弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡   作:ルルザムート

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第22話です、お楽しみください


第22話 影月

ザイルの心象世界にて…

 

 

「っ…!」

ドンッドンドンッ

 

 

1発1殺、2丁の大口径のリボルバーで『影』達の頭を撃ち抜いていく

5発装填×2の計10発を撃ち切り、

すぐさま別のハンドガン(2丁)に入れ替えて間髪入れず撃つ

そしてその16発の弾丸を撃ち切れば後は同じ、再展開して使用前の状態となった先のリボルバーへと持ち替え、また撃つ

…余談だが換装する際、一瞬隙が出来るもののライダーとの戦闘時と違い、換装する余裕は充分なためこのような戦法を彼女は取っている

 

 

影達は数こそ多いものの攻撃方法は非常に単純かつ貧弱で、物を拾って投げつける、棒で殴りかかる、掴みかかってくる等対処しやすいものばかり。

オリオンの宝具、『我が矢の届かぬ獣はあらじ(オリオン・オルコス)』によって弱体化しているとはいえこんなものに遅れを取るほどコヤンスカヤは弱っていない

 

 

…だからこそコヤンスカヤは静かに眉をひそめた

『殺戮技巧(人)』…コヤンスカヤが望んで手に入れたスキルの1つで、効果は主に2つ。

1.その時代に存在する人類の兵器を自在に使えること

2.人類(人間)を攻撃する際、あらゆる攻撃に特効(ボーナス)が付くこと

 

 

1つ目に関しては問題無い、こうして戦えている以上兵器の行使、換装については問題無い、だが──

「特効が効かない…」

2つ目、人類に対しての特効効果が発動しないのだ

1つ目の効果と合わせれば頭部を撃ち抜いた時点で首から上が吹き飛んでもおかしくないハズですが…

 

 

この空間がワタクシの能力を抑制している訳では無い、目の前の影達も同様…だとすれば考えられるのはただ1つ

「──人間ではない?」

しかし影達から感じられる気配は紛れもなく人間のもの、例えどんな姿形になろうとコヤンスカヤにとって間違えようのない人類の(嫌いな)気配、不純物が混ざっているようにも感じない

 

 

「ふふ、ふ、そう難しく考えるな客人、いずれ分かる」

こちらの困惑を察したように巫女が笑う

「…それはご丁寧にどうも」

この巫女も巫女で見た目通りの性質(生物)ではないですね?

彼女の気配、コヤンスカヤにとって縁深いものではないが理解できる気配

──なんで()()()()が出てくるんですかねぇ?

 

 

「余については終わった後で聞くがよい。さて…そろそろ仕舞いとするか」

巫女が手をかざし、ふわりと刀が宙に浮く

…っと

危険を察し、その場を飛び退いて巫女から距離を取る

 

 

──そこからはあっという間だった

 

 

「そら」

巫女が横に、縦に、斜めに手を振る

すると刀はまるで巫女の手の平から紐で繋がっているかのごとく縦横無尽に辺りを薙ぎ払い始め、影達を蹂躙していく。そして──

 

 

「終わりか」

結局10数秒で殆どを巫女が掃討し、辺りが静かになる…といっても影達は最初から一切声をあげませんでしたが。

「…そーゆーのあるんでしたら最初からやっていただけません?」

これでは完全に弾丸を無駄にしただけである、もちろん彼女にとって弾薬など文字通り無尽蔵に出せるが無駄にしていい理由にはならない

「まあそう言うな、余とて客人に無駄骨を折らせたつもりは無いぞ?」

 

 

くっ、くっ…と巫女が笑い、彼女の手の平の上で刀が消える

「ではゆこうか客人」

この先に今の影らが人間で無い理由がある…そう言って巫女は森の奥へと歩いていく

 

 

「案内人さん?ワタクシはあくまでもザイルさんの出血を治しに…呪いを解きにここへ来ているということを言っておきます」

ここに来てから大体10分…まだ余裕があるがだからといってのんびりしている暇は無い

「無論だとも、余とて(きゃつ)が死ぬのは好ましくない、心配しなくてもすぐに終わる…ほれ、余の他にもう1人案内人が来たぞ」

 

 

もう1人…?あ。

闇の奥からこちらへ歩いてくる人影、それは──

「やれやれこうなったか」

ザイル・ニッカーその人だった

 

 

「ザイルさん!」

「…?誰だお前は?」

「────」

──え?

 

 

■■■にて…

 

 

「ここですか?」

「ふ、ふふ…そうだ、ここだ」

「…チッ」

ザイルさんと合流後、生い茂る木々をかき分けた先

森の一部を切り取ったような草原の広場へとたどり着いた

 

 

太陽が登っている…

心象世界なら何が起きても不思議では無いと頭では分かっているものの、実際にこうして自分以外の世界に足を踏み入れたことが無く、故にこの世界の出来事は色々な意味でコヤンスカヤの興味を誘った

 

 

そして原っぱの中央に集まっているあの子供達は…

「客人、そろそろ来るぞ」

…ん?

 

 

たんっ、とワタクシの真横を1人の少女が横切った

 

 

 

 

心地よい春風が吹くその場所で今日もまた少女の戦いが始まる。

「たあーっ!」

掛け声と共に木の棒が振り下ろされ、ごちんと少年の頭にぶつかる

「いって!」

 

 

「うわっ!飼い主だ!飼い主が来たぞ!」

「やっつけろ!」

存在に気付いた児童達が少女へと標的を変える

少女1人に対して相手は男子児童6人、女子児童3人。

 

 

「あ、うっ…!」

あっという間に取り囲まれた少女に浴びせられる、9分の1の罪の意識から生まれた9倍の暴力

男子達のそれは、はたく等といった生優しいものではなく、子供の無邪気さからくる一切の容赦がない嵐。

(あざ)や出血は当たり前、酷い時は骨にヒビが入った事もあった

そしてそれを見て残りの女子達がクスクスと笑う

 

 

彼らが大人であったならば暴行罪で懲役は間違い無く、殺人未遂もありえるような暴力に少女は地へと伏せる

 

 

…どれくらい経っただろうか、遠くから駆けてくる男子が言った

「おい、餌とって来てやったぞ!」

「お、優しいなお前。食べさせてやろうぜ!」

 

 

いつの間にどこかへ言っていたのか、単に後から来たのか考える余裕は少女には無かった

その少年の手にはカマキリが数匹握られていて、包囲していた児童の数人がそれを見てまた笑う

 

 

──だが己への注意が外れた瞬間を少女は見逃さなかった

「っ…の…せいっ!!」

右斜め前にいた男子の股間を力の限り殴り付ける

「────っ!!??」

 

 

声もあげれずに地へ転がる男子。

そこにできた包囲の隙から外へ飛び出し、すぐさま振り返って左側の男子の鳩尾(みぞおち)を蹴る

「ぎゃう!」

 

 

「飼い主が怒った!飼い主が暴れてる!」

「飼い主もばけものだった!」

「殺せ!殺せ!!!」

 

 

4人の男子が最初のように彼女を包囲しようとする

「…っ!」

股間を抑えて悶える男子の靴を左手で剥ぎ取り、掴みかかって来た男子の顎目掛けて右腕で思いっきり膝打ちを繰り出す

「あぐおっ…!」

 

 

そして今度は向かって左側、手前の男子に距離を詰め、左手の靴で薙ぎ払うように顔面を引っ叩く

「った!?」

 

 

「捕まえろ!」

カマキリを持ったまま後ろに回り込む男子と、正面で野球ボールより一回り大きな石を持って振りかぶる男子。

迷わず背後の男子へ飛びかかり、カマキリを奪って男子の口元へ叩きつける

 

 

「うわぁ!?汚ね!!?」

それを払おうとする男子の左手小指をガッチリと掴んで引っ張り、立っている場所を入れ替える

「ぎゃっ!」

…と同時に正面にいた男子の投げた石がカマキリを持っていた男子の後頭部に石が直撃し、ばたりと倒れる

 

 

「た、たける!」

「はっ、はっ…」

そして正面の男子の顔面目掛けて──

 

 

「ま、待って!おれ、いや僕が悪かった!許──」

「どりゃあっ!!」

「がふぁっ!?」

靴を投げつけた

 

 

「終わり?…あ」

「こ、こんの…!」

最初に股間を殴りつけた男子が怒りの形相でゆっくり起き上がる…が

「うるさい寝てろ!」

「ぎゃあああ!」

今度は完璧に股間を蹴り上げ、少女の戦いはひとまず終わった

 

 

「はっ、はぁっ…貴女達も、やる…?」

10歳にも満たない少女から向けられる異常な程の殺気に、放心していた女子達が一斉に喚き出す

 

 

「ひ、ヒィっ!?きゃあああ!!!」

「おとうさーんっ!!」

「ばけもの!アンタもばけものよ!」

 

 

「はっ…おととい、来なさい…さてと」

我先にと逃げ出す女子達を尻目に、うずくまって震えている少女の元へ。

「ホラ、帰るよ彼方」

 

 

「お姉ちゃん…?あ…酷いケガ…!」

涙目になっていっそう震える少女の妹、影月(えいづき) 彼方(かなた)

「また、私のせいで…」

「あなたの所為とはまた違うでしょ?あー、あー、あー!泣かない泣かない」

 

 

妹に大きなケガが無いのを確認し、ひとまず安堵する

「ぐすっ…えぐっ…うう、はるかぁ…」

「ほらほら泣かない!笑顔笑顔!ガーッと笑顔!ホラ笑えーい!」

じれったくなった少女が妹の脇をひたすらくすぐる

「わ、わっ!?わあはははは!くすぐったいよ!」

 

 

ひとしきり2人で笑い、その後──

 

 

「っと、イタタタ…」

「お、お姉ちゃん大丈夫…?」

「うーん流石にちょっと今日は無茶しすぎたかな…」

もう帰ろうか、そう言って少女が立ち上がり、手を差し伸べる

 

 

「ほら、立てる?かなた」

「…うん」

彼方が手を伸ばし、姉の手を掴もうとして──

 

 

ダンッ

 

 

「え、ちょ、ザイルさん!?」

それまで静観していたザイルが突如飛び出した、手にはあの刀があって──

「があっ!!」

そのまま2人の少女を貫いた

 

 

ザザッ…

 

 

ノイズ音がして世界が暗転していく…

 

 

 

 

「あ!?アイツらまたあの子を…!」

手頃な木の枝を拾い、草原へと飛び出す彼方の姉、

1番近い男子へ最短で近付き──

「たあーっ!」

木の枝を思いっきり振り下ろした

 

 

…ハァ

「そういうことですか」

それを見てワタクシは静かにため息をついた




マイルームのジャガ村先生仕様をデフォにして欲しい作者のルルザムートです、ハイ。
18日から出張かと思ったら知り合いに熱が出て別の意味で投稿ペースが落ちそうなこのごろ…ヤバイなコレ

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