弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
それと誤字報告ありがとうございます
第103話です、お楽しみください
C地区 路地裏にて…
「みんな…!」
もう意味が無くなった令呪本を抱えて走る
誰でもいい、早く伝えなきゃ…!
『小娘!お前はこの事をカドックに伝えろ!ウェイバー、新撰組、米軍でもいい!』
『ここは俺たち3人で足止めする、その間に対策を練るよう伝えてくれ』
アヴェンジャー…
平景清が退去する寸前、ミラが最後に聞いた言葉は『復讐をやめろ』という到底アヴェンジャークラスに当てはめられた英霊とは思えない言葉だった
「! NFFウェポン…」
どこから流れてきたのか獣人型の量産兵器が3体、狭い路地に立ちはだかるが──
「そこを…どけっ!」
令呪本を前方に投げながら最も近いヤガの銃を蹴っ飛ばし、そのまま胸部に掌打を叩き込んで2体まとめて吹き飛ばす
この10年間ひたすら鍛錬し続けた神父仕込みの八極拳を使い、立ち止まる事なく3体目を殴り倒すと同時に落ちてきた令呪本をキャッチして前へ
…復讐やめるつもりはない、あいつを、ザイルを殺さなければ世界は終わってしまうしなにより祖父が浮かばれない
「そのためには、まずあいつを倒さないと──ぐにゃっ!?」
D地区の大通りに飛び出した瞬間何かにぶつかって地面を転がる
敵!?
「敵じゃねーよ…それにしても伊吹童子のやつ、アッサリ寝返ってるじゃねえか、笑えねぇ」
あなたは──
「………っ」ガクン
「綱さん!」
3人がかりでなんとか凌いでいたがやはりマスター不在が響いたらしく綱が膝をついてしまった
「お、おい綱!」
「俺は、いい…それよりもまた草薙が来るぞ…!」
「!」
綱の言葉で一瞬早く気付いて飛び退く
「ぐぅ…!我らにあれをどうしろと言うのだ…!」
宿敵であると同時に切り札でもあった綱はもう戦えそうにない、彼の宝具無しで彼方を倒す手段はあるのか…?
「おい遥!お前の力で綱をなんとか延命しろ!今綱に死なれるわけにはいかぬ!」
「わ、分かった!」
一目散に逃げたいところだがコヤンスカヤやザイルならともかく彼方が相手ではとても逃げきれない、どれだけかかろうとどこまでも追ってくるだろうし重圧もどんどん強くなってきている
「草薙」
「またかくそ…!」
コンクリートに押し付けられる身体を強引に動かし何発目かも分からない草薙を避ける
「避けないで」
「ええい黙れ黙れ!」
無人の街を破壊しながらしつこく追ってくる彼方から全力で逃げ回る。もはや規格外すぎて攻撃の殆どは見切れるようなものでは無く、生存本能だけで避けきっているものの、このまま重圧が強くなり続けると…
おのれ…手足の生えた山が追いかけて来ているようだ、しかも特大の暴風雨を巻き起こしながら!
「諦めん、諦めんぞ我は…!」
「…!」
「遥、もういい」
「なんとかする、なんとかするから…!」
ペンテシレイアやアタランテを強化した時みたいに…!
「これ以上力を使うな、俺はもう治らない。立つことも刀を握ることもできそうにない、だから…」
「っ…」
触れていれば分かる、彼の霊基崩壊点はとっくに過ぎてしまった。仮に今から再契約できたとしても魔力が回るより先に霊体が持たずに消える
アルテミス神殿で、やっと覚悟できたのに。やっと選べたのに。神の横槍で何もかも終わっちゃうなんて認められるわけがない
最後の最後に立ちはだかったのは妹に対する情ではなく、ただの圧倒的な暴力。単純で覆しようのないそれを前に私の心は既に折れていた
「彼方…」
「誰か来るぞ」
「え?」
自分の世界に入りかけたところを引き戻されて一瞬眩暈がしたが抑え込む
カツカツとハイヒールを鳴らして歩いて来たのは──
「バーヴァン・シー?どうしてここに「お前は殺せるか?」
…?
「お前にとって1番大切な奴を、殺す覚悟があるのか」
さっき切断された伊吹童子の腕を持ちながら低い声で質問してくる彼女に私は答えた。『ある』と
「────分かった。機会は私が作ってやる」
「一体何の話をしてるの…?」
「………」
4歩、遥達から距離をとって深呼吸。失敗への恐怖を1度目の深呼吸で、杖を掴みながら震える手元を2度目の深呼吸で抑えつける
…よし
「──やるか」
素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公、降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
理論上、充分やれる勝負だった。触媒に関しては不安だったが丁度いい
繰り返すつどに五度
ただ、満たされる刻を破却する
…今更利用したところで伊吹童子のやつが文句を言うような資格はないだろうと勝手に納得して詠唱を続ける
────告げる
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
召喚陣なんて書いている余裕は無く、場所も霊脈とは程遠い最悪な場所だが幸い私の中には聖杯がある。人工令呪の1つでも作る気概だったがその必要は無くなったためそちら方面の無茶に集中できる、私ならやれる
誓いを此処に
我は常世総ての善と成る者
我は常世総ての悪を敷く者
母から譲り受けた魔術と杖を通じて英霊の座にパスが繋がり、コンクリートの大地が光に満ちてゆく
…このムチャクチャな召喚をコヤンスカヤは見逃さないだろう、これで私が聖杯を持っていると連中にバレることになる。だからこれは最後の手段
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ…!」
眩い光と共に5秒前まで存在しなかったサーヴァントの反応が目前に現れる。クラスは…アサシン。
どうかお許しくださいお母様、ですが私には守りたい人が、守りたい場所が出来たのです。誰かのためではない、私自身の願いのために。
「サーヴァント…?こんなデタラメな場所で…?」
「いや、それよりも…この、気配は…遥、誰が見えるか教えてくれ」
50年前、命…いえ、全てを賭して私を守ってくれたお母様のように、私も守りたいのです。守りきって、また一緒に笑いたいのです
「………」
『ここには私以外にもお前を大切にしてくれる者がいる、お前は自由だバーヴァン・シー。
厄災も妖精も人理も、何者もお前を縛らない。やりたい事をやるが良い、お前は…お前のために生きていいのだ。
どれだけかかってもいい、彼の元で…それをこれから学ぶのだ』
「──よく来たな、私がお前のマスターだ」
「つかんだ」
破壊の嵐に気を取られ彼方の尻尾に文字通り足元を掬われる
「この、離──もがっ!?」
玩具のように振り回されて地面に、壁に何度も叩きつけられ身動きが取れない
「ぐ、がぁ…!」
「しねしねしねしね」
女の形をしたそいつは狂ったように呟きながら尚も我の身体を叩きつけ続ける
…いや実際に狂っている、汗をかかず、まばたきも呼吸もしていない人に似た形をした『何か』
身体が、粉々になりそうだ…!しかし、このまま黙って死ねるか…!
「っ…の!」
砂だか粉だかよく分からない粉末を彼方の目に投げつける
「!」
瞬間緩んだ尻尾を力一杯殴りつけて拘束を解く
「かふ、はぁっ…!」
視界が、おかしい
地面に落ちたのはいいが片方、右側の視界が悪い。片目が潰れたかもしれない
「…生きておれば上等。」
余力を振り絞って這い、瓦礫の影へ
くそ、身体が言うことを──
ほんの一瞬でも身を隠せそうなあの瓦礫の影がやけに遠い…!
ザクッ
「〜〜〜!!!」
前へ前へと伸ばした手に草薙が突き刺さる
「逃げてばかりで生き意地汚い、それでも私と同じ鬼?」
「き、さまこそ…!何1つ楽しまず何が鬼か、そんな自由の無い生き方をしてどこが鬼か、笑わせ──くあっ…!」
踏みつけられた首から聞こえた軋むような嫌な音
「鬼であろうと人間側にいる以上お前も敵だ、さっさとしね」
「う、ああぁぁっ…!!!」
く、砕け、折れ──
「あらまぁ、縁ない場所とはいえ名指しで呼ばれたさかい出てきて見れば…見知った顔がもうひとつ。…そないな
「…!?」
まさか、そんなばかな
耳に届いたその声から想像できる人物は1人しかいない、首の骨にヒビでも入ったのか頭が動かせないがなんとか目線だけでもそちらへ向ける
く、見えぬ…!
「──だれ?…鬼?」
「そ、鬼。お嬢ちゃんが言っとる鬼。ウチも聞きたいことあるさかい、少し付き合うてくれへん?」
「分かった」
影月 彼方は姿の見えない声の主と共に驚くほどあっさりその場から離脱、おかげで我は助かったが…
「茨木童子!」
「遥、か?」
入れ替わりでやってきたのは彼方とは別の神を宿した小娘、普段の我ならばすぐにでも傷を治させようと命令するところだが首の痛みを忘れるほどに先の衝撃は深かった
「さっき、さっき声が「治療するから喋らないで!」
「痛っ!ええい、もっと優しく抜かんか!」
突き刺さった草薙を抜き取ってそのまま治療を始める遥に悪態をつく、つきたくもなる。我はこんなことをしている場合ではないのだから
早く、早く我も向かわねば…!
突然現れた鬼の少女に連れられるまま隣接ブロックにあった無人のレストランに入る
「できれば茶室とかあればええんやけど…ま、こないなところで探し回るのも面倒さかい、ええか」
果物の乗った杯と(匂いから多分)お酒の入った杯をテーブルの上に置いた彼女は人懐っこい笑顔をこちらに向ける
聞きたいこととはなんだろう…?
「…」
「まぁそんな真面目な顔せんと。一杯、呑まへん?」
「…飲む」
実を言うと結構気になっていたお酒の匂い、少し飲んでみたいという私の心境を知ってか知らずか、分けてくれるようだ
「ぐび…」
「どお?」
…!
「おいしい…」
伊吹山の実家で飲んだ酒もかなりおいしかったがこのお酒はそれよりももっとおいしい
「やろ?それ、ウチのお気に入りなんよ」
おいしい上に身体もあったまって気分が良い、目の前の少女がどんな鬼かは知らないが気にいるのも納得のお酒だろう
「気分も良うなったところで、人間ぜーんぶ殺そうとしてる話、ホント?」
…どうやらお酒以外の前置きはせず話をするらしい
「うん、本当」
「…んー、なんで?」
「なんで、ってそれは──」
────
「自分たちを化け物だと知らない人間達を分からせるためだよ」
「? …いや分からんなぁ、つまりどういうこと?」
「あいつらは言っても分からないのばかり、自分たちがなんなのか気付かず、認めない。それならもう殺すしかないでしょう?」
躾と同じだ、言葉で分からないのだから殴るしかない、殴って分からないのなら殺すしかない
「──ウチは別に口が堅いほうやあらへんけど…どうせすぐ消える夢幻みたいなもんさかい、酒の肴に小娘の本音の1つでも聞きたいんやけど」
「これが本音だよ」
「そう。…そら可哀想になぁ」
少女の目元から僅かに微笑みが消えるもそもそも目の前の少女へ鬼に対する興味しか無かった彼方は気付かないまま、憐れむ言葉に噛み付く
「かわいそう?私が?」
「そ、かわいそ。人でも神でもない、せやから鬼になろうとしたんかもしれんけどアンタは鬼ですらあらへん。ただそう思い込んどるだけの小娘やから『かわいそうになぁ』って」
目の前の少女は何を言っているのだろう、人じゃないのは分かってる。神の力も所詮は借り物、でも…鬼じゃないって?
「鬼や言う幼子が居る言うからどんなん思って来てみれば…期待外れもええとこやわ、小娘」
「ちょっと…待ってよ、好き放題勝手なこと言って」
呆れ顔で去ろうとする彼女の肩を掴んで止める
「そら小娘と違って鬼さかい勝手もする。せん時もあるけど」
「私は鬼だ」
「…まだ言うてんの?そろそろ目ぇ覚ましや小娘」
本当に面倒くさそうに振り払われるもすぐさま掴み直す
「──なに?」
「私は、鬼だ」
「もーそれでええから離してや、ウチが言うこと聞くこと、もうなーんにもあらへんのよ」
「あなたが無くたって私にはあるんだ、いい?私はずっと前から人じゃなかった」
「はいはい、それで?」
「私はそれを知っていたけど他の奴らは知らなかった、だからそういう奴らを沢山殺したんだ。死んで当然の奴らを殺したんだ。あなたと同じように、ね」
「────」
「あなたが誰なのか、なんとなく分かる。いや知っている、あなただって最期は卑怯な奴らに騙されて
「もうええわ、黙れ」
「──え?」
痛覚が鈍くなっていたからか、彼女の肩を掴んでいた左手が引きちぎられたのを知覚するのに数秒かかった
「あむ…ああやっぱり。小娘、お前は神でも鬼でもあらへん、どこにでもおるただの小娘や」
ただ味はウチ好みやで?と、引きちぎった断面の肉をアイスを食べるように咀嚼する鬼の少女
「なんの、なんの、つもり…?」
「そらこっちの言葉、別に小娘とは仲良しこよしでもなんでもない、何を言おうと何になりたかろうとウチの知ることやない、せやけど」
「ウ…!?」
少女は私よりも細い腕で私をレストランの外に投げ飛ばすとゴミでも見るかのような目で見据えて言った
「一切の楽しみも無く独りよがり、怒りに任せて殺しまくって『あなたと同じ』?
鬼の皮だけ被った人間風情が、巫山戯るのも大概にしや」
「──うるさい」
私は何も間違ってない、悪いのはあいつらだ
「そうだ、間違ってない」
「間違いか、どうか、そう考える時点でおかしい事に気付かんから言うとるのに」
いつの間にか2つの杯が彼女の手に戻っているが知ったことじゃない
「だまれ」
「心配せんでもすぐ終わるわ小娘、お前がおるだけでどんな酒も不味なる。去ね」
「ッ!」
逃げようとする背中へ呼び寄せた草薙を乱雑に投げつけつつ追いかける
あいつの言っていることなんて知らない、私は鬼で、神だ。
「お前も、お前も奴らの味方をするのなら敵だ、敵ならしんでしまえ…!」
「もう喋らんでええゆうに、会話が噛み合わん」
「自分こそが鬼だって言うなら黙らせてみればいい、できるのなら…!」
「はぁ、召喚早々不快な気分や、言われんでもすぐ何も分からんくしたるわ」
──『千紫万紅・神便鬼毒』──
メタルギアソリッドの通信画面にコヤンスカヤが映っている場面を想像している作者のルルザムートです、ハイ。
妖精騎士はバゲ子→かわいい。メリュ子→かわいい。ハベにゃん→かわいい。ブリトマート→かわいい。で、トリ子→かっこいいが脳内で保管されています。計らずともリベンジマッチやでぇ