弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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気付けばもう30話以上書いてるのか…
第31話です、お楽しみください


第31話 幕間 影月 遥(2)

???にて…

 

 

「あーもう!運命なんてバッカみたい!いーい?彼方」

「な、なに?」

 

 

運命は常に変化する、しかし一生の内で得られる幸福感というものは絶対量が定まっており、変化しない

また、絶対量が決まっていると言ったがそれは全人類1人1人に差があり、遺伝もしない。親の絶対量が少なかったからといってその子供がそうとは限らない、逆もまた然り。しかし──

 

 

何事も例外は存在し、()()()もその部類。

「私があなたを迎えにくる時、とびっきりカッコよくて私のこと全部受け入れてくれる彼氏つれて帰ってくるから!」

「え、で、でも…影月家の人はみんな自分だけじゃ相手を見つけられないって…そ、それに全部なんて無理だよ…」

影月家という家系に限りそれは遺伝する、絶対量を著しく下げながら。

 

 

「はいはい、無理なんて損にしかならない台詞を吐かないの!…必ず戻ってくるから、それまで1人で頑張るのよ」

「うん…我慢する、できるよ…」ウルフが一緒だから…

我慢することより殴り返す根性を付けて欲しかったけどなぁ〜

残念そうに言いながら少女は妹を1人残し、迎えの軽自動車の後部座席へと乗り込む

 

 

…人間が一生で得られる幸福感の量は変わらない、変えられる点があるとすれば『どこで絶対量を使い切るか』だろう

 

 

車が動き出す。見知った景色と人を置き去りにして。

「──」

 

 

結果として、約束は果たせなかった

 

 

ザイルがコヤンスカヤを召喚する少し前

F地区 ナショナル・ギャラリー美術館にて…

 

 

特に何かを見るわけでもなくフラフラと美術館内を歩く少女、影月 遥。

「ふわぁ…今日はそんなに人居ないな…」

遥は勉強の合間、休憩がてらこの美術館に来ることが多いが別に美術品に関心は無い、理由は単純に──

 

 

「静かでいいね…」

その独り言に返事が返ってこないことに満足しつつ、今日もまた館内を一周して外へ

図書館でもあれば良いのだが軽く行ける距離にはこの美術館しか無かったのだ

 

 

「…ヨシ、んじゃ勉強しに帰ろうかな」

余談だが幼い頃から学校には行っていないため、今彼女が勉強している工程は昨日ようやく高校生レベルへと入った

 

 

「んもー、こんなとこ住んでるとゴミ出しも面倒だなぁ」

…?

ふと耳に届いた軽薄そうな声に視線を向ける

 

 

「…うん!?」

美術館の裏へ続く、車1台なんとか通れそうな通路。美術館側に窓も扉も無いのは来るたびに目に入るから知っている。その壁からニュッ、と汚い白衣の女性がゴミ袋を持って出てきたのを遥は見た

 

 

「へっへーい、近道近道♪」

その女性はこちらに目もくれず裏手にあるゴミ集積場の方へと走って行った

え、え?

女性が出てきたところ慌てて調べに行く遥

もしかして幽霊?でもゴミ捨てに行く幽霊なんているわけないし…うん、やっぱり壁しかない

 

 

とりあえず手当たり次第に壁をペタペタしてみる…

「…」

「…?」

「特になにも──わっ!?」

 

 

見た目は壁なのに、そこだけ霧のように手がすり抜けて転がり落ちる

「おわーっ、と!」

が、なんとか受け身を取って着地!

護身術とはまた違うけど小さい時、彼方を護るためにたまたま旅行で来ていたおじいちゃんに習った太極拳モドキが地味に役に立った!

 

 

「それはさておきここは…」

…車庫?にしては微妙に広いし…足元のこの落書きは一体…?あっ

現状を把握できない彼女の目に映る、この空間で最も存在感を放つ物体

機械の…腕?

 

 

義手にしては大きな機械の手の方へと、手を伸ばした時──

「イッ!」

火傷した時のような感覚、直後──

「…ん?召喚されたのか?なんかにしては変な──あ、お嬢ちゃんもしかしてマスター?」

 

 

「へ?」

ガタイの良い…という言葉では表せないほどの大男が目の前に立っていた

でっか!腕とか私の胴体と対して変わらないんじゃない?…というかマスター?マスターって言った?

 

 

「お、令呪もパスもあるな!んじゃ間違いねぇ、お前が俺のマスターだ!俺はオリオン!色々と超越したギリシャのアーチャーだ、よろしくな!ええと…」

「エッ、あ、ハル!名前はハル・マトン、だよ?」

ぎこちない自己紹介になってしまったものの、彼は嫌な顔ひとつせずバシバシと肩を叩いて笑う

 

 

ちょ、地味に痛い!

「そっか、よろしくな!ハル」

「よろしく…?」

訳もわからないが、とりあえずこのままここにいるわけにもいかないので入ってきたところからよじ登って外へ出て、家に向かう

 

 

…帰った瞬間、家にいた義姉ちゃんが実体化したオリオンを見て喚きまくったのは言うまでもない

 

 

 

 

「…あのー、ダヴィンチちゃん?」

「なんだい、ノーア」

「…怒ってる?」

「うん」

 

 

たはは、と乾いた笑いを吐きながら視線を逸らすノーア

そしてノーアが勝手にショートカットとして作った通路と召喚済みの陣を交互に見てため息をつくダヴィンチ

この日から、部屋には鍵が増えたという…

 

 

 

R地区 とあるカフェにて…

 

 

『…というわけで急遽予定を変更して演習場に留まることを決定した米軍の英雄、クライム・アルバート将校へ突撃取材を行いました』

作り笑いが見え見えなニュースキャスターから映像が切り替わり、演習場の入口らしき場所で取材陣を鬱陶しそうに払いのける軍服の男が映し出された

 

 

『何故急に留まると決めたのですか!?』

『軍事機密です』

『ウルフルズについて掴んだことはありますか!?』

『軍事機密です』

『わざわざ自分で日本食店に行き沢庵を大量に購入したとのことですが沢庵が好きなんですか!?』

『軍じ──ハァ…通してください!』

 

 

「パパラッチってどーでもいいことで騒ぐんだね…」

グビグビと作法なんてカケラも無い動作でアイスココアを飲みながら店のテレビに向かって呟く

「な、なぁーハル?」

「なーにオリオン?」

 

 

元気無いな…やっぱりカフェじゃだめだった?でもここよりオシャレな場所にしようと思うとお小遣いオーバーするし…

「デートにゃ向かなかったかな…」

「でっ…俺より気が早──でもない!落ち着かねぇし移動しようぜ!」

 

 

落ち着かないってなんで──あ

ふと周りを見回すと店内にいた人達に一斉に目を逸らされる…いや、正確にはオリオンから目を逸らしている。つまりはまぁみんなオリオンを見てましたってことで…

「あ」

ナチュラルに会話してたから忘れてたけどオリオンの格好、半裸じゃん!

 

 

「…」

「…」

「服、買いに行こうか…」それまで霊体化してて

「ずっと霊体化するのが1番いいと思うが…」

 

 

F地区 とある洋服店前にて…

 

 

「似合ってる(と思う)よ!オリオン!」

「お礼とかいうよりも先に俺のサイズがあったことに驚きを隠せないぜ…」ありがとな

 

 

正直あると思っていなかったが意外と彼のサイズに合う服は見つかった、水色の半袖Tシャツに…スキニー?って名前の…半ズボンみたいなやつ。(色は…なんていうのか…砂浜色?)あと服屋なのに何故かスニーカーも置いてあってそれも買った、というか彼女らが買ってくれた

 

 

…分かりにくいがオリオンが先程『ありがとな』とお礼を言ったのは遥に対してでは無い

「俺はなーんにもしてないさ、礼ならマスターに言ってくれ」

「…まさかこんな序盤で他マスター&サーヴァントとWデートすることになるとは思ってなかったわよ」

 

 

掴みどころなく笑うランサーのサーヴァント、ヘクトールと困惑しながら苦笑するそのマスター、ルマス・プライマリ

彼女らと会った切っ掛けは単純、オリオン(霊体化)と一緒に服屋まで歩くその道中──

 

 

『よ。そこの嬢ちゃん、カッコいい男連れてるじゃない、彼氏かい?』

『…?えーと失礼ですがどちらさま…?』

『どうしたハル──ん?あ!ヘクトール!?』

『え、知り合いなの?ランサー』

 

 

…と、そういう訳である

 

 

「じゃあ貴女聖杯戦争知らないの!?」

「えっと…一応知ってはいるけど…その、細かいルールとか教えてくれると嬉しいな…」

向こうにとってはどうか分からないが少なくともこの遭遇は遥にとって幸運だった、何せオリオンと契約した(できた)にもかかわらず殆ど無知のマスターなのだ、勝ちだけにこだわるマスターなら真っ先に彼女は狙われていただろう

 

 

「しょうがないわね、良く聞くのよ?」

だが幸いにもルマスという魔術師もまた無知だった、知識としては知っていてもその状況がどれだけ千載一遇のチャンスだったかを理解できる経験が無かったのだ

 

 

そして──

 

 

「同盟?」

「そう!お互いギリシャ神話のサーヴァントを使役し、かつこうしてどの他マスターよりも早く出会ったのよ?きっとこれも何かの縁よ!」

「うーん…どうしよ?」

 

 

正直同盟を組む事自体は大歓迎だ、私は聖杯戦争に対してあまりにも無知だし…

だがマスターとサーヴァントは二人三脚、そんな大事なことを私の一存で決めるわけにはいかない

「オリオンはどう思う──オリオン?」

 

 

「あっさりナンパが成功して浮かれてたのか知らないけど今のお前さん普通のサーヴァントじゃないからね?」

「あー…なんか違う感じはしてたんだがまさかグランドでの、それもマスターありでの召喚なんて今まで無かったからな…」

 

 

私とルマスさんを背にヒソヒソと何かを話している2人

もー、私たちそっちのけで何を話してるの…?

「オリオン!」

「のわっ!?あっ、ああ、どうした?」

「同盟!私は良いと思うけどオリオンは?」

「うん、あー、同盟ね?うん、良いんじゃないか?」互いに真名割れてるし。

 

 

…ならいっか

「同盟の条件は?」

「この2組以外の陣営が全て敗退するまで互いへの攻撃禁止!シンプルでしょ?」複雑にすると面倒だし

「それもそうだけど自分のサーヴァントに確認はしたの?話し合ってからの方が良いと思うけど…」

「…?方針を決めるのはマスターでしょ?」

「うーん…」

 

 

どうやら彼女と私にはサーヴァントとの関係に対する認識が違うらしい

「…」

オリオンとルマスさんを交互に見ながら少しだけ考える

一緒になって戦う、とかはなさそうだから誰かを殺す危険は今のところなさそうだし…少なくともオリオンはランサー…ヘクトールさんのことは顔見知りであり、信用しているみたいだし良いかな?

 

 

「…その条件なら私は良いよ、オリオンは?」

「ってことはどこかにビーストが来てるってことだよな…」

「ほぼ間違い無いでしょ。マスターにもちゃんと伝えておきな、仮に聖杯が欲しいだけだったとしても彼女には伝える義務があると俺は思うぞ」

 

 

まーたヒソヒソ話してる…

「しかしそれはなぁ…「オリオンっ!」

「どわぁっ!?」

「この2組以外の陣営が全て敗退するまで互いへの攻撃禁止、この条件で同盟を組むけどオリオンは賛成?反対?」

「賛成!!」超早口

 

 

食い気味に答えたオリオンに少しだけビクつきながらも、私はルマスさんと同盟を結ぶこととなった

「ありがとう!改めて…ランサーのマスター、ルマス・プライマリ!よろしく!」

「アーチャーのマスター、えっと…ハル・マトン。それじゃあまぁ…よろしく?」

「んじゃ早速私の隠れ家に案内するわ!後で貴女のも見せてね!」

「隠れ家って言えるものじゃ無いけどね」あはは…

 

 

この後は互いに隠れ家の確認、そしてルマスに連れられて遥達は教会へ参加表明しに行った

あの子供神父やたら私の方見てきたけど顔に何かついてたのかな…?

そんなこともありながら遥とルマスは改めて同盟を結ぶのだった

 

 

…本来聖杯戦争で同盟を結ぶとなれば魔術的拘束力のある書面や術式等で契約するマスターが殆どだが…互いの無知が災いし、やったのはせいぜい握手程度であった、繋がりもない為遥がルマスの異常を感じ取ったのは事の起こった後。

 

 

翌日、遥の隠れ家であるビジネスホテルにて…

 

 

「のわ!?窓から入ってくるな──…!?マスター!来てくれ、早く!!」

明らかに常時の様子では無いオリオンに慌ててトイレから手も洗わずに飛び出すと──

「な、なにこれ!?何があったの!?」

「後で話す!嬢ちゃん頼む!マスターを助けてくれ!!」

両足が無くなって血塗れになったルマスさんがヘクトールさんに抱えられていた




コヤンスカヤと契約するより互いに背中を預けるパートナーになりたい作者のルルザムートです、ハイ。
お仕事キツいよ…でもしないとヤバいよ…
というか疲れのせいか見直すとこの回後半要らない部分が多いような…汗
あと息抜きでバイオハザードの話も書き始めました(あちらは亀更新ですが)
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