弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
街の教会にて…
「ではここに7人目最後のマスター、ザイル・ニッカーの参加を本聖杯戦争監督役である私、エナ・アルバートが認めます。魔術師の誇りを汚すことの無いよう、アサシン…
「ええ必ず、ではこれで失礼します…行くぞアサシン」
「はいただいま」
今若干ジト目になっている俺のサーヴァント、コヤンスカヤを連れて教会の外へ──
(で、ぶっちゃけなんでマタ・ハリになってるんですワタクシ?)
──出ると同時にコヤンスカヤの声が頭の中に響く
テレパシー?こんなこともできるのか…
(ええまぁ、パス繋がってますし?これくらいサーヴァントならできますよ?それでマスター?)
コヤンスカヤの念話を聞きながら缶コーヒーを片手に街を歩く
なんだ?召喚した時に『秘書兼スパイ』だとお前は言っていた、そういう意味ではマタ・ハリはいい選択と思うが?
…ああそうか
そもそも何故偽ったか、か?
(まー、そうですねぇ…)
そんなの簡単だ
聖堂教会が信用できないからだ、それ以外に無い
(ほー?)
「…」
切嗣の参加した聖杯戦争ではアーチャーのマスターとアサシンのマスターが裏で手を組み、監督役はそれを罰するどころか支援していたらしい。公平であるハズの監督役がこういうことをしている時点で信用はゼロ、全て敵だと思った方がいい。
(なーるほど)
そもそも冬木の聖杯戦争からロクに時間が経っていない…遠坂の当主は死に、アインツベルンもホムンクルスを失った、マキリもマキリで送り込んだ魔術師を失い…いや、マキリは化物じじいが裏から出てくる可能性があるにはあるが。ほぼ無いと考えていいだろう。聖杯戦争で付いた傷跡は決して浅くは無いハズだ
聖堂教会としては聖杯は回収したいが表立って教会の人間を参加させるワケにも行かない、だから冬木では御三家の内の一つ、遠坂家と組んだんだろう…なら今回の聖杯戦争は?今回聖堂教会はどうすればいい?
(…)
言う事聞きそうなアホのマスターを探して手を組むことだ、他マスターの情報と引き換えに聖杯の力の一端を見せてくれ、とでも言ってな…あとは掠め取るタイミングを間違えなければいい
(いつの時代も人間は変わりませんねぇ)
人間なんてそんなものだろう、まぁとにかく当分は誰も信用しないことだ。…誰も、な
一画減り、残り二画となった左手の令呪を見てため息をつく
(あら、もしかして後悔してます?くだらない命令に令呪使っちゃったなー、って)
それは無いな、今もあの命令は役に立っているし、どちらにせよこの聖杯戦争で令呪に頼ることはもう無い、問題はない
(それはそれは!もし要らないんでしたら一画譲ってくれません?魔力の塊を使いもせずそのままなんて非生産的ですよ?)
それはお前の働き次第だな?
(アナタ性格悪いですねぇ…だったらせめてその労働の許可くらい出してくれてもいいのではありませんか?)
「…やれやれ」
〜
数時間前、切嗣の用意した召喚陣のある洞窟にて…
「…早速だが令呪を持って命ずる。アサシン、俺が許可しない限り俺の目の届く範囲から消えることを禁止する。」
「え、いきなり?」
左手の令呪が一画消え、一画分の魔力がパスを通ってコヤンスカヤに流れ込む
「んもー、ワタクシがいくら美人だからって独占されては仕事に支障が出ちゃいますよ?」
「それで構わない、この聖杯戦争でのお前の仕事は聖杯を取ること。それだけだ」
長いことギャングのボスなんてやっていると一目見ればソイツという奴がどんな奴なのかなんとなく分かるようになる、コイツの場合は…ああ、アレだ。『放置すると敵より厄介になるタイプ』だろう
「いやあのですね?その聖杯を取るためっていうのにそんな制限をされたら──」
「…」
説明不足だったらしい
「言い直そう、お前の仕事は『完成した聖杯を手に取り、俺に手渡すこと』だ、それ以上は望まん」
「えーと?それはつまり6人のマスターとサーヴァントをアナタ1人で相手する、ということで?」
「当分はな」
サーヴァントを使って敵を倒さねばならない、なんてルールは無い。そしてマスターさえ殺せばサーヴァントは現界できない。ならばマスターにのみ的を絞れば俺1人でも充分戦えるだろう…
「まぁ!マスターとそれにくっつくサーヴァント相手に生身単身で挑むなんて、アナタって勇者だったんですね!」
心底バカにしたようにアサシンが笑う
実際にバカなんだろう、魔術師の立場で俺の行動を考えればただの自殺行為だ、
「…」
聖杯戦争に参加するマスターとしてではなく、これまで多くの人間を見てきたギャングのボスとして感じるのは
どれだけ窮地に立たされようとも自分の理解の及ばないものの力には頼らない、頼ってはならない、理解できないものの力を使うということは自分で考えることを放棄した逃避とほぼ同意義だ…だから義手の製作を頼むのはかなり渋ったし…それに、そういう意味では聖杯を求める時点で間違って──
『誰にも聖杯を使わせないこと、その一点だ』
「…!」
一瞬切嗣の言葉が頭に蘇る
まさか…そういうことなのか?切嗣…
「でー、これからどうするおつもりで?」
「…まず参加表明をしに行く、その後は基本様子見しつつ他マスターの調査と物資の準備、後は──」
チラリと右腕の義手に目をやる
「…これの『製作者』のところに行って整備してもらおう」
頭を切り替えて洞窟の外へ
やれやれ…サーヴァントの存在を知った今じゃ『奴』が本当に製作者なのか怪しいもんだが…
〜
時は戻り現在…
とある豪邸の一室にて…
「じいや、じいや!ボール遊びしに来たぞ!起きろ!」
「主人殿は激務の疲れを癒していらっしゃる最中、邪魔してはなりません!」
「…」むくり
部屋の外から聞こえてくる喧騒に目が覚める
「えー!」
「『えー!』ではありません!私だって我慢しているのです!」
「…」
軽く身なりを整えてドアを開ける
「あっ!じいや!聞いて!ライダーが意地悪するんだ!」
「意地悪などではありません!…主人殿、起こしてしまい申し訳ありません!」
孫娘のミラとライダーがやいのやいのと言ってくるのを宥めつつ言う
「いや、いい…丁度起きようと思っていたところだ…ミラと遊びたくてな」
「ホント!?」
「あっ!?ずるいです!私の方が先に約束してたんですよ!」
「ははっ、もちろんお前との約束も忘れてはいないさ」
右手でミラ、左手でライダーの頭を撫でる
「「〜♪」」
…ふ、こんな老ぼれのどこが良いのか…だがまぁ、悪くはない
上機嫌の2人を連れ、庭へ向かう
「…!」
丁度その時、最後のマスターが揃ったという知らせが使い魔を通し、情報として頭に届く
「主人殿?」
「じいや?」
「…いやなんでもない、じゃあボール遊びをしよう、まず最初は誰が1番長くボールの上に立っていられるか勝負するというのはどうだろうか?」
「なるほど!流石は主人殿!私の得意分野です!」
「私だって得意だもん!ライダーには負けないから!」
だからこそ今は2人との時間を大切にしなければならない、明日自分がどうなっているか分からないのだから…
「…ところでライダーよ」
「ハッ!なんなりと!」
言おう言おうと思って言えなかったが意を決して言う
「その…シャツを着てくれたことには感謝している、だが──」
「?」
…
ライダーの着ている『さぁ、血を吐くまで遊べッ!!!』と日本語でプリントされたTシャツが気になって仕方がない…召喚した時彼女の格好に問題があったため『そのような格好はやめてくれ』と注意した次の日から着ているのだが一体どこから持ってきたのか…
…幸いなのは日本語を理解できるのがここには私だけということくらいか
「服は用意する、だからその、今の服はもう着ないでくれ」
「え、ええっ!?…そんなぁ」気に入っていたのですが…
〜
とある一軒家にて…
「ああっ!?」
「ハイ勝ち、テレビゲームなんて生前には無かったが…この手の物ならオジサン、多分負けないよ?」
彼…ランサーとの勝負はもう何回負けたか分からず、勝てない苛立ちもあってのたうち回るくらいしかできない
「んがあああ!戦力差おかしいでしょ!なんでこっちの兵力の半分以下でそんな強いのよ!?」
「いやー、対戦相手がCPU?だったらこうはいかないだろうけど…結局のところ対戦相手をどう油断させるかで勝負が決まると思うんだな、オジサンは。」
画面の中でメラメラと燃えるドット絵の城を見ながら笑うランサー
「ああもう!…ハァ、ゲームの上手いサーヴァントなんて居るんだ…」
「オジサンの場合、ゲームが上手いというよりこういうジャンルが得意なだけなんだよ」ちょっと煙草吸ってくる
上機嫌でベランダに出るランサーの後ろ姿とテレビ画面を交互に見てため息をつく
だからっていきなり始めてあっさりユーザー全国ランキング1位をキープされちゃたまったもんじゃないわよ…知らないだろうけどあなた今ユーザーの中じゃ有名人よ?良くも悪くも…
腕はいいのにユーザー名のせいで一部のギリシャ神話を愛する方達から猛烈に批判されてるのよね、そのユーザー名というのが──
『アキレウスはクソ』『アキレウスは野蛮人』『アキレウスアンチ』『アキレウスウンチ』
こんな感じで色んな名前を付け替えて遊んでいる…
「…」汗
嫌いすぎじゃない…?いやまぁ彼の真名を知っている身としては分からなくも無いけど。
余談だが批判しているギリシャファンとは別のギリシャファンからチャットでちょくちょく真名を呼ばれている、もちろん向こうはサーヴァントなんて知るわけ無いから単に呼びたくて呼んでるだけだろうけど
「ん」
使い魔に反応が…?
確認してみると…
「…ランサー!今いい?」
「どーした?」
ぐりぐりと煙草の火を消しながら戻ってくるランサー
あ、アレ2本目に火を付けたばかりだ、悪いことしちゃったかしら…
しかしまぁまた後で買ってあげればいいと思い、話を続ける
「7人目最後のマスターが揃ったらしいわ、残念だけどゲームの時間はここまでね。」
「ん、そうか…んじゃオジサンのアキレウスアンチ活動はしばらくお休みだな」
それはもういいから…汗
〜
米演習場特別区画内、居住区にて…
「おいバーサーカー、話がある」
コンバットナイフを収納し、部屋の奥で武器の手入れをしているであろうバーサーカーを呼ぶ
「どうしたマスター?」
「情報だ…最後のマスターが揃ったらしい」
「そうか、じゃあ…出るか?」
「いや、まだその時では無い、情報が皆無だからな…しばらくは様子見と行くつもりだが…お前はどうしたい?」
バーサーカーに意見を聞いてみる…幸いなことに彼はバーサーカーのクラスに当てはめられているが理性はしっかり持っている、それどころかその知性は普通の人間と比べて群を抜いて高い、その彼に意見を聞くのは間違いでは無いだろう
「情報を得るなら全く動かずにいるのはあまり勧めないな、大なり小なりの波を誰かが出さなきゃならねぇ」
「そうだな」
結局様子見といっても誰かと誰かが戦い始めなければ様子見もクソも無い
「だから俺たちがその波を起こすべきだと考えている」
「敵に手の内を明かすと?」
「ああ、俺たちによって都合のいい明かし方でな」
「…分かった、また後でその作戦を聞こう、時が来るまで今は休め」
「ああ、そうさせてもらおう」
例え理性があろうと彼はバーサーカーのサーヴァント、現界するにも他のサーヴァントより多くの魔力を使う、それを押して波を立てる側に回ろうと言った彼には何か考えがあるのだろう
バーサーカーが引っ込んだのを確認し、仮眠室に入り横になる。
何が何でも聖杯は手に入れる、誇りある祖国…アメリカの為に!
〜
とあるビジネスホテルにて…
「これは魔術師の家系だからとか才能があるとかそういう次元じゃないでしょ…もう一回聞くわ、どうやったのよ…?」
「こっちが聞きたいよ!」
信じられない物でも見るかのように姉さんが私の顔を覗き込む
いや、私だって信じられないんだけど。
「ともかく呼んじゃったものは仕方ない、やるからには勝ちなさいよ?」
それだけ言って姉さんは部屋から出て行く
そりゃ私も勝つつもりだよ、だってあんなカッコいいサーヴァントを召喚したんだから勝たなきゃウソってものだよ?
そんなことを考えていると部屋の奥から扉の開く音がし、トイレから大男が出てくる
「あいでっ!またドアに引っかかっちまった…なーマスター、ここ狭いし拠点は他のところにしない?」
「しない。もうお金払っちゃったし。」
ばっさりと一刀両断する私に、げえーマジか…と分かりやすく落胆するアーチャーのサーヴァント
「…」
ある日偶然見つけた正体不明の地下施設の入り口、興味本位で潜入した私はその奥であの召喚陣を見つけた
誰が用意したのか分からない、ただ興味本位で手をかざしてみた、それだけだった。気付けば私の右手には令呪が刻まれており──
「ふぁ〜あ、暇だな…」
彼、アーチャーと契約していたのである
「最後のマスターがまだ揃っていない、もう少し待ってよ」
「あーうん、それはいいんだが…丁度いいからマスターに話しておきたい事があってな?マスターとサーヴァントって関係以前に、さ」
「…?何?」
初めて見る彼の真面目な顔に思わず背筋が引き締まる
「俺は…イヤ、うん──俺と付き合わない?w」
「──」
パキンと世界が割れる音が聞こえた気がした
「あっ、やっぱダメ?でも暴力はヤメテ──」
がっし
「ゑ?」
私の顔より大きなアーチャーの手を両手でがっしりと掴む
「是非。」
…
マジで!?いいの!?
いいよ!?
〜
???にて…
「クソッ…!何故だ!何故…がっ…は…!」
「マスター!」
戦いと呼ぶには一方的過ぎる戦局に狼狽える、とあるマスター…本来どのクラスのマスターも余程のことがない限りこんな序盤から前線には出て来ないし、彼の使役するサーヴァントのクラスを考えれば尚更だ。そんな彼らがこうして直接対決の場にいるのは何故か?
「そのクラスのサーヴァントを召喚したのが運の尽きさ、恨みどころかキミのことなんて全然知らないけどここで死んでくれないと困るんだよねー」
ごめんねー、と少しも謝罪の気持ちが伝わって来ない顔で謝る白衣の女性、その右手には確かに令呪が刻まれている
「モタモタするメリットも無いし…キャスター?頼める?」
「えー、ここで?気は進まないんだけどなぁ…まぁキミの頼みだ、仕方ない」
ため息混じりにキャスターが杖を掲げる
「なんでだ!?こんな…!話と違うぞ!
「マス──きゃあーっ!」
サーヴァント共々、悲鳴ごと消し飛ぶ…そして──
「…あーあ、どうするのかなコレ」
残ったのは30分前まで使っていたハズの研究資材、それが見るも無惨な姿で…
あー、コレは2度と使い物にならなそうだね
「まー、新しいのは発注してあるし大丈夫大丈夫!」
「それ以前にキミはもう少し物を大事に扱っておくれよ?コレらを開発したのは私じゃないが…だからって気分の良いものじゃないからね?」
ごめんごめんととりあえずキャスターに謝り、さっきのマスターから奪った端末を開く
「んー?」
目に映る文字の羅列
「あっ?ああっ!?」
待ち望んでいたもの
「ひーっやっほーいっ!!!キタキタキタキターッ!我が世の春がキターッ!」
卍(° ▽ ° )卍 ドルルルルル
それが遂に来た!
「おっとー?もしや、もしやもしやー?」ニヤニヤ
若干不機嫌だったキャスターの表情が一転してイタズラっ子のように変わる…が、そんなことは気にならない
「そう!そうなの!えっへへへ…」
最後のマスターが遂に揃ったという内容、だが重要なのはそこではなく──
『マスター名 ザイル・ニッカー サーヴァント真名 マタ・ハリ』
「ザイルっ♪ザイルっ♪ザーイールー♪」
「キミ本当に彼のことが好きだね…」
「もっちろん大好き!えへへ…彼がこの聖杯戦争に…うん!踊ろう!飽きるまで踊ろう!とりあえず!」
しかしまぁこんな場所で、サンダル履いて踊るなんてことをすれば…
ゴス!
「ポギャーッス!?」ビョーン
早速小指を何かの角にぶつけ、痛みのあまり飛び上がり、そして
「あっ、そこは…」
「ひょ?あっ」
運悪くサンダルが空中で脱げ、さらに運の悪いことに着地地点にはむき出しになったコンセントの先端が──
ズシャ!
「(° ◇ 。)ホアアアアアオオッッ!!??」
………地下施設にきったない悲鳴が響く
「…あー、大丈夫かい?生きてる?」
「わ、私はもうダメだ…ザイルに…愛してるって…伝え…て…」ガクッ
力尽き、私は生き絶えた…
「あ、ザイルくんだ」
!!!
「どこどこどこ!?ザイルどこ!?」
…?
あたりを見回しても酷い有様の研究室が見えるのみ…ということは──
「嘘だよ〜なーんだ、元気じゃないか、良かった良かった」
「ンモー、キャスターったら!お尻叩くよ!?」
魔術でバリバリに強化した黄金のハリセンを瓦礫の下から取り出し、キャスターのお尻に狙いを定める
「わぁっ!ごめんごめん!ちょっとした悪ふざけ──」
「問答無用ォ!オラァ!」ドタバタ
「わぁぁっ!?お助け〜」バタドタ
〜
起こりえないはずの聖杯戦争が多数のイレギュラーを交え、開幕する。『2人』には今のところ自覚は無い…が、そう遠く無い未来2人は気付く。
この聖杯戦争の中心は聖杯でも教会でも無く
「行くぞコヤンスカヤ」
「ええ、ただちに♡」
──自分達である、と──
10マン使ってコヤンスカヤが1人も来なかったとか言うフレの恐ろしい自己紹介文を見て震えてる作者のルルザムートです、ハイ。
今更ですがオリ設定、ありえない展開なんでもアリです。近いうちに主人公のプロフィール載せようかな…