弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
それはそれとしてお待たせしました。第38話です、お楽しみください
???にて
「 」
ぼんやりと見上げた夜空に浮かぶ星々
既にまともな思考を放棄していた私は『手を伸ばせば届きそうだよ』という台詞を最初に考えたのは誰なのか、なんてどうでもいいことを考えていた
「…かなた」
だが思考を放棄して尚、影月 遥という
頭を撫でられる心地良さに身を任せ、目を閉じてこれまでを振り返る
…私は妹を救えなかった
どうして私が
ビーストを倒す為の切り札がオリオンだったならそのマスターであるあの子を止められる可能性が世界で1番高いのは私だから。
──まぁ、結局止められなかったけどさ
彼方はビーストと消え、義姉ちゃんは殺された。そして私とオリオンも…
「…神様って、死後の世界にいるのかな」
「え?まー居る
もしアルテミス様に会ったらちゃんと謝って──まって?
明らかに知人では無い声が上の方から聴こえてきたのは幻聴では無いよね?
それに心なしか後頭部に感じる柔らかい感触はどう考えてもコンクリートでないのも間違いないよね?というかそもそも誰が頭撫でてるの?
恐る恐る目を開けてみる…
「おー起きた!おはよーハルちゃん!」
「ぐぴゃっ!?」
ぬっ、と顔を覗き込む女性にびっくりして間抜けな声が吹き出し、女性の膝の上から転がり落ちる
…どうやら私はずっと目の前の女性に膝枕されていたらしい
「あー!ごめんごめん、脅かすつもりは無かったの!」
目の前の──明らかに人間とは違う気配を纏う女性はその雰囲気に似合わない陽気な口調で心配そうに声をかけてくる
「…」
改めて目の前の女性の姿を見る
真夜中の海を月明かりで照らしたような銀と空色の長い髪、整った顔立ちから覗く、見ていると(何故か)安心する青い瞳、大胆に胸元を解放したワンピース…に似た真っ白な服は足元に近付くにつれて夕焼けのように橙色へなっており、どこを見ても普通の人間には見えなかった
…が、不思議と遥には彼女に対する不安や恐怖といった感情は浮かんでこなかった。
綺麗な人…でもヘンだな、初対面のはずなのに彼女を知っているような気がするし…
「…?この声…誰だっけ?」
見覚えのある顔、聴き覚えのある声に首を傾げていると女性の方から動いた、というか──
「それじゃ、改めて…ハルちゃんありがとー!」
「え、あの──ぬぎゃーっ!!??」
──飛びかかってきた
問答無用と言わんばかりに抱きついてくる…というかベアハッグしてくる謎の女性に混乱する頭、ないすばでぃによって塞がれる酸素の通り道
「むぐ!?んんんんーっ!!!」
「お、おいアルテミス」
「うんうんよしよし!もうね、祝福しちゃう!加護も霊基もあげちゃう!ハルちゃんすごく頑張ったし!」
…何か言っているらしいがいきなり呼吸を封じられた人間にそこまで気にするほどの余裕は当然無い
「とりあえず今度は手加減無しで祝福して…あと──うん?何かしらコレ…」
「おいアルテミスって!」
「ん…ぐ」
ま、まさか女性の胸で窒息して死ぬの?私?え、本当に…?
「ンモー!ダーリンったら!呼んでくれるのは嬉しいけど今はハルちゃんを治さなきゃでしょ!」
「あー…そのハルだが…そろそろ離してやらないと窒息死するぞ?」
「え?」
「 」ムキュ…
「わっ!ああっ!ごめーん!」
そこでようやく解放され、酸欠状態の身体へゆっくりと酸素を取り込む
「死ぬかと思った!!!」
っていうかアルテミス?さっきアルテミスって言ったの…!?
「ごめんね?ちょっと焦りすぎたわ…」
「ったく、折角駆けつけたのにトドメ刺してどうすんだよ?しかも死因がオッパイって…いや、なんか良いなその死因。」
さっきまで世界を賭けた戦いをしていたとは思えないふざけた発言に思わずオリオンの顔を引っ叩こうと手を振り上げる──よりも早く、
「ダ〜リン?今はふざけてる場合じゃないわよね?」
「おい待て、ちょっとしたジョークだ、な?落ち着け、落ち──ぎぃへぇぇ!?ギブギブギブ!!」
アルテミスと呼ばれた女性は瞬間移動の如くオリオンの背後に回り込み、そのままチョークスリーパーをキメる
…笑顔だけど目が、目のハイライトが消えていてかなりホラーだ、それに腕は私とそう大差なさそうなのに絡めたオリオンの首からミシッとかメキッとかヤバい音してるし
というか情報量が多すぎる、辺りの景色はどう見ても一面の海でワシントンD.C.の大通りじゃないしオリオンはピンピンしてるし目の前の謎の女性は謎…だし
…アルテミスって呼ばれてたけどまさかこんなハイテンションガールが本人じゃないよね?
「あ、あの〜?」
「あ!ハルちゃん、丁度いいからよーく見ててね!ダーリンが浮気した時の扱い方、教えちゃうワ♪」
「お、おい!無垢な少女をそっちに引き摺り込むんじゃねぇ!それに今は浮気してな── あっ きゃん 」
「あ わわわ…!」
ゴキャッていった!今ゴキャッて音がした!!!
恐怖を連想させる笑顔に今すぐ逃げ出したかったけど悲しきかな、人間はビビると身体が動かなくなるみたい
…と、オリオンをオトした女性は何事も無かったかのように最初の、幼い子供のような笑顔に戻り、話し始める
「と、まぁもう分かると思うけど改めて自己紹介するわね、私はアルテミス!ギリシャ神話でよく聞く月女神アルテミスね!」
「え、あ、どうも…ハル・マトン──いえ、影月 遥です」
やっぱりアルテミス様なんですか…そうなんですか…
「もー!敬語とか要らないわよ?気軽にアルテミスちゃんって呼んで♪」
「え、えっと…アルテミス、ちゃん?」
「なーにー?」ニコニコ
「…うん」
…調子が狂う!
目の前の女性が神であることに疑いは無い、何せ私自身ついさっきまで月女神の
このままでは対話どころでは無いため、強引に話のベクトルを変えてみる
「と、とりあえず今いる場所とかアルテミスさm…ちゃんのこととか色々と聞いても良い、かな?」
敬語は使わせないと言わんばかりのハッピーな圧にしどろもどろになりながらも聞いてみる
「うんうん、元々そのつもりだし一個ずつ説明しようか!」
なんでも聞いて!と、ダウンしたオリオンを背もたれにしてアルテミス様が微笑む
「え、えっとじゃあまず今の状況を教えて欲しい、この場所は…?私とオリオンは…どうなったの?ビーストと彼方は…?」
「うん、まずこの空間は私と
2個目、本物のハルちゃんとダーリン…つまりここにいる精神体のみの存在ではない、外にいる2人は…今死にかけてる。
ダーリンはサソリの毒が周ってる上に霊核が完全に砕けちゃったし、ハルちゃんの身体は私の権能を使った反動で崩れ落ちる寸前よ」
「…っ」
やっぱりオリオンは私のせいで…
「こーら、そんなカオしちゃダメ!元を正せばダーリンが浮気性な上にカッコ良すぎるのがぜーんぶ悪いんだから!」
こっちの考えを見透かしてプリプリ怒るアルテミス様にまたしても調子を狂わせられながら、続きを促す
「最後、ハルちゃんの妹とビーストは…少なくとも探知できる範囲にはもう居ないわ」
「何処に向かったとかは…?」
「それが彼女達痕跡も完全に消して移動してるみたいでね…」
これでも狩猟の女神なのにごめんなさい、としょぼくれるアルテミス様を慌てて宥める
「ありがと、それじゃあ私からも1つ質問したいんだけどいいかしら?」
「…?知ってる限りなんでも答えるよ?」
あ、なんでもって言ったけどもちろん限度はあるけど…
「──蛇の神様に心当たりはあるかしら?」
「へび?」
蛇って言うとアレだよね?爬虫類の。
「そう、例えば蛇神の神社に熱心に通ってるとか…」
「うーん?特に覚えは無いけど…どうして?」
正直神様自体今日まで信じていなかったから覚えも何も無いんだけど…
「さっき気付いたんだけどハルちゃん、ギリシャの
「え、ええっ!?」
呪われてる!?
寝耳に水とはこの事だ、少なくとも私は蛇を虐めた覚えは無いしそもそも動物を虐めたことも無い…まぁ自分より小さい
「呪われてる、って言うより祝福されてる──つまりなにかしら蛇にまつわる神に物凄ーく好かれてる」
好かれる理由は分からないけどそれなら別に良いのでは?と思ったのを先読みするようにアルテミス様が言葉を続ける
「それが善性の神ならいいんだけど…いえ、善性でもダメ。コレ好意の度が過ぎてて危険域ね」
「うおっ…マジかよハル?お前どこで神を誘惑したんだ?神の絡んだ恋愛はロクなことになら──
「ダーリン、
「ぐえええーっ!!」
復活したオリオンにすかさずチョークスリーパーをキメる女神…うん頭が慣れた、と思い込むことにしてもう一度記憶を辿ってみる
…やっぱり蛇に特別優しくしたり祀ったりした覚えは無い、好意が振り切れた神様の危険性はオリオンが身をもって(?)証明してくれたし…
だとしたらかなりマズいのでは?曲解かもしれないがようするに身に覚えのない神様からヤンデレじみた好意を向けられている、ということになる
「オリオンとアルテミスちゃんは相思相愛だから今の程度で済んでる(?)んだろうけど…」
だが蛇神に身に覚えが無くとも呪いと言われれば納得できることは多い、色々とあるけど一言に言って…私は運がない、例えば──ん?
「お、お前、涼しいカオで
「え──むぎゅ」
「やっぱりそう見える〜?もー!ハルちゃんったらもー♪嬉しい!ね?ダーリン♡」
当然のように再び封じられる気道。精神体なのに呼吸は必要なの不思議ね。
また窒息するところだったが今度はオリオンに助けられて事なきを得る
「ごめんごめん!話が進まなくなっちゃうから結論から言うと私の
あっさりしすぎていて凄さはいまひとつ分からなかったものの、オリオンの驚愕の表情から察するにかなり凄いことらしい
「ソレ、呪いの対象だけじゃなくてその周囲の人間も巻き込むタイプの強烈なヤツ。ハルちゃんは何故かケロっとしてるけどかなり危険なものよ、ここはこれまでのお礼代わりに私、張り切るから!」
「張り切るって…」
意味がわからなかったが直後
むふー!とガッツポーズをするアルテミス様の身体が足元から消え始めていて──
「へ、えっ!?何をやってるんですか!?イテっ!」
ごちーん!と漫画のような音を立てて頭部にヒットするアルテミス様のゲンコツ!
地味に痛い!
「敬語は無し!おっけー?」
「は、へい…」
無理矢理訂正したせいで意味のダサい返事が出てしまったが正直何が起こっているのか説明してほしい、目の前の気配も消え始めてるし…
「代わりに説明するとアルテミスは自分の霊基…自分を構成する魔力とか
まぁ
「ないだろうな、って…!」
消えていく彼女の身体を見ればそれがどれ程のリスクの高い行動か分かる、生き残るべきは私じゃないはずだ
「お願い!治せるのならオリオンを治して!私にはもう何もできない…!」
「…私も出来る事なら2人とも治してあげたいけど…ダーリンの場合は呪いじゃなく霊核の損傷だから私にはちょっと難しいの」
「だからってどうしてアルテミス様が私の身代わりになるような…!オリオンもどうして止めないの!?この世のなによりも大切な恋人でしょ!?」
彼女を説得するようにオリオンに当たる、が。
「んー?あー無理無理。コイツは言い出したら俺の言う事でも聞かないからな」
いつもの陽気な口調でそう返してくる
「な、んで…私はただの人間だよ…!それも、アルテミス様の力を勝手に使った挙句、また恋人を殺させてしまった、どうしようもない女だよ…どうして──」
「嬉しかったから!」
──え?
アルテミス様の声の調子が、ほんの少しだけ変わる。その声と今にも消えそうな身体から、きっと座って喋るだけでも辛いのだろう。それでも彼女は笑顔で語る
「私ね、まだギリシャでバリバリの現役だった時、よく色んな人とか物を祝福してたの。だから祝福することには慣れてたんだけどね?」
今にも落ちてきそうな星空を見上げ、一呼吸してから言う
「──あの頃の私とダーリンを祝福してくれた人/神は…結局1人も居なかった。
でもハルちゃんは顔も知らない私の話をダーリンから聞いて、応援してくれた。
それも私の
宝具の名前はちょっと変わってたけどね?と月のように白くて綺麗な、消えかけた手で私の頭を撫でながら彼女は言う
…オリオンの言った『女神だから好きになったんじゃない』という一言が記憶をよぎる
目の前の彼女は月女神アルテミスでありながら、ちっとも神様らしくなくて、言う事やる事も神どころか人としてもどうなの?と、この短時間過ごしただけで思うことはあった
神としての自分は持ち出さず、ただ1人の恋する女性として笑い、感謝の言葉を述べる彼女の姿は──オリオンのあの一言に対する疑問を吹き飛ばすには充分だった
──確かにこれはどうひっくり返ったって勝てないや
「ハルちゃんやっと笑った♪」
「ふえっ!?」
指摘されるのと水面に映った自分の顔を見て気付いたのはほぼ同時で、何故か恥ずかしくなって顔を手の平で隠す
「ふふふ、ダーリンのマスターが女性なの最初はちょっとイヤだったけど…うん!貴女がマスターで良かった!ね、ダーリン♡」
「…へへっ、そうだな──ゲ?」
もはやお馴染みとなった女神のチョークスリーパーがするりとオリオンの首に絡む
「ダーリン今浮気した」
「オイオイオイオイ!!今そういう
もうダウン何度目か分からないオリオンを見ながら、ふと辺りの景色が不自然に光り始めているのに気付く
「あっ、そろそろ時間みたい!」
時間、というのは恐らくここに留まれる時間のことだろう、アルテミス様だけでなく、オリオンの身体も消え始めている
「ハルちゃんの呪いも…うん!しっかり私の加護で上書きできた!これで大丈夫!」
「…なぁ、ギリシャと違うのは分かるが何かの拍子で他の女神に呪われたりしねぇよな?」
「え」
しれっと怖い言葉が聞こえた気がする!?
「いや冗談だ、アルテミスが霊基を渡してる以上大丈夫だろ。
女神を呪えるヤツなんか居ないしな」多分
冗談混じりに笑うオリオン、その身体がアルテミス様に連れられてふわりと浮かんでいく
「あ…」
私の身体も光り始めてる…
「そろそろお別れね、お話できて楽しかったわ♪」
「…うん、私も!」
女神と対話したというより恋愛における先輩と話した気分だったけど。
「私はこれ以上ハルちゃんの助けにはなれないけど…貴女を助けてくれる英霊は居るわ、具体的にはギリシャ出身のね!
もし困ったらギリシャに来て!必ず力になる人が来てくれるから!
月女神の私が保証しちゃう!
あとはえっと…あー!そうそう!ダーリンをよろしくね!」
じゃあねー⭐︎と緊張感の欠片も無く消えていく2人と焼きついたカメラのように白くなっていく視界に、
「…っオリオン!アルテミスちゃん!ありがとう!」
私は感謝の気持ちを込めて精一杯手を振ったのだった
〜
W地区 大通りにて…
停電で相変わらず暗く静かな街中で、空に向かって両手を伸ばす…
崩れた両腕はまるで何もなかったかのように戻っており、その両手で上体を支えて起き上がる
「…すごい」
両手両足どこにも異常は無く、
これもアルテミスちゃんの力なのかな…?
「おーすげぇ…アルテミスのヤツ、マジで丸ごと渡したんだな」
「へ?」
何故か。どういうわけか。頭上から、正確には頭の上に乗ってる何かからオリオンの声がする。
「相当お前のことが気に入ったんだな、アイツが俺以外にここまでするなんて正直絶対に無いって思ってたが…よいしょっと」
手を伸ばして正体を確認する前に『彼』は自分から降りてきた
え、熊…の、ぬい…ぐるみ?
見たまま説明するのなら…うん、手乗りサイズのクマのぬいぐるみがぴょこぴょこ動いて私の目の前にいる。うん。
「あー…信じられないかもしれないが…俺はオリオンだ、改めてよろしくな?遥。」
「──え」
ええええゑゑゑゑ!!??
〜アーチャー敗退〜
なんとなく回した10連で夏玉藻が来て次の20連目で夏玉藻2枚抜きしてテンションで転がっていた作者のルルザムートです、ハイ。
7000超えてないからセーフだ、誰がなんと言おうとセーフだ。
ようやく狂った2週間が終わって更新再開しました、以前40話と少しで終わるって書いてましたが…終わらない可能性ががが
ただラストスパートには入っているので多分5月中には完結すると思います