弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
第41話 聖杯戦争終結/目覚めた厄災
コヤンスカヤの戦艦内、医療施設にて
「聖杯戦争が終結したと言うのにまさか対因果宝具とはやってくれますねぇ」
ツツー、と吹っ飛んだ美術館から回収した聖杯を指でなぞりながら面白くなさそうにナース服を身に付けた彼女は尻尾を振る
「聖杯は回収できたんだろう、何か不都合があったのか?」
「聖杯はあくまで入れ物、願望機として機能させるには杯に詰まった魔力が必要です、しかしここに入っている魔力は精々サーヴァント3騎分…これではとても使えません」
弾丸の入ってないライフルに何の価値があるのですか、と影月 遥の右手が入ったホルマリンカプセルでお手玉するコヤンスカヤ
やれやれ
「元々使う予定の無かった物だ、別に良い
それよりもそんなもの何に使うつもりだ?飾るなんてフザけたことを言い出すつもりじゃないだろうな?」
「え?飾る?いやですわ、ワタクシそのような趣味はあるにはありますがそんなつもりじゃございませんわ♡」
あるのか…?
「まぁまぁ!遥さん、バルンさんに続いて争う気配が微塵も無かったノーアさんとも戦ったんです、ホラ?なんかこう…全てが敵?
いよいよもって人類の敵になり始めたザイルさんに役立つアイテムだということは保証しますわ♡」
「遥の右手がどう役に立つのかは知らん、それより先に俺の左手の替えを用意してくれると助かるんだがな?」
「おーっとっと、そうでした!というかダヴィンチさんが退去したので右腕の替えも必要になりますし…しばらく安静、ですね!」
「…そうだな」
現状残っているサーヴァントはセイバーとバーサーカーのみ、そして放っておけば魔力消費の激しいバーサーカーは勝手に消えるだろう
バーサーカーの性格は知らんがクライムの性格はよく知っている、市民を犠牲にサーヴァントの魔力を集めるなんてマネ、奴には出来ない
そうなれば人類皆殺しの前準備として対処すべき大きな問題は3つだけだ
セイバー及び影月 遥との決着、対因果宝具で斬られた聖杯の片割れの捜索、そして──
「影月 彼方、か」
6騎のサーヴァントが退場し、歪な形とはいえ顕現を果たした聖杯…
事実上聖杯戦争は終了したがやるべき事はまだ残っている
〜
D地区 工業地帯にて
「今度は…右ね?」
キューブのペンダントを首にかけた少女が、まるで見えない『何か』が横にいるかのように言葉を投げ、歩く
正確にはペンダントとして見えてはいるのだが誰もペンダントが少女に語り掛けているなんて思わないだろう
みんなに黙って出てきちゃった…帰ったらちゃんとごめんなさいしなくちゃ
聖杯戦争が始まる前、出掛けるフーレンに付いてまわっていたし、牛若丸から脱出術(?)もいくつか教わっていたからだ
「暗いなあ…ライト持ってきてよかった」
とはいえ外に出る時は必ず隣にフーレンがおり、昼間でもあった
…屋敷のあるH地区から出た事の無い彼女が大人でも眠りにつく割合が多いような時間帯に1人でコンテナ置き場を歩いている
トドメに、彼女は知らないがここにある殆どのコンテナはレオナルド・ダヴィンチの宝具によってメチャクチャに吹き飛ばされており、コンテナ置き場とは名ばかりの廃墟だ、そんな場所を歩いていて不安にならないはずがない
「オバケ、居るのかな…居ないよね、うん」
牛若
牛若丸から貰ったタヌキの尻尾アクセサリー(?)をぎゅっと握り、震えそうな身体を抑えて更に奥へ歩く
1分程歩いただろうか、ふとペンダントの声が変わった
「コンテナに向かって直進するの…?」
ペンダントの言う通りにするなら目の前の、道を塞ぐように置いてあるコンテナを突っ切らなければならない、回り込もうと別の道を探そうとするミラだったが
「…え?このコンテナがゴールなの?」
ペンダントがそれを否定するように身体を引っ張ってくるので目的地?のコンテナペタペタと触ってみる、すると…
「あれ!?」
い、今コンテナをすり抜けた!?
初めから何も無かったかのように硬そうなコンテナの側面をすり抜けて中へと入る
「なにこれ?」
アニメでしか見たことのないような、宙に浮かび上がる電子的な文字と数字
これ漢字っていうんだっけ?…読めないや
唯一読める数字の方は26.23.08と表示されており1番右の数字が1秒ごとに1ずつ減っていっていた
何かの残り時間かな?あっ、ペンダントが…
ふよふよとひとりでに首から浮き上がったペンダントが数字の方へと漂っていき、その直後──
ピピピピピピピッ
「キャッ!?わ、わっ!わあっ!」
けたたましい音を立てて減っていく数字と目が眩むほど光るペンダント
ど、ど、どうしよう!?ぜんぜん止まらないよ!?
どうしていいか分からないまま、凄まじい速度で減っていく数字にパニックになった私は無我夢中でコンテナから飛び出し、息を切らすことすら忘れて走った
〜
鋳物工場 従業員用更衣室にて
「はっ、はっ…よ、よく考えたら数字が減ってるだけ!怖がる理由なんて無いじゃん!」
…落ち着いてきたところで先の場所にペンダントを置いてきてしまったことに気付いた
取りに行かなきゃ、とライトを付け直すが…
「…」
…出口、どこ?
バンッ!
「ヒイッ!?…銃の、音?」
恐怖を煽るように鳴り響く銃声から逃れるために更衣室のロッカーへその小さな身体を押し込み、ライトを消す
…最初の銃声を皮切りに次々と聞こえてくる銃声、その他には複数人の怒号のようなものも聴こえてくる
「なんだ、なんなんだよコイツは!?ボスは!?バルンさんは!?」
「畜生!畜生!畜生!」
「じいや…牛若
震えの収まらない身体で牛若丸の
怖い、怖い、怖い…!
だが誰にも見つからないようにロッカーの中で息を潜めてほんの数分後
「…?」
音が…止まった?
嘘のように静寂を取り戻した環境に困惑しつつもロッカーの外へ
…なんだかヘンな臭いがする
鼻につくようなイヤな匂いを我慢し、長い廊下へ出る
「…」
屋敷に居れば良かったと思いながら、窓すらない閉鎖的な屋内を1つのライトを頼りに進んでいく
…匂いが強くなってきた
「うう、本当にイヤな匂い…」
「おはよ!」
!!??
「きゃあああああっ!?」
「ごめんなさい!今は『こんばんは』だよね?」
真っ白になりかけた意識を引き留めたのは私とそう歳の離れていなさそうな女の子の声だった
「へ?」
「あ、違う違う、驚かせてごめんなさい、だね」これ落としたよ
「ありがと…」
落としたライトを女の子から受け取り、電源を入れる
…あれ?
スイッチのツマミに指を引っ掛けてカチカチと動かすが明かりが付く気配が無い
まさか…
「壊れた?」
「どうしたの?」
「…ライトが壊れちゃった」
どうしよう、何にも見えないや
「…?ライトが壊れると困るの?」
せめて窓とかあれば…そう思っていたところ、何で困っているのか分からないと言った様子で女の子が聞いてきた
「だってこれじゃなんにも見えないよ、出口も道も分からないのに「私、出口知ってるよ」
!
「ホント!?」
「うん!案内してあげるよ、来て!」
こちらの手を引く彼女に身を任せ、明かりのない通路を迷いなく歩いていく
それもかなりの速さで
「も、もうちょっとゆっくり歩いてよ」
これじゃあつまづいちゃうよ
「?足元を見て歩けば──ああそうか、あなたには暗くて見えないんだね」
ごめんね、と歩く速度をゆっくりにする女の子
「2階は明るかったからまずはそこまで行こう」
「うん…」
相変わらずヒドイ匂いは収まらない、それどころかドンドン強くなっている
それでも迷いなく進んでいく彼女を信じ、私もそのまま着いていく
「あ」
彼女に続いて廊下の曲がり角を曲がると汚い蛍光灯に照らされた階段が見えた
いや、それ、よりも──
「階段を登ってすぐのところに外に出る扉があるの、そこに…ええと?ひ、つね?階段っていうのがあるんだ」そこから出られるよ
「 」
「?どうしたの?」
──赤と、死
蛍光灯に照らされた階段、そこには『それら』が広がっていた
匂いの、元は
「大丈夫だよ、
「待って!何を──ひっ!?」
少なくとも4つはある人間の死体の方へ女の子は平然と歩いていく、さも当たり前のように
そして光の元に晒された女の子の姿が…
私とそう歳が変わらなさそうな女の子は産まれたての赤ん坊のように剥き出しになった素肌を赤と黒の返り血でぐちゃぐちゃに汚していて、ぱっと見はちゃんと服を着ているように見えた
「こうすれば安心かな」
花を摘むように次々と死体から頭を引き抜き、4.5歳の少女には不自然な程長い水色の髪を素肌と同じように真っ赤に染めていく
「ホラ、これくらいすれば起き上がるかも、なんて怖がらなくても大丈夫でしょ?」
…そしてどれだけ返り血を浴びても何も変わることの無い、稲妻のような歪な形をした紫色の鋭利な
「ヒトじゃ、ない…」
「ん…」
ふと漏らした、漏らしてしまった言葉に
「ふふ、そうだね、ここに人間は居ない」
ヒタヒタと、化け物がこっちに歩いてくる
「ひ、や…」
化け物が蛍光灯から離れるごとにその身体が見えなくなっていき、次第に2つの赤い瞳だけが暗闇に浮かび上がっていく
「この世界はばけものだらけ、人間はお兄ちゃんとお姉ちゃんの2人だけ」
──身体が動かない
「みんなみんな人間に似てるけど人間じゃない、しかも自分をばけものだと気付いているばけものは多分誰もいない」
──ころされる
「歳が近いしもしかしたら、と思ったけどあなたも自分をばけものだと気付いてないばけものだ、最初は逃がしてあげようと思ったけどね」
「 やっぱり だめ 」
血液しかついていない化け物の手の平がゆっくり、ゆっくりと顔を這っていく
「ア…」
「何年、何十年、何百年かかっても、いつか私が必ず『人間』に作り直してあげるから、だからそれまで──」
ダンッ
…っ!
屋内に響く銃声に身体が弾かれる
あれだけ怖くてイヤだった銃の音にその瞬間だけ感謝をし、朧げな記憶を頼りにひたすら走る
「ッの…バケモンが!」
「銃弾…?あれ、ウルフルズ?まだ残ってたんだ…ねぇ、他に残ってる団員はいるのかな?私に教えて?」
「あいつらの仇だ…!」チャキッ
えーと…?あの筒みたいなのはなんだっけ?たしかお兄ちゃんも使ってたような気がする…
確か…ろけ?ろけ…ええと…
「ああ!思い出した!『ろけっとらんちゃー』だ!」
「フッ飛べ!!!」
〜
「きゃあああっ!?はっ、はっ…!」
耳を裂くような爆発音と地震のように揺れる屋内で、死に物狂いで出口を探す
もちろん明かりは無く、手探りだったがそんなことを気にしている余裕は無い
ここがロッカーの部屋、だよね…確かこっちは行ってなかったから…
「…!明かりだ!」
最初に居たコンテナ置き場に面した場所とは違う場所らしい、たった1つの窓越しに街灯とそれに照らされた道路が見える
「早くここから──」ガタッ
──え
窓に鍵はかかってない、多分建て付けが悪いのだろう。勢いを付ければ少しずつは開いている
「〜!!」
窓を割ろうとも思ったが鋳物工場は5歳の少女に合わせた造りにはなってない
──その時
!!音が…
後ろから聴こえていた爆発音と銃声がぱたりと止み、その代わりと言わんばかりにヒタヒタと足音が近付いてくる
こっちに来てる…!
はやく、はやく、はやく…!
「ここから、出──「 追いついた 」
耳元で、声、が
「大丈夫、あなたは何も悪くない、誰も悪くない、私を虐めてた彼らも、ウルフルズも、米軍も、魔術師も、サーヴァントも、誰もね」
家族を気遣うように化け物が私を後ろから抱き締める、敵意も殺意も無く、優しく。
「何も気に病まなくていいよ、ほら目を閉じて?おやすみなさ──キャッ」
「わあああああっ!?」
身体を締め千切られるという思い込みから喉の奥から悲鳴が飛び出すが、その直後付近の違和感に気付いた
…?
転ぶ化け物とそれを見下ろす私の他にもう一つの気配が私のすぐ横にあることに
「やぁれやれ…目覚めたはいいが酷い有様だ、せめてサーヴァントの身体か槍が手元に残っていれば良かったんだが…なんとかならなかったかい?天才AIサンよ」
子供の声…男の子だ
『我慢しておくれよ、この短時間でホムンクルスを作るのだってかなり無茶をしたんだ』
こっちは女の人の声だ、多分私よりもずっと大人の。
気配は1つだが話し声は2つ、声が聞こえる場所に向かって質問してみる
「そこにいるのは…だれですか?」
「ん、オジサンかい?オジサンはランサー…じゃなかった、さっき目覚めたばかりのホムンクルスさ
…まぁ今はノンビリ自己紹介してる場合じゃなさそうだし逃げようか!」
コヤンスカヤに対物ライフルが似合うのは間違い無いがレールガンも似合うと思っている作者のルルザムートです、ハイ。
久しぶりに5000台になった!
ところで『彼』はオリ鯖ではありません、ホムンクルスだからね
…ハイ、スミマセン