弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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第42話です、お楽しみください


第42話 友誼の証明

数日前

ナショナル・ギャラリー美術館 地下秘密基地にて…

 

 

「──というわけで頼むよ、キャスター」

「うん、任せて」

自身のマスター、ルマス・プライマリが入院している病院と病室を彼女に伝え、仕事帰りのサラリーマンのようにソファに持たれかかる

 

 

ライダー陣営との交渉、その帰り道にキャスター陣営を…いや、正確に言えばキャスターだけと接触できたのは幸運だった

「…ここに来てビーストかぁ〜、グランドクラスとは会ったの?」

「おー、会ったよ?浮気性なところを除けば頼りになるやつさ」

 

 

なにそれー?と笑うキャスター…ダヴィンチだったがその表情には余裕が無い

「下の召喚陣が作動してたからまさかとは思ったけど…そうか、そうなんだ」

「間違いなくこの聖杯戦争で最高の戦力だよ、しかしまぁビースト側が黙ってやられるとも思えない」

生前から忘れたことのない教訓の一つ。『常に最悪の状況を想定すること』

 

 

守りが得意な理由の1つでもある。

もしここで敵が現れたら?もし物資支援が届かなかったら?生前からそういう想定をするのが日常茶飯事だった、そして今回の場合は…

──もし、オリオンが負けたら?

 

 

「彼が万が一負けることも考えて手は打っておきたい、アンタの技術はビーストと戦う上で強力な武器になると俺は思ってる」

「おお…ギリシャの大英雄にそう言ってもらえて嬉しいね!」

チラチラと自身のマスターが起きないか確認しつつ小声で喜ぶそぶりを見せるダヴィンチ

 

 

「確かにビーストが関わっている以上この先何が起こっても不思議じゃない、こちらでもバックアップの1つか2つ取っておくことにするよ」

「助かるよ、それじゃ伝えるべきことは伝えたし先の短いオジサンは帰るとするかな」

礼を言ってその場を去ろうとして──ダヴィンチに呼び止められる

 

 

「なんだい?」

「いや、代わりと言ってはなんだけどさ?…ホムンクルスの素材を分けてくれないかな?」

 

 

──

 

 

「ホムン…なんだって?」

 

 

〜

時は戻りヘクトール(ホムンクルス)覚醒直後

鋳物工場 従業員用駐車場にて…

 

 

「あら?先客が居たのかい、もしかして王様も手伝ってくれるクチですかい?」

頭部以外の全身を黄金の鎧で身を包み、あからさまに不機嫌そうな表情で腕を組んでコンテナの上から鋳物工場を見下ろすサーヴァントへ声をかける

 

 

「…英霊ですらない雑種もどきが、失せよ」

魔眼を持っているのかと誤解しそうな程の威圧、だが彼は全く怯むことなく言葉を続ける

「いやー、でも俺だけじゃア(・)レ(・)は止められそうにないですし…助力願えませんかね、ギルガメッシュ王」

 

 

初対面であるにも関わらず真名を1発で言い当てたことに一瞬眉をひそめた英雄王だったが、その非協力的な姿勢が変わることは無く──

「我(オレ)自らが手を下すべきは1つのみ、あの害獣は貴様ら雑種には荷が重かろうとわざわざ足を運んだ。その上でさらに助力を求めると?」

 

 

彼の気配が明確に変わる、これ以上はこちらの身が危ないと直感が告げていた

「失せよ、これ以上我(オレ)の手を煩わせるな」

「…了解しましたよ」

それじゃあ、まァ1人で張り切りますか

 

 

…

 

 

「…くだらん」

この手で裁くと決めていたノーア・クランツェルが何故か契約していた英霊に殺害されて、少々虫の居所が悪かった英雄王は小さく呟いた

 

 

「神に魅入られ、狂った結果がアレか?

フン、見るに耐えんわ」

 

 

〜

鋳物工場 溶鉱炉区画にて

 

 

「ふわー…寝起きに隠れんぼは嫌だなぁ、ちゃんと痛くないようにするって約束するから出てきてよ?」

化け物が私達を探してる、チラリと見えた姿は最初と違い裸ではなく、両裾が破れたジャージとブカブカのカッターシャツを着ていた。きっと殺した人から取ったんだろう

さっきから化け物はカンが良いというレベルでなく、この暗闇の中かなり正確に彼女達を追ってきていた

 

 

怖い…

「心配しなさんなって、倒すのも止めるのもムリだが守ることはできるさ」

こちらの不安を察したようにホムンクルスと名乗った少年は私の頭を撫でる

…?

ヘンな感じ…

 

 

私よりちょっとお兄さんぐらいの歳にしか見えない彼の手は何故だかとても頼もしく、誰かに似ている気がした、それはまるで…

「あ、あれ?」

そういえばこの子、どこかで会ったことがあるような──

 

 

「彼女生身だしあわよくば溶鉱炉にでも突き落とそうかと思ったけど突き落としたところで多分ケロッと這い上がってくるし、そもそもその溶鉱炉が無いしどうしようかな?ダヴィンチ」

『とりあえず外へ出て身を隠そう、現時点で彼女をどうこうできる力は私達には無いからね』

 

 

また女性の声だ、というか──

「喋ってたら見つかっちゃうよ…!」

「あー大丈夫大丈夫、天才芸術家サンがオジサン好みの小細工してくれてるからね!

んじゃ移動するからナビゲートよろしく頼むよ」

言っていることは殆ど意味不明だがどうやらこれくらいの話し声ならば化け物には聞こえないようだ

 

 

女性はどこから喋ってるんだろう?

そんな疑問をよそに少年は私を連れて暗い屋内を迷うことなく歩いていく

『次右で〜制御室みたいなのが見えるから〜一旦出て回り込んで〜』

 

 

それにしても広い建物だ、まるでテレビで見た秘密基地のように入り組んでいて中々外に出れない

とはいえ迷いなく手を引く彼と遠ざかっていく化け物気配から恐怖心はある程度薄れてきていた

 

 

「?」

目が慣れてきたのか、うっすらと通路の端に何か見える

『電子ロックがかかってる、解除するからちょっと待ってて』

あの細長いのは…?

「あいよ…ん、嬢ちゃん?」

 

 

ギャブッ

「いっ!?」

気になって伸ばした左手に噛み付く『何か』

これは…蛇!?なんでこんなとこに──

 

 

慌てて引き剥がそうとするも直後にそんなことはどうでもよくなった

ぺたぺたぺたっ

それまでフラフラと彷徨っていた化け物の気配と足音がいきなりこちらへ方向を定めて向かってきたからだ

『ロック解除!走るんだ!』

「言われなくても逃げるさ!!」

 

 

私の手に噛み付いた蛇を払い除けながら、破ったのか開けたのか分からないような勢いで彼はドアを蹴り飛ばし、文字通り死に物狂いで走る。

…!来てる!

後ろの気配は離れるどころかしっかり近付いてきている

 

 

「できりゃあこんなもの使いたくないんだがそうも言ってられん…なっと!」

走りながら背後の気配に向かってフリスビーのように彼が何かを投げる

一体何なのかと理解するよりも早く耳を塞ぎたくなる爆発音が響く

 

 

「やっこさん、どう?」

『ピンピンしてる!』

ああそうかい!とヤケクソ気味に言った彼が次に取り出したのはまたもやフリスビー爆弾、だがさっきのものよりもやや大きいように見える

 

 

「じゃあ閉じ込めてみるかな!」

背後の闇では無く天井へ投げつけ、さらに走る

「うわああっ!?」

2秒前まで私達がいた場所の天井が崩れ落ち、通路が塞がる──が

 

 

「ったく!足止めにもならないねぇ!?」

ダンプカーが激突したような音と瓦礫が崩れる音が後ろから聴こえる!

『でも出口はすぐそこだ!こらえるんだ!』

外に出ればいくらでも撹乱する方法はある、女性のその言葉を希望にがむしゃらに前へ…!

 

 

ぴと

 

 

っ…!?

今、真後ろに──!

「追いつかれ「みんなそこをどいてっ!」

 

 

いきなり聞こえた少女とも女性とも聞き取れる声と前から差し込む強烈な光、それにイチ早く反応した彼が混乱する私を抱き抱えて突き倒す形で出入口から外に出る、そして──

 

 

『身の程知らずの少女の愛矢(トライスター・プリモアモーレ)!』

 

 

外にいた女性、片腕を失くしている彼女はどうやったのか弓を引き絞り、青い稲妻の様な弓矢を出入口目掛けて撃ち込んだ

直後、まるでネズミの巣に爆弾を投げ込んだように建物が消し飛び、瓦礫が舞う

 

 

「うおっと!?危ない危ない…ダヴィンチ、今のが援軍かい?」

「いや違う!流石の私も神霊の知り合いは居ないよ!?」

「でしょーね!俺のカン違いでなけりゃあ、ありゃギリシャの神の誰か…うん?」

 

 

彼が何かに気付いたのか土煙の一点を見つめている

…?何かこっちに来て…え、熊のぬいぐるみ?

「よぉ、お互い変わり果てた姿だな?」

煙の向こうから現れたフレンドリーなぬいぐるみが彼に話しかける

 

 

「…まさかお前、オリオンか?」

「まぁな、ここは俺達に任せて一旦逃げろ!」

後でいくらでも説明してやる!と捲し立て、この殺伐とした空間に似合わないぬいぐるみが弓の女性の方へ駆けていく、更には──

 

 

「予測よりかなり覚醒が早いですねぇ」

「やれやれ…そんなこと見たら分かる」

「え…」

その2人組は何の前触れも無くいきなり目の前に現れ、一瞬こっちを見たもののすぐに崩壊した建物の方へと視線を戻し、歩いていく…

 

 

「…救援が誰なのか、言わなかった理由はこれかいダヴィンチ?」

『分かっているさ、でも彼女が無作為に暴れ出すのを力で止めるのはほぼ不可能だ』

「いやいや!気にしなさんなって、確かに俺たちには止められないしこの方法なら共倒れも狙えるかもしれない。いいと思うよ俺は?──ただまぁ、先に伝えといては欲しかったなァ」

 

 

口調は柔らかなままだったが私には分かった、いや彼の今の顔を見れば誰でも分かる

怒っている、物凄く。

「っと、立ち話をしてる場合じゃないしここを離れよう、どこか良い場所はあるか?」

だがそれもほんの一瞬、すぐに掴みどころのない表情に戻り、ダヴィンチと呼んだ誰かに質問する

 

 

『ナショナル・ギャラリーという美術館跡地に向かって!そこで待ってるからね!』

「はいよ、んじゃ悪いけどもうちょっと付き合ってくれるかい?嬢ちゃん」

 

 

…

「………ミラ」

「ん?」

「私の名前、ミラ・ツール。」

「そうか、俺はヘクトール、ホムンクルスのヘクトールだ。

もう少しよろしくな?ミラちゃん」




コヤンの金色の瞳に魅入られたい作者のルルザムートです、ハイ。
仕事が忙しくなってきてちょっと期間が空いてしまいました…
また来週の日曜から1週間、スマホが触れなくなりそうで更新がまた止まります
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