弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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四十数話までには終わるかも?
それと今回はこれでもかというレベルで胸糞とグロを押し出しているので一応警告文載せときます
多分「ハァ!?ふざけんな!」という方から「なんだ、たいしたことねーじゃん」という方もいらっしゃると思いますがこれは話にどうしても必要だったので…
しつこいですが自分なりにかなり本気で押し出したんでご注意ください
第23話です、お楽しみください


第23話 ねがいごとは

ザイルの心象世界にて…

 

 

──お姉ちゃんは強い

 

 

私が見てきた世界は孤児院とこの山だけで決して広くは無いけれど、その中でお姉ちゃんは変わらず、誰よりも強かった

──いつも私を助けてくれた

──いつも守ってくれた

────いつも、私に代わって傷付いていた

 

 

「…」

いつも彼女が言っていた言葉が頭を過ぎる

『少しはやり返しなよ?私だっていつでも守れる訳じゃないんだしさ』

──そんなことは分かってる、けど。

 

 

以前、首を絞めてこようとする子供がいた。もちろんすぐに苦しくなってその子供の腕を引き剥がそうとした

「う…」

あの時聞いた悲鳴がまだ頭に残っている

 

 

私が右手でその子供の腕を掴んだ瞬間、まるで豆腐を握り潰すように子供の腕が引きちぎれた

5歳でも分かる異常…自分がまともな人間でないのは明らかだった、その後しばらく私は"居ないもの"として扱われたが──

 

 

『ばけもの』

誰かが言ったその一言で私へ向けられる認識は『気味が悪い奴』から『ばけもの』へと変わり、以前以上の迫害が始まった

でも、仕方ない

 

 

ばけものと言われることも、彼らから迫害を受けることも仕方ない

私がばけものなのは私自身がよく知っているし、彼らは自身の行動が悪いことだと…いや、彼らにとっての正しさが()()なのだろう

私とお姉ちゃん以外のみんなにとっての正しさ。

悪意が無いと分かってしまった以上、彼らに憎しみを向けるべきでは無いんだ

 

 

「──本当にそうか?」

「お兄、ちゃん」

 

 

銀の長髪を三つ編みでまとめた目つきの怖い男性がいつのまにか横に立っていた

彼は…嫌な事があった時や辛い事があった時だけに私の前へ現れる人。

私の妄想が生み出した家族()、ザイル・ニッカー。

「憎んでいいはずだ、彼方はもう充分耐えた、お前ならあいつらなんか簡単に──」

「だめだよ」

 

 

私以外、誰も認識出来ない兄へ返答を返す

憎くないと言えば嘘になる、けど彼らはただそれが当たり前だと信じてるだけなんだ、普通の人間として生まれて…育っただけなんだ

「…10分後か、明日か、10年後かは分からん、だがいつか後悔するぞ」

 

 

苦虫を噛み潰したような表情で消えていく兄は最後に言った

「許すな、絶対に…」

──そして

 

 

『いい、彼方?私ね、遠くに行かなくちゃ行けなくなったの』

一つ目の後悔が、その1週間後に来た

『とりあえず彼方を虐めてる奴らをフルボッコにしてしばらくは手が出せないようにするから…その間に強くなって欲しいの、私が居なくてもいいように。』

 

 

「──え?」

お姉ちゃんは強い、今まで助けてくれた時…一度だってやり返さずに私を彼らの手の届かないところへ連れてってくれた

「ま、待ってよ、戦うの…?」

 

 

『そ!足腰立たないくらいボッコボコにする!』

「────」

遥が傷付く以上に私が恐れていたこと

そうはさせたくないと内緒で彼らと戦ったけど、立ち向かおうとするたびにあの子供の悲鳴が頭に──

 

 

『あ!?アイツらまたあの子を…!』

向こうから走ってくる遥を見て身体の痛みなんか吹き飛んだ

待って…!

声にならない静止は当然届くこともなく、遥は彼らを1人ずつ薙ぎ倒していく

 

 

『ばけもの!アンタもばけものよ!』

ッ…!!

あ、ああ…そんな…!

ゆらりと取り巻きの女子を睨みつけた遥に発せられた一言。

1番避けたかったことが起きてしまった

 

 

私のせいで、大好きなお姉ちゃんも『ばけもの』にしてしまった

「ホラ、帰るよ彼方」

いつもと変わらない調子の声を聞いて咄嗟に顔を伏せて、あたかも何も見ていないように振る舞った

そんなことをしても何も意味は無いのに。

 

 

「お姉ちゃん…?あ…酷いケガ…!」

違う、ケガだけじゃない

「また、私のせいで…」

謝る事は他にもあるはずなのに、涙がそれを邪魔する

「あなたの所為とはまた違うでしょ?あー、あー、あー!泣かない泣かない」

 

 

「ぐすっ…えぐっ…うう、はるかぁ…」

「ほらほら泣かない!笑顔笑顔!ガーッと笑顔!ホラ笑えーい!」

いつもみたいにくすぐって強引に笑わせてくるお姉ちゃんは──

「わ、わっ!?わあはははは!くすぐったいよ!」

明日の今頃にはもう居ない

 

 

でも一緒に居られなくなったことよりも、遥をばけものにしてしまったことの方がショックが大きかったのを覚えてる

『そうしょげるな、必ず迎えにくるから!』

その翌日、見送りの時間。黒光りする車に乗り込む遥がそう言ったのを信じて、孤児院の自分の部屋にもどった

 

 

 

 

唯一の話し相手を失って1ヶ月、ふと山の麓にあたる場所でケガをした大きな犬を見つけた

親指くらいの太さの枝が左後ろ足の腿に深々と突き刺さっていてとても痛そうだった

 

 

「ググルルルル…」

「怖がらないで、食べたりしないから」

足に異物が突き刺されたことは時々あったからその犬の気持ちは文字通り痛い程分かった

だから放っておけなかったんだ

 

 

差し伸べた手は当然のように噛み付かれて痛かったけど、その程度の痛みは当時の私には大して意味は無かった

「ワグッ…!?ギャン!キャイン!!」

弾かれたように噛み付くのをやめる犬

何故やめたのかは分からなかったけどお陰で手が届いた

 

 

「我慢してね、んっ…!」

犬の足から枝を抜き取り、左腕の包帯を取って枝を抜き取った所に巻く

幸い左腕の骨折はもう治りかけてたから外しても問題は無いだろう

「よしよし、いいこいいこ…」

全く抵抗しなくなった犬を抱いて木によりかかる

 

 

時々不安そうに鳴くものの、その度に頭を撫でていたらいつの間にか犬も私も眠ってしまっていた

 

 

 

 

「バフッ…ウォン!」

「ん…?」

どれくらい経っただろうか、顔を滑る生暖かい感触で目が覚める

 

 

「もう夕方…」

さっきまで昼前だったのにもう日が沈みそうになっている

「ウォン!」

「ああ…起こしてくれたんだ、ありがとう」

 

 

私が起き上がると犬は嬉しそうに周りをくるくると回り出し、巻き方が悪かったのか包帯がずれ落ちた

…あれ?

「あなたケガは?」

「ワフッ?」

 

 

ふと見ると枝が刺さって出血していた足のケガが完全に治っていた

眠る前、犬がケガをしていたのは間違いない、実際に包帯に血が付いている

実はこの時、無意識に魔力を犬に流して手当てをしていたのだが当時の私には知るよしも無かった

 

 

 

 

その日以降、孤児院で朝食を取ってからというものすぐに山へ行った

『おい待てよ!ばけもの!』

『…』

 

 

彼らが追いかけてくるけど、山に行くまでにはとても広くて深い森が広がっていて、振り切るには充分だった

『おはようウルフ!』

『オンッ!』

犬は山を入ってすぐそこの挟まった獣道の入り口でいつも待っていてくれてた

 

 

ちなみにウルフというのは犬の名前だ

『あなたは狼みたいに大きくてかっこいいから…うん、ウルフ…ウルフって呼ぶね!』

『ウォフ?』

外国の言葉で狼という意味らしい

 

 

こうして私は毎日毎日同じ時間、同じ場所に行ってウルフと会い、そこから山の色んなところに行った

『ウルフ、競争しよう!』

『ワ"ンッ』

山の高いところへ駆け上って雲の海を見に行ったし…

 

 

『えいえいっ!水攻撃〜!』

『ワウッ…!?』ぶぶぶぶぶぶ

川遊びもした

 

 

『ワグ…』ずりずり

『え?えっ!?ウルフそれ鹿!?』

『オンッ!』

どこで狩ってきたのかウルフが鹿を引きずってきたこともあった

 

 

『ガツガツ…』フリフリ…

『もぐもぐ…美味しいね、ウルフ』

ウルフと一緒に食べた鹿の生肉が孤児院で食べていたドロドロのご飯よりもずっと美味しかったのを覚えてる

 

 

遥が居なくなってから起きてる間殆ど泣いていた私はウルフと遊ぶようになってから笑う時間の方が増えていた

でも──彼らはそれが気に食わなかったらしい

 

 

その日の朝は少し寒くて、トイレに行ってから山に行くつもりだった

…用を済ませて個室から出ると出入口で彼らが不機嫌そうに突っ立っていた

『お前さぁ、いっつも山に何しに行ってんの?』

『…何も、散歩だよ』

 

 

直後頭部に来る鈍い衝撃

すぐそこにあったトイレの清掃道具で殴られたらしい

『散歩だけな訳ねーだろ、いつもいつも楽しそうに山行ってるしさ…アレか?他のばけものと集まって作戦会議でもしてるんだろ?』

『人間達を皆殺しに〜!とか?何企んでるか俺たちに聞かせろよ、なぁ?』

 

 

『…ッ!』

頭から少し血が出ているのも構わず、出入口とは反対側の窓へ走る

窓枠に手がかかり、そこから外へ──

グシャッ

『ひぎゃぁうっ…!?』

 

 

瞬間、何かが私の右目を潰した。残った左目で外を見ると入り口の男子といつも一緒にいる取り巻きが得意げに箒を持っていた

『逃げると読んであらかじめ指示しといたぞ!』

『すげえ!ばけものの目を潰した!大軍師じゃんお前!』

 

 

焼けるような目の痛みにうずくまる

骨が折れたり斬りつけられたことはあったけど目を潰されることは今まで無く、ただ痛みに悶えるしか無かった

『これでも言わないってことは相当隠しておきたい秘密なんだろうな』

『どんな秘密だろうと関係ない!孤児院の平和のために俺達は戦うぞ!』

 

 

ゴトリ…

──その時聞こえた重たい音

『な…』

先頭の男子が持っているもの、それは孤児院長が薪割りに使っている斧だった

『重たっ…おい、お前らも待て!みんなでばけものにトドメを刺すんだ!』

 

 

2.3人がかりで振り上げられたその斧を見て初めて死の恐怖が襲ってきた

あんなもの振り下ろされたら痛いじゃ済まない…!

『いや、やだっ…!許して…!』

何を言っても彼らはニヤニヤしたまま、ゆっくり距離を詰めてくる

 

 

窓から逃げようにも──

『おらっ!』

『ッ…!!』

バシンという衝撃と共に弾き返される

 

 

死にたくない…死ぬのはイヤだ…

二つ目の後悔──ここで私は間違いを犯した

『たすけて…!助けてウルフ!!

 

 

『ガウルルルルッ!!』

『うわっ!?なんだ!?』

飛矢のように飛び込んで来たウルフが男子の1人に飛びかかった

 

 

『野犬だ!?ぎゃっ!!』

私に1番近かった男子の腕に噛み付き、そのまま肉を噛みちぎった

『うわあああああ!!??痛い痛い痛い!!』

床へ転がって暴れる男子を踏み付け、次に近い男子へとウルフが飛びかかる

『こ、こいつ!』

『ウルフ!』

 

 

今度は肩へ噛み付き、床へ薙ぎ倒すウルフ。だが──

『これでもくらえ!』

『ギャンッ!』

私の目を潰した男子がウルフ目掛けて窓から石を投げつけた

 

 

野球ボールくらいある石は頭に命中し、ウルフはぐったりと倒れる

『ウルフ!!』

『今だ!起き上がる前にトドメを刺すんだ!』

『こ、こんな傷へっちゃらだ!』

『ばけものの手先をぶっ殺せ!』

 

 

『や、やめ、て…』

ビクンビクンと痙攣するウルフを目の前の■■■■達は清掃道具で殴り続ける

『よし!これで終わりだ!』

血と尿に塗れ、呼吸のおかしくなったウルフを前に■■■■達が斧を振り上げる

 

 

『みんなの力を合わせて平和を守るんだ!』

『やめ──』

ズシャッ

 

 

──斧が、振り下ろされた

 

 

『────』

 

 

『手先はやっつけたぞ、後は親玉だけだ!』

『覚悟しろばけもの!』

 

 

────うるふ

 

 

言っただろう、後悔すると

 

 

あに、の、こえがきこえた

 

 

早くお前があいつらを殺しておけばこうはならなかっただろうな

 

 

でも、■■■■たちは、わるいことだって、わからなかった

 

 

そうだ、だからこうなった

 

 

人間は強い動物じゃない、自己を保つために自分より弱く、都合のいい悪に飢えている…そしてそれがたまたまお前だった

 

 

止めさせるなら人間全てを殺し尽くすか…もしくは人間という生き物を根底から作り直すくらいやらないと無理だろうな

 

 

兄の声と私の意思がドロドロに混ざり合っていく…

 

 

…それと分かりきっているだろうが俺はお前の妄想の産物だ、つまりお前は心のどこかであいつらを殺そうとしてたんだよ

 

 

ああ…そうか

 

 

『そうだったんだね、あなたたちは…』

この時、私の中の、人として必要な何かが砕けた

 

 

わたしきめたよ、おにいちゃん

…皆殺しにする決心でも着いたか?

 

 

『あなたたちは■■も■だ』

『うん?なに言ってんだお前?』

『それならしかたないよ、だって■け■■なんだから』

 

 

それもあるけどね、わたしみんなをたすけたいの

…?どういう意味だ?

 

 

『■■■のだから、わからなかったんだよね』

『なに訳の分からないことを   グチャッ

花を摘むように手前の男子の首を引き抜き、横の男子へ投げつけて頭を割り、逃げようとしたもう1人のお腹を左手で貫く

 

 

わたしのゆめ、いまできたゆめはね──

 

 

『へ、は…!?お、おい…』

『あなたたちはにんげんというなまえをしたばけ■■、でもあんしんして』

 

 

最後の1人、怯えるその子の頬を両手で優しく包み、囁く

 

 

『いつかかならず、ちゃんとした"にんげん"につくりなおしてあげるから、だからそれまで』

 

 

──

 

 

──おやすみなさい




バルバトスもぐもぐの作者のルルザムートです、ハイ。
正直魔力的に取り柄の無い人間がビーストのマスターになり得るにはこれくらい必要だと思いまして…
………ハイ、書いてる間ずっと低評価に怯えてましたがそれでも書きたいのでこうなりました。
あ、あと18日からの件ですが手違いだったようで無くなりました。なので投稿速度は変化しないと思われます。
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