弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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今回ちょっと長いです
第34話です、お楽しみください


第34話 全てを賭けた1戦

午後11時

J地区 米陸軍駐屯地 中央司令室にて…

 

 

「トール・マトンは!?」

最後にハル・マトンと話していたのは彼女だ、話を聞ければ──

「それが…停電の影響で電話回線がまだ混線しており連絡が付きません!」

「っの…!こんな時に!」

まずい、まずいぞ!

 

 

グランドアーチャー、オリオンがハル・マトンと契約を切ったのはオリオン本人から聞いていた、故にもう彼女は狙われないと人員を減らしたのが仇になったらしい

「クライム隊長!B地区にて避難所の人員が不足しているという報告が!」

「クライムさん!G地区及びL地区の病院で人手不足との報告が!捜索隊から2隊分、回させてください!」

「ぐ…!」

 

 

どうする?どうすればいい!?

オリオンとの契約は切れているがザイルはそれを知らない、見つかれば間違いなく殺される!これ以上、奴に殺戮を許す訳には行かない!

 

 

しかし停電によって混乱している市民を蔑ろにもできん、かくなる上は──

「…っ!捜索隊から3割、停電対応に回せ!捜索の指揮は俺が現場でやる!」

「了解!」

 

 

「停電対応の指揮はセイン!お前が取れ!ここは任せるぞ!」

「セイン准尉、了解。」

ええい、時間が惜しい!

机に立てかけてあった装備一式を引っ掴み、窓から飛び降りる

「!?クライムさん!ここは5階──「土方!!」

「もっと早く言いやがれ!」

 

 

アサルトライフルのサスペンダーを装着しつつ、土方の力を借りて着地。そのまま正門へ走る

「この際魔力消費に構うな!セイバーのマスターを探し接触次第報告しろ!俺は1番近い捜索隊の指揮を取りに行く!」

「分かった!」

 

 

なんとしてもザイルより先に見つけなければ…!

基地を飛び出し、大通りへ出る──その瞬間

「…っ!?クライム!!」

っ!!

 

 

咄嗟に急停止すると同時に魔力砲という呼び方が最も合っている光の玉が2メートル前の地面を抉り取り、爆発する

この…衝撃、覚えが──

「無事か!?」

「負傷は無い!それよりも──」

 

 

俺と土方の視線の先、見覚えのある2つの人影がふわりと降りてくる

「…本当にやるんだね、ノーアちゃん?」

「もち、ろん…ゼェ…ゼェ…悪い、けど!ザイルの邪魔はさせないよ!」

コンテナ置き場で一度会った2人。キャスターは以前見た時と様子は変わらないものの、そのマスターの様子がおかしい

 

 

「…随分と分厚い皮を被っていたらしいな」

かろうじて人の形を保っているものの、身体の所々が欠損していたり胸部は抉れ、腹部には穴が空いたりと人間として考えるなら生きている訳が無い状態だった。

 

 

「一瞬とはいえ…はっ…はっ…さ、流石に乖離剣の直撃はマズかった…」どうしよう、中々再生しない…

僅かずつ、だが遠目でも分かる程に、彼女の身体が再生している…

まともな陣営じゃないかも、か…お前の言った通りだ、エナ!

 

 

だが彼女の正体がなんだろうと俺には関係ない!

「土方!」

「使え!」

交差するように互いに自分の武器を投げ渡し、戦闘態勢に入る

「まともに殺し合っている余裕は無い!撃退して先へ進むッ!」

「ああ!」

 

 

「行くよ、ダヴィンチちゃん!王様が来る前に終わらせる!」

「………うん、分かった」

 

 

クライム&土方、キャスター陣営と交戦開始

 

 

同時刻

W地区 中央公園にて…

 

 

「ここが中央公園か…公園というかただの広場だな」

小学校のグラウンド程ある敷地、その中心に広がる大きな池と外柵沿いに立ち並ぶ木々…本来老若男女が訪れ、のんびりした時間でも過ごすのだろうが停電中な上、時間が時間な為かこの場に俺とコヤンスカヤ以外の人影は無い

 

 

彼女が言うにはそろそろアーチャーが現れるそうだが…

「…」

「…?どうされましたかザイルさん?」

…これは聞いておくべきだろう

 

 

「アーチャーのマスターの対策は練っているのか?」

重要なことだ。少なくとも今の俺は影月 遥に対して特別な感情は無い。だがあの時、奴が目の前に現れただけで俺は戦闘を続行するだけで精一杯、トドメも刺せなかった

「…正直また目の前に現れたら俺は戦える自信が無い」

 

 

弱気になることなど今まで一度も無かったザイルであったが原因を自覚出来てない以上仕方ないことだろう。だがそう呟く彼に対してコヤンスカヤは特に悩む様子もなく言った

 

 

「彼女がアーチャーと共闘することはもうありません、ご心配無く♪」

「そうなのか?」

確信的に言い切るあたり、何か細工をしたと想像できるが…まぁコヤンスカヤが言うなら間違い無いだろう

 

 

「あら…?」

「どうした?」

ふと何かに気付いたのか横を歩いていたらコヤンスカヤが首を傾げる

アーチャーが現れたのか?

 

 

「いえ、外からの情報を読んでいたのですがバーサーカーとそのマスターが戦闘に入ったようです、ですが今はワタクシ達に関係無いのでとりあえずこの時間を楽しみましょう」

「ああ、そうし──いや、楽しい時間は終わりらしい」

 

 

魔力よりも先に感覚器へと届いた異常な重圧に、視線は前方へと戻る

「…ですね」はぁ、空気の読めないゴリラですねぇ?

 

 

ドズン

 

 

20メートル程前、轟音と共に空から降ってきた1つの影

改めて、その巨躯に2度、目を向ける

2メートルをゆうに超える巨躯に俺の胴回りほどありそうな手足、見ていると名状し難い感覚を感じる弓、そして全身から放たれる『絶対に殺す』と言っているようなオーラ。

それを直接向けられたのは俺で無いにも関わらず感じる威圧感は生前アーチャーも人間だったということに疑問を持たせる

 

 

──が、萎縮している場合ではない

「…よお、また会ったな?」

そう言うが早いか彼の弓から2本、剛速の矢が飛んでくる

回避しつつコヤンスカヤはライフルを展開しつつ後退、俺は真横に飛んで避けてオートマチックのマグナム…デザートイーグルを構える

 

 

やれやれ、いきなりだな

今の矢は2本とも俺を狙ったものではなく、避けるのはそう難しくは無かったがもし狙われたらひとたまりもないだろう

「マスターは不在らしいが、さて…」

 

 

マグナムに加え手元には閃光弾4個に元から持っていたマグナムの弾が20発、そしてコヤンスカヤが用意した『NFF』という文字が彫られた回転弾倉式のグレネードランチャー、アーウェン37とそれに対応した炸裂弾が装填弾含め16発、そして昼間受け取ったサソリの毒入りのアンプルが3つ。

 

 

はっきり言ってかなり心許ない、ライダー戦とは違いマスターを殺せば終わる戦いで無い上にサーヴァントの格が今までで最強だ

(じゃーザイルさん♪フォロー、お願いしますね♡)

だと言うのにコヤンスカヤは余裕の表情でバイクを展開、アーチャーから距離を取りつつ弾丸、爆弾を撒きまくる

 

 

「…よし」

信用するぞ…!

コヤンスカヤを追おうと早速俺に背を向けるアーチャー目掛け、挨拶代わりに炸裂弾を撃ち込む

「ぬあ!?」

 

 

が、無防備な背中に直撃したはずの炸裂弾は彼を少しよろけさせただけでダメージが入っているようには見えない、サーヴァント相手に現代兵器が干渉できただけでも凄いことだが…

 

 

「…ったく!後でたっぷり相手してやらあ!首洗って待ってやがれ!」

そう吐き捨て、彼女のバイクを追っていくアーチャー

 

 

やはり無駄か

(ザイルさん違います!弓です!弓を装備した腕を狙って下さい!)

弓?…!そうか!

 

 

「分かった『レオレオ!動体視力及び両腕力強化!』」

コヤンスカヤからグレネードランチャーと一緒に受け取っていたミニカーのようなバイクを放り投げ大型バイクを展開、アーチャーの後を追う

瞬き程の一瞬で3人全員が中央公園を飛び出し、人のいなくなったゴーストタウンでのチェイスが始まった

 

 

「っの、チョロチョロしやがって!」

視界が霞みそうな風圧の中、彼の弓が一瞬光る

…!

攻撃のため一瞬速度を緩めたアーチャーに並び、左手に構えた弓目掛けて炸裂弾を撃ち込む

 

 

「うおっ!?」

ダメージは無かったものの、放った矢はあらぬ方向へと飛んでいき、付近の建築物を抉り取った

(冠位の資格もマスターも失った今、彼は普通よりメッチャ魔力持ってるだけの型落ち英霊です!その調子で攻撃を!)

 

 

いずれガス欠を起こします!と念話で高らかに言うコヤンスカヤだがこっちはたまったものではない

「邪魔すんな!!」

っ!?クソ!

 

 

象を1発で殴り殺せそうな棍棒のフルスイングが迫り、回避する為にはバイクを捨てるしか無かった

自らの足で走る英霊を小回りの効かないバイクで追いかけるのだ、反転されればこっちが危機に晒される

 

 

まずい!空中で身動きが──

「とおーっ!」

迫る2発目の殴打はバイクごと突っ込んできたコヤンスカヤによって妨害され、命からがら着地する

 

 

俺は助かったがコヤンスカヤと奴の距離が近すぎ──いや

「終わりだ!」

「っと!?」

 

 

ここだ!

「『オリオン・オルコ「ウリィヤァ!!!」

全身の力を込めてサソリ毒のアンプルをアーチャーの腕に突き刺した

 

 

「んなもん──…!?」

通常のサーヴァントはおろか、魔術師にすら通用しそうに無い毒だが、それを入れられた彼の顔色がみるみる変わっていく

 

 

「てめぇ…!…ぐ、あ…!」

効いたのか!

(まだです!)

「ぬ…!う、おおおおおお!!!」

 

 

再び迫る棍棒打撃、だが先程の一撃と違い明らかな失速が見えた

「ッ!!」

ドンッ

 

 

掬い上げるように振られた棍棒を身を捩って避け、続けて放たれる2発目をマグナムの反動を利用して後方へ跳躍、回避する

「逃がすか!」

が、ここでアーチャーは初めてザイルを脅威と認識したらしく、矛先を変えて彼へ向けて弓を構える

 

 

──しかしその弓から矢が放たれることは無かった

しゃん…

聞き覚えのある鈴の音が暗黒の街に静かに響く

「…?」

「今の音は…」

ライダー戦の時と同じ──

 

 

『出雲に神在り 審美確かに 魂に伊吹を』

一帯の空気が変わる、周囲は暗いままにも関わらず何もかもが鮮明に見える

 

 

あれは…!

アーチャーの後ろ…後方約30メートル程の場所にあるアパートの屋上に彼女は居た。あの時と同じように服装は青い巫女服のようなものを身につけ、今回は空飛ぶ鏡(?)を自身の周りに侍らせている

『山河水天に天照す 是自在にして禊の証』

 

 

ゴツゴツのアスファルトだったハズの地面には巨大な鏡と見間違えそうな水が見渡す限り広がっており、周囲には8つの鳥居(?)が俺とアーチャーを取り囲み、一定の距離を保って回っている

 

 

おいコヤンスカヤ!

何かやる気らしいがコヤンスカヤの様子が目に見えておかしい、明らかに無理をしている!

(詠唱中は動けません!死ぬ気であのゴリラの足止めを!)

やれやれ、カンタンに言ってくれるな!

 

 

「クソッタレ!ここに来て宝具かよ!?」

と、そこでコヤンスカヤに反応したアーチャーが再びこっちに背中を見せる

もう1本…!

 

 

2本目のアンプルを取り出しつつ閃光手榴弾を投擲、弓に手を掛けるアーチャーの背後から思いっきりアンプルを突き立て──

「そう何度もくらうかよ!」

巨体に見合わぬ動きでアンプルを避けたアーチャーが、小さい家なら一撃で粉々になりそうな回し蹴りを放つ

 

 

「しっ!?」

避けられない──

 

 

ゴシャッ…

 

 

「う"あ"っ…!!?」

アンプルが砕ける音、そして身体中から不快な音を響かせながら路上駐車されていたトラックに叩きつけられる

ぐ、そ…!

「身体、が…」

 

 

「もう部外者とは見なさねぇ、そこでくたばってろ!」

揺らぐ視界の中、アーチャーが遠ざかっていく…

コヤンスカヤの方に…!

『名を玉藻鎮石 神宝宇迦之鏡也』

 

 

「射角は捉えた!「我が矢の届かぬ獣はあらじ!」

『水天日光天照八野鎮石』

 

 

ドクン

!!!

詠唱が終わると同時にぱしん、と鏡が水面に叩きつけられた瞬間。俺の身体がハネ上がった

 

 

「ッ!!」

トラックにめり込んだ身体を強引に捩って脱出し、アーチャー目掛けてグレネードランチャーを撃つ!

 

 

「っ!!??テメェどうやって…!?」

詳しいことは分からない、恐らくコヤンスカヤの宝具の影響だろう。死んでもおかしくなかった傷は全て完治、その上まともな魔術回路が無い俺にも分かるほど身体に魔力が満ちていた

 

 

これなら行ける!

「『レオレオ!全ての身体強化全開!』」

「のっ…野郎!」

今まで聞いたことがないような音…まるで金属を高速で擦り合わせたような高音が義手から響く、理由はもちろん無茶な使い方をしてるからに他ならない。普段なら俺の身体が持たないだろうが──

 

 

(元は…死者すら蘇らせる宝具です!このまま、挟み撃ちに…!)

分かってる!

コヤンスカヤがこっちに向かっているのを確認しつつ、3本目のアンプルとグレネードランチャーを構え、走る。

 

 

「うおおおおああああ!!!」

「がああああああああ!!!」

放たれる矢を避け、棍棒をかわし、その剛腕から放たれる殴打を炸裂弾で跳ね返して──

 

 

「お前は!いい加減──」

「ここで退場してくださいまし!」

前方から俺、後方からコヤンスカヤが、ほぼ同時にアーチャーの胴体にアンプルを突き刺した

 

 

「ぬ…ぐ、あぁ……!!」

崩れ落ちるアーチャーを見ながら後退、コヤンスカヤも距離を取ったらしい

今度こそ──

「──れるか」

 

 

「ちょ、ちょっと冗談ですか!?」

コイツまだ…!

「構えろ!」

「終われるかあァァア!!!」

 

 

もはやどっちが獣か分からないような形相で突進してくるアーチャーをギリギリで回避する

「おい!こいつはサソリの毒に弱いんじゃ無かったのか!?」

「間違いなく、効いてます!このまま自滅するまで…耐え…!」グラッ

「コヤンスカヤ!」

 

 

強化を足に集中し、ぐらりと揺れる彼女の身体を咄嗟に抱きかかえる

やはり相当無茶をしていたらしい

「ゴホッ…!ゼェ、ゼェッ!うおりゃあ!!」

「くそったれが!」

 

 

苦し紛れに閃光手榴弾をアーチャーに投げつけ数秒稼ぐがそれまで。耐久勝負は俺たちの負けだ

「魔力供給だ、血を吸って転移しろ!どこでもいい!これ以上は戦えない!」

アーチャーのバックには信じがたいが女神が憑いているらしい、俺たちが離脱すれば解毒される危険があるがそんなことを言っている場合ではない

 

 

「……期待、してたのですが、時間切れのよう…転移、します…!」

「…!?くっ、そ…!待て…!」

こちらの逃走の意思を感じ取ったのだろう、数撃ちゃあたるとでも言ったように当たりを付けて矢を放ち始める

 

 

急げ!

(分かってますよ…!…準備OKです!)

よし、ひとまず体制を立て直す!

 

 

身の程知らずの(トライスター・)──

 

 

「────」

は?

 

 

全く予想していなかった声、俺たちが気付かなかったのか彼女が隠蔽をしていたのかは分からない、だが確かにそこにいた

とうに限界を迎えているハズの身体を酷使し、月女神の力を纏った人間が、黄金の弓をこちらへ向けて引き絞っている

 

 

見間違えるハズがない、彼女は──

「遥!?」

 

 

少女の愛矢(プリモアモーレ)!』

 




死ぬ時は数えきれないくらいの狐の大群に押し潰されて終わるのがいい作者のルルザムートです、ハイ。
ようやく終わりが見えて来た…あ、最後のはオリ宝具です。ご了承ください
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