弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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第101話です、お楽しみください


第101話 鬼殺し

HOPEボーダー 甲板にて…

 

 

「届いた!」

 星1つ形成しようとしていた膨大な量の魔力は風船に穴を開けたように霧散、全てが消えたわけではないが少なくとも戦っている間に先の量まで集めることは不可能だ

 

 

 ──とはいえ私達が負ければそれも無意味となってしまう

 

 

 2人とも、しつこいようだがもう一度言うよ。この作戦は後戻りがきかない

(ああ)

(はい)

 

 

 米軍、魔術師、ミサイル、雷装、HOPEボーダー、あらゆる人員とリソースを使い切って君達2人をフォーリナーの元へ送るからだ

 失敗すれば再現できるようなリソースもチャンスも、もう来ない

 

 

(分かってる)

 故に令呪行使の権限を2人に1画ずつ分配した、使用は現場各自での判断に任せる

 手の甲から2画の令呪が消えていることは既に確認済み、反応からも2人の手に令呪が移ったのは間違いないようだ

 

 

(………)

(おや拙僧にも?…よろしいので?)

 私はキリシュタリア・ヴォーダイム、だが異聞帯の存在する世界のキリシュタリア・ヴォーダイムじゃない。

 この10年、惜しみなく努力した自負がある。だがキミはともかく異聞帯の私に召喚され、その私と共に歩んだカイニスとは認識にズレが出るだろう

 

 

 …正直、フォーリナー(コヤンスカヤ)とどう戦っていいか測りかねているところもある

 影月 彼方や核兵器と比べてもフォーリナーの脅威度は頭ひとつ抜けている、排除とはいかなくともせめて地上に引きずり落とさなければ人類に未来は無い

 

 

「………すまない」

(キリシュタリア?)

「2人の肩に文字通り全人類の生存権、未来をかけてしまった」

 

 

 突き詰めれば2人にとって人類がどうなろうと知ったことでは無いはず、2人がいた元の世界の人類史は既にコヤンスカヤによって食い尽くされている。この世界の人類を救ったところで彼らの世界は滅びたままだ

 

 

 その2人に私達、いや私は全てを託して送ったのだ。迷った、オフェリアに反対されもした、だが──

(オレ以上に勝てる見込みのある奴が居なかった、だろ?ま、当然の話だが)

 

 

 遠すぎてぼんやりと背中しか見えないがその背中がやけに大きい気がした

 カイニス…

(任せとけ、あの女狐を引きずり降ろしてやる)

 

 

 分かった、世界を救ってくれ

(大役、確かに承りました)

(ああ…やるぞ!)

 

 

米軍基地 第1司令部跡にて…

 

 

「アキレウスゥゥ!!」

「………」

 

 

「ぐび…ふぅ」

 ペンテシレイアとバーサーク・オリオンの追いかけっこを眺めつつ手持ちのスポーツ飲料水をひと口

 

 

 正門が崩れ始めた、NFFスペシャルももう間も無く入ってくるだろう

 欲を言えばNFFスペシャルと自分で米軍、魔術師達を挟み撃ちすれば基地内の連中はあらかた排除できる。そのためには高速移動する高台ことアルビオンを回収しなければならないのだが…

 

 

「『捕食する日輪の角(ブラックドッグ・ガラティーン)』!!」

 

 

「随分しつこいなぁ、妖精騎士ガウェイン」

 

 

 全て数えていたわけでは無いが両手の指では数えきれない数のガラティーンをアルビオンに撃ち込んでいるのは間違いない

 マスターとガウェインのどっちかが聖杯の泥を持っているってのが妥当だろうけどいくら持っていたとしてもここまでの連続使用では余程燃費が良く無い限りそう持たないはずだ

 

 

「暫く隠れさせてもらうよ」

 力を使い切って潰れた時にまた来よう

 

 

 

 

 

「グギッ、ぐうぅあ…!!」

 14発目の宝具を撃ち終わり、とうとう膝が地につく

 効いてはいるがそれ以上にメリュジーヌの再生速度が速い…!

 

 

「バーゲスト!」

 医療棟から拝借したであろう車椅子にもたれかかったままの我がマスターレガリオ、理性を保つため宝具使用→捕食→宝具使用というかつてない戦い方によって彼の四肢は令呪の刻まれた腕を除いて欠損していた

 

 

「食べるんだ!僕は大丈夫だから!」

「────あぐっ」

 ぞぶり

「…っくぅ」

 

 

 もう捕食衝動を抑えている余裕など無かった、負ければ全てが無に返す。これまでの全てが無くなるから

 伊吹山での謁見は1分にも満たないものだったがあの時の誓いを破るわけにはいかないし、なによりもう失うのは嫌だ…!

 

 

 壊れかけた、いや完全に壊していた(理性)を彼から出した内臓──大腸を食べて無理矢理治す

「っぶはぁ…ッ『この剣は法の立証…!』」

 

 

 治ったばかりの(理性)を砕き、かつての仲間であり目標でもあった()()に剣を振り下ろす

「ぐじゅ、ぐぎ、ギギィッ…!」

「メリュジーヌ、もう────」

 

 

正門前にて…

 

 

「ゼェ…ゼェ…」

 身体が重い…!

 

 

「クライムさ「俺はいい…!敵戦力の報告を!」

 ペンテシレイアの離脱と重油に放り込まれたような体の重さにあわや決壊まっしぐらだった正門前は駆けつけてきた15人の部下のおかげでその一瞬は防いだ。…その一瞬は。

 

 

「左より虎戦車1!右前方よりヤガ4、カリ1、アトランティス兵3!」

「戦車を殺れ…!俺は右だ、1秒でも早く片付けて加勢しろ!」

「「「了解!」」」

 

 

 少し気を緩めば泥のように倒れそうになる身体を気力だけで動かし、近い敵から打ち砕く

 いくら精密操作下にないNFFウェポンだとしても15人で止められる数はそう多くない、身体の調子が戻る気配もない、まだなのか土方…!?

 

 

G地区 オフィスビル跡地にて…

 

 

「綱さん!」

 小さな手から振り下ろされた一撃が赤色の三本線となって切り裂き、その身体をコンクリートの地面へと叩きつける

 

 

 まさか自分で自分の首を切り落とすなんて…!

「彼方…!」

「無駄だよお姉ちゃん、サーヴァントとはいえヒトの英霊がそんな傷を受けたらもう終わり。…ね、今のうちに戻ってきてよ」

 

 

 間に合うよ。と手を伸ばす彼方の目には未だに彼女の信じる『お姉ちゃん』と『それ以外の敵』が映っている

「っ、できない…」

 ほんの一瞬それを掴もうとした自分の手を握りしめて月女神の弓を構え直すがそれでも彼方の信じる目は変わっていない

 

 

「じゃあ勝手に連れてくね」

 気配が変わった、来る…!

 

 

ガァン

 

 

 !

「あれ、まだ動くんだ」

「…下がれ、影月 遥」

 手を伸ばしたまま突撃してくる彼女の腕を割って入った綱さんが打ち払う

 

 

「片手で防ぐなんて意外と力持ちだね」

 え?あ…

 言葉に釣られて思わず見たが綱の右手首の先が欠損しており、刀を握る左腕も少し震えていて今にも刀を落としてしまいそうだ

 

 

「綱さん…」

「下がれと言った、マスターが死んだ以上は渡辺綱という英霊に先は無い」

「そうはいかないよ」

「へ?きゃっ!?」

 

 

 NFFボーダーの時より長くなっていた尻尾に身体がぎゅるりと巻き上げられる、苦しくは無いが力づくでは抜け出せそうにない…!

「く…」

「もう離ればなれはイヤなの、分かるでしょ?お姉ちゃんなら分かってくれるよね?」

 

 

「…強いくせに、懇願するとは随分、小心者な鬼もいたものだ」

「──うるさい」

 

 

 綱の挑発で小学生のように一気に沸点まで達した彼方が彼を殴り飛ばす

「綱さん…!」

「最初から強かった奴に何が分かるの?」

「…分かるさ、鬼はまず悩まないし懇願もしない、欲しいものは考えるより先にまず奪うし悪を躊躇しない、するのは格上が相手の時だけ

 お前は自分の悪を認められない、1番欲しい()からの同意を欲しがっている小娘だ、自分を鬼だと思い込んでいる小娘だ」

 

 

 綱さん…?

「──なんでも知ってるみたいなクチ、やめてくれない?」

「少なくとも、お前が知らない…お前にとって大切なことをあと1つ知っている」

 

 

 瞬間、さっきよりも重い一撃が彼に叩きつけられる

「グ…」

「何を知ってるかなんてどうでもいい」

「いや…知るべきだ、お前の未来に関わることだ」お前は何も分かっていない

 

 

 三度振り上げられた拳が一瞬止まる

「…私が何を分かってないっていうの」

「………頼光四天王、渡辺綱のことをだ。お前は分かっていない」

 

 

 …?何を──

「剣は折った、お前も裂いた、ここまで来て何ができるっていうのよ」

「なんの、ことだ?剣も、俺も、五体満足だ」魔力供給元は無くなったがな

 

 

「意味の分かんないことを…」

「綱さ──え?」

 

 

 彼方の肩越しに一瞬見えた彼の口元が歪んでいた、普段の彼からは想像がつかないくらいにんまりと笑っていた

「──くく、く、まだ気が付かんのか戯けめ…だがそれも仕方の無いこと。酒呑ですら看破できんものを小娘が分かるはずが無い」

 

 

「…!?待って、おまえはだれ──

「聞かずとも今すぐ教えてくれるわ!

羅生門大怨起(らしょうもんだいえんぎ)!!!」

 

 

 無くなっていた筈の右腕が怪異となって彼方の身体に叩きつけられ、シャドウサーヴァントの包囲網の外へと吹き飛んだ

「こっ…の…!」

「あっ、お姉ちゃんだめ…うわっ!」

 

 

 衝撃に便乗して尻尾から抜け出し、月女神の光を放つ。ただの目眩しにしかならないがこれで充分だった

「くぅ、目が…草薙、草薙はどこに」

 

 

ザッ

「あ?」

 狼狽える彼方の前に現れた1人の武士の存在は目が眩んでいても分かったらしく注意がそちらに向かう

 

 

「我は鬼を殺害する剣…我は鬼を燃やす焔…」

「ひ…!?草薙!早く戻ってきて、早く!」

 

 

 生前と同じように己へ九字を切り、生前と同じように刀に手をかける

 言葉の意味は分かっていないようだが彼方の表情に怯えが見えた、先の戦闘や10年前の時には無かった『死に対する恐怖』を表した顔

 

 

マスター、茨木、すまない…

 

 

 鬼を斬るのに感情は必要ない、とはいえ思うところはあった。10年前彼方を仕留めていれば少なくともマスターは死ななかったし自己犠牲を容認するような性格にはなっていなかっただろう

結局性格が変わった理由は最後まで分からなかったが。

 

 

「な、んで…草薙がもどらないの!」

「探してるのはコレかしら?」ヒラヒラ

「! …伊吹、童子?返して、早く!」

「悪いけどそうもいかないの。…ごめんね」

 

 

 茨木童子にも悪い事をしてしまった、この世で何よりも憎いであろう俺に化けさせたばかりか身代わりにしてしまった、謝りたいところだがしたところで火に油を注ぐだけなのは分かりきっていること。だからこの一刀を持って彼女の望む『平穏』を…

 

 

「鱗の防護壁!首をぜんぶ囲えば──

「怨…!」

「なんで!?」

 

 

 怨念の刃が鱗の防護壁を存在ごと削り取る。物質としての破壊ではなく存在として削り取られた鱗の防護壁は霧のように霧散した

 

 

 アヴェンジャー…!?

「──貴様を救うこの一振りのためだけに我が主は2画の令呪を使った、それを忘れるな。鬼を斬れ、源氏!!!」

 満身創痍のアヴェンジャーはその場に留まることなく離脱、一瞬見えた苦悶の表情は腹部に突き刺さった大蛇の牙によるもの…ではないだろう

 

 

「鱗が!首が!?」

 

 

 草薙は来ない、鱗の防護壁は消えた、マスターが残した最後の令呪はこの霊体(からだ)に宿った

 今度は、斬れる

 

 

「やだ…!やだやだやだ!死にたくない!」

 

 

 もう彼方には自分を迎撃しようとする意思すら無くなったようで走り出した、だがその逃げ足は茨木のものには遠く及ばないヨタついたもの

「────」

 すぐさま追いついて剥き出しの素足に一太刀浴びせる

「ぐえっ」

 

 

 バランスを崩して転倒しつつもそのまま這って逃げようとする彼方の前へゆっくり、1歩1歩回り込む

 

 

「許して…!殺さないで…!」

「──無理だ、お前は人を殺した。何十人も何百人も、な

 ならば俺は渡辺綱として鬼であるお前を斬らなくてはならない」

 涙で塗れた彼方の顔を見下ろしながら刀に手をかける

 

 

行くぞ

 

 

 1センチ、2センチ、焔を纏った刃が鬼の首に沈み込んでゆく

「お、お姉ちゃ──

 沈み込んだ刃が肉を斬り進んで…

 

 

「大江山・菩提鬼殺」

 

 

 (彼方)の首を、完全に切断した




最近ブルアカをやりはじめ、ワカモに脳を焼かれている作者のルルザムートです、ハイ。
コヤンスカヤvs新撰組を先に書こうかと悩んで結局こっちを先に。地上の戦場もそろそろ決着つきそうかな?
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