弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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第40話です、お楽しみください


第40話 50年掛けた覚悟

F地区 ナショナル・ギャラリー美術館にて…

 

 

「いやー、思ったよりあっさり神父が引いて良かったね〜」

「いくら外道神父とはいえサーヴァント相手に正面から戦えるわけじゃないからね…」

ラスプーチン神父なら別だろうけど

 

 

今は…まだ2時?

思ったよりも時間の進みが遅いなんてことを考えながら無人の美術館を2人で歩く

「彼、来るかな?」

「来るよ…ザイルとコヤンスカヤならね」

 

 

美術館から秘密基地へと区画が変わる扉、見た目こそ壁に偽装されているが…

「──この偽造も凝ったセキュリティも…うん、もう必要無いよね?…ダヴィンチちゃん」

「任せて」

 

 

彼女が杖を振るうと同時に端末へ表示されるたくさんのunlockの文字

私とダヴィンチちゃんの拠点であり、家であった秘密基地は誰も拒むことなく全ての扉の鍵を静かに開ける

 

 

「ありがと、しかしまーこれじゃもう『秘密』基地じゃないね?」

「京子ちゃん」

「な、なーに?ダヴィンチちゃん」

分かってはいてもホントの名前を、それもダヴィンチちゃん(憧れの存在)にナチュラルに呼ばれると未だに緊張するなぁ…

 

 

「…さっきの質問の答え、出た?」

「『今日死ぬか、永遠に死ねないか』だっけ」

ダヴィンチちゃんも中々エグい選択出してくるよねぇ…

…でも

 

 

「50年前、私は2度死んだ」

「…うん」

どんな風に死んだかは覚えてないが自殺でないことだけは確かだ

『ああ、こんなアッサリ死ぬんだ』とか思ってた記憶はボンヤリあるからね

 

 

でも死んだあとは、子供がイメージするような天国や地獄に私は居なかった

…ある意味天国も地獄もあったけどね?

 

 

 

 

『やぁやぁやぁ!召喚に応じたよ!クラスキャスター、真名を──』

『ダヴィンチ、ちゃん…!?す、凄い!本物…!本物だ!ね、ねぇ!触ってもいい!?ねぇ!?』

『ちょ、ちょっと!?落ち着いてって!』

 

 

 

 

『噛んで、アーチャー』

『は、はぁ!?てめぇ…!ザコの上にバカなのかよ!?アタシに噛まれるってことがどういうことか、分かって言ってんのかよ!?傷だって治るわけじゃ…!』

『聖杯まで、走ることができればいい、今のこの手足じゃこうして貴女のところまで這っていくのが精一杯だったし…それに──』

 

 

『ダヴィンチ、ちゃんは、私の憧れで、恩人。まぁ恩人なの、本人は知らない、けど』

『お前…』

『もしかしたら…後悔する日が来るかもしれない、来ないかもしれない、けど…今やらないと、私も、貴女も、ダヴィンチちゃんも、後悔しながら死ぬことになるのは間違い無いの、だから…お願い』

 

 

 

 

「一度目はまだ私が根暗だった時、弟以外に話し相手が居なくてさ、思い返すと大したことでも無いのに、あの時は死んじゃおうかとかも思ってたし」

ま、ダヴィンチちゃんのおかげで思いとどまれたけどね!

 

 

歩く、元々私とダヴィンチちゃん以外誰も居ない無人の基地の階段を、下へ下へと降りていく

 

 

「二度目は…そういえば二度目もまだ根暗だったなぁ、あの時は無我夢中で確証も無いのに無茶苦茶して、死んだ」

…そういえばあれ以来彼女とは会っていない、彼女はセイバーと違ってサーヴァントじゃなかったからきっと生きているとは思うけど

 

 

「で、死んでさらに無茶苦茶して切り抜けて…あと王子様に不死のお裾分けをしたっけ」

彼は…まぁニュースとか見る限り国に戻らないで駆け落ちコースに行ったのは間違い無いね、ハッピーな暮らししてるのかなぁ

 

 

「…ね、ダヴィンチちゃん」

「なんだい?」

階段を降りきり、目の前の重そうな扉を開く

グランドアーチャーの召喚部屋だったそこには既に召喚陣は無く、あるのは煌々と輝く金色の杯──聖杯

 

 

「先に言っておくともう悔いは無い、とか充分楽しんだ、とか言うつもりは無いよ、やりたい事もいっぱいあるし知らないことも沢山あると思う」

「…うん」

 

 

端末から音がし、画面に映像が映し出される

…映っているのはザイルとコヤンスカヤ、その2人。

魔力反応を見るに単独顕現で美術館の前にワープしてきたね、多分

 

 

「でも、責任は取らないとアイタッ!?」

懐かしくて嬉しい、それでいてメチャクチャ痛い金のハリセンが頭を直撃する

「最後くらい本音を語りなよ?キミと私の仲だろう?」

「イタタ…うん、ごめん」

 

 

ホントの気持ちは──

 

 

「ダヴィンチちゃんが居ないと気がどうにかなると思うんだよね、私、不老不死の恐怖は知ってるから、だから端的に言って…楽になりたい、かな?」

「うん、よく言えたね!偉いぞー」わしゃわしゃ

 

 

他人に合わせて、誰かに合わせて、ご機嫌を取って、好かれることは無くともせめて嫌われないようにしていた鈴木 京子。その彼女から珍しく出た本音、ワガママを彼女は普段の調子と変わらずに褒める

 

 

前の聖杯戦争が終わった時、彼の──グランドライダーの提案を…あ、グランドでの召喚じゃなかったっけ、とにかく彼の提案を拒否した時点で、いつかこういう日が来るとは思っていた

「それが今日来た、うん、それだけだ」

 

 

部屋の外から足音が聞こえる、聴き慣れないヒールの足音と、良く知っている半長靴の足音

「行こう、ダヴィンチちゃん」

「いいとも、任せておきたまえ!」

 

 

ペンダントを握る手のひらに力が籠る

50年掛けてようやく出来た覚悟、今ここでぶつけよう

 

 

召喚部屋の扉がゆっくりと開いた──

 

 

 

 

「思った通り、ここか」

「そのようですね、ついでに言えばあのゴリラを召喚したのもこの部屋のようです」

まさか人為的に呼んでたとは、と部屋を見回しながら彼女が言う

 

 

「久しぶり、ザイル」

「…言うほど久しいか?ノーア」

 

 

「こんばんは、コヤンスカヤ」

「ええ、こんばんは、ダヴィンチさん♡」

 

 

軽く挨拶を済ませた場に流れる静寂、それを否定するかのように爛々と光る聖杯を背にノーアが静かに話し始めた

「ザイル、左腕はどうしたの?」

「失くした、だが別に義手を作ってもらいにきたわけじゃない」

「…聖杯?」

「ああ」

 

 

返答を聞いたノーアは少しだけ困ったような──いや、困ったフリをして、再度口を開く

「願い聞いてもいい?」

「願いは無い、強いて言うなら人類を滅ぼした後、パフェを作ってくれる奴が欲しい、それくらいだ」

うっわぁ、他にキメ台詞無かったんですか…?と背後から聞こえる声を無視しつつホルスターのコルトパイソンへ手を伸ばす

 

 

「え、パフェ?あははっ、ザイルも変わったんだね!

…私の願いはね、実は既に叶ってるんだ」

「そうか」

西部劇のガンマンのような早撃ちでノーアの眉間と心臓を1発ずつ撃つ──が

 

 

防がれた…?これは──

「キャスター、じゃないな?」

「私はなーんにもしてないよ?それよりも彼女の話を聞いてあげなよ」

「…」

 

 

聖杯と同じように輝く正六面体の防壁がノーアとキャスターを包み込む

「ホントの私は根暗でさ、想像つかないだろうけどここに来る前は話し相手は弟しか居なかったんだ」ダヴィンチちゃん、お願い

話しつつキャスターになんらかの指示をしたノーアだがコヤンスカヤが動く気配は無い

 

 

おいコヤンスカヤ?

(ご心配無く、どこから引っ張ってきたか分かりませんがノーアさんとキャスターを包むあの防壁は『対終末防御』です)

 

 

なんだそれは?

(ようするに世界の終わりにも抗える(スーパー)防護壁ですよ、現段階でワタクシ達は彼女らに手出しはできませんが強すぎて彼女らも防壁を解かない限りは我々に手出しできません)

 

 

そうか?

「宝具『万能の人(ウォモ・ウニヴェルサーレ)』真開放…データ読み取り開始…」

…宝具開放とか言っているが?

(ええ、準備が整い次第撃ってくるでしょう、ですのでその発射の瞬間…防壁が外れた瞬間を狙います)

 

 

防壁は強力だがノーア自身が元の使い手では無く、オンかオフの2つしか使えないというのがコヤンスカヤの見解らしい

(ダヴィンチさんの防壁が無くなれば必然的にノーアさんと聖杯の防護壁も無くなるでしょう、何をするつもりかは知りませんが…魔力が重すぎます、ワタクシの方が早く動ける)

「…だといいが」

 

 

「50年前、まず私の身体は生き返って…そこからダヴィンチちゃんと会って鈴木 京子は本当に生き返った

ザイルに対する恋心は偽物だったけど、楽しく無かったわけじゃ無い、ザイルにも感謝してる」

 

 

「復元開始『空家の冒険(エンプティー・ハウス)』起動準備…燃料礼装変換開始。」

…転移の準備をしろ、コイツらは俺やお前の知らない手段を何か持っている

(え、しかし聖杯は…?)

後でいい

 

 

頭に『?』を浮かべたコヤンスカヤだったが彼女は理由を聞くことなく言う通りにしてくれた

(いつでも飛べます、行き先は…?)

すぐ戻ってくるからどこでもいいが…少なくとも今この場で対城宝具が発動しても問題無い距離は取れ、いいな?

 

 

「ま、だからどうしたってワケじゃ無いけどさ」

「魔力充填104%突破…霊基再構成、宝具再構成開始…」

(あの姿は…)

どうした?

 

 

キャスターの方を見ていたコヤンスカヤが何かに気付いたらしい

(ザイルさんの言った通りここは退いた方が良さそうですね)

横目でキャスターを見ると──

なんだあれは…?

 

 

何度か見ていたキャスターのサーヴァント、レオナルド・ダヴィンチはそこには居なかった

…赤と青を基礎色にした着物とも旅装束とも言えそうな服、桃色の長髪を風車のような形をした黒い髪留めでまとめてあり、華の模様が特徴的な帯が巻かれた腰回りにさされた4本の鞘と、彼女の手に握られる一本の剣

 

 

セイバーのサーヴァントが、防壁の中に立っている

 

 

「こうして1人で喋ってるのもさ、ケジメのつもりなんだよ?ザイルからしたらよく分からない話を長々とされてイライラしてるだろうしダヴィンチちゃんも同じ内容聞いてて飽きてるかもしれないけどそこはまぁ許してね?」

剣轟抜刀──

 

 

やれやれ…コヤンスカヤ

(ええ、ここまでですね)

 

 

『単独顕現 EX』

 

 

「ザイル、ダヴィンチちゃん…今までありがとう!

とーっても楽しかったよ!」

 

 

「『伊舎那…大天象! 』」

 

 

数十分前…

 

 

「京子ちゃん、キミ…死にたいんだろ?」

「いきなりそんな言葉が飛び出すなんて思ってなくてフリーズ中〜…どうしたの?」

 

 

普段のダヴィンチからは想像も付かないような過激な発言にやや面食らう鈴木 京子

「この前秘密基地でキャッチしたセイバーの映像、覚えてる?」

「え?覚えてるよ」

武蔵ちゃんのことだよね?

 

 

「ごめんよ、実はアレ私の自作自演なんだ」

「へー…」

「…ええ!?」

 

 

ってことはダヴィンチちゃんが作った映像!?

「宮本武蔵が女だなんてちょっと驚いてね…気になってバックアップのキミの記録を読み進めたら知らないことだらけでホーントびっくり…と話がそれた、でさ?京子ちゃん」

 

 

「なーに?」

「キミが私に隠れて…不死の苦しみに悶えていたのも記録で見たんだ」

「………うん」

やっぱり知られてたかー…ホームズの時にぜーんぶ共有してたしね…

 

 

「宮本武蔵を見つけた時、京子ちゃんは死ぬために彼女を探しに行ったんじゃないのかい?…だから私が着いて行こうとしなくても、何も言わなかった」

「…うん」

 

 

全くもってその通りだ。流石に黙って死ぬつもりはなかったにせよ、対因果宝具を持つ彼女なら私の不死の因果も断ち切ってくれると、期待はあった

そのために交渉にいくつもりだったけど…ダヴィンチちゃんには気付かれていたらしい

 

 

責められると思って身構えていたが…かけられた言葉は全く違うモノだった

「使えるよ、対因果宝具」

「…え?」

「霊基が消滅する直前、彼は私を『カルデアのレオナルド・ダヴィンチ』と間違えて自身の力の一部を譲り渡した、損傷は激しいけどグランドアーチャー召喚に割いていたリソースを戻した私本来の宝具なら復元、発動はできる」

 

 

「そこから今まで集めた礼装を全部使い捨てて、私の霊基と宝具を一瞬だけセイバーのサーヴァント、宮本武蔵に書き換える」

「ダヴィンチ、ちゃん?」

「ごめんよ京子ちゃん、でも私はサーヴァント…人理を守るために存在する英霊だ、ザイルとコヤンスカヤを野放しには出来ない。…例えそれで自分が消滅するとしてもね」

 

 

あっけにとられる私のために、徐々にゆっくりとなっていく彼女の口調

 

 

「再現した対因果宝具で秘密基地地下の聖杯を斬る、壊すだけじゃ冬木市の二の舞だ、必ずセイバーの宝具でなくちゃならない

使えば私は消滅するだろう…つまり後にも先にもただ一回きりの対因果宝具だ、その上でキミに…キミの口から改めて聞きたい。」

 

 

──

 

 

「今日死ぬか、永遠に死ねないか、キミはどうしたい?」

 

 

 

 

「…ふー、50年前京子ちゃんに召喚された時はこんな結末になるなんて思ってなかったな〜」

膨大な魔力充填により吹き飛んだ天井から夜空を見上げて彼女は笑う

 

 

「聖杯は…うん、大丈夫そうだね」

京子の立っていた場所にはもう誰もおらず、ただ輝く聖杯が鎮座するだけだがその聖杯の中身は確かに斬られていた

…具体的に言えば中に溜まっていた魔力の半分が杯から抜け出ていた

 

 

ノアのペンダントに聖杯を使っていて幸いだった、お陰で魔力を逃がす場所として最適だったし

その肝心のペンダントは宝具使用時にどこかに吹き飛んでしまったようだけど…

「私が分からないんだ、ザイルくんにもコヤンスカヤにも分かるはずがないさ」

 

 

珍しく自分に言い聞かせるように呟き、最後の力で自身の霊基をレオナルド・ダヴィンチへと戻す

うん、やはり最後!私は私としてでなくちゃね!

 

 

いつ見ても惚れ惚れする自分の姿(モナ・リザ)にうっとりしながら目を閉じる

「さてと…それじゃあ、次呼ばれるまで…ひと、眠り…か、な…」

ねえ京子ちゃん、キミにとってこの50年は長かったかい?短かったかい?

私?ふふん、私はね──

 

 

〜ノーア・クランツェル死亡〜

〜キャスター、レオナルド・ダヴィンチ 消滅〜

 

 

H地区 ツール家の屋敷 庭にて

 

 

使用人の大半も眠りにつく深夜、広い庭に小さな人影があった

「……………」

「あ…あっ!?お嬢様!またベッドを抜け出して…!

まだお休みの時間ですよ。さ、お部屋に戻りましょう」

使用人の1人が私を抱き抱えようとするのを身を捩って振り解く

 

 

「ミラお嬢様──「じいやとライダーがまだ帰ってきてない、帰ってくるまで待ってる」

普段持ち歩いているボールとランタンを持って木に背中を預けて座り込む

かつてフーレン・アジャイルが鍛錬に使っていた木に。

 

 

「みんなは寝てていいよ、2人が帰ってきたら私が迎えるから」

「っ…お言葉ですがお嬢様、フーレンさんとライダー様はもう──」

 

 

「うるさい!!!」

 

 

聞きたくない、知りたくない、認めたくない

「あっち行ってよ!話しかけないでよ!じいやは…ライダーは…また遊びに戻ってくるもん…!」

「お体に障ります、今日はもう──」

 

 

その時──

 

 

「キャッ!?」

「お嬢様っ!…今のはなんだ!?」

 

 

そう遠くない場所から聞こえた凄まじい爆発音と揺れる大地。

平和ボケした市民だろうとその音だけで鉄筋コンクリートの建物が一つ丸々吹き飛んでもおかしくないと直感できる程の。

 

 

「お嬢様はここに!ガラスが割れて降ってくるかもしれません!庭の中央は安全ですのでそこでお待ちを!…おい!みんな起きろ!非常事態だ!」

屋敷の方へ駆けていく彼を呆然と見ていた私だったけど、頭のてっぺんにぶつかる衝撃に地面を転がる

 

 

「痛ったぁい!もう!なんなの…?」

なんとか落ち着いて、痛みの原因を拾い上げる

これは──

 

 

「キューブ型の…ペンダント?」




第三霊基の光コヤンと闇コヤンに尻尾で挟まれるように押し潰されたい作者のルルザムートです、ハイ。
今回は3000くらいで終わらせるつもりだったのに何故か6000…まぁ6000ならいっか!
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