Side: 響凱
これは後から聞いた話ーーー
鳴女と呼ばれる鬼は、血鬼術で異空間・
鬼の拠点。
これだけでも十分有用な能力なのだが、彼女の本領は寧ろここから。
その無限城の内部構造を自在に作り替えること。
無限城を基点とした、現世と無限城との
この転移が強力無比な能力で、十二鬼月以外では唯一、無惨様の側近として気に入られている。
つまり鬼も人も、あの
人間だった頃、何かの書物で『四次元空間では二点間の距離が零になる』と読んだことがある。
正しくそのような能力なのだろう。
他のどんな鬼よりも無惨様のお役に立っている、唯一無二の能力。
同じ楽器を扱う鬼として、
べんっ!!
小生は猗窩座様と共に、見知らぬ山奥に立っていた。
「響凱、血鬼術を使ってみろ」
そこから始まった、血反吐を吐くような地獄の特訓。
鬼でなければ、いや、鬼であるからこそ実現可能な、絶え間ない死の円舞曲。
「死ね」
あまりにも楽しそうに
死んでは死に、また死んでは死ぬ。
何度も、何度も。
正直、地獄の責め苦でさえ、あそこまで酷くはないだろう。
猗窩座様を相手に、小生にも僅かながら有利な点がある。
当初はそう思っていた。
その唯一の利点。
攻撃の間合いを活かし、凌ぎ続けるしかない。
猗窩座様は
対して小生の斬撃は任意の空間に届く。
速度も威力も、全てが及ばない小生唯一の希望はしかし、残酷なまでに木っ端微塵に砕け散った。
『破壊殺・空式!!』
遠く離れた距離から、凄まじい拳圧が飛んでくる。
威力で劣る小生の斬撃で相殺できるはずもなく。
迫り来る拳圧を、小生はただ呆然と見上げていた。
文字通りの百殺し。
抗いようのない濃密な死の経験が、小生の身体に鬼というものの存在定義を否応なく刻み込んだ。
そして小生にとっては、そのような訓練が、ぐうの音も出ないほど効果的だった。
僅か数時間の特訓で、小生の鼓の数は一つから六つに増えていた。
その内の四つは、相手の重力を垂直方向に傾けるもの。
残りの一つは、あれほど羨んだ転移能力だった。
この瞬間、小生の師は猗窩座様と決まった。
祖は無惨様であることは言うまでもないが、師は猗窩座様である。
まさか大量の人間も食わず、無惨様の血を分けて頂く以外の方法で、こんれほど短時間で鬼血術が進化するとは。
信じ難いが、実際に目の当たりにすれば、納得せざるを得なかった。
ポンッ!
ポポン!
「面白い血鬼術だが、あまい!
転移も攻撃に使え!」
嗚呼、今日も猗窩座様の地獄の特訓が始まる・・・
もうちょっと続きます。