弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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第45話です、お楽しみください


第45話 兄妹(?)喧嘩とその結末

K地区 鋳物工場跡地にて…

 

 

「てい!」

「おっと」

ブンブンとおざなりに振り回される剣を避けつつショットガン(イズマッシュ・サイガ12)を彼女の足首へ撃ち込む、が

「うわぁ!」

…やはり効きませんか

 

 

散弾は一つ残らず鱗の壁に弾かれて本体には届かない

一応怯むあたりあの鱗は防壁というより身体の一部に近いようです

「まったく、どれだけ気に入られてるんだって話ですよねぇ」

 

 

「この、この!」

怯みから立ち直った彼方が再び剣を振りかざすが脳震盪が治っていないらしく攻撃の精度や速度はザイルと戦っていた時より大幅に落ちている

…弾丸を使うのもバカらしいですね

 

 

スローな斬撃を避け、剣を握る右手を思い切り蹴り上げる

剣は後で回収しましょう

(…凶器を落とすな)

どうやらザイルさんは既にアパートの下に出ていたらしく、文句を垂れる声が念話で届いてきた

 

 

こちらから短く謝罪をし、目の前の影月 彼方へ意識を戻す

「うぅ…!」

と、したところで彼方が逃走、思ったよりもダメージが大きかったらしい

ザイルさんの方には行きそうに無いですが…どうします?

(追撃する、奴は俺にとって邪魔だ)

 

 

うーん、結局こうなるんですねぇ

 

 

J地区 住宅街にて…

 

 

コヤンスカヤと共に彼方を追って住宅街へと入る

元アジトに設置されている発電機のおかげであの辺りはまだ明るかったがこちらは完全な暗闇、ゴーストタウンだ

 

 

「武器や身体の調子はどうですか?」

「問題無いが…さっきの打撃で右腕が損傷した、それに奴の脳震盪がいつ治るか分からない。その上で聞くがお前は戦いを長引かせた方がいいと言うのか?」

そしてそれを肯定する彼女の考え、今度ばかり全く検討がつかない。何を考えている?

 

 

「ザイルさんだって彼女を消すのは本心ではありませんでしょう?」

「それはそうだが…」

何か考えがあるのか?

「至極単純なことですよ、取り敢えず追いましょう」

 

 

暗視ゴーグル(NFFステッカー付き)を頼りに真っ暗な街を進んでいく

…言っとくが奴を消すのが本心じゃないとはいえ現状は居ても邪魔なだけだ、和解できないと分かれば俺は殺しにかかるぞ

(えーと…和解する努力はしてくださいね?)

 

 

善処するさ、心の中でそう呟いた時前方に例の神秘の気配があることに気付く、距離はまだ結構遠い

「鱗が出てくるかどうか分かりませんがとりあえずこれを。」

貫通力を高めた麻酔弾です。と明らかに麻酔弾に似合わない大きさの弾丸を渡してくるコヤンスカヤ

 

 

…麻酔弾にここまで貫通力は要らないと思うがまぁいい

13ミリはあるソレをライフルに装填、弾丸の大きさが違うにも関わらず装填できたことに少しだけ驚きながら1番近い無人宅の屋根に登る

「お待ちください、あとコチラも!必要な時が来るので必ずザイルさんが使ってください」

 

 

そうして追いかけてきた彼女に手渡されたのは以前も見た注射器、作りはアーチャーに使った物と同じだが薬品の色が違う

(ではワタクシはワタクシで別の地点から援護致します、多分要らないとは思いますが♡)

 

 

『単独顕現 EX』

 

 

やれやれ…

ようやく静かになった空間で俺は一旦暗視ゴーグルを外し、先程ライフルへ付け替えたサーマルスコープを覗き込む

「…」

…あれか

 

 

サーマルによって浮かび上がる人型のシルエット、ゆっくりと腰を下ろし、その頭部に狙いを定め…

「尻尾がある分、分かり易くて助かるな」

撃つ

 

 

「…!?〜!」

鱗の防壁が出てくることは無く、後頭部に麻酔弾が直撃し彼女の身体が倒れ伏せる

もう動かないか…?

しかしそう思ったのも束の間ですぐに立ち上がって走っていく

 

 

…コヤンスカヤ

(ええ、見えてます。1発や2発撃っても昏倒させるのは難しそうですし気長に行きましょう)

やれやれ、面倒だな

 

 

 

 

「かなり弱らせたと思ったんだが…アレで逃げるとはな」

左手の義手でアンチマテリアルライフルを支え、右手の義手で弾倉を込める

コヤンスカヤから預かった麻酔弾の内既に半数以上撃ち込んでいるが彼方の奴は未だに動いている

 

 

もし遥がここにいたら俺と彼方、どっちを助けるだろうか?

…考えるまでも無い、姉さんは常に弱い者を助けようとする。今の状況なら彼方を助けるだろうし逆に俺が窮地に陥れば俺を助けるだろう、それが姉さんの正義であり弱点だ

 

 

「…」

正義、か

 

 

俺は…世界で最も規模の大きい犯罪組織のリーダーというだけであって英雄でもなんでも無い、これからやろうとしていることに正義はあっても正しさは無い

「…いや、元リーダーか」

 

 

──聖杯は既に成った、既に聖杯戦争は終了した、つまりこれはただの殺し合い、ただ邪魔なものを排除しようとする戦い──

 

 

コヤンスカヤは和解できると言ったが無理な話だ、もちろん自分相手。和解自体はできるかもしれんが──影月 遥という大きな壁がある。

人類を皆殺しするにあたって遥が黙って見ているとは思えない、そして俺が一言彼女を侮辱しただけで彼方はあの有様だ

 

 

「…ク、クッ」

口から思わず笑いが溢れる

我ながらなんとも酷いな、とても俺と同一人物とは思えない

微塵も成長していない少女にとっては姉が全てであり、絶対的な正しさであり、正義。故にそれを汚すものに対して一切の容赦をしない

 

 

こうして見るとクライムにも何処か通ずる物があるな?やれやれ…ああ、くだらない…唯一絶対の正しさなんてものは最初からこの世に存在しない、英雄だろうと悪魔だろうと持っちゃいない、そのように出来ている・・・・・のだから。

 

 

人類個人個人が持つ正義を全て砕き()()()()()として人間を殺す者になる。その為には当初は要らないと考えていた聖杯が必要だ

(エラソーなこと言ってますけどようするに逆らう人間は皆殺し、逆らわない人間は時間をかけて嬲り殺しって意味ですよね?)

…そうだな

 

 

考え事に割って入ってきたコヤンスカヤを押し退けライフルを握り直す

しかしまぁ…彼方と分離前の俺に比べればよっぽど良い。あの頃は自分自身の目的を見出せなかった、だが今は違う。しっかりと目標が目に見えている。

…だから俺は聖杯を取る。俺自身のために。

 

 

そういえば──

ふと、自分の願いについて彼女がどう思っているか聞いていなかったことに気が付いた

「…なぁコヤンスカヤ、お前はどう思ってるんだ?」

 

 

 

 

 

「ええ、ええ、私は好きですよ?あなたのその考え方♡」

光の失われた黒い街に合わせた真っ黒なフルスーツの戦闘服を着込んだコヤンスカヤがセミオートスナイパーライフルのスコープを調整しながら声を上げずに笑う

 

 

聖杯に対するその願い。誰でも分かるような浅ましくて単純な、昔からまっっったく成長していない人間を体現したその願い…ええ、とても♡

 

 

強大な力で潰し、支配する。その雑な手方はこれまで多くの権力者が辿ってきたものと大差無いもの。

そこまでなら彼女の、彼に対する評価は他の人間とさして変わらなかっただろう

 

 

だが他の人間と違う部分があった

彼には支配欲が無い、あるのは人間に対する憎悪。

 

 

人間全てが憎むべきもので無いということは彼も何処かで分かっているでしょう(ワタクシは全くそう思いませんが)

それでも憎むのはソレ以外の考えが生まれないから。

影月 彼方の中にあった人間に対する怒りのみの感情が具現化したと言ってもいい存在の彼には憎む以外に何も知らないし知ることもできない

 

 

故の皆殺し、そして支配…ふむ、支配欲が無い支配者とかタチ悪いですねぇ♪

本当に愉快で、気を抜けば街中にその声が聞こえるくらい大爆笑してしまいそうな彼の願い。

 

 

初めから終わりまで余すとこ無く破綻したその願いの終着点、その終わりを見届けたい…

それがあの時、令呪が消えて尚彼との契約を続行した理由の1つでもある

 

 

もちろん命を救われた恩に報いるためでもありましたがね?

つまり彼の願い、それを知っているからこそまだ戦う、聖杯戦争が終了した今この時でも。

 

 

 

 

「ん…」

居たな…やれやれ、もう少し注意してればアッサリ終わっていたハズ──いや違うな。

神の力を持ち、身体が変質し始めているとはいえ否幻想弾が有効打となったのなら彼方はまだ人間だ

 

 

その人間の(彼方)が対サーヴァントでここまで戦える方がおかしいのか、加えて戦っていた相手は『コヤンスカヤ()』それも脳震盪を起こしたままで。

…手の届く近い高さに引きずり落としただけでも良しと考えよう。

ダメージが無かったらと思うとゾッとするな

スコープの倍率を上げ、確実に頭部に当たるよう微調整する

 

 

「────よし」

寝ろ

特に連携をとったつもりはなかったが彼方に麻酔弾を撃ち込んだのはコヤンスカヤとほぼ同時だった

流石に耐えきれなくなったのかパタリと彼女の身体が倒れ込む

 

 

(上手く行ったようで何よりです、では──)

『単独顕現 EX』

「行きましょうか」

「…ああ」

 

 

 

 

「う ぐぅ…!」

「呆れた、これだけ撃ち込んでまーだ眠らないとは…ま、起こす手間は省けましたが」

「…」

コヤンスカヤに連れられ彼方の元に来たが──

 

 

「本当に言わせる気か?」

「もちろん!ザイルさんと彼方さん、性質は真反対ですがお姉さんを想う気持ちだけは変わりません」

「…」

気乗りしないが仕方ない、やらなきゃ永遠に進まなさそうだしな

 

 

「彼方」

「なに…?」

「…かった

声が小さいですよ?ともはや煽りにしか聞こえない声を視線で黙らせ深呼吸して再度声を出す

 

 

「俺が悪かった、姉さんのことを化け物だと言ったことを謝る。姉さんにも後で謝っておく、だから落ち着け彼方。」

(なんとまぁ…ヘッタクソな謝罪でまぁ…まぁ…)

「……」

…いい加減黙らないとダサいマフラーに加工してリサイクルショップに売り飛ばすぞ…?

 

 

生まれてこの方まともに謝罪なんてした事が無かったがこれで本当に和解できるのか…

出来なければ余計な時間消費と余計なストレスを溜めただけに──

「…お姉ちゃんがそれで許してくれるならいいよ」

と、こちらの想像とは裏腹にあっさりと敵意を無くした彼方に面食らいつつ懐の注射器を手に取る

 

 

「よし、じゃあこれで和解だな?

麻酔の作用を消す薬らしいから打つぞ」

「うん…え、注射?」

…やれやれ

注射にビビる神が何処にいる?と反撃の隙を与えず首元に注射器をブッ刺す

 

 

「うぎゃ───っ!!??」

 

 

「やかましい、ただの注射だ我慢しろ」

「いや、無表情でいきなり首に注射器刺されたら大人でも驚きますよ?」

「骨に阻害されず、かつ頭に近いほど早く効くと言ったのはお前だろう、目玉に刺さなかっただけ慈悲深いと思うぞ」

 

 

とまあ首元に刺した理由としてはこれが半分、もう半分は──単に俺が彼方を嫌っているからというものだ

人類に対する憎悪とは違う嫌悪…元はといえばかつて影月 彼方自身の中にあった『許容できない感情』を追い出した結果俺が生まれたワケだ、互いに互いを好きにはなれない

…なれなくとも使えるならば使うがな

 

 

「酷いよお兄ちゃん!」

「酷くて結構、マトモに動けるようになったら遥に会いにいくぞ」

一応謝罪すると言った以上離脱する前に遥には会わなくてはならない

…なのだが

 

 

「──やれやれ、コヤンスカヤ」

「ええ」

 

 

ポンポンッボンッ

 

 

気の抜けたような音と何かが落下してくる音を聴きながら慌てることなく暗視ゴーグルを付ける俺とコヤンスカヤ

そして飛来音の元を視認し俺がマグナムで4つ、コヤンスカヤがライフルで6つ撃ち落とす

 

 

今のは迫撃砲…ということは

「各隊包囲陣形…!付近の隊と連携しつつ迫撃砲装填!及び補給物資(武器類)搬入を急げ!」

 

 

「またですか?」

「まただな」

「?…うわっ!?」

わざわざ持ってきたのか停電であることを忘れさせる程の明かりが住宅街を照らし出す

 

 

こちらを取り囲む気配を無視し、呆れつつ何度も聞いた怒鳴り声の方へ意識を集中する

逆光で見えないが誰なのかは見るまでもなく分かる

 

 

「ノーアとの戦闘で重傷を負ったと聞いていたが元気そうじゃないか?

…クライム」

「俺、が…銃を手放すと、すれば…死ぬ時か──

お前を!殺す時だけだ!ザイルッ!!」

 

 

まったく、往生際の悪い男だ

それにしても周囲に感じる気配の数…おそらく基地から相当数連れて来ているな

 

 

「どうやら奴はここで終わらせる気らしい」

「退去しかけのバーサーカーを見ればその動きも当然かと、でどうします?」

バーサーカーが魔力不足で退去するまで隠れる手もありますが、というコヤンスカヤの提案を拒否し、ライフルの麻酔弾を実弾に装填し直す

 

 

「好都合だ、クライム達とはここで決着を付ける。コヤンスカヤ、お前はアーチャーを警戒しつつバーサーカーと交戦。俺に寄せ付けるな。…彼方」

「何?身体ならもうだいぶ動けるよ!」

…よし

 

 

「戦闘が始まったらクライム以外の敵を殺せ、殺しまくれ。いいな?」

「?はーい」

俺と一度戦い始めれば奴もそう簡単に離脱はできない、これが奴の最も嫌がるやり方だ

 

 

前方に現れる弱々しいサーヴァントの気配を感じとり、全員が戦闘体制に入る

──コヤンスカヤ

(はい、いかがされましたか?)

「…」

 

 

──彼方から目を離すな

もー()()()()()()よ!

「…ならいい、行くぞ!」

 

 

「魔力タンクはもう無い…!ここで終わらせるぞ土方ッ!」

「ああ…!」




狐のモフ尻尾は上からしがみつき、竜のような逞しい尻尾には押し潰されたい作者のルルザムートです、ハイ。
1話冒頭のアレをようやく回収できて安心の背伸びをしているこのごろ。
ああいう物語後半の部分の情報を薄めて序盤に出すのが好きなんですよね
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