弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
???にて…
「…」
喧騒から離れ、彼は1人考える。正体不明の人物が自分を必要とした意図を。
「…やはり無理か」
何度か試しているものの、どうやっても『その場所』に行く事が出来ない
誰かが邪魔をしている、そう考えるほか無いが…
情報が足りていない、いくら彼でも0からたどり着くことはできない、故に彼は考える。
その『誰か』が他の誰でも無く、自分を必要とした意図を、それを妨害しようとする第三者の正体を…
結局、今のままではそれが答えに行き着くことは無いだろう、分かったことと言えば1つだけ。
「君がどこの誰かは知らないが…どうやら私は余程信頼されているようだね?」
キセルをふかしながら、彼は1人呟いた。
〜
G地区 オフィスビル屋上にて…
「『
「ぐうぅ…!マスター!!」
ライダーの宝具の一撃を展開しかけていた『タマモ
あれはマズい!
かつて異聞帯の1つで感じたものと似た気配
流石にあの衛士長のような脅威は無い、サーヴァントならば軽度のダメージを負うくらいなので問題視する必要はないが──
生身の人間がアレを食らったら間違いなく助からない!
「ッ!」
ハンドガンを敵マスターに向けて撃ち込む、が──遅かった
「があっ!」
時間が止まった────
いや、正確には限定されたその場所だけ、固定されたと言うべき現象。
「七孔噴血 撒きて死ね」
銃弾はもちろん、降り注ぐ雨粒すら固定されたその極めて狭い空間の中、老人の放った掌打は、
「『
ワタクシのマスターを吹き飛ばした
「が、は…あ"っ…!!」
まるでトラックに轢かれた野良犬の様に彼の身体が宙を舞う
胃の中の物と血液が入り混じった液体が喉の奥から溢れ出し、ランサーの横薙ぎでも傷1つ付かなかった義手が粉々に砕け散る。
「マスター!!」
「ごぷっ…、ッ…!!!」
(目を閉じろ!!!)
「…!」
突然送られてきた念話でマスターが何をしようとしているのかを瞬時に理解、目を閉じてマスターの元へと走る
「ふっ…、く!」ブンッ
直後炸裂するスタングレネード
そして、ぐらりとよろめいたものの受け身をとって着地するマスター
「ヒュー…ヒュー…コヤンスカヤ、そこに落ちたナイフを寄越せ!奴らはここで始末する!」
逃げるのでは?と言いそうになるのを抑え、コンバットナイフを拾って投げ渡す
…有事の際、特にこのような状況で命令にいちいち質問を挟むような部下がいたら自分でも腹が立つ
「おのれ…小細工を!」
「…!」カチャ
視力を取り戻したライダーがマスターの首を飛ばさんと刀を構える
だが己への注意が外れたその瞬間を逃すほどコヤンスカヤは甘くは無い
マスターはここで彼らを始末すると言った、ならば──
「それを実現可能なレベルにするのがワタクシの仕事!」
ライダーの刀をハンドガンで弾いて乱し、そのまま接近して踏みつけるように2発跳び蹴りを浴びせる
「くっ!?これしき──」
「鈍いですねぇ!」
2撃目の反動を利用して後方に飛びつつハンドガンを撃つ
反撃を許さない3連撃、スピードを重視した蹴りとハンドガン1発ではダメージなど有って無いようなものではあったが、屋上の端にいたライダーをここから突き落とすには充分だった
「さて…」
不意打ちで稼いだ5秒足らずの僅かな時間、コヤンスカヤは打開策を思案──いや、打開策は既にある。
しかしその手段は彼女にとってかなり抵抗のあるものであり、『それ』を発動させつつも内心かなり躊躇っていた
突き落としたは良いものも、すぐに戻ってくるのは明白…マスターの動きもかなり重いですし状況は悪いですねぇ…
ですが、敵マスターも技の反動や片腕を失ったこともあって戦況は互角。例え応急的処置でも、もしマスターを治療することができれば後は勝手に勝負が付くのは間違いないでしょう
「ハァ…」
大きなため息を吐きながら魔力を集中させる
別に躊躇うほどのコストがあるわけではないし、彼女の場合真名が看破される心配もない、ただ──気に食わないのである
本来ならどうひっくり返ったってコレ使うなんてありえませんが…マスターが負傷した原因を作ったのはワタクシなのもまた事実。避けたい手段ではありますが致し方ないでしょう
コヤンスカヤの魔力の質と現代に適していた服装がみるみるうちに変化していく、そして──
「コホン…さっ、マスター?受け取ってくださいまし♡」
しゃん…という鈴の音が鳴り終わるのと、ザイルがフーレンの首筋を切り裂いたのはほぼ同時だった
〜
数十秒前
「ヒュー…ヒュー…コヤンスカヤ、そこに落ちたナイフを寄越せ!奴らはここで始末する!」
コヤンスカヤからコンバットナイフを受け取り、先の閃光手榴弾の影響で目が眩んでいるライダーのマスターへ接近、喉元を狙ってナイフを振り抜く!
「ぬ…!」
老人は見えていないハズの斬撃を片手で受け流し、反撃の構えを取る
「コイツ…!」
これも拳法の類か!?目を閉じたまま防いで──
ド、ドクッ…
「あぅぐッ…!?ッ〜〜〜!!!」
不規則になった心臓の鼓動が嫌に大きく聞こえ、身体の内側から感じる全身串刺しにされるような痛みが膨れ上がってゆく
揺らぎ暗くなる視界、消えそうな意識の綱を握りしめるようにナイフを握る
もはや喋る気力さえも戦闘に回し、グラつく脳を回転させて的確な位置にナイフを振るう
「…!」
目は眩んで見えず、右手は裂け、無理矢理魔術回路として代用した身体は摩耗し、もはや老人の身体は満身創痍──だが届かない
冗談じゃない…!
戦況だけ見れば即座に退くべきだった、だが今は退けない理由が多すぎる
ウルフルズのカモフラージュとして使用していたゼロリスクという隠れ蓑の露呈、ライダーの刀をすり抜けた否幻想弾、狙撃という戦法…どれをとっても相手からすれば脅威でしかない
特にゼロリスクの露呈は最悪だ、隠れ蓑として最も大きなアレが知れ渡ればもう聖杯戦争どころではなくなる
《全世界が敵に回る》
つまりここで退いても先は無い、なんとしてもここで殺さなくてはならない
「…ああ、クソ」
が、しかし身体のダメージが酷い、このままここに留まって戦っても今の俺にコイツは殺せない、それどころか返り討ちに遭うだろう
「…んぐっ…!」
溺れかねない程の血が喉の奥から溢れ、ボチャボチャと生々しい音を立てて足下を汚していく
「………仕方、ない」
…対処は後で考えよう、コヤンスカヤに撤退の指示、を
「──」
本能だろうか、頭が事実を認識するより先に身体が動いていた
強くも無く弱くも無く、地を蹴ってナイフを振るう
「な、に?」
ばっさりと裂かれた首元を抑えて狼狽える老人の目には、先程までそこにいた呼吸の乱れた死にかけの男は映っていない
全快というわけではないが…ああ、身体が軽くなっている
「──ん」
しゃん…とどこからか聞こえた鈴の音、
それは不思議ととても小さな音にも関わらず、降りしきる雨音にかき消される事なくその場にいた全員の耳に届いていた
「…お前か」
ふと、音の方を見る
青い巫女服のようなものを着たコヤンスカヤが立っていた
「…」
俺でも分かる程の魔力の質と戦闘スタイルの変化、ここまで出し渋ったのを見るに…考えていたことは俺と同じか
やれやれ、聞くことが増えたな…
そんなことを思いながらデザートイーグルを取り出し、弾を確認する
問題無いな、ん…?
「主人殿ォッ!」
と、どうやらコヤンスカヤが突き落としていたらしいライダーが鬼の形相でビルを駆け上がってきた
「コヤンスカヤ」
「ええ、もちろん♪」
直後、バチンと不透明な紫色の球体がライダーを包み込み、動きを止める
「こ、れは…呪術、の…きさ、ま…!」
「さっ、これで彼女はもうなーんにも出来ません、あとはお任せしても?」
「ああ」
…ライダーはもう放置でよさそうだ
「…」
この雨でも洗い流せない程の血溜まりの上で必死に立ち上がろうとしている老人に銃口を向ける
…このまま放っておいても死ぬだろうが念には念だ
「悪く思うな」
引き金を引き、終わらせる
「主人殿っ!!??よ、よくも…!」
「コヤンスカヤ、やれるなら今すぐとどめを刺せ、生かしておく理由は無い」
「かしこまりました♡ではそういうことですので。」
そしてコヤンスカヤが指を鳴らしたかと思えば球体の中にいきなり炎が出現し──
「ううっ!?うわあああああっ!!?ああ、あ…」
悲鳴ごとライダーを焼き尽くした
やれやれ…最初から使っておけばいいものを…
しかし今は後回しだ、先にパーティー会場の方のフォローを入れなければならない
取り出した通信機でバルンの端末を呼び出す
『…はい、認識no4です』
「俺だ、ゼロリスク開催パーティだが問題が起きた。現在の作業を中断し、何人か連れて会場に向かえ、また追って指示する。」
『問題…?大丈夫なんで──いえ、終わった後で聞かせていただきます。すぐに向かいます』
「頼むぞ…ふー…」
通信機を切り、どしゃりと座り込む
…また身体の内側が痛くなってきたな、さっきのは一時的なものか?
「コヤンスカヤ、誰にも見られることなく俺を連れてアジトに戻ることは可能か?」
「ええ、造作もありません…ですがここの後始末はどうされますか?」
「バルンにやらせる、問題ない…今は早く戻って医療スタッフの元へ行く、さっきの1撃によるダメージが身体のどこまで響いているか未知数だからな」
「かしこまりました!」
「ゴホッ…ハァー、やれやれ」
緊張の糸が切れてそのまま背中から倒れ込む
勝ったはいいが…こっちのダメージも酷いもんだ、ルーチンワークのゼロリスクパーティがこんなことになるとはな…
こうして俺は出発から1時間も経たずアジトへと戻ることになった…
〜ライダー敗退〜
〜
ザイル達が去った数分後、同場所にて
「ありゃ、一足遅かったか?できれば生で見たかったんだけどなぁ」
「あはは、いくらザイル君ラブなマスターでも眠気のせいでちょっと動きが悪くなって──え!?ちょっとコレ…」
「どしたのキャスター…げ!」
キャスターが見ている方にさっと目をやると
「ああ…私の作品がこんな姿に…」
キャスターの付けてる義手が粉々…ではなく、キャスターの付けてる物にソックリの義手があろうことか粉々とかいう、見るも無惨な形で散乱していた
「まー、サーヴァントとかと戦う機会が有れば遅かれ早かれこうなってたとは思うけどここまで粉々になるとはねぇ」
ということは今ザイルは片腕無くしちゃってるのか
粉々になった義手を見たキャスターは思ったよりも落ち込んでいる…まぁ丹精込めて作った物が自分の知らないところで粉々になっていたらヘコみもするか
「もう!人がせっかくこだわってこだわり抜いた作品を!彼にもう少し丁寧に扱うように言っておくれよマスター!」
「あー、うん、言っとくー」
言ったところで彼はそういう使い方やめないし…キャスターには悪いけどテキトーに返させてもらおう
「…キミ、言う気ないでしょ?」
「ゑ!なんで分かったの?」
「やっぱりそうだったんだね!?」
!!!ハメられた!?
「マスター!こうなったらザイル君が無茶苦茶した責任とってもらうよ!」
「わ、私関係ないじゃん!?」
「ついでにいつかの仕返しもしてやる!お尻を出したまえ!!」
「話聞いてないし!待って!?いくら筋力の無いキャスタークラスでもその力で叩かれたら人間ただじゃ済まな──アバピョー!!??」
後のバルンがまとめた報告書の一部には、『屋上からおかしな話し声が聞こえたが確認しても異常は見受けられなかった』という記載があったという…
タマキャにドーンと押し潰されたみたい作者のルルザムートです、ハイ。
再来週(11月8日)からまたお山でお仕事が入っており、更新がそこから1週間停止します、勝手ですがなにとぞよろしくお願いします