未来の花   作:ZANGE

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第69話
Side: 猗窩座


参と弐

「アハハハハッ!

 アンタをぶっ殺して、アタシたちが最強になるのよ!」

「・・・お兄ちゃんの言葉、ちゃんと聞いてるよなぁ?」

 

「鬼!悪魔!

 二人がかりなんて卑怯じゃないか!?」

 

 

 

流石の慶吾も二対一はまずいと感じたのか、迷わず周囲の森の中へと身を躍らせた。

 

慶吾のことだ。

準備した罠がこれだけという事はないだろう。

一対一になるよう、今頃は頭を巡らせているに違いない。

 

妓夫太郎たちも、慶吾を追いかけて森へと入っていった。

 

 

「猗窩座殿、あの子が心配かい?」

 

その声を聞いた瞬間、闘気を限りなく零に近づける。

 

コイツまでここに現れたという事は、何かある。

無惨様の依頼か、上弦の壱に感化されたか。

 

前者ならば、無惨様の機嫌次第。

後者ならば、面倒なことになる可能性が高い。

 

心底嫌ではあるものの、コイツから情報を得なければならないようだ。

 

「ああ、心配している」

 

発した声は、無感情の棒読みだった。

それでも、童磨はニコーっと笑顔になる。

 

相変わらず、感情にゆらぎが感じられない。

気持ち悪い。

そして、うざったい。

 

「やァやァ、嬉しいなぁ。

 でも心配いらない。妓夫太郎の血鬼術に人間は耐えられない。

 ほんの少しでも掠めれば、それで勝負は終わりさ」

 

「・・・・・・」

 

「柱でもない、たかだか人間一人。

 血鬼術を使うまでもないと思うけど、条件が条件だからね。

 それでも、猗窩座殿は心配かな?」

 

「妓夫太郎は強い。

 上弦の月まで昇り詰めた実力は認める。

 ただの人間の慶吾より強いのは間違いない」

 

「んー、それなら、何が心配なのかな?」

 

「仮に俺と妓夫太郎が戦えば、百回やって百回俺が勝つ。

 だが俺と慶吾が百度戦えば、数回は慶吾が勝つ。

 あの人間には、読めないところがある」

 

「うーん、そうかあ・・・」

 

ヒュンーーー

と、金色の扇が鼻先を掠めた。

 

ピキッ!!

怒りで血管が浮き出るのが自分でも分かる。

 

「何の真似だ・・・

 俺への接触無用は、無惨様もお認めになったことを忘れたか?」

 

「猗窩座殿は人間を育てて、どうするつもりかな?」

 

童磨は閉じていた扇を鋭く打ち下ろし、開いた。

いつもの酷薄な笑顔ではない。

普段は飄々として本心を見せない上弦の弐としての姿。

 

『前者か・・・』

 

『上弦』『弐』と刻まれた虹色の瞳。

その瞳の奥から間違いなく見られている。

 

返答次第では、慶吾もろとも殺される。

納得のいく理由を述べなければならない。

 

「青い彼岸花は、日中だけに咲く可能性がある。

 調査には人間の協力者が必要だ。

 だが弱い人間は少し山を歩くだけで獣や野良鬼の餌食になってしまう。だから、使える人間を育てている」

 

「うーん。なるほどね。

 本当にそうだとしたら、これまで全く見つからなかった理由としても頷けるよね・・・

 しかしだよ猗窩座殿、そう考える根拠はあるのかな?」

 

童磨、ではない。

その向こう側で見ている無惨様にご納得頂かなくてはならない。

今、まさにここが勝負処。

 

「彼岸花は種を作らない。根で増えていく。

 水仙と同じだ。赤い彼岸花の根からは、赤い彼岸花しか生まれない。

 赤い彼岸花が咲いている場所を探しても、青い彼岸花は決して見つからない。

 そして赤い彼岸花が咲く場所は、環境を選ばない」

 

「根から増える植物の特徴だね。

 それで?」

 

「青い彼岸花はおそらく特殊な個体だ。

 見た目も赤い彼岸花とは異なるかもしれない。

 だが、そうだとしても青い花は珍しい。

 同じ条件で極稀に生まれてくるような特殊な個体なら、無惨様がとうに見つけていると思う。

 そのために無惨様は鬼を増やされているのだから。

 何百年も見つけられていないことを考えると、特定の条件でしか咲かない特殊個体の可能性が高い」

 

「あー、なるほどね。

 それで鬼が立ち入れない日中を人間に探させるんだね」

 

「そうだ。

 ここ数百年、人間の生活は随分と変わった。

 人間の中には俺たちにない発想を持つ者もいる。

 青い彼岸花を見つけられる可能性は上がる筈だ」

 

童磨はスッと広げた両手の扇を重ね合わせた。

 

「うんうん。

 猗窩座殿の言うことにも一理あるね。

 でも、未確定の情報である事実は変わらない。

 これは俺のわがままなんだけど、無惨様もお認めになった事だから。

 ごめんねえ」

 

シャンシャンシャリン!

 

閉じた扇を開く。

隙間から凍てつくような白い煙が生まれ、その中から氷の人形が姿を現す。

『結晶の御子』

 

「猗窩座殿は、短期間で凄く強くなったよね。

 でも不思議だよね。人間と関わって強くなるなんて。

 だから、ずっと戦ってみたかったんだ。

 今なら俺を倒せるかもしれないよ」

 

童磨は話しながら『結晶の御子』を三体作り上げる。

 

「・・・確認する。

 無惨様が、戦うことをお認めになったんだな?」

 

「そうだーーー」

 

パリィィィンーーー

 

童磨と同等の能力を持つとは言え、所詮は氷。

結晶の御子が全て、一瞬で粉々になる。

 

「何、今の!?

 凄い速かったね!

 目で追えなかったよ」

 

「わかった。手加減はしない。

 お前を殺す」




多忙の極みで、投稿が遅くなりました。
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