弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
第21話です、お楽しみください
ウルフルズアジト ザイルの自室にて…
ベッドの上で寝息を立てるボロボロの男、それを1人テキパキと看病するコヤンスカヤ
「…これで頭部以外はひとまず良いでしょう」
日付は変わり午前2時、ザイルさんの治療を終えて付近の椅子に腰掛け、尾を実体化させる
…やはりそこまで甘くはない、か
2つの令呪とマスターの血液から摂取した魔力で外傷はかろうじて治ったものの霊基出力は大幅に低下しており、身体が重いのがはっきりと分かる
さらに──
やっぱり復活しませんよねぇ、はぁ…
何度実体化させても現れる尾は2本のみ。
長い時間と労力をかけ、必死に蓄えた9本の尾…その内の7本があの数分で跡形も無く消し飛んだ事実にコヤンスカヤといえども頭を抱えずにはいられなかった
仕方なかったとはいえ第8の尾の損失がかなり痛い…とはいえあの宝具を前に残った2本で稼げる時間なんてほぼ無かったでしょう
初めから第8を盾にしていれば他に残った尾もあったかもしれませんがもはやあとの祭り…
「────許さぬ」
あのサーヴァントに対して内側で煮えたぎっていた感情が外側へと漏れ出す
「冠位とはいえたかだかサーヴァント一騎、それも小娘1人に気を取られて攻撃をやめるような小心者がこの妾に──」
と、そこまで呟いて我に返る
「…まだザイルさんの安全が確保できていませんわコヤンスカヤ、愚痴は彼が無事に起きてから。」
血が滲んできたタオルを取り替え、新品のタオルを同じように彼の額に巻く
骨は折れてない場所を探した方が早く、内臓も大きなダメージを受けていたが不幸中の幸いか、重傷なのは間違いないもののすぐさま命に関わりがあるようなものでは無かった、ダメージから察するにあのアーチャーに殴られたわけではない様子。(義手の護りも作動していませんでしたし敵マスターあたりでしょう)
それよりも問題なのは──
「やはりただの傷では無いですね」
彼の額の傷からの出血が止まらない…
もちろんいくつか止血方法を試した、場所が場所だけにやれることは多くは無かったが思い付く限りは試した
皮肉だが、今まで散々人間を嬲ってきたことがある彼女にとって人体構造への理解は決して低いものではない
その彼女が正しいと思った方法で止血できなかったということは普通の傷では無いのだろう
「…これは流石にまずい」
『どのような相手であれ受けた恩は必ず返す』がモットーであり、完璧にそれを守ってきた彼女にとって今の状況は非常にまずいものであった
彼が令呪を捨ててまでワタクシを助けた動機は全く分かりませんが…いいえ、動機どうこう以前に救われたのは事実。
このまま行けば彼は出血多量で1時間と保たない
プライドにかけて彼を死なせるわけにはいきません、他
彼の懐から端末を取り出し、あの女性へと電話をかける
もちろん携帯電話はコヤンスカヤも持ってはいるがこっちの方が確実だと彼女は判断していた
『やっほーザイル!電話ありが…ん?んん?…さてはオメー、ザイルじゃないな?』
コール音がする前に出たノーアに若干引きながらも用件を伝える
「…時間があまり無いので単刀直入に言います、戦闘によりザイルさんが呪いを受けて瀕死の状態となっています」
呪いというのはでまかせだが医術的根拠が証明できない以上こう言うのが手っ取り早い
『その声はコヤスちゃ──ギャー!いったい!!…ってええ!?マジで!!??』
電話の向こうで数えるのも面倒な爆発音を立てながら食い入るように質問してくるノーア
また何かロクでも無いことを…しかし今は気にしている余裕はありません
「…外から干渉するのが難しいため、彼の内側からそれを解く必要がありますがワタクシにはその手段がありません…アナタ方なら、何か手段を知っているかと。」
『うんうん、なるほどね…よっし、ダヴィンチちゃん!遠隔で例のプログラム起動させて!』
電話の向こうで声がして、その直後ザイルさんの義手から蒼い光が漏れ出した
よくもまぁあっさりと…
『とりあえずそこで光ってる義手に触って!あとは説明を受けてなんとかしてちょーだい、私も今ちょっとというかかなり忙し──え?ウッソ、もうそれぶっ放すとか何考え』ブツッ
…切れましたね
向こうでも何かがあったようだが優先すべきはこっち。
「…」
念のためある程度銃火器を携行し、彼の義手へと触れ──
「…!?」
直後、視界が暗転した
〜
にて…
「…?」
薄暗い森…いや、山の中。さっきここに着いた気がすれば結構前からここにいた気もする、朝なのか昼なのか夜なのかもはっきりしない…
「ここは──」
「いえーい!こんにちワン!」
…ハァ
聞き違いしようがない喧しい声の方へと振り向く
「…ノーアさん?」
「わっははは!残念だが私はノーアではない!聞いて驚け、私は──」
「とっとと説明してくれません?」
こんなのと付き合っていた時間がいくらあっても足りないので彼女の足元をハンドガンで数回撃って続きを促す
「キミ結構ヒドいね…まぁいいや、私の名前は
「はぁ…」
なんとまぁ…ハイ。気にしないでおきましょうか…
「さ、何でも聞いてくれ!…といっても私はキミが誰かは知らないしどんな目的でこのシステムを使ったのかも知らないからあくまでもこのシステムに関する質問だけにしてね!」
ふむ…
では手っ取り早くいくつか質問させてもらいますか
「…今ワタクシ達がいるこの空間はなんですか?」
「レオナルド・ダ・ヴィンチちゃんが作った『ダヴィンチちゃんアーム改2号機 拡張カスタムタイプ++』を今付けている生物の心象風景、その中さ」
なるほど…しかし見渡す限り木しかないこの風景が…?
「これをプログラムしたのはダヴィンチさんですか?」
「もちろん!…と言いたいけどイチから作ったのとは違うかな、メンタルケアを目的として作られたとある医療ソフトウェアをノーアがメインに改造、改変して義手に搭載したものだよ!…何故か大元の製作者である人物の情報が入力されていなかったから誰がオリジナルを作ったのかは分からないんだ、ごめんね」
ノーアさんのことです、知らなかったというよりあえて入力しなかった、というほうがしっくり来ますね…
「…今ザイルさんに起こっているあの出血はなんですか?」
「ちょっとちょっと、さっき言ったように私はキミたちのことを知らないって言わなかった?」
「ええ、ですがアナタは医療ソフトウェアであると同時にザイル・ニッカーのためだけに作られた義手でもある…彼女のことです、彼を調べる機能くらいは付けているのではありませんか?」
そう言うとノーア…いえ、マニュアルプログラムは照れ臭そうに頭をかきながら笑った
「いやぁ敵わないな、キミの言う通りだよ。私にはその機能があり、そして今丁度検査結果が出た。出血は外的要因でなく内側…つまり彼自身によるものだ」治すためにここに来た判断は合っているよ
…やはりそうですか
「なるほど、聞きたいことはだいたい聞けました、ありがとうございます」
「お?これだけでいいの?」
あれっ、と困惑した顔でノーアの姿をしたプログラムが首を傾げる
「ええ、システムについてはもう大丈夫ですよ──あとは彼女に聞きます」
「彼女?それって…」
トンッ…
「へ、あ、ウッ、ソ…… 」
頭から両断され真っ二つとなったマニュアルプログラム、その身体が粒子となって消えてゆく
「…これはまた物騒ですねぇ」
「ふ、ふふ、折角来た初めての客人、それがそこな機械と喋ってばかりで少々焦れておった、まぁ許せ」
心底愉快そうに頬を緩め、巫女装束に身を包んだ女性がそこに居た
今の1撃はこの方が…?というかこの人、アーチャーのマスターに似ている…?
あの時は顔をしっかり見る余裕は無かったので細部は分からないが…少なくとも無関係とは言えないぐらい似ているのは間違いない(身長はこっちの方が結構高いですが)
「それで?どちら様でしょうか?」
警戒は解かず、しかし緊張と殺気は抑え、笑顔で質問する
「む…余か?余は…うむ、そうさなぁ…お前を導きに来た案内人だ」
それだけ知ってくれれば良い、と笑う巫女
「…そう、ですか」
要警戒ですね…
「そう身構えずとも良い、別にそなたを取って食うわけではない」
こちらが警戒の念を強めたのを見透かしたように笑う
「さて余もそなたに聞きたいことがあるのだが…うむ、先にこやつらを片付けよう、大きな害になる訳ではないが…少々不愉快だ」
「ええ…」
まるで見計ったかのように出現した、無数の人型をした真っ暗の
この感じは…
「…」チッ
彼らの質を見抜いた瞬間、コヤンスカヤは無意識に舌打ちしていた
ああ、これですか
敵意は無く、それとは別に感じる感情、ここが普通の世界では無いからか、それは手に取るようにはっきりと伝わってきた
《差別》
《侮蔑》
《迫害》
…上げ出したらキリが無さそうなそれらは最終的に必ず
《娯楽》そして《愉悦》に。
「…またこの手の集団ですか、全く人間というものは」チャキッ
その人型の一体へとハンドガンを向ける
「ふふ、ふ、今この場。彼らは言わば『善』であり、そして余とそなたが『悪』である」
目を細め、巫女は口角をさらに吊り上げて笑う。神父が持っていた
「さて客人よ、余にはそう見えるわけだが…果たしてそなたにはどのように見えるか、教えてくれぬか?」
「回りくどい方ですねぇ、まぁ…いいですよ?」
──不愉快な影達との戦いが始まった
脳内でひたすらレイドのシミュレーションをしてレジライ化が止まらない作者のルルザムートです、ハイ。
以前にも書きましたが2022年1月18日からスマホが触れなくなる可能性が大きく、期間は4週間…汗
全く触れなくなる、というわけではない(と思う)ので隙を見て書いていきますがこの4週間は間違いなくペースが落ちます、スミマセン…