Side: 響凱
小生、十二鬼月の末席を汚す者 壱
小生の名は
十二鬼月の末席を汚させて頂いている。
先日、上弦の壱・
あの場には十二鬼月が全員揃っていた。
小生は序列でも最下位で、真っ先に倒れてしまった。
情けない限りだ。
十二鬼月の中でも、上弦の鬼の強さは別次元。
下弦の鬼は数年で鬼狩りの柱にやられることが多い。
しかし、上弦の鬼はここ百年、顔ぶれが変わっていないと聞く。
とりわけ黒死牟様は、十二鬼月最凶。
今の実力では仕方ないゆえ、精進あるのみ。
すぐさま
むしろ、文字通り天と地ほど実力差のある方から、声をかけて貰えただけでも僥倖と言えるかもしれない。
同じ上弦である他の方々から向けられる視線には、
しかし、同じ下弦である鬼たちから向けられた、小生を塵屑のように見下す目、目、目。
語らずとも分かる。
『馬鹿なおとこ』
『死ねばいいのに』
『雑魚が調子に乗るな』
『どうでもいい』
等しく小生を見下しながら、負と無の感情が入り混ざったもの。
この視線を小生はよく知っている。
よく知っているが故に、心の奥から
『小生はーーー
無価値と断じられることが!
他の何よりも許せない!!
必ず貴様らを見返してやる!!!』
この瞬間は怒りのあまり、生来の引っ込み思案な性格すらもが形を潜めていた。
目の前に目標とすべき強者がいる。
気付けば、猗窩座様に弟子入りすべく啖呵を切り、頭を下げていた。
「猗窩座様!
どうか小生にご教示頂けませんでしょうか!?」
猗窩座様は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
無理もない。
それは猗窩座様以外の列席者も同様であった。
むしろ小生に対し、より深く
これは賭けだった。
鬼社会は無惨様を筆頭とした、完全なる実力主義社会。
そして、基本的に鬼は群れない。
交渉や情報の擦り合わせが行われることなどない。
完全なる
もっとも十二鬼月もまた、他の鬼に関心など持たない。
無惨様以外の者が下位者を使役することも稀と言える。
故に、下位者が上位者の意向を変えるには、入れ替わりの血戦を挑み、勝つことが求められる。
そう、勝たなければ何も言う権利すらない。
そこへ、先の言である。
小生は十二鬼月になりたての下弦の陸。
対する猗窩座様は上弦の参。
上から数えれば、三と十二。
本来、殺されても文句は言えないほどの愚行であった。
しかし、このまま周囲の者に侮られ続けて生きるくらいならばーーー
無謀、浅慮、無鉄砲、実力を弁えない
しかしそれは、小生の心に残った、なけなしの勇気。
「立て、響凱」
やがて、猗窩座様の口元が弧を描いた瞬間、小生の運命は分岐した。
なんと響凱が主役。
(需要ないだろ・・・)
幕間と言うより、外伝的な意味合いが強いかも。
少しだけ響凱のターンが続きます。