弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
コンテナ置き場北部にて…
「『
中央部から聞こえるデカい声と爆発音をコンテナとコンテナの比較的小さな隙間で聞きながら静かに対物ライフルを微調整する
ダヴィンチから敵位置の情報は義手を介して既に受け取っている、あの位置から宝具を放てば奴らを分断できる…かもしれない
分断できれば儲けもの、できなければ次を考えるだけだ、さて…
新調したばかりの──いや、ダヴィンチが予め造っていた義手の手の平を閉じたり開いたりして動作を確認しつつ敵の動きを伺う
(余談だがこれには『ダヴィンチちゃんアーム改2号機 拡張カスタムタイプ++』という長ったらしい名前がある…が、覚える必要は特に無い)
…ん
「ダヴィンチ、そこから見えるか?」
『見えてるよ!2人こっちに来たね、どう?いけそう?』
ライフルのスコープを覗き込み、たった今送られてきた情報を元に索敵する…と、あまりにもあっさり見つかった
洋装のサーヴァントに…隣の軍服がマスターか?随分と不用心──ん…?
ふとその男に既視感を覚え、スコープの倍率を上げて顔を確認する
「──やれやれ…またお前か?クライム」
まぁお前の弟が教会にいる時点で予想はしていたがな
『ザイルくん?』
「…狙撃は無理だ、場所を変える」
『はいはーい!』
面倒だな…
──クライム・アルバート──
通称『勇者』
年齢は…俺とほぼ同じの20代前半だったか?
その歳で陸軍少将という地位を持ちながら常に誰よりも前線に出て国に仇なすものと戦う男
国を愛し、国民を愛し、それを汚し傷付ける外敵を憎悪する…つまりウルフルズのような犯罪組織が大嫌いなワケだ
実際に対テロ特別捜査本部?だったかの最高責任者でもある
そして捜査本部と名目上はなっているが実態は犯罪組織へ激しい怒りを燃やす戦闘集団だ、はっきりいって下手な魔術師やサーヴァントよりも相手にしたくない連中だな
「やれやれ…」
対物ライフルを折り畳みながらその場を離れ、適当な隠れ場所を探しながらどうすべきか考える
奴の事だ、魔術に関する適性や能力は俺以下だろうが陸軍将校だけあって銃火器の扱い、地形の利用、戦況判断、どれをとっても俺より上だろう
義手のバフで近接戦闘はこっちに分があるだろうが…
特に狙撃に関しては効かないことは過去、奴を暗殺しようとして何度も防がれたせいで身に染みてよく知っている
本能で行う危機回避能力というか…俺が病院でランサーの一撃を避けた時のような直感というのか、どうもクライムはその能力がズバ抜けて高いらしく、
「ダヴィンチ、奴らは今何をしている?」
『彼らは…え、ウソ!?見失った!?』
「だろうな、さて…」
さっきあっさり見つけられたのは奴がそう見せていたからに過ぎない
『自分を囮にしてこっちの居場所を探る』という無茶な作戦だったのだろう、正直なところ初見じゃ思いとどまれたかどうか怪しい、もし撃っていれば──瞬時に奴のサーヴァントが俺をバラバラにしていたに違いない
『索敵する、少し時間をちょうだい!』
「索敵はしなくていい、霊体化して気配を消せ」
『えーと…理由、聞いてもいい?』
「クライムは待ちの戦法を好む、自分を囮に相手を釣って痕跡を残させそれを追う…痕跡を残すな、先に痺れを切らして動いた方が死ぬ」
取り回しのしづらい対物ライフルを背負い、対神秘改造とは別のコルトパイソンを取り出す
『なるほどね、じゃあ…私ができることはあるかい?』
「ノーアと情報交換をしてくれ、向こうの状況も知りたい」
『りょーかーい』
義手からしていた小さな陽気な声が消え、あたりに静寂が訪れる
それにしてもノーアの契約しているサーヴァントだけあって協力的だ、義手の件もあるしありがたい
「…?」
だが不思議とダヴィンチが俺のサーヴァントだったらという考えは浮かんでこなかった、というよりダヴィンチが自分のサーヴァントで無くて良かったとすら思っている始末だ、理由は分からない
何故だ…?
理由も無いのに結論が先に出てきたことなど初めてだった
…後でたっぷり考えるとしよう、今は────
カンッ、コロン
!!
金属音を聞いたのとほぼ同時に、音の原因を拾って三段積みになっているコンテナの裏へ投げる
手榴弾か、どこからだ?
向こう側で炸裂した手榴弾の音を聞きつつ周囲を警戒する
「ダヴィンチ、かなり早いが通信再開だ」
『はいよー』
ここはマズイな、狭すぎてライフルも構えられない、移動したいが進めるのは状況の分からない前とさっきまで居た狙撃ポイントのある後ろだが──
カンッ、キンッ
また手榴だ────いや、これは違うな
背後に落ちる手榴弾に似た何かの方へ跳ね、コンテナの隙間から飛び出すと同時に反射でそこに居た人物にコルトパイソンを撃つ
音が軽い、ただのこけおどしだ
「ぬあッ!?」
頭部を狙って撃ち込んだ銃弾は避けられたものの、奴までの距離は7メートル弱…近付きさえすればほぼ殴り勝ちできる
敵サーヴァントが来る前に終わらせる…!
「ダヴィンチ!バフを回せ!」
『了解っ!』
常時掛かっている義手の強化に加えダヴィンチからの魔力により走力、筋力、動体視力がさらに強化される
5メートル…
この速度と距離なら詰みだ、距離は取らせない
やれやれ、もうお前の顔も部隊も見飽きた、沢山だ、いい加減死ね
──が、距離があと3メートルとなったところで予想外のことが起こる
「舐めるなッ!」
…!?
銃を構えたクライムが逆に向かってきたのだ
しかし予想外とはいえこれは好都合であり、素早く迎撃態勢に切り替える
お前が攻めに回るとはな、だがバフの掛かっている今なら火縄銃程度当たったところで──火縄銃?
「…ッ!!??」
背中に氷水を流されたような感覚を感じ、携行していた地雷を真下に叩きつける
衝撃感知の地雷だ、そんな使い方をすれば当然──
「がっ…!」
至近距離で発生した爆風を義手の護りで強引に軽減、衝撃を利用して飛び退く
そして…直後その判断が正しかったと思い知らされた
…!やれやれ、コンテナが木っ端微塵とはな
鋼鉄のコンテナが豆腐のように吹き飛び、破片が散らばる
日本でかつて使われていたとされる火縄銃…言わば時代遅れの
「サーヴァントから直接武器を借りたか…」
それがあの火縄銃だとするのならかなりまずい状況だ、奴の射撃スキルを考えれば…敵サーヴァントが1人増えたようなものだ、飛び道具な分フーレンよりも厄介な敵だろう
当然即座に退却だ、こんなのとまともに戦っていられない
「逃がさんぞッ!出てこいバーサーカー!!退路を塞げ!」
「ああ!」
しかしこっちが退くことを予期していたのか3段積みのコンテナが次々と落ちてきて、あっという間に道を塞いでしまう
「…やれやれ」
いくらサーヴァントとはいえ瞬時にこんな命令をされて動けるとは思えない、つまり…最初に手榴弾を投げた時点でこっちの動きを読んでたってことか
さっき強引にでも接近していれば、と思ったところでもはや後の祭りだ
「…」
手に持ったコルトパイソンの残弾は確認するまでもない、何発残っていようがこの状況では意味が無い
ダヴィンチは今どこだ?…後方約30メートルの高台だが付近に別のサーヴァントの気配がしている、援護は期待できないな
「…」
…まるで打開策が思いつかない、ダヴィンチに呼びかけるにせよ令呪でコヤンスカヤを呼ぶにせよ、それを見たクライム達が動き出す方がどう考えても速い
「ようやく、ようやく追い詰めたぞザイル!!散々アメリカの、国民の平和を踏み躙ってくれたな!?」
ここは時間を稼ぐしかないな
他にできることはない、適当な話題を作りつつ打開策を模索する
「言い掛かりだな、俺はただ自分のやりたいようにやっただけだ、金を持っているだけで偉いと思い込んでいるアホはどうも気に食わないからな」
「黙れ!そんなどうでもいいことを言っているんじゃない!!貴様のせいでどれだけ罪のない人々が死んでいると思っている!?」
ズキン
コイツ…ただ適当に喋るだけの時間稼ぎのつもりだったが胸糞悪くて仕方ない、罪のない人間?笑わせるな
「『平和』だの『正義』だの、夢を見すぎたバカが。寝言を言うな」
「な、なんだと!?」
ズキン
「罪のない人間なんていない、お前らクソ共は存在しているだけで罪まみれだ」
怒りと苛立ちが混ざった黒い何かが俺の内側で再燃し始め、その炎が揺れるたびに鈍い痛みが額に響く
「お前のその平和は誰にとっての平和だ?お前の正義は、お前が守りたいと思っている人間1人残らず、正義として認めているのか?」
ズキッ
「何をワケの分からないことを…!貴様が、貴様という癌が!人々を腐らせている最も大きな要因だろうが!!」
「最初から腐ったクソ以下の人間共がこれよりどうやって腐ると言うんだ!?」
な、なんだ…?なんで俺は叫んでいる…?
俺自身、何故怒りが込み上げて来るのか理解出来なかった、確かに俺は人という生き物を自分勝手な奴らだと思っているが所詮はその程度の、さして関心を持つようなことではないハズだ
──にもかかわらず言いようのないドス黒い怒りが俺の内側で際限なく増殖して燃えてゆき、そのせいなのか額から微量の血が滴り始めた
「クソ以下は貴様だ、ザイル!その自己至上主義が貴様の本性!それを知ったからこそ、俺はここで貴様を殺す!バーサーカーッ!」
「…やるのか?」
「ああ手を貸せ!確実に殺すッ!」
「!」
背後の気配が動いた…!まずいな、ダヴィンチもこっちに移動してはいるが…
「『レオレオ!防御機能最大!』」
とりあえず初撃は義手でなんとか防ぐしかない、閃光弾と爆薬で目眩しして令呪を切って──
ガクン…
いきなり、本当にいきなり、この場面で最悪な感覚が右肩から伝わって来た
おい、まさか──
だらりと義手が垂れ下がり、握っていた閃光弾が地面に転がる
「ッ…!?」
バカな、こんな──
「ハァァァァア!!!」
先程と同一人物か疑うような、まるで鬼神でも憑依したような気迫のクライムが迫る
「…っ!」
間一髪奴の銃撃を回避し、動く左腕を奴の首に絡ませて投げ倒すが…もはやただの悪足掻きだった
「いいんだな、マスター?」
丁寧に研磨されたであろう日本刀が首筋に触れると同時に、厳格そうな声が背後から聞こえる
「ああ!殺せっ!」
「分かった」
ひたりと首に触れていた冷たい感触が消え、鋭く、鋭利な感触へと変わる
「────」
ああ、クソ
──終わりだ──
イベ残り時間が1日を切ってようやく特攻礼装が泥した作者のルルザムートです、ハイ
終わりとか言ってますが終わらないのでご安心を^^