い能力だ。

 それより問題は、貴様の攻撃が生温いことだ」

 

「小生の攻撃が・・・?」

 

「貴様は今まで何人の鬼狩りを喰った?

 柱と交戦したことは?」

 

「普段は屋敷に籠っているので、鬼狩りとの交戦経験は少なく・・・

 柱とは出会ったこともありません」

 

「それでよく生き残れたものだ。

 柱相手に、この程度の斬撃は何の意味もない。

 脅威でない攻撃など、あってはならない弱点だ」

 

「弱点・・・」

 

「そんな貴様に素晴らしい提案をしよう」

 

にっこりと笑顔で告げる。

 

「お前も素手で戦えるようになれ」

 

「はい・・・は?」

 

「見れば分かる。お前の弱さ。

 鬼の力を全く活かせていない。

 下弦の称号も、能力の可能性を見越して選ばれただけだ」

 

「そんな、小生が・・・」

 

「響凱、なぜお前が強くなれないのか教えてやろう。

 強者との実戦経験が足りないからだ。

 力がない。経験も向上心も足りない。

 何より自分より強い者と戦う覚悟がない」

 

「覚悟ーーー」

 

「だが喜べ響凱。貴様は鬼だ。

 百年でも二百年でも鍛錬し続けられる。

 死ぬこともなく、いつまでも強くなれる」

 

「小生でも強くなれる・・・」

 

さて、まずは体ごと心をへし折ってやろう。

人として、所詮一度は死んだ身。

二度も三度も変わらない。

 

「では始めようか。

 構えろ」

 

そう言うと響凱は前傾姿勢を取り、両手を小鼓に添えた。

緊張からか、額から一筋の汗が流れ落ちる。

 

脅威を感じない攻撃は、何の意味も成さないことを教えてやろう。

 

「まず百回死ね」

 

「はーーー?」

 

その先の言葉を発することもなく、響凱の両腕と頭が宙を舞った。




この頃の響凱は、腹にしか鼓がありません。
無惨様の血があるとは言え、これでは斬撃を飛ばすだけの雑魚です。
煉獄零話の笛鬼の方がよっぽど強いような。。。
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