未来の花   作:ZANGE

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第91話
Side: 村田


村田の回想

それで、何から聞きたい?

 

ああ、出会った最初の印象かぁ・・・

 

そりゃあ、物凄く生意気な子供だと思ったね。

『なんだコイツは!?』って。

 

だってさ、会っていきなり言われたのが、

「これから手鬼(ておに)を倒す。

 村田(むらた)、お前は今すぐ山を下りて、(ふじ)(はな)を枝ごと持てるだけ持ってこい」だよ!

 

酷いと思わない?

同じ最終選別(さいしゅうせんべつ)を受けている仲間に、いきなり「山を下りろ」なんて、とんでもないヤツに掴まってしまったと思ったよ。

 

「はぁ!?俺を失格にするつもりか!?

 それに手鬼って何だよ!?

 ・・・まさか、お前でもヤバい鬼がいるの!?」

 

思わず反論してしまった俺は悪くない。

 

残念ながら、俺の反論は無意味だったけどね。

 

え?どうしてかって?

 

・・・ほら、見てよ。

これが刀鍛冶(かたなかじ)の人に打ってもらった俺の日輪刀(にちりんとう)なんだ。

 

藤の花は境界線ではあるんだけど、花を取ってくるくらいなら、失格にはならないんだってさ。

もちろん、そこで夜をやり過ごしたりするのはダメだって言われたけどね。

 

ああでも、断れなかった一番の理由は、相手が悪かったってことだろうなぁ・・・

 

うん、そうなんだ。

最終選別初日の夜にさ、死角から鬼に襲われて・・・

もうダメかと思った時、アイツに助けて貰ったんだ。

 

・・・一瞬だったよ。

気付いたら、鬼の(くび)が落ちてて・・・

俺には何をしたのか、何も分からなかった。

 

あの瞬間に悟ったよ。

 

『ああ、俺はコイツには敵わないんだな』

って。

 

・・・悔しさ?

そんな感情を感じられるなら、まだ追いつける余地があるってことでしょ?

 

もっと遠くて、眩しかったーーー

 

寧ろ、さっぱりした感情だったかな。

ああいう男達が死なずに強くなり続けたら、いずれ(はしら)と呼ばれるようになるんだろうなぁ。

 

もちろん、俺の刃が無惨(むざん)に届くのなら、それに越したことはないけれど。

もし仮に、俺が志半ばで倒れたとしても、誰かの刃が無惨の頸に届けばいいと、そう思うようになったよ。

 

剣士としてだけなら、俺もそれなりに自信はあったんだけどなぁ・・・

 

ほら見てよ。

・・・ちがうちがう、左手の剣だこなんて、みんな同じだから。

手じゃなくて、刀だよ。

 

ほら?

この日輪刀を近くで見ても、色なんて分からないでしょう?

 

せめてもうちょっと青みがかってくれれば良かったんだけど・・・

 

・・・実力のある剣士が刀を握ると、色が変わるんだ。

だから別名、色変(いろが)わりの(かたな)って呼ばれてる。

 

俺が使う(みず)呼吸(こきゅう)は、青色。

でも、どう見ても普通の刀の色だよね。

 

残念ながら、適性が低いのかもしれないし、単純に修行不足なのかもしれない。

両方の可能性も・・・いや、両方だと思う。

 

鬼殺隊に入って、確かに剣の腕も大事だけど・・・

俺たち剣士が鬼と渡り合うには、全集中(ぜんしゅうちゅう)の呼吸が鍵なんだということがよく分かったよ。

 

人の何倍もの力を持つ鬼と戦うために、俺たちは全集中の呼吸を使う。

呼吸を使って、肉体の底力を引き出さなきゃいけない。

 

冨岡(とみおか)の水の呼吸の型は、綺麗だったなぁ・・・

もしも、元柱(もとはしら)の師匠の下で修行を受けていたら、今とは違っていたのかもしれないって、何度思ったか分からないよ。

 

でも、決してそれだけじゃないってことに気付けた。

 

うん、俺は弱くて未熟なんだ。

 

でも、たとえ弱くても、出来ることはある。

あの時、藤の花を使った作戦をやってみて、そう思えたんだ。

 

藤の花なんて、単なる鬼避けとしか考えてなかったけど、まさか、あんな使い方があったなんて・・・

 

実はあの後、一人の柱の方に偶然声をかけられたんだ。

 

・・・え?その方は誰かって?

・・・実は俺もよく分かってないんだ。

(まつ)りの(かみ)」って言ってたけど・・・

どう考えても、呼吸とは結び付かないよね。

 

手を伸ばしたって、雲は掴めない。

上を見上げれば、本当にキリなんてないけれど・・・

弱者には、弱者なりの戦い方がある。

 

確かにムカつくところもあるけれど、獪岳(かいがく)には感謝してるよ。

 

 

 

村田さん、なんて、そんな呼び方はよしてくれよ。

同期の仲間じゃないか。

 

うん。参考になったのなら良かったよ。

 

たとえ道は違っても、同期だからね。

 

それに錆兎(さびと)、君なら・・・

 

無惨を倒したい気持ちは、どこにいても、みんな一緒さ。




錆兎生存。
ただし、片腕欠損のため剣士にはなりません。

村田は晴れて冨岡さんの同期になります。

祭りの神は、お館様の護衛として来てました。
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