弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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オベロンだと思っていたらコヤンスカヤで、しかも2人来たので我慢できなくなって書き始めることに。
ぼくなつランスロットの方も同時並行でキチンと書いていきますのでなにとぞご容赦を…
それとこのシリーズはfgo6周年記念時、コヤンスカヤが実装された時点で書き始めたものとなっておりますのでオリジナル設定、原作のほうと違う場所が多い可能性があります。


前章 ワシントンDC 聖杯戦争
第1話 知人の頼み


──

 

 

──これはもう聖杯戦争ではない──

 

 

「かなり弱らせたと思ったんだが…アレで逃げるとはな」

左手の義手でアンチマテリアルライフルを支え、右手の義手で弾倉を込める

 

 

俺は…世界で最も規模の大きい犯罪組織のリーダーというだけであって英雄でもなんでも無い、これからやろうとしていることに正義はあっても正しさは無い

 

 

──聖杯は既に成った、既に聖杯戦争は終了した、つまりこれはただの殺し合い、ただ邪魔なものを排除しようとする戦い──

 

 

「…ク、クッ」

男の口から思わず笑いが溢れる

 

 

ああ、くだらない…唯一絶対の正しさなんてものは最初からこの世に存在しない、英雄だろうと悪魔だろうと持っちゃいない、そのように出来ている(・・・・・)のだから…だから俺は聖杯を取る。俺自身のために。

 

 

「…なぁコヤンスカヤ、お前はどう思ってるんだ?」

 

 

 

 

 

「ええ、ええ、私は好きですよ?あなたのその考え方♡」

光の失われた黒い街に合わせた真っ黒なフルスーツの戦闘服を着込んだアサシンのサーヴァント…コヤンスカヤはセミオートスナイパーライフルのスコープを調整しながら声を上げずに笑う

 

 

聖杯に対するその願い。誰でも分かるような浅ましくて単純な、昔からまっっったく成長していない人間を体現したその願い…ええ、とても♡

 

 

本当に愉快で、気を抜けば街中にその声が聞こえるくらい大爆笑してしまいそうな彼の願い、あの時彼との契約を続行した理由の1つでもある

 

 

それを知っているからこそまだ戦う、聖杯戦争が終了した今この時でも。

 

 

「「…」」

2人が敵の姿を捕捉したのはほぼ同時だったが、2人はそれを知らず、また知る必要もない。

 

 

「ん…」

居たな…やれやれ、もう少し注意してればアッサリ終わっていたハズ──

いや違うな、人間の俺が対サーヴァントでここまで戦える方がおかしいのか、加えて相手は『奴』、近い高さに引きずり落としただけでも良しと考えよう。

 

 

男のスコープが敵を捉える。そしてその頭に狙いを定め、ゆっくりと微調整していく、確実に仕留めるために。

 

 

 

「ズイブンと移動したものですねぇ…」

まぁ今更驚くことも無いでしょう…ハァ、なんかやたらとグダりましたね…こんなチンケな戦いだからといってケチったのは悪手だったようです。ここは素直に『彼』の評価を改めますか…すぐに意味は無くなりますが。

 

 

コヤンスカヤのスコープが敵を捉えると同時に一瞬だけ彼女の手が震える。いよいよ終わるという喜びと悲しみ、それら全てを一旦心の隅に追いやり、引き金に指を掛ける

 

 

 

──二重に重なった銃声が街に響いた

 

 

アメリカ合衆国 ワシントンD.C. とある寂れた鋳物工場にて…

 

 

「久しぶりだな、まさか直接アジトに来るとは思わなかったが」

「実を言うと少しばかり焦っていてね、2人だけで話をしたいんだが…こんな大勢に銃を突きつけられちゃ話もできない、なんとかしてくれないか?」

 

 

「ごもっともだ、悪いな」

義手になっている右手を挙げ、護衛(馬鹿)どもに銃を下ろし、ついでに指示があるまで部屋に入って来るなと命令を出す

 

 

9人の内8人が出ていったが1人は俺の決定に異議があるらしく俺を見据えて言った

 

 

「しかしボス!正体不明の男と護衛も付けずに──」

「護衛が成り立つのは護衛が敵と護衛対象よりも強い時だけだ、お前は俺より強いのか?」

「す、すみません…」

 

 

とぼとぼと部屋を出て行く9人目

クソ、馬鹿どもが…俺に9人も回してどうする?そんな暇があるなら筋トレでもしていろ、その方がよほど有意義だ

 

 

とはいえ流石に全ての人員を一度には掌握できない、こういうことはどうしても起きる、メンツというのもあるしな…

 

 

「見れば見るほど『英雄』だな、ザイル」

皮肉を言う魔術師殺し…もとい衛宮切嗣。

 

 

魔術師殺しの衛宮切嗣、知り合ったのは…ここの市警と真っ向勝負をしていた時だったか。

当時いきなり入ってきたコイツのお陰で市警が一瞬で爆散、増援の軍隊と戦わずに済んだのが記憶に新しい。

 

 

魔術と縁もゆかりも無い俺が魔術を知るきっかけとなった人物であり、彼のおかげでそれまで対策しようのなかった対魔術師戦も(実際に戦ったのはかなり少ないが)かなり簡単に片付けられるようになった

それ以降彼との協力関係は続いている。

 

 

魔術師相手に現代兵器でどう立ち回るか、名門と言われる魔術師の家系についての情報などと引き換えに物資を手配したり仕事を手伝ったりとすることがあった

 

 

「英雄?はんっ、笑わせるな」

呆れつつ言葉を返す

…ここを正義の軍隊か何かだと勘違いしている民衆も、俺を指導者だ英雄だと騒ぎ立てる団員も、その言葉を鵜呑みにして同じように騒ぎだす奴らも、英雄なんて皮肉を言う魔術師殺し(コイツ)にも、ウンザリだ

 

 

こういう気分の時は寝るに限るが…引退したあの魔術師殺しが前触れもなくアジトに直接やってきたんだ、話を聞かないわけにはいかない

 

 

「これでいいだろう、なんなら盗聴器とか探してみるか?」

「いや、時間が惜しい…始めよう。」

随分と急いでいるな…何故だ?

 

 

「…で、話を始める前にだが…今一度確認だ、お前は誰に話をしに来たか分かっているか?」

今、衛宮切嗣がやろうとしているのは犯罪組織へ助力を求めることに他ならない、その意味を彼に確認する

 

 

「ああ、世界一の犯罪組織集団ウルフルズ…その『リーダー』に、だ」

『ザイル』ではなく『リーダー』に、と来たか…なるほどな

「遮って悪かった、話というのはなんだ?」

 

 

「話が早くて助かるよ…ここで行われる聖杯戦争についてだ、椅子に座ってもいいかな?」

「聖杯戦争?ああ、お前が行ったという冬木市のヤツだな?それと椅子は好きにしろ」

 

 

ふー、と老人のように椅子へ腰掛ける切嗣を見て、少しだけ気になったが仕事には関係は無い、ひとまず気には止めておく程度にして先を促すことにした。

 

 

「そうだ、単刀直入に言ってその聖杯戦争に参加して聖杯を勝ち取って欲しい」

「おいおい…」

飛躍しすぎる話に思わず頭を抱える

 

 

「自分でやれば良いだろう、聖杯戦争において対魔術師ならお前の右に出てくるのはいない、そもそもとしてここで聖杯戦争が行われる?なんの冗談だ、次の聖杯戦争は再び冬木市で行われるとお前自身が言っていただろう…根拠は?」

「無い、だが分かる」

「──」

 

 

全く予想していなかった答えとそれを即答した切嗣を文字通り叩き出そうかとも思ったがそんなことに意味は無いと判断して止める

 

 

「──話にならない、帰れ」

「頼む…こっちで頼れる人間は…いや、もう他に頼れる人間は居ないんだ」

「…切嗣、お前冬木の聖杯戦争が終わってから何があった?」

「…」

 

 

俺も直接目の当たりにしたわけでは無いが聖杯戦争の重要性は知っている。

願いを叶える願望機、サーヴァントを従えた7人の魔術師達が聖杯を巡って殺し合い、6騎のサーヴァントを退去させて最後に立っていた奴が自分のサーヴァント共々聖杯で願いを叶えられるという…つまり譲渡などはできないわけだ。

 

 

「…とにかく、お前にどんな願いがあるのかは知らんが俺が勝ち残ったところで意味は無いだろう、一体お前の狙いはなんだ?」

誰にも聖杯を使わせないこと(・・・・・・・・・・・・・)、その一点だけだ」

「はぁ?」

 

 

ますます意味が分からない、それなら尚更自分でやるべきだ。

例え俺が聖杯を使わない、と首を縦に振ったところで聖杯を勝ち取った後俺がその約束を守るという保証はどこにある?それを考えていないわけじゃ──

 

 

「…お前」

頼む、と頭を下げる切嗣の顔を見て…驚愕した、以前見た時とあまりにも違い過ぎていたからだ

 

 

やつれている?いや、そんなもんじゃ無い、これではまるで死にかけの老人──

「聖杯を使わせてはならない、アレは災厄…呪いそのものだ」

 

 

…ハァ

「………まず前提として聖杯に参加者として認められなければならないんだろ、それはどうするつもりだ?」

「サーヴァントを召喚すれば良い、準備はある程度整っている。もっとも魔術回路が使い物にならなくなっている僕じゃ、途中までしかできなかったけどね」

魔術回路が…?相当酷い目にあったらしいな…

 

 

「…他のマスターの情報は?」

「無い、だがまだ参加枠が空いているのは保証する」

 

 

きっぱりと言い切る切嗣に舌打ちしつつ次を促す

ッチ…開かれる聖杯戦争の規模は?」

「分からない」

 

 

やれやれ…

「無い無いと簡単に言ってくれるな…まあいい、マスターになったとしてどこに参加表明をすればいい?」

「聖堂教会から派遣されてきた監督役に言えばいい、場所はここだ」

切嗣が差し示したのはやたらと人口密集地にある1つの教会だった

 

 

「こんな街中に?」

切嗣の地図を手に取りまじまじと見る

神秘の露呈を恐れてもっと人のいないところを選ぶと思ったが。

「他に場所が無かったのか単にバレない自信があるのかは分からないがここで間違い無いよ」

…バレない自信、ね…一応覚えておくか

 

 

「…そもそも情報も無しにマスターに勝てるのか?俺が今まで殺した魔術師なんぞ比較にならない奴らが出てくるんだろう?」

「正面から『代行者』を子供扱いにできる君なら問題ないだろう」

 

 

あれは──

正面から不意打ち(・・・・・・・・)をして殺される前に殺しただけだ、それに埋葬機関みたいなヤバいのが出てきてもおかしくない、油断はできん」

魔術についてまだ理解が浅かった頃の話だ、当時は代行者という存在すら知らなかったからかなり危なかった…まぁそれは今関係ない、次だ。

 

 

「触媒は何を使う?」

「触媒は…」

そこで黙り込む切嗣に俺は事態を察する

「おい、まさか──」

「すまない…用意出来なかった」

コイツ本当に俺を勝たせる気があるのか…?

 

 

「ハァ…それはもういい、サーヴァントとの関わり方は?…そもそもサーヴァントは安全なのか?無いと思いたいが仲が険悪になったからといって襲いかかられちゃたまったものじゃない」

「普通のサーヴァントなら道具でいい、しかし相手が王や神、もしくはその存在に近いサーヴァントの場合は気をつける必要があるだろう、安全性はそれ次第だ。」

 

 

「自分のサーヴァントすら脅威になる可能性があるのか、やれやれ…」

そんな奴が出てきたら令呪でとっとと自害させて他のマスターからサーヴァント奪う方が楽そうだ…

 

 

「こんなところか、他に何かあるか?無ければ今すぐに召喚をしに向かって欲しいが…」

「最後に1つ聞かせろ。………冬木で何があった?あの大災害の裏でお前は何を見たんだ?」

「それは──」

 

 

結局切嗣はその質問に答えることはなかったが…俺はそれを答えとして受け取り、マスターになる事を選んだ

 

 

とある山中…

 

 

「この辺りだが…ここか?…なるほど、魔術師が好きそうな環境だな」

アジトから長いこと車を走らせて辿り着いたとある山…その山中で見つけた、ぽっかりと空いた洞窟の中へ入るとすぐに『それ』が見えてきた

巨大な陣…魔法陣?というやつか、まだ完成してないようだ。

 

 

陣を見て周り、作業段階を確認する

魔力が行使出来ないと進まないところ…ここか。

 

 

貰った道具一式と右腕の義手を見ながら作業を再開。

俺に魔術回路は無い、あったとしてもゴミみたいなものだが…ようするに魔力を魔術として打ち出すことが出来ればいい。

 

 

義手で触れ、段階を進める

その結果がこの義手だ…もっとも、俺にはこれがどういう仕組みなのかよく分かっていないが…まぁ『アレ』は俺に対して嘘は付けない、使えるものは使っておこう

 

 

「…」

空港での別れ際に『ありがとう』と言った切嗣の笑顔が作業中、頭に浮かぶ

「…やれやれ」

かつて、あいつのいる場所では常に誰かが死んでいた、お花畑だろうがショッピングモールだろうが、数え切れないほどの敵と味方が毎日死んでいた

 

 

だが…ああ、その顔を見れば分かったよ、お前は誰も失わずに済む生き方を見つけたんだな。

「それが死にかけてからってのがいただけねぇが…よし、これでいい」

 

 

切嗣の資料と照らし合わせながら召喚陣を再確認し、詠唱の準備に入る

ここでコケたらギャグどころの話ではない、もう一度詠唱の確認を──

 

 

カッ

「…!?」ボンッ

普段から持ち歩いている俺専用のアンチマテリアルライフルを反射で前方に射撃、その反動を利用して後方に飛び退く

 

 

いきなりサーヴァント召喚のために用意された陣が光りだしたからだ。

なんだ…?まだ何も唱えちゃいないぞ…!

「ッ…」

手元のライフルを部屋の中央に向かって構える

 

 

「クソ、なんだってんだ……いっ!?」ズキン

生身の左手に痛みが走り、銃を落としそうになったが堪える

こいつは…

 

 

3本の筒が重なったような赤い刺青のようなもの…令呪が俺の左手の甲に刻まれていた、そして──

 

 

「あーらあら、と…」

そいつ(サーヴァント)は現れた

 

 

 

 

「あーらあら、と…」

周りを見回し、状況を確認する

出てきてみましたが…どー見てもカルデアには見えませんねここ。あ、そもそもカルデアに召喚されるのは有り得ないんでしたっけ、ワタクシうっかりしておりました⭐︎

 

 

それであの人間は…

目の前にはワタクシを召喚したと思われる、銀の三つ編みを後ろで留めたガラ悪そーな男が片手で対物ライフルを向けてきていた

 

 

「んー…」

男の左手に一瞬見えた令呪と一応繋がっているパス…

ふむ、認めたくありませんがフライトジャケットにデニムとかいうダサい格好の彼…ワタクシのマスターのようですね

 

 

「なんだお前は…痴女(アホ)を召喚した覚えはないぞ」

加えて初対面の人物に対する、なっていないクチの利き方…ええ、よく居るタイプの人間ですねぇ

 

 

「これは申し遅れました⭐︎此度はワタクシを召喚していただき、ま・こ・と・に・ありがとうございます!

サーヴァントアサシン、タマモヴィッチ・コヤンスカヤ。誠心誠意、秘書として務めさせていただきますのでぇ…聖杯を掴むその時まで、どうか宜しくお願いしますね?マスター♡」

 

 

──

 

 

──これで…7人目、最後のマスターが揃った──

 

 

主人公 ザイル・ニッカー

 

【挿絵表示】

 




福袋召喚でまたしてもジュナオを外して凹んでいる作者のルルザムートです、ハイ。
書きたい衝動が我慢できませんでした、前書きにも書いてある通りぼくのなつやすみの方もきちんと書きますので共々宜しくお願いします。
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