弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
というわけで終わる終わる詐欺続きであるこの話もマジで終わりに向かって。
第116話《A》です、お楽しみください
ストームボーダー 船橋にて…
「んもう!しつっこいですねぇ!」
「………っ」
ザイルさんから預かったマリーンズをバイク後部にくくりつけ、エンジン全開で艦内を駆ける
モルガンさんとの距離は…殆ど変わっていません、むしろ少し近付いてきています
「っと」
狭い通路を一切の減速無しに駆け抜ける、ブレーキを使って浮き上がった後輪を曲がり角の壁へ叩きつけてそのまま前へ。
こんな使い方、まともなバイクは既にバラバラになっているだろう。しかしそこはNFFサービス、7回は曲がり角に直面しているが問題なく走っている
チカチカッ
「っと!?」
次の曲がり角を曲がった瞬間前方から飛んでくる魔弾の嵐。バイクを滑らせ、床の塗装を削りながら魔弾のほんの少し下を通って避ける
先読みして魔術を既に…んもう、やりづらいですねぇ
シャドウサーヴァントの召喚もやってみたがこっちが召喚しきるより、それを察知してから術式解除まで手を打ってくる陛下には通用しないらしい
「んー、はいっと!」
後輪を軸に一瞬だけ半回転し、後ろの彼女にNFF特製のRPGを1発。
効果なしと!ワタクシ、自社の商品に自信が無くなりそうですわ
普段ならこんなのグランドクラスの次に戦いたくない相手だが…
「最後の残業、ですね!」
ええ、ええ、もちろん。このあとの娯楽のために、誠意をもって仕事に励みますとも。
クラス霊基バーサーカー、間違いなく第6異聞帯のモルガンと見ていい彼女とは結局最後まで顔を合わせることは無かったが──
「異聞帯を統べた女王の力、見極めさせていただきます♡」
〜
ストームボーダー Dブロック通路にて…
「クソ…!クソがぁっ!鬱陶しい!!!」
身体への負担なんて全く考えず、予備動作無しの攻撃を連発する
が、藤丸立香には届かない
分かっていたことだがマシュ・キリエライト、彼女の守りがとんでもなく堅い
「邪魔だ!」
「っ!」
身を屈めて半回転、ギャリギャリと鋼鉄の床を削りながら盾からはみ出した足を蹴り飛ばす
がっしりと構えられた盾がバランスを失い、大きくなる隙間。体勢の崩れた少女の身体、そこを逃さず一撃
『殺戮技巧 C』
「があっ!!」
「ぐ…!?」
人間特攻が乗った義手による全力の一撃がシールダーの脇腹にヒット、そのまま壁に叩きつける
まともな人間相手なら攻撃した部位が豆腐みたいに抉れる一撃だが流石にサーヴァント相手ではそうもいかないらしい
だが道が開いた、それでいい
「今すぐ死ね!!!」
『ガンド』
「効くか──チィ!」
魔術礼装のガンドをすり抜けたまでは良かったが藤丸とザイルを隔てるように床へと投げつけられた大盾が撃たれた弾丸を阻む
「あと4分…!!」
もう時間がない、そんなことは分かっている
通常兵器はロクに効かない、爆撃しようにも携行ミサイルの類いは全て防がれた、ガス兵器は?…だめだ、体験劇通りなら藤丸立香に毒は効かない、キリエライトを吹き飛ばして藤丸を殺そうにも死に物狂いで守ってくるから今みたいにあと一歩届かない。
クソ、クソ、クソクソクソ!!!
「ここまで、ここまで来て!部外者のお前たちに邪魔されてたまるかァ!!」
通常兵器とは別の、NFFサービス特注の近接地雷をばら撒き、無駄に大きな窓を見える限り全て破壊、即座に通信機のスイッチを入れる
「援護しろ慎二!」
数分前に衛宮士郎確保と戦線離脱の報告があった、アルビオンの速度ならもうこっちに戻れてもおかしくない
『まったく人使いが荒いな、いいよ』
通路内に吹き荒れる突風、揺れ続ける艦内、そんな中でもシールダーとそのマスターは全く動じることなくこちらを見据えている
「やれやれ!クソッタレ」
こうなったらマシュを艦外に追い出すしかない、ヘタを打てば自分が突き落とされるがもうそんなリスクを考えていられない
「あと3分…!いい加減、頼むから死んでくれ!!」
風で舞ったガラスの破片が左耳を切り裂いたが知ったことか。
みたび走り出すザイルとマシュ、地面へと向かい始めたストームボーダーの中では既に平坦な足場は消え去っており不安定な戦場へと変化している
ワイヤーガン、反動特化型マグナム、グレネード、義手、持てる全てを使ってマシュを攻撃。
「く、このぉ!」
振り回される大盾の攻撃を回避、回避、また回避…当たれば1発で失神モノの攻撃を紙一重で避けながら連撃を叩き込む
「あ…!」
ぐらり、とマシュの体勢が崩れて──
今だ…!
盾ごと殴り上げてマシュの身体を宙に追放、反動特化型マグナムの勢いを利用して空中の標的に捨て身のタックル
外せば自分が艦外に吹っ飛んで行くが宙にいたマシュが防げるわけもなく命中、艦外へと吹き飛んだ
「やっ…」
やった「令呪!!」
声を上げて喜びそうになったのを遮り、藤丸の令呪が1画消えてマシュが艦内へと戻ってくる
グ、これでもダメか…!
発想自体は悪くないと思っていたが残っている令呪は2画、最低でもあと3回は突き落とさなければ追放はできないし同じ手が何度も通じるような相手でもない
残り2分…なにか他の方法で令呪を使わせる?無理だ、とても間に合わない。コヤンスカヤを呼ぶか?これもだめだ、意図がバレれば離脱時の単独顕現をモルガンに妨害されるかもしれない
藤丸立香排除、やはり無謀すぎたのか…?
「──分かりません」
「あ?」
「私たちと貴方は初対面のはずです、それなのに何故あなたはここまで私たちを憎んで──っ!」
マグナムの反動を使った飛び蹴り、盾に防がれるもそのまま盾を蹴って下がりつつグレネードランチャーを掃射。
…榴弾だけでなく爆風や熱まで防ぐか、憎たらしい女だ
「死ぬべき連中に、言う必要があるのか?」
「貴方は…!」
タンッ
マシュも立香も気付いていなかった、艦外から吹き荒れるゴウゴウとした風の音にかき消されて。
だがザイルには聞こえた、慎二に渡していたライフルの撃発音が。
「ウッ──え?」
瞬間、立香の右目が真っ赤な線になって潰れた
この距離と風で当てるか、よくやってくれた慎二!
「しまった、そんな…!
先輩っ!!
フラリと彼の足元から力が抜けるのが見て取れる
──だが
『ザイル!』
「分かっている!」
あれが藤丸立香であるのなら、これしきでは終わらない!
倒れかけた身体がそのまま倒れることはなく、立ち直る
「先輩、目が…!」
「グ、くう、俺は…大丈夫!マシュは敵に集中するんだ!」
5秒前まで目のあった位置からドクドクと血を流しながらも残った左目には未だ尽きない戦意が宿っている
…危険すぎる
サーヴァントはおろか、俺や慎二と比較しても脆い身体。弾丸1発で死にかけている目の前の少年は確かに、体験劇で見たあの意思を持っていた
遥やクライムのように特別な出生や環境があったわけでもないただの子供が、ここまでの覚悟を持っている………やはり
「藤丸立香!お前を生かしておくには危険すぎる!」
残り1分を切った…!
「慎二!アルビオンで通路を爆撃しろ!」
『おい、良いのか?』
「やれ!早く!!」
爆撃という単語を聞き取った彼らが逃げようとするが当然逃がすつもりなどない
再びマグナムの反動を利用した飛び蹴りを放ち、マシュと立香を分断。
…外のアルビオンが攻撃態勢に入っているのが見える、こちらもタダでは済まないだろう
──だがそれでも構わない
直接狙われていないのならなんとかなる、腕や足といった末端部分は失うかもしれないが…目の前の少年はそれほどまでに殺す価値のある人間だ
『テュケイダイト』…
「っ…こっちだ!!」
「せっ…!?」
「…!!?」
アルビオンの胸部に収束したエネルギーが放たれるほんの2秒前、何を思ったか藤丸立香が艦から飛び降りて──
「な、何をやってるんだお前はーっ!?っぐぅ!?」
テュケイダイトが通路ごとすぐそばを抉り取り、爆風が脚を焼いた。だがそんなことなどどうでもよく、ただ叫ばずにはいられない、だってこんな…
っ…そこまで、そこまでやるか藤丸立香!!!
「あと30秒…!」
あと30秒で飛び降りた藤丸立香に追いついて殺すのは不可能だ、30秒でできることは──
「コヤンスカヤ!どんな汚い手を使ってもいい、マリーンズも捨てていい!モルガンを止めろ!」
(…!かしこまりました!)
高さから考えて10秒もあれば藤丸は地面と激突して死ぬ、10秒…たった10秒…!
「先輩!すぐそっちに「お前は引っ込んでろ!!」
手首と首を鷲掴みにしてマシュを投げ飛ばす
どうあろうと絶対にコイツを逃がす訳にはいかない、モルガンとマシュさえ逃がさなければ藤丸立香は死ぬ!
「うおおおお!!」
「く、うああああ!!」
宙を切る大盾、赤熱するコルトパイソン、殺さなければならない相手を/守らなければならない人を想い激突する2人
残り1秒、未満!
「終わりだ…!」
時間は、過ぎた!
「離脱だコヤンスカヤ!」
(はい!)
『待てザイル、藤丸立香はまだ生きてるぞ』
「────」
「転移します!ザイルさん、手を!」
「────は?」
『単独顕現 EX』
〜
???にて…
「クソッ!やられた!」
「まぁまぁ、落ち着いてください」
ひょいっ、と例のUSBを俺から取り上げてノーアのパソコンに挿す
「誤差は0.00、5秒余裕があって助かりました♡」さてさて…
何度も何度もシミュレーションした動きで例のプログラムが起動される
「やれやれ」
俺たちの計画、その核であり人類史の詰み…その分岐点になるもの。…ただし1発限り
故に藤丸立香の始末は確実にやっておきたかった、奴が健在なら何をしてくるかわかったものじゃない
「…?アレレッ、やめます?」
こっちの考えでも読み取ったのかそんなことを言い出すコヤンスカヤ
「バカな、やるぞ」
ここでやめれば結局不発に終わる、カウントダウンは既に0を指した。もう止められないし止めさせない
「始めるぞコヤンスカヤ」
『全人類生存権剥奪戦争を。』
コヤンスカヤ(闇)に神通力のような不思議な力で金縛りにされたあと、5本のモフ尻尾で全身もみくちゃにされたい作者のルルザムートです、ハイ。
ようやく分岐入ったぞぉ!さてさて、どうなるかどうなるか…あ、月曜からまた出張なので書けなくなります