弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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久しぶりの3000代
第44話です、お楽しみください



第44話 カミ

K地区 鋳物工場跡地にて…

 

 

「────」

あの子は、普通の子供だった

他の誰かよりも少し外見が違うだけの普通の子、その筈だったのに。

 

 

「  神剣 草那芸之大刀  」

 

 

ヒトならざる力を振りかざす妹の後ろ姿を呆然と見つめながら私は私自身に問いかける

『いったいどこで間違えたのか』

 

 

外見の変化ではないし神の力でも無い、そんなものがあろうがなかろうが彼女が私の妹であることに変わりはない

──でも

 

 

私は見た、見てしまった。

彼方が楽しそうに、嬉しそうに、人を殺しているのを。

しかもその相手はみんな彼方にとってなんの関係も無いのは殺された人達の会話で理解している

 

 

「ふぅっ、じゃあお姉ちゃん!すぐ終わるからちょっと待っててね!」

「ま、待って…」

私のか細い静止は届くことなく彼方という、かつて人間だった少女は肌の色に似合わない紫の尾を振りながら駆けていく

 

 

戻ってきて

「彼方──」

今ここで止めなくちゃいけない

無防備な妹の背へ月女神の弓を向ける

 

 

セイバーさん達はまだ来ていない、私が…私がやるしか──

『お姉ちゃん』

「…っ」

標準が定まらない。それは司令塔であるオリオンが不在であるのも要因の一つだろうがそれが全てで無いのは明白だった

 

 

理屈は分からないがザイル・ニッカーの正体も彼方なのは間違いない、それが理由か彼方はザイルを殺そうとはしなかった、でも

…彼がたった一言、私を『化け物』と言った瞬間、彼方は豹変した

 

 

姉を侮辱した者は例え自分自身であろうと容赦をしない、それほどまでに彼女にとって遥という家族の存在は大きかった

その彼女を、私は裏切るの…?

彼方だと分からなかったさっきの一撃とは訳が違う

 

 

おもちゃの鉄砲ですら当たると確信できる程の無防備な背中は、きっと私以外に向けられることは無い

「私──「撃ってもいいよ」

 

 

────え?

いつの間にか彼方の足が止まっていた、顔はこっちに向いてないけど…とても優しい表情をしているのが声から分かる

 

 

「お姉ちゃんは優しいからきっと私以外も助けようとする、その結果私を殺そうとするなら、それでもいいよ」

「殺そうなんて、そんなこと──」

そんな、こと

 

 

「お姉ちゃんが人間だと思ってる生き物を本気で守るつもりなら私を殺すしか無い、それはお姉ちゃんも分かってるでしょ」

「それは…」

いくら無防備とはいえ神の気配を匂わせる彼方を止めるには全力で攻撃するしかない、その結果彼方が死ぬこともあり得たが私はその可能性を見ようとしなかった

 

 

「大丈夫、そうして悩んでくれただけで私は嬉しいよ

それにもし悩まなかったとしても私はお姉ちゃんの味方だからね────永遠に。」

またあとでね、と振り返った彼女は血塗れの顔に太陽のように明るい笑顔を一瞬見せて再び駆けていく

 

 

──撃てない

「撃てないよ…」

「イテテ、よーやく戻ってこれた…お前の妹家族以外にゃ容赦ねぇな!

むぎゅっ、ハル?」

 

 

縋るようにオリオンを抱きしめる

「オリオン…ねぇ、私、どうしたらいい…?」

自分同士で争う彼方を前に、私は何もできなかった

 

 

「あれで本気じゃないだと?」

隣地区の建築物が見える限り消し飛んだのを尻目に瓦礫の影から影へ移動しながらボヤく

(劣化しているとはいえ神の剣ですからねぇ、彼方さん自身も持て余してるんですよ

真価を発揮したらどうなるかワタクシにも予想が付きませんし)

 

 

「……ハァ」

こんなバカな戦いをしているヒマは無いんだがな

(同感ですわ、それに今は静観しているようですが──)

…ああ

 

 

右腕(義手)の規則的な警告音がさっきから体内に響いている、1つはこの重圧に対応できなくなる時間が近づいているという警告、もう一つは…

サーヴァントアーチャー、英雄王ギルガメッシュ。

 

 

経緯は知らんがダヴィンチ、もしくはノーアは後方200メートル程で静観しているサーヴァントを知っていたらしく、近付くとご丁寧に『危険ですよ』と知らせるようにプログラムしていたらしい

(彼と戦うのはもっと後、ひとまず彼方さんを落ち着けましょう)

分かってる

 

 

工場地区から外れ、道路を挟んだ向こう側。寂れたマンションの階段を上がる

さてと

手には戦車の鉄板をもスポンジのようにブチ抜ける対物ライフル。

マトモな方法で用意された兵器ではなく、側面にはNFFサービスのステッカーが貼られている

 

 

まずは試しに1発…

コヤンスカヤが予め剣に付けていた発信機を頼りに壁越しで照準を定め、そして撃つ

 

 

ドゴォッ

 

 

およそスナイパーライフルの撃発音とは思えない音を撒き散らし、コンクリートの壁をコルク栓をくり抜いたように抉り取りながら目標へ向かって一直線で進む弾丸、しかし──

…当たりはしたが効いてないな

 

 

『霊核を正確に射抜けばサーヴァントだろうとイチコロです♡ま、生身の人間にとって当てるまでが至難の技ですが。』

キレイに風穴の空いたコンクリートの壁を見れば艦内で聞いたその言葉に間違いが無いのは分かる、しかし防ぎすらしないというのは──

 

 

「お兄ちゃん 見いつけた」

 

 

フザけた速度で接近してくる彼方が穴から見える

やれやれ…

動きの一つ一つが戦車のように重いライフルの薬莢を排莢し、ヒトで無くなった瞳目掛けて弾丸を撃ち込む

 

 

「!」

しかし彼女が微動だにしていないにも関わらず1発目と同じように弾丸は防がれた、そしてその時一瞬見えた紫色に光る壁のような物はまるで──

鱗か?

彼方が来る──

 

 

「えい!」

まるで豆腐を刺すように突き出された剣が頬を掠めたのを認識しつつ、次の行動に移る──といっても動くのは俺じゃ無いが。

「ハイ、回収〜」

 

 

『単独顕現 EX』

 

 

…とまあコヤンスカヤに自分を回収させて距離を取る、それだけだ

フラフラとこちらを探している彼方をアパートの屋上から遠目に見ながらコヤンスカヤから情報を聞き出す

「で、どう思う?」

「ん〜…英霊化してるワケでは無さそうです、単に案内人…というか伊吹童子の力が前面に出てきてそれが彼方さんを守ってると言ったところでしょうか」

「伊吹童子?」

 

 

初めて聞く名前に若干首をかしげたものの、俺の反応を分かっていたらしくすぐにそれが神の名前であることを教えてくれる

「そうか、それが分かればいい」

「使います?一応彼方さんは敵では無いのに」

「まぁな」

 

 

確かに少々勿体無いが──

「敵より厄介だ、構いやしない」

…!彼方がこっちに気付いた、離れてろ

(はいはい)

 

 

奴が自身の身丈の倍はある剣を構え、サーヴァントとそう差の無い速度でこっちに突進してくる

だがどれだけ速かろうと彼女のはなんの工夫も無い直進だ、それで向かってくれば対処はできる

俺はライフルからマグナムに銃を持ち替えて──

 

 

「少し頭を冷やすんだな」

「むぎゃっ!?」

特製の鉛玉…否幻想弾を撃ち込んだ

 

 

鱗の防護壁をすり抜けたのは予想外だったらしく、バランスを失った身体はその速度を持て余して派手にすっ転んだ

「──え、え?」

 

 

この至近距離なら防壁もクソも無いな

「『レオレオ、打撃強化』」

困惑し足元に転がる彼方を引っ張り上げるように立ち上がらせ、フラリとスキだらけになった顎を

「フッ!」

渾身の力でカチ上げた

 

 

「あ、あうぅ…」

…殺す気で殴ったつもりだったが意識すら失わないのか

しかし彼方は元人間、神の力を持っているとはいえ顎への一撃は流石に効いたらしく崩れ落ちたまま立ち上がる気配は無い

 

 

とりあえず暴れ出す心配は無さそうだ、艦に連れていくか

「『レオレオ、強化解除』帰るぞコヤンスカヤ」

引きずるような形で彼方の腕を持った瞬間──

ビキッ…

…おいおい

 

 

どうやら俺が思っている以上に彼方は人間から遠ざかっているらしい

音の発生源を見ると義手(右腕)の人差し指と中指部分にヒビが入っている

身代わりとして義手が砕けることはあったが…こんなこと初めてだ

 

 

「あーあ、こんなに小さな子相手に大人気ないですねぇ」

「言ってろ」とっとと帰るぞ

「ええ、かしこま──ザイルさんっ!!

コヤンスカヤの叫びと彼方が動き出したのはほぼ同時、悪足掻きのように振り回された剣の一太刀目はなんとか避けたものの返す刃が迫ってくる

 

 

ッ…くそ

これは当たるか──

 

 

『    』

 

 

「う…おっ!?」

避けられない筈の攻撃を避けた、理解できなかったがそんなものは後で良いと強引に思考を押し戻し、距離を取ってマグナムを構える

…っ?一瞬コヤンスカヤの服装が変わったように見えたような──

 

 

(足場が悪すぎます!ここはワタクシが相手をするので一度地上へ!)

分かった!

恐らくまたコヤンスカヤに助けられたんだろうと結論付け、屋上から出る

 

 

「借りを返した後で本当に良かったです!

このじゃじゃ馬、少し躾けてあげましょう!」




出張から帰ってきたらツングースカサンクチュアリのメインインタールードが出た上に感想まで増えていてピングーパパの如くバンザイしている作者のルルザムートです、ハイ。
しかし作者の語彙力が無いせいでどう返せばいいか分からないこの頃…感想はちゃんと読んでいますのでお許しください
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