弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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いよいよ1番書きたかった文化崩壊後の世界を書いていきます
剥奪戦争の描写については迷いましたがカットで、書いてみたらちょっと生々しい上に今まで出てきたキャラ殆ど出ないからね…
というわけで第121話《B》です、お楽しみください


第121話 A『裏切り』/B『culture protect country』

CPC 第3区画 牧場にて…

 

 

「…ふー、こんなもんか」

牛舎の清掃を終え、ぐぐっと背伸び。

「す、すみません衛宮さん、また手伝ってもらって」

「好きでやってることなんで気にしないでください、じゃあ俺はこれで」

 

 

 さてと、桜のところに行こう。今の時間なら多分子牛の体調管理をやってるだろうしすぐ会えそうだ

 

 

「桜!」

「あっ先輩、あと少しで終わるのでもうちょっとだけ待ってもらってもいいですか?」

「俺のことは気にしなくていいぞ、それよりも何か手伝えることはあるか?」

「いえ、本当にこの子が最後なので………異常、なし…はい、終わりました!」

 

 

「なんだか急かしたみたいで悪いな」

「いえ、とんでもないです!…じゃ、じゃあ、その、行きますか?」

「おう、とその前に…」

「えっ?わわっ…!」

 

 

朝から休みなく働いていたのだろう桜の額から頬に伝う汗をタオルで軽く拭いておく

「約束の時間までまだあるし先にシャワー浴びてリフレッシュしたらどうだ?俺は許可証の受け取りに行ってくるから」

「え、は、あ。す、すみません!その、汗とか匂いとか、その…」

「? それは桜が仕事に対して真面目に取り組んでる証だろ?俺は好きだぞ」

「!! あ、ありがとうございます先輩!じゃ、じゃあそのシャワー浴びて、着替えてきます!!」

 

 

何故か顔を真っ赤にし、とんでもないスピードで駆けていく桜を見送って事務所へ。

 俺も少し汗をかいたが…ま、藤ねぇのところでシャワー借りればいいか

「おや、衛宮牧場長」

「だから整備長補佐…じゃない、牧場長補佐ですよネリスさん」

 

 

5年前、一緒にHOPEボーダーのメンテナンスクルーとして働いていたネリス整備長と共に事務所内へ

 …そうか、もう5年経ったのか

 

 

 

 

 

5年前、人理の未来を賭けて行われた獣と人類の戦争は突如として降り注いだ核ミサイルの雨によって決着のつかないまま終わった

やったのはロシア空軍、既に日本…いやCPC以外の国が消滅している今、何故ロシア側から攻撃があったのか生き残った人々は誰も知らない

 

 

間桐慎二以外は。

 

 

 

 

 

「あ!衛宮さん!今大統領がお見えになって──「お忍びて来たってさっき言ったよね?…騒がないでさっさと席を外してもらえる?」

「は、はい!失礼します!」

 

 

 

逃げるように飛び出していく事務員達にネリスさんも続き、冷房の効いた事務所に残されたのは士郎と慎二の2人だけ。

「…慎二」

「やあ衛宮、桜は一緒じゃないの?」

 

 

「桜は今シャワーと着替えで外してる、もう少ししたら来ると思うぞ」

「いや、桜が殺人鬼の僕と会っても苦しむだけだ。顔を合わせなくて済むのならその方がいい」

「この前のことを言ってるのなら俺も桜も感謝してる、もちろんこうやって気にかけてくれることも全部な」

 

 

ついこの前、ベリルという男がふらりと牧場で働く桜の元にやってきたことがあったのだが何を思ったかいきなり桜の指を折ろうとしてきた

俺も割って入ったが敵わず、死を覚悟したものの激昂した慎二が駆け付けて男を射殺、俺と桜はまた慎二に救われた

 

 

「殺人を正当化することはできない、それでも慎二はまた俺と桜を守ってくれたことに変わりは無い

 …一度桜と話してくれないか、せっかく兄妹2人とも生き残ったのにこのまま永久に会わないつもりなのか?」

「桜の隣に衛宮がいる限り、僕という支えは必要無い。僕には僕の、衛宮には衛宮の役割があるんだ。分かってくれ」

 

 

 役割…

「それはお前がCPC大統領だからか?」

「人殺しだからだ。あの時衛宮が言ったようにもう取り返しがつかない、人殺しと同じ場所で過ごせるのは人殺しだけだ」

「慎二…」

 

 

互いに変わらない表情を貼り付けたまま、沈黙が流れる

たった5年、たった5年でどうしてこうなってしまったのか

 あの頃俺たちはただの学生だったはずなのに。

 

 

ピリリリリッ

鳴り響いた携帯の呼び出し音が重苦しい空気を砕き割る

 

 

「悪い…もしもし?…ああ、ちゃんと時間までには戻るから──はぁ?

まったく…分かった、戻るよ。うん、じゃあね

…仕事ができたから今日は帰らせてもらうよ?くれぐれも僕が来たことは秘密にしてくれ」

 

 

そう言って、今日も慎二は帰ってゆく

 ──あの時と同じだ、去っていく親友の背中に声をかけられない

「慎二、俺は…」

「先輩?…あの、誰か来てたんですか?」

「桜!…あ、ああ、本社の監察官だよ。牧場はここが1番だって褒めてたぞ」

 

 

そしてまた、俺は桜に嘘をついた

『言わないでくれ』と頼む慎二の頼みを、断れなかったから──

 

 

トゥルルルル…

 

 

電話…

 

 

「私が出ます!…はい、第3区画牧場事務所、間粡です」

『あ!桜ちゃん?私私〜!ねーそっちに士郎いるー?今日の約束の時間って12時だっけ、13時だっけ?』

音は受話器からしか出ていないはずなのにスピーカーより大きな声でやいのやいのと喋り倒す声が聞こえている

 

 

 だから声デカすぎだろ…桜がびっくりしてるじゃないか

「受話器貸してくれ…藤ねぇ、電話をかけるなら事務所のじゃなくて俺の携帯に掛けてくれ」

『客として事務所に掛ければ電話代かからないの知ってるでしょ?タダより安いモノは無いのよ!で、何時だっけ?』

 

 

 言ってそこまで高いわけでも無いだろう…

「分かった分かった、もう好きにしてくれ。あと約束の時間は11時だぞ」

え。マジ?なんて言葉を聞き流して受話器をがちゃり。

 

 

「行こう桜、藤ねぇがお待ちかねみたいだ」

桜の手を引いてさっき入った扉と反対の扉から牧場外へ。

街行きのバス乗り場へ向かうのだった

 

 

 

 

 

NFFボーダー 船首甲板にて…

 

 

「まったく、気軽に呼びつけてくれるね」

いつも通りにアルビオンを着艦させ、甲板へ飛び降りる

「よく戻りました慎二、無事で何よりです」

「…アンタが出迎えてくれるのも慣れたもんだ

モルガン

 

 

別世界からやってきた妖精國の女王にして異聞帯と呼ばれる空間の支配者モルガン・ル・フェ

元々はカルデアのサーヴァントだがザイルとコヤンスカヤによって急所を抑えられており、今はボーダー付きの魔術師として働いている

 

 

「ただの人間が私の名を呼び捨てるというのも、ですね

この上なく不敬ですが今はそのようなことを言っている場合でもない

 …いつも通り15秒、魔術で外界と遮断します。情報の交換を。」

 

 

特に何かを詠唱するわけでもなく結界を張るモルガン

魔術の才が無かろうと知識はある。故にそれがどれほど高度で、また難しいかはよく分かっている

 

 

「このUSBに入ってる、閲覧は僕の部屋で。今回のパスは0203だ」

中身はCPC全体の状況と、CPC内におけるNFFサービスの活動内容、第1区画の警備状況、そして──同区画内に居る妖精、バーヴァン・シーのビデオレターだ

 

 

「分かりました、ボーダー側の情報はそちらの義手に。明日この時間に起動するよう調整しておきましたので確認を」

手慣れた速度で情報を交換、5年も同じことを続けていれば当然の話ではあるのだが

 

 

「…こんなところですか」

「ああ、僕はザイルに呼ばれているから今日はここまでだ」

 

 

やるべきことを済ませてさっさと別れる

 油断できない相手であることに間違いは無い、だが獣陣営に属しておきながらも内心、獣陣営に対して明確に敵対している唯一のサーヴァントでもある

 

 

「ええ、ではまた」

利害関係の一致から始まった慎二とモルガンの付き合いは剥奪戦争直後から続いており、故に互いの信頼は厚い。

 

 

ひとたび互いが表立って組むことができれば獣と言えど止めるのは容易ではないだろう

…だからこそコヤンスカヤとザイルは衛宮士郎やバーヴァン・シーを2人への抑止力として保護区内に留めている

 

 

この終わった世界の中において安全は保証されているものの、裏を返せば獣の牙がいつでも届くということだ、自分たちが迂闊には動けば安全地帯は一瞬で処刑場に変わる

 

 

 なんとかして4人をCPCから…コヤンスカヤの檻から連れ出さないと僕もモルガンもまともに動けない、チャンスを待つしかないな…

 

 

「さて、と」

 

 

焼き尽くされた世界は、焼き尽くされた文明はもう戻らない

ヒトという群体を失った世界は新しい支配者を選び出したものの、それはすなわち人類の緩やかな終わりに他ならない

 

 

その中心こそ、ザイルとコヤンスカヤの2人…彼女らを排除しない限り人類は気付かないようなゆったりとした速度で消えていくだろう

 

 

──その前に殺せ

 

 

ザイルを本物の亡霊に変え、コヤンスカヤをこの世界から追い出す。それが──

 

 

「僕の、僕にしかできない役割であり責任なんだ、衛宮…」

 

 

世界の滅亡は、かつての傲慢な少年を消し去った。ここにいるのは守るべきもののため両手を見えない血で染め上げた青年だけ。

 

 

 ────青年の目に、明日はまだ見えない




コヤンのケモ耳がぴょこぴょこ動いていたらいいな、なんて思ってる作者のルルザムートです、ハイ。
というわけで崩壊後の世界を少しだけ。明確な世界の描写は次回以降書いていきますよー
そしてうん、慎二の主人公化がやめられないとまらない
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