弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
第20話です、お楽しみください
T地区 高層ビル屋上にて…
「よりによって!お前が俺の邪魔をするのか!?
──え?
この人、なんで私の本名を…?
諸事情で私の名前はハル・マトンになってる、改名する前の名前があることを知ってる人はいても本名を知っている人なんて…
だがそんなことを考えている余裕は無いらしい
「…ッ?いや知らない、俺は知らない…!お前、お前!邪魔をするなァッ!」
「うわっ!?」
怒りの感情をあらわにした男が銃を撃つ
1発目は避けた、2発目もなんとか避けた、3発目は腕を掠っただけで済んだ
「あぶなかった…」チラッ
…一瞬後方を確認する
土砂降りの雨を逆再生させたように、空へ降り続けるオリオンの矢。
「ギギギギ、あ、アア"ア"…!」
「おらあああぁぁっ!!」
その矢の一本一本が、獣の尾を一本ずつ確実に射殺していっている
…直感だけどあの尾が全部無くなればきっと──
残り7本…!
「クソ!」チャキ…
またミサイル──
「っガンド!」
ダメージは無かったがガンドの衝撃で狙いが狂い、ミサイルはあらぬ方へと飛んでいく
「ガキが!」
男が今度はこちらの足元へ砲を向ける
やるしか、ない!
「っ!身体機能強化…!視神経、右脚部筋肉…腸腰筋、臀筋群強化!」
「今すぐ消えろ!!」
撃ち込まれたミサイルを視力で捉え──
「たあーっ!!」
力の限り明後日の方向へ蹴飛ばした
「…!?」
かなり驚いてる…今だ!
「強化解除!」
ほんの瞬きほどの一瞬男の動きが止まった、それを見てとり一気に距離を詰める
残り6本
関節技、投げ、ガンド、なんでもいい!時間を稼いで
ボギッ…
「〜ッ!ガンドっ!」
右足のどこかの骨が折れた…けど!
止まれるか…!
残った左足で前へ踏み切り、男の顔面目掛けてガンドを撃つ
「はっ、この──あぐっ!?」
ガンドでフラついた男へそのまま体当たりして突き飛ばす
「なっ!マスター!?」
「構わないで!人類を、世界を守るんでしょ!?」
作戦通りに私が逃げなかったのに気づいたオリオンが叫び、それ以上の大声で言葉を返す
残り5本
「人類を、守るだと…?お前は、本気で言っているのか…!?」
ふらりと立ち上がり、信じられないといった様子で男が言う
「その通りだよ…!獣のマスター!」
「ふざけるなァ!」
いつの間にか額から血を流していた男が立ち上がろうとしていた私の無防備な脇腹を蹴り上げる
「ウッ…!」
宙を舞う自分の身体、それがすぐさまコンクリートへと叩き付けられる
「ハルっ!!」
「集中…してっ…!」
凄まじい吐き気と身体の中から感じるむせ返るような血の匂い
でも、まだ…私は、
「人間に守る価値がどこにある!英雄ごっこか!?笑わせるな!」
「げほっ…あな、たに、何があったかは知らない、でも、価値はあるよ…」
彼の言葉から感じられる人への果てしない憎悪、それが分からないわけじゃない
…あの子と、同じかもしれない
「あなたはきっと、誰にも理解されないまま、ここまで来たんだ…だから気付かなかっただけなんだ」
残り4本
「黙れ…!」
砕けた右足と肋骨の痛みを堪えて立ち上がり、霞む瞳で彼を見る
「あなたのような人を、1人、知ってる…だから──」
「知ったような口を…!…!?うぐあっああぁ…頭が、頭が…!!」
交通事故にでもあったように、男の額から血が流れ、顔の右半分が血まみれになっていく
「もしかしたら、私なら、理解できるかもしれない、だから──」
ダンッ
瞬間右側の視界が狭くなり、代わりに顔面に激痛が走って世界が傾く
「クソッ、てめぇ…!」
アーチャーの手が今にも止まりそうになるのが見え、倒れたまま反射で右手を掲げる
「重ねて令呪をもって命ずる…!オリオン、なんとしても獣を倒して!」
残り3本
2つ目の令呪が消え、サーヴァントへの縛りが強くなる
「お前死ぬ気か!?」
そんなつもりは無い、よ
「しゃべるな…その目で、俺を、見るな…!」チャキッ
彼が背を向ける、手にはあの砲が──
「ガンド!」
男ではなく砲を狙って弾き落とす
「このっ…!!」
こっちに…!
「ガンド──ひ、ぎゅっ…!」
ドグッと目の前で炸裂する暴力の衝撃とそれによる痛み
血で若干紅色に染まった鋼鉄の義手が額から上を鷲掴みにしてくる
「今すぐ!サーヴァントを自害させろ!女!」
憎悪よりも、敵意よりも、怯えの感情で満たされた彼の声。
「いやだ!」
「!?」
それに対して声だけで相手を吹き飛ばす意気で言い返す
「あなたのような弱い心に、私は負けない」
ミシミシと音を立てて鋼鉄の爪が食い込んでいく
──でも
「もう一度、言うよ!あなたは弱い!」
「ガキが…!殺せないとでも思っているのか!!」
直後お腹へ突き立てられるナイフ
とても痛いけどこれではまだ死なない
「げぼっ…それ、が…答え、でしょ?」
「なに…!?」
血が喉の奥から溢れてくる
…喋れなくなる、前に
「そのナイフ、で私の、心臓でも首でも…突き…刺せば…即死、なのに」
「こ…のっ!」
「あなた、は、まだ…何かを迷ってる」
──どうしよう、死ぬ気なんて全然無いのに
「それを、私に教えてよ」
身体の感覚が無くなってきた
「私なら、きっと──」
血に塗れて暗くなっていく視界と意識の中で最後に見えたのは、紫色の刃物とその下から流れる雫、
おつきさま…?
〜
「はっ、はあっ、はっ…」
俺は、何をしている!?そもそも、俺は、なんなんだ!?
目の前でズタズタした女には既に意識は無く、恐らくもう死んでいる、きっと死んでいる
そうだ、まだ確定じゃない、ならザイルがやることは1つだ
コルトパイソンを無防備になっている女の頭に押し当てる
…その暫定的な死を確定させ、落とした無反動砲を拾い、奴の足場を崩す
なんてことはない、それだけのはずなのに
この少女が、いや女が喋るたびに、俺を見るたびに
俺の中の何かが否定されていく、居場所を無くしていく
「俺は──」
銃が、撃てない
「──『
!?
すぐ背後から聞こえるサーヴァントの声
二重令呪の縛りをどうやって!?まずい──
「レオレ「うるせえ!どきやがれっ!!」
残り2本
「…ッ!!」
大黒柱のような豪腕に吹き飛ばされ、ゴチャグチャッ…と骨の他に何かが潰れた感触が内部から響く
そして今の衝撃のせいか、額から何かがずるりと落ちる
「いや、それより、も」
骨だか皮だか分からないがそんなことを気にしている余裕は無い
数メートル先、とても生きているように見えないほどボロボロになったコヤンスカヤの元へ走る
「逃げるぞ…」
コヤンスカヤ担ぎ上げ、まだ生きていることを確認すると同時に、すぐ近くの地面、爆風のギリギリ届かないところへ再装填した無反動砲を撃ち込んで穴を開ける
「ここまでやって逃げられると思うなよ…!」
穴を跨いで向こう側にいる敵サーヴァントが逃走の意思に気付き、弓矢を引き絞る
「ッ…」
弓矢が放たれるよりも先に閃光弾を乱暴に投げ付け、咄嗟に思い付いた言葉を言う
「今日は、退く…次はマスター共々息の根を止めてやる」
「くそっ!待ちやがれ…ちくしょう!」
そして身体に残った全ての力を振り絞って光が完全に消える前に穴へ降り…ずに、すぐ後ろのエレベーター、その裏にあたる隙間へ逃げ込む
「………」
「〜〜!─────!」
…どうやら追撃は諦めたらしく、敵サーヴァントの気配が離れていった
よし…
「令呪で命ずる…コヤンスカヤ、自身の傷を治せ」
2画目の令呪が消え、魔力の塊が彼女へ流れ込む
「う…」
…1つじゃとても足りないな
手元の、3画目の令呪に視線を落とす
迷う必要は無い
「重ねて令呪で命ずる、自身の傷を治せ」
最後の令呪の魔力が2画目と同じように彼女へと流れていく
「…ゴホッ…ぐ、何が…?」
意識は戻った、あと少し
「噛め」
「…」
担ぎ上げていて顔は見えないが気配で察しはつく
「血から魔力を補給して
「………」ぞぷっ…
「ッ…」
迷っていたようだがそれもほんの一瞬で、すぐに彼女の牙が首筋へ突き立てられる
「…少し眠る、後のことは任せるぞ」
「……ぷは…分かりました、ザイルさん」
…影月 遥とそのサーヴァントか
「…」
やれやれ…ここまで来ると…愉快だな
バルバトスくんが待ち遠しくてハッハァ!状態になっている作者のルルザムートです、ハイ。
上にも書きましたが今回はグロ…というかハイ。
実を言うとザイルvs遥はもっと(お互いに)ズタズタになる予定だったんですけど読み返して気分がちょっとアレになったので変更しました
それと来週(2022年 1月18日)からしばらくスマホが触れなくなりそうなのでここに書いておきます