弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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スペル合ってるかな…
第43話です、お楽しみください


第43話 再会の姉妹

コヤンスカヤの戦艦内 カジノルーム ポーカーテーブルにて…

 

 

「…」

テーブルの上に積まれた、ゲーム開始時からあった紫色のチップ30枚とコヤンスカヤから勝ち取った桃色の9枚のチップの計39枚から12枚を摘み取り、それをさらに4枚ずつ分け、その内の1塊(4枚)をテーブルの中央に置く

 

 

賭け金チップ3枚で始まったゲームは進めるごとに賭け金は倍になっていき、三回戦目で早くも2桁(12枚)へと突入していた

「ではカードをどうぞ!」

 

 

このまま勝てれば次のゲームは賭け金が24枚になりコヤンスカヤのチップが足りなくなって、俺の勝ちになるだろう。

()()()()()()()()、な

 

 

新調した桃色の左腕(義手)で、今配られたばかりの5枚のカードを手に取る

種類は左から順に

♤の2、♧の2、♤のK、♢の9、♧の6。

そしてその5枚とバニーガールの格好をしたディーラー(コヤンスカヤ)を交互に見ながら思考を巡らす

 

 

…悪くは無いな

「コールだ」

2つ目のチップの塊をテーブルの中央へ差し出し、カード交換の意思を伝える

「かしこまりました〜それで何枚交換されます?」

 

 

ここは…

「………2枚交換だ」

「そのように♡」

 

 

♢の9と♧の6のカードをディーラー(コヤンスカヤ)へ手渡し、新しく2枚のカードを受け取る

さて中身は──

「…」

♢の2と♡のKか、これで同じ数字が3枚と2枚できたから…

 

 

♢2♤2♧2♡K♤K

 

 

『フルハウス』という役になる、確かまぁまぁ強い役のハズだ

自分の役を確認し終え、続いてディーラー(コヤンスカヤ)の様子を伺う

「いやーん、そんなに見つめられたらワタクシ照れてしまいますぅ♡」

…読めないな

 

 

いつも通りにフザけ倒したその様子からは彼女が一体どんなカードを引いたのかは分からない、だが──

「さてお客様、乗るか(Cole) or 降りるか(fold)?どうされます?」

 

 

1回戦目、2回戦目と変わらぬ口調で彼女はこちらの意思を聞いてくる

…表情から考えは読めないがコヤンスカヤの性格は知っている

「──勝負はしない、降りる」

3つ目のチップの塊を自分の山に戻し、カードをオープンする

「アラまぁ、しかし決めるのはプレイヤー様ですのでここは仕切り直しということで♪」

 

 

とぉーっても残念ですぅ…とコヤンスカヤは兎の耳(本物かどうか分からん)をへたらせ、片手で最初の参加料(8枚)を回収しながら、もう片方の手で持っていたカードをテーブルにヒラリとバラ撒いた

…思った通りだ

 

 

♡7♢7♤7 J♧1

 

 

「ジョーカー込みの『フォーカード』…やれやれ、食えない女だ」

強さとしては上から数えた方が早い役、もちろんフルハウスよりも強い役だ

「それはお互いサマということで♡

初見で引き際を正確に見抜いたのはザイルさんが初めてですよ?」

「お褒めに預かり光栄だな、じゃあ期待に応えてギャンブルはここまでだ」

 

 

少々名残惜しそうな顔をしながらも淡々とカードを片付けていくコヤンスカヤ

それを見ながらふと右腕、ダヴィンチの作った黒鉄の義手に目を落とす

今はまだなんとも無いが…早いうちに取り替えた方が良いだろうな

 

 

「右腕は用意できそうか?」

「それは…現状では難しいですね

切り落とされたザイルさんの左手首を元に作った義手(左手)とは違い、そちらは中身が完全に未知ですので…全く新しい義手を用意するにしても一度ダヴィンチさんの義手を外して色々測る必要があります」

 

 

だろうな

「ですが一度外したら──」

「再びくっつけられる保障が無い、か?」

「そうですね」

やるとすれば全て終わった後、か

 

 

今更だがこの義手(右手)はかなり高性能だ、擬似魔術回路の他には例えば…触覚、物を触れた時に生身と変わらないような感覚を伝えてくれる

あと以前にも使ったが通信機器としても使える、しかも機械に魔術を混ぜるような使い方のお陰か盗聴、傍受、探知が一切不可。

他にも色々あるがキリがないので割愛する。

 

 

…やれやれ

以前『愛玩の檻』でコヤンスカヤから言われた言葉が頭に浮かぶ

頼りすぎていたな、これは

「おいコヤンスカヤ」

「はい、なんなりと〜」

 

 

もう少し鍛錬するべきだろう

「もう一度『檻』を出せるか?鍛錬したい」

「おや?おーやおや?良いんですか?」

妖艶な笑みを浮かべ、誘惑でもするように尻尾を揺らす彼女は目に見えて機嫌が良さそうに見える

 

 

「ああ、千切れた『尻尾』もいくつか戻ったようだからな、俺に合った練習相手くらい用意できるだろ?」

それを聞いた彼女の表情が一瞬固まる

「…いつ尻尾についてお気付きに?」

「ポーカーを始める30分前、お前が鼻歌を歌いながら尻尾の手入れをしている時だ。

…やれやれ、浮かれ過ぎだ」

 

 

こちらが見ていた事に気付かない、というだけで彼女がいかに気を抜いていたのか分かる。手入れの最中ずっと頬が緩んでいたしな

「う…申し訳ありません、ザイルさん」

「ここはお前の戦艦だ、敵が居ないと分かりきっていたのかもしれんが…

…いや、いい、特に問題があったわけじゃないしな」

 

 

欠伸をしつつ左手首の動作確認をしながら、そういえば檻の中で左腕はどうなるんだろうか?なんて考えていたが、それを引き戻すようにあわあわした彼女が詰め寄ってくる

「あのー、聞かないんですか?『その尻尾は結局なんだー?』とか『なんでそんなに嬉しそうなんだー?』とか」

 

 

…やれやれ

休暇の夜にも似たようなことがあったな、と2度目の欠伸をしながら思う

「今はプライベート(厄ネタ)に踏み込めるような契約はしていないからな、セクハラでギャーギャー騒がれたら面倒ってことだ」

 

 

ははっ、と乾いた笑いに彼女が目を丸くする

「え、あのザイルさんが冗談を言った上に乾いてるとはいえ笑いを…?あの、あの…え?気でも狂いましたか…?」

「そうかもしれないな、ああ………忘れろ」

相変わらずクチの減らない奴だが俺自身、それが殆ど気にならない程自分の変化には驚いていた

 

 

「…かしこまりました、ひとまず『愛玩の檻』の展開準備をしてきます」

「分かった」

喜びと困惑が入り混ざったようにフラフラと尻尾を揺らし、彼女の姿が消える

準備が出来ればまた連絡が来るだろう

「さて、確かドリンクバーがあったな」

 

 

基本的にただ黙々と『目的』を作り、そこへカーナビの着いた車のように無機質に向かっていたのが俺だった、寄り道(娯楽)なんて考えもしなかった

だが今は──

 

 

「…」ぐびっ

少し、楽しいな

(ザイルさん!)

 

 

「どうした?」

いきなり届いた念話のせいで一瞬俺の考えていることが伝わったのかと少しだけ警戒したものの、どうやら違うらしい

(彼方さんが覚醒しました!)

「分かった」

 

 

もう覚醒したのか?予測よりも随分と早いな

と、その直後鳴るはずのない音が義手から聞こえてくる

ピピピピッ

呼び出し音…

「相手は──…!」

…何故こうも面倒事が増えるんだ?

 

 

K地区 鋳物工場跡地にて…

 

 

「やれやれ…」

ダヴィンチを騙って俺の義手にわざわざ連絡をよこしてきたのが誰なのか知りたかったが…そんなものは後でいい

今すぐ艦内の部屋に戻りたいがそうも言ってられないようだ

 

 

最悪な気分のまま、今もなお崩れ続けているかつてのアジトへ歩を進める

…念のためにいっておくがアジトにもウルフルズにも団員にも未練なんてものは無い、むしろ吹き飛んで精々しているくらいだ

問題は──

 

 

「ついさっき会ったばかりだぞ?勘弁してくれ…」

土煙をかき分けて『問題』と対面する

「や、やっぱり彼方が2人???」なんで…?

「あっ、お兄ちゃん!」

「────ハァ」

また面倒なことになったな

 

 

まずは()…いや彼方と思われる少女の姿が目に入った、嫌が応にも。

俺と言う抑制装置が無くなった影響か彼女の姿は以前心象風景で見た姿よりも異質なものになっていた

 

 

言われなければ分からないほど色彩の割合が少なかった黒髪は余す所なく透き通った空色に染まっており、子供に見合わない長髪を押しのけるように額──右目の少し上から歪な形をした紫色の角の様なものが突き立っている

 

 

またその角の影響か正常な左目とは違い右目には白目の部分がいつだかのコヤンスカヤのように真っ黒になっていてその中に光を失った赤い瞳が生気なく張り付いているように見える

 

 

服装は、いや服装と呼ぶのも微妙な布切れはおそらく残留団員から奪ったものを血で貼りつけたのだろう、パッと見た感じカッターシャツとジャージズボンだがところどころ破れている場所を補うように他種類の衣服がくっつけられている

そしてその手の中には貯水槽に沈められていた剣が以前には無かった勾玉をいくつかぶら下げて蘭々と輝いていた

 

 

そしてこっちは──

以前はしっかり見ていなかったが遥も遥でおかしい

服装こそ普通なものの肌が異常に白く、纏う気配も彼方とはまた違う非人間らしさというべきものを纏っている

 

 

「…全身グチャグチャになっても、呪いで身体が崩れかけても、変わり果てた妹に絶望しても、腕を斬り落とされても、獣に精神を磨り潰されても、まだ立ってくる、まだ諦めない、まだ──その手を差し伸べようとしてくる。

やれやれ、姉さんはある意味クライムより強いな」

「彼方…?」

「確かに血は繋がっているし俺自身でもあるがややこしいな…俺は彼方じゃなくザイルだ、影月 彼方はそこの剣持ったバケモンのことにしておけ」

 

 

呼応して「そうだよー」と気の抜けた返答を返す(彼方)に俺はいつでもライフル弾を撃ち込めるように構える

お前に落ち度は無いし頼んでおいて言うのも心が痛むが──とんでないものを作ってくれたなコヤンスカヤ?

 

 

サーヴァントとは全く違うドス黒い神秘の気配、注意深く感じ取らなければ神秘の気配であることすら分からない異質なもの。

(正直ワタクシも切り離した時に力の6割強ほど彼方さん側に行くと思ってたんですがガッツリ10割行くとは…)

貴方(彼女)愛されてますねぇ?とクスクス笑う声を聞き流しつつ彼女らの出方を伺う

 

 

 

さてどうするか?

当初は影月 彼方を言いくるめて回収し、即座に撤退しつつコヤンスカヤに先の通信の発信源を特定させて排除、又は監視をさせることだった、が。

「ようハル!あいつらは避難させたぜ!」

「ありがと!」

 

 

影月 遥が出てきたことでそうも行かなくなった、やや不安だが交渉しにいくとしよう

「調子はどうだ、彼方」

「すごくスッキリした気分!」

 

 

「…ホントに彼方なの?」

えっへへ〜と笑いかける彼方の顔を見てやや緊張が解けたのか遥が呟く

「そうだよ?影月 彼方!私、わた、わ、はっ、く…ぐじゅっ!

 

 

血塗れの身体に似合わない鼻水が年相応(?)の汚いくしゃみでべったりと彼方自身の顔に張り付く

「うええ…」

「…やれやれ」

 

 

俺の元となった人格であり、少女。

彼方からザイルに変化するその時まで俺は表に出ない人格として静かに彼女を、いや彼女達を見てきたが…

「あ、ああもう!ホラ顔拭いてあげるから」

「ずびっ、ありがと」

「…」

 

 

──影月 遥、影月 彼方、そして俺ザイル・ニッカー

こうして3人揃い、見比べて確信した俺は思わず頭を抱えた

何も変わっていない、何も成長していない姿に。

 

 

人から受けた理不尽を怒りに変えて、人類を殺す形を取ったザイル

ヒトから受けた理不尽を憐れみに変えて、人類を人として認識することをやめた彼方

そして、人類も俺たちもまとめてハッピーエンドに向かうことができると未だに考えているクソみたいな自己犠牲精神を抱えた遥

 

 

ああ──

「吐き気がする」

 

 

「吐き気?お兄ちゃん大丈夫?」

「…ただの比喩だ、それよりも帰るぞ」ここに用はない

これ以上の面倒事はごめんだ

「うん!」

 

 

予想に反して彼方はすんなりこちらの指示に従ってくれた、ように見えた

「…オイ、その尻尾はなんだ」

「…?ただの尻尾だけど?」

彼方の背中だか尻だかからにゅるりと生えた、長さ1メートル強はある紫色の尻尾

別に尻尾が生えていることに対して驚きは無い

 

 

気付いていないフリなのかそれが当たり前なのか、尻尾の先が遥の右手首に絡みついている。彼方は何も言わなかったが『お姉ちゃんも連れて行く』とその態度が物語っていた

…そしてどうやら遥も着いてくる気らしい

 

 

(連れて行くんですか?)

冗談じゃない、絶対にごめんだ

「遥を離せ、バカなことやってないで来い」

「やだ」

 

 

俺のオリジナルはこんなクソガキだったか…?

後ろから笑いを堪えたコヤンスカヤの声が聞こえる

うるさい黙れ

 

 

「お姉ちゃんをこんな化け物だらけのところに置いていけない、なによりも──家族に置いていかれる辛さはお兄ちゃんも分かるでしょ?」

それは…

「──ああ、知っている。だがダメだ」

頷きたくなるのを堪えて返答を返す

 

 

「心配しなくても遥はお前が化け物だと呼んでいるヤツらよりよっぽど化け物だ、俺たちと違って味方は沢山いるだろうし死にはしない──彼方?」

「お兄ちゃん」

殺気。それまで微塵も感じなかった怒りともいえる感情かドス黒い神秘を纏って放たれる

 

 

『蛇神の重圧』

 

 

「グ…!?」

なんだ、この──

まるでタールの海に放り込まれたように身体が重い!

 

 

「お姉ちゃんは化け物じゃない」

 

 

焦りすぎたか…!

自分自身のことだ、姉のことを化け物にしてしまった後悔は知っていたハズなのに

 

 

「いくらお兄ちゃんでも、それは許さない」お姉ちゃんは少し離れてて

 

 

義手に負荷がかかるがそんなことを言っている余裕はないらしい

「…っ『レオレオ!環境適応強化!』」

地面に押しつけられるような重圧は幾分マシになったが身体はまだ重い

 

 

おいコヤンスカヤ、動けるか?

(伊達にビーストやってませんよ?こちらは問題ありませんが本当に戦うおつもりで?)

…ああそうだ、手を貸せ!

(かしこまりました!…ハードな仕事内容になりそうですねぇ)

 

 

冷や汗をかきながらも余裕の表情を崩さないコヤンスカヤにアイキャッチをして戦闘態勢へと入る

 

 

「早速だけど案内人さん、力を借りるね?

  ──恐れよ  」

開戦と同時に身を隠す。狙撃、不意打ちを中心に立ち回る。間違っても正面から戦おうなんて思うなよ?

(言われなくたってそんなバカなマネしませんって!)

 

 

「  敬え  崇めよ  」

 

 

しゃん…

 

 

「  人智の及ばぬ力をここに  」

 

 

しゃん…

 

 

「  神威抜刀──  」




闇コヤン(第三再臨)をおんぶしたい作者のルルザムートです、ハイ。
出張ギリギリでなんとか書けた!地獄の耐久レースの時間が始まる…
そして以前40話ちょっとで終わるとか5月中に終わるとか言ってましたがスミマセン、終わりそうに無いです
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