弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
そしてアペンドスキルはこの先どうなるのか…
第120話《A》です、お楽しみください
通路を駆ける
10年間追い続け、戦い続けた仇敵と決着を付けるため…ではなく
自分自身に、決着を付けるために。
〜
F地区 美術館跡地 地下施設
擬似鋳物工場内 応接室にて…
「ッ!!!」
いきなり飛び込んできたザイルに3人の部下を瞬殺され、そのまま交戦。互いのコンバットナイフがぶつかり合って1回、2回、3回と火花を散らす
「さて、そういえば話していなかったな」
4回目でザイルが口を開いた
「俺とコヤンスカヤが何をしようとしているのか?
お前には聞いておいて欲しいんだが…聞いてくれるか?」
まるで知人が恋の相談でもしに来たように質問してきて一瞬ペースが乱されそうになるが持ち直してナイフを振るう
「…勝手に喋る。俺の目的は全人類に対して核攻撃を行い人類を滅ぼす…とまではいかなくともガッツリ減らすことにある」
「!! ザイル、貴様…!」
やはり核兵器を…!茨木童子の言っていたことは正しかった!…だが
「どこかで予想はしてた、って顔だな?ただまぁ核を使うのは俺じゃない」
「っ?」
核を使わずに核攻撃をする、だと?
ナイフの速度が緩み、瞬間無防備になった左腕を失った。…がすぐに再生する
「『そんなことできるわけがない』だろ?ああ、無理だ。でも核攻撃をした『フリ』ならできる。今やっているのはそれだ」
ザイルのナイフの速度が落ちた、いや俺に合わせて落とされた
「フリ、だと?そんなことに何の意味がある?」
「ヒントだ。とある国から核が撃たれた時、撃たれた側の国はどうやって『撃たれた』と判断する?」
っ?そんなもの決まっている、レーダーで探知して撃墜や報復の準備を──
!!!
まさか!コイツ、は…!
だがそうとしか考えられない、事実ザイルが使えそうな核も発射基地も見つけられなかった。いや存在しなかった!
「今、ロシア空軍にアメリカからロシアに向かっていく核ミサイルのデータを流している。ただのデータだが…レーダー上に映る1000発のICBM(大陸間弾道ミサイル)が本物かどうか、判別する手段は無い
レーダー上のミサイルが着弾するまであと18分とちょっとだ」
思い切り踏み込み、真上からナイフを振り下ろすも出たのは仇敵の血ではなく火花だ
「ッ…! そう上手くいくものか…!冷戦の時代ならともかく、いきなり1000発も核が撃たれて信じる国などあるものか
せいぜい機械の故障と思われて点検が行われるだけだろう!」
「ああ。だから細工をした。…実際にやったのはワタクシと慎二さん、って…分かった分かった、今は説明させてくれ」
ナイフとナイフがぶつかり合う中、まるで緊張感の無いままブツブツとその場にいない誰かに話しかけているザイルに、俺は初めて怒りではなく恐怖を覚えた
なんなんだ、なんなんだコイツは…!?
「で、なんだったか…そうそう細工の話だな、実は1000発のうち1発だけ10分早くモスクワに着弾するよういじった
そして今もう1人のコヤンスカヤが基地に落としたものより遥かに巨大で強力な隕石を用意してロシア上空に鎮座している
…この意味が分かるか?」
あの、宝具を…
「レーダー通りに起こる熱と衝撃、そして破壊。さてレーダーに残る999発のミサイルが偽物だと疑える奴は何人出てくるか…」
嬉しそうに、本当に嬉しそうに話すザイル。攻撃を掻い潜って左耳を切り落としたがそれでもコイツは笑っている
「ふざ、けるな…!どうして世界を滅ぼそうとする!?」
「滅ぼすのは世界じゃない、人間だ。それに残らず絶滅させるつもりじゃないと言っただろう」
「なに…?」
「あーあと最初に18分って言ったが隕石の宝具…ツングースカ・ナインドライブ発動までは8分しか──あ、今8分切ったな。とにかくそれくらいしか時間が無いことを覚えておいてくれ」
互いのナイフが弾け飛び、互いが3歩距離を取り、互いが獲物をナイフから銃へと切り替える
「ッ…妄言だ!それならなぜ戦争を仕掛けた!?」
奴の言うことが全て本当で、そのデータ1つで核戦争を誘発させられるのならわざわざ米軍や魔術師達と戦う理由が無い。そう思っての発言だった
「なぜって、そんなもの分かりきってるだろう?」
なんで分からないんだ?と猫のようにとぼけた顔のザイル
「コソコソ隠れ回って、ボタンを1回押すだけで勝つ戦いのどこが面白い?」
「・・・は?」
引き金に掛けた指から力が抜ける
コイツなんて言ったんだ?
「あのなぁ、テニスもチェスもスマブラも相手に張り合いがあった方が楽しいだろ?せっかく人類を虐殺するんだ、この戦いを出来レースにするには勿体無さすぎる」
「────」
ザイルのことを分かっていたつもりだった。下賤で外道なテロリストだと。だが、それよりも酷い
テロリストにだって目的はある、テロリストというのは自分達の思い通りに国や政治を動かしたいがために大規模な攻撃をする
もちろんそれ以外もあるだろうが…破壊と殺戮は手段であって目的では無いんだ
街を破壊し、大勢の人を殺してまで成し遂げたいことがザイルにはあるのだと思っていた
──だが今は違う
今のコイツにとって人類を攻撃することは数ある娯楽の一つに過ぎないんだ
『たまたまバットとボールがあったから野球をしてみよう』…そんな感覚で殺しているんだ
善いか悪いかなんて関係なく、易いも難しいも関係なく、ただ『できる』というだけでやらずにはいられない男、それがザイルなんだと俺は初めて理解した
くそ!俺だけじゃ──
なんとかこの状況を外に伝えようと戦闘の片手間に通信機を取るも…
「悪いが通信どころか念話もカットする特別仕様だ、この地下施設と外部は完全に遮断してある
…止められるのはお前だけだ、お前が止めろ、止めてみろクライム!」
通信は繋がらない、世界滅亡の予兆を知るのは俺だけ…!?
「外道が…!」
「データ送信を止めたいならこの先にあるメインコンピュータ制御室へ行って中をムチャクチャに破壊しろ、そうすれば止まる」
もっとも俺が死ぬかここから消えなければ制御室の扉は開かないがな、とザイルがまた笑う
そしてそこに──
ダダダダンッ
「やれやれ、相変わらず優秀な部下だな」
別グループにいた部下達がザイルに向けて発砲、見える限り2人しかいないが恐らく後続がいる
「中将!ご無事ですか!」
「俺に構うな!ザイルを撃て!」
今のは避けられたがこれだけ狭い部屋で撃ちまくればザイルと言えど──
「やれやれ、危ないな」
目を疑う速度でザイルが撤退、もうひとつのドアから逃げ出した
「クソ!逃がすか──く!?」
去り際に奴が撒いた地雷のようなものの1つが部下達の足元に──
「中じょ──」
「ッ!! がふっ…!くぅ…ザイル…!」
なんとか爆発から守れたが今度はザイルを見失ってしまった
探して、殺すしかない、あとたった7分で…そのためには──
「中将!いったい何があったんですか!?」
「クライムさん!指示をください!俺たちはどうすれば!」
「──手分けしてザイルを探せ、1秒でも早く!」
部下に頼り、彼らを危険に晒す以外に道はなかった
〜
戦艦兵器廠にて…
「ひいー、またこんなんですよ私達!」
「しかも前よりキツい気がするし、いやホント、ウチらなんでこんなのと戦わされてるんですかねぇ!?」
「喚くな!黙って斬れ!」
副長の一喝で意識を戻す
だが戻したところで出てくるのはさっき戦ったシャドウサーヴァント、また今度はそれに加えてNFFウェポンも混じっている
正直今すぐ逃げ出したいくらい劣勢だ、もちろんそんなわけにもいかないし気になっていることもある
「隊長さんどいてください!『金剛八式』…!」
沖田ちゃんの隊の包囲網を作りつつあったヤガの影を粉砕し、そのまま崩しにかかるミラ・ツールの存在だ。どういうわけかサーヴァントより弱いはずの彼女が善戦している…?というか
「彼女、もしかして狙われていないのか…?」
そう気付いた時、副長が動いた──
〜
美術館跡地 地下施設
擬似鋳物工場内 加工ラインにて…
「クライムさん!」
「下がれ!俺がすぐに「う、うわぁっ!?」ボンっ
「遅かったな、ちなみにレーダーミサイルは今丁度弾頭分割したところだぞ」
「ぐ!がああ!待てぇッ!!」
あと一歩のところで間に合わず、またザイルが扉の向こうに消えた
…今度も間に合わずまた部下が死んだ。連れてきた部下は全員合流できたがそれ以上にザイルのゲリラ戦に翻弄され戦死者は18人に上っていた
ちくしょうちくしょうちくしょう!なぜ、なんで間に合わないんだ…!
この入り組んだ工場内でザイルを1人で探すには時間が足りなさすぎる、だが部下と手分けして索敵をすればたまたまザイルと遭遇した奴が殺されるまでに俺が間に合わない
そして最後の部下が死んだ時、恐らく奴は──
「ッ…」
考えろ…奴はデタラメに逃げているわけではないハズだ、俺をいたぶるために部下を殺してゆくというのなら俺の近くにはまず現れない
俺が駆けつけるまでに絶妙に時間がかかる場所…
ご丁寧に見取り図まで壁に用意されていた。2秒でそれを頭に叩き込み、3秒で考える
奴ならどこに動くか…
「…いや、無駄だ」
俺ががいくら奴の出現地点を予測したところで多分間に合わない。ザイルは俺以上にクライムを知っている。…のか?
発想を変えなければ、どうなろうとこれで最後、これで終わりにするのなら──
「…こちらクライム、この擬似工場の見取り図とこれまでのザイル出現地点をマーカーして送る。その上で次アイツがどこに現れるか意見を聞きたい」
残る12人、いや13人に意見を聞きながら思考を回す
俺の思考が読み切られている、いやそれにしたっていつも絶妙に間に合わないおかしい。奴は俺を見ている?どこから?
『────』ピコン
「…分かった」
今一度見取り図を見たが複雑に入り組んでいるくせにザイルの移動速度が速すぎる
扉の向こうに逃げたザイルを追いかけても1枚隔てただけで奴は霞のように消えていた
発想を、発想を変えろ。単独顕現も無しにこんな無茶な移動ができるはずが無い。…見取り図には無い通路がある?それも違う、主要な通路や部屋が多すぎて作る余裕など無いだろうしさっき工場が現れた時も怪しい場所は見当たらなかった
壁の中にでもいない限り──壁?
!!!
瞬間、弾けるようにザイルが消えていった扉の真横へ
「そこだザイルッ!!!」
RPG-7を撃ち込んだ
「ぐああっ…やれやれ、もう見つかるとはな」
砕けた壁の中から転がり出てきたザイルへ予備のロケット弾を持って特攻、そのまま火薬に点火「っと、そうはいかないな」
右手首を切り落とされ、点火されたロケット弾は手と一緒にあらぬ方向へ吹っ飛んで爆発、出入口の1つが瓦礫に埋まる
「クソッ!」
「いくら不死身だからって人間1人相手にロケット弾持って特攻は無いだろ」零号機じゃあるまいし
相変わらず言っている意味はよく分からないがなんとか引きずり出した、残り時間は大体5分だがデータ送信を阻止することを考えるなら余裕は3分程度…
「分かってはいたが、ああ…そうだな。偽装データとか関係無くどうあっても俺を殺したいのがお前という奴だよな?
残り時間ももう無い…よし。それなら俺も本気で行こう」
もう後は無い。俺にも、人類にも
「これまでだザイル、殺してやる…!」
「──来い、クライム!」
コヤンスカヤの夏霊基が実装されるかもしれないということで周年の石800個を丸々温存している作者のルルザムートです、ハイ。
ふわふわもふもふの上位存在(妖狐とか妖狐とか妖狐とか)っていいよね…
戦闘シーンが思ったように書けず気晴らしにのじゃ『妖狐×臆病巫女』をお題に書いてたけど私がやるとどうやってももっふもふの尻尾に取り込まれてふわふわ快楽堕ちにしかならないのよね…