Side: 悲鳴嶼
「
これからは
「はい!お
「
これで
「委細承知致しました」
お館様が退室された後、ポツリと声が溢れた。
「これで
その囁きを、忍の末裔が耳ざとく拾っていた。
「
ここには四人いると思うんだが・・・」
左目の周りに花火のような化粧を施した大男。
先ほど音柱を拝命した
「私は違うんですよ」
朗らかな笑顔で否定する和服の日傘美人を、宇髄は
そんなバカな話があるかと、その態度は明らかに信じていなかった。
「・・・本当か?」
「宇髄、言葉を慎め。
こちらのご夫妻はーーー」
続く言葉を、槇寿郎さんの意を感じて止める。
「宇髄、と言ったな。
俺は
「俺は音柱の・・・
なんて、二度目の紹介は無用でしょう。
なあ煉獄さん」
無礼な態度に、ピリッとした空気が流れる。
さりとて気にした風もなく、槇寿郎は言葉を続けた。
「これは妻の
訳あって、私の補佐をして貰っている。
柱合会議に出席したのは、お館様の許可を得てのことだ」
頷きはしたものの、それでも納得がいかない様子で、宇髄は質問を重ねる。
「ふーん。そォかい。
アンタの嫁さんがこの場にいる理由は分かった。
だが、派手に気に入らないな。
炎柱の補佐官が、柱並に強いのはどういうことだ?」
短い付き合いだが、宇髄は冷静な男。
何か意図があって言葉を選んでいる事は明らかだった。
しかしさすがにこれ以上は看過できぬと膝を立てたところ、不意に槇寿郎さんの悲鳴が聞こえた。
「あ痛ッ!」
「あなた、いきなり新人の方を威圧するのは止めてください」
「コイツはお前を疑っているのだぞ」
「それはあなたの言葉不足が原因でしょう?」
「むう・・・
だからって、つねることはないだろう?」
「口で言うより、効果的でしょう?」
「ぐ、むぅ・・・」
強者然とした立ち振舞いとは裏腹の、オロオロとした槇寿郎さんの様子に、宇髄はポカンと口を開けている。
一瞬即発とした雰囲気は、いつの間にか霧散していた。
『仲良きことは美しき哉・・・』
涙を流す私と対照的に、横にいた宇髄は破顔爆笑している。
苦しそうにお腹を抱えている宇髄へ、瑠火さんが直接声をかけた。
「この人は昔から言葉足らずですので、私の口からお伝えさせて頂きます。
ただし、この事はお館様も認めた機密事項。
柱である宇髄さん以外、他言無用に願います」
「お館様が?・・・なるほど、承知した。
俺も忍の末裔。お館様の命は必ず守ろう」
「信じます」
瑠火さんの静かな言葉には、確かな重みがあった。
まるでお館様の奥方のような、凛とした雰囲気が漂う。
不思議と、宇髄からも揶揄うような言葉は出なかった。
「数年前、私は死の病を患っておりました。
私自身、いずれ訪れる死は天命だと諦めておりました。
長年の研究によって、人の生き血を必要としなくなった、誰よりも優しい医者の方に診て頂くまでは・・・」
「鬼」という単語が出た瞬間、宇髄の手は二振りの日輪刀へと伸びる。
と同時に発せられる殺気を、柳に風と流しながら、奥方の話は最後まで続いたのだった。
瑠火さんが剣士としての力に目覚めたら、槇寿郎は、全てにおいて頭が上がらないでしょうね。
という妄想でした(^^)