弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
J地区 住宅街にて…
「わぁ〜…沢山連れて来たんだ、ねェ!」
「な、なんだこの子供!?化け物か!?」
「っ!土方!」
「分かってる!」
包囲網を敷く隊員の1人に触れかかった少女の手を土方がアサルトライフルで弾く
「角のガキには近付くな!中、遠距離から衝撃の強い弾丸を撃ち込んで遠ざけろ!」
「お前らの仕事はあくまで戦闘では無いことを忘れるな!
ザイル達は俺と土方に任せろ!」
「…コヤンスカヤは数ブロック離れて戦闘準備、バーサーカーが追ってくるだろうから潰すまではこっちの援護はしなくて良い」
「かしこまりました!
じゃあバーサーカー…新撰組の土方歳三さん、でしたっけ?場所を変えましょうか!」
アサシンとは思えない(アサシンと呼ぶのもおかしいかも知れないが)余裕たっぷりの発言に若干苛立ちを覚えながら土方に予備の弾薬パックをいくつか手渡す
「正念場だ土方、無茶をするなと言うつもりは無い!
どんな卑怯な手を使っても構わん!あの女狐にこれ以上好き勝手させるな!」
「ああ任せろ!だがお前は無茶をするな。
お前は言わばここら一帯にいる米軍の核と言ってもいい人間だ、お前がくたばるような事があれば──この隊、本当に全滅するぞ」
「──分かっている」
「ならいい…死ぬなよ、クライム」
「ああ」
そもそもこの
「くそ、英霊くずれめ」
この作戦が終わったらブン殴ってやる、と拳を握りしめながらコヤンスカヤを追って光の届かない住宅街の奥へ消えていく土方を見送り、改めて俺の戦うべき敵へと意識を向ける
「やれやれ、仲間が大切なら置いてくるべきだったんじゃないか?」
「あいにく俺の部下はどうしても着いてくるって言って聞かない奴ばかりでな?部下のご機嫌取りをしていたお前とは違う!」
左手にマシンピストルのTEC-9、右手に土方の火縄銃を構えザイルと対面する
ズキン
「ッ…」
胸に走る鈍痛を抑え込み、銃口をザイルに向ける
(くっ、そ…あの科学者に蹴られたダメージが…!)
いや銃が握れればそれでいい、俺はまだ立っている!俺はまだ戦える!
「俺の相手はお前だ、ザイル!」
「誰も彼もロクに成長しないな、ここまで来ると笑えてくる」
妙なステッカーが貼られたトカレフにマガジンを叩き入れこちら同様戦闘体制に入るザイル
ザイルとの距離は約6.7メートル…ここから──
ザリ…
!!
ガンッ
本能の警告に従って振り上げたマシンピストルが首元を狙ったコンバットナイフの斬撃を防ぐ
コイツ今どうやって…!?
「…コンテナ置き場でも見せた覚えは無かったんだがな、やはりお前はここで殺すべきらしい」
「ぬかせッ!」
ナイフと銃による歪な鍔迫り合いを力技で押し返し、そのままマシンピストルを連射。
「芸の無い奴だ」
瞬間移動と言われても納得してしまえそうなザイルの動きに弾丸は掠めることもなく丸々1マガジンを空にする
普通の動きじゃない…速さじゃ、ない?
トッ
!!まずい──
大して強く蹴っていないであろう微かな足音を頼りに急所を守るが──
「…なるほどな、反応していたわけじゃなく咄嗟に急所を守っていただけか」
すぐに殺すつもりはないといわんばかりにマシンピストルを持つ腕へ深々とナイフが刺さっていた
「チィッ!うおおおおおおっ!!!」
自由に動かせる手で火縄銃を奴の心臓目掛けて撃つが、またしても避けられる
どういうことだ…!?以前のザイルとは動きが…?
それによく見れば動き以外にも差異があった
左腕が義手になっている。セイバーが斬ったものだろうが…こんなにも早く義手を用意してくるというのもおかしい
ザイルの左肘から先はおよそ戦場に似つかわしくない桃色の義手が装着されており、手の甲…指の付け根部分と言えばいいか?親指を除いた4箇所にガラス細工のような何かが取り付けてある
手に持っているハンドガンと背中に背負っている対物ライフルも今まで見たことの無いもの──ぬ!?
バシッ
「どうした、考え事か?」
「答える必要は、無い!」
足払いに蹴りを打ち込んで相殺、そこから腕に刺さったナイフを投擲してそれがザイルへ届く前に火縄銃
「ッチ、野蛮人め」
「『人』ですら無いお前に言う資格は無いッ!」
叩き込んだ火縄銃をそのまま掬い上げるように振り上げ、その勢いを利用して持ち替え、引き金を引く
片手でロクに踏ん張りもせず撃ったため火縄銃は反動であらぬ方向へ転がっていったが弾丸は発射された
「『レオレオ、打撃強化』」
キャスターの腕に似た右腕で弾丸を叩き落とし、目を疑う速さでハンドガンを構えるザイルとそれに負けじとマガジンを装填し直しマシンピストルを向けるクライム
引き金を引いたのは同時でそれぞれから見て右に向かって回避したのも同時、側から見れば円を描くように駆け抜けながら互いの左頬を互いの弾丸が掠めていく
あと少し──
「『レオレオ!脚力強化!!』」
ダンッ
こちらの弾丸が顔面を捉えかけた瞬間、奴の身体が影だけ残し真上に消える
跳んだ!?
それだけ認識し、咄嗟に飛び退いて弾丸をなんとか回避しようとするが──
バスッ
「ッ〜!!!」
足に1発…!
右足を撃たれたが痛みを感じているヒマは無いしここで転んだりすれば待っているのは死だけ、と思考を上塗りし反撃に出る
今のが6発目──トカレフ残弾数残り2!
火縄銃を拾う余裕は無い、奴の着地と同時に残弾を全て叩き込む!
4発残ったマシンピストルを構え前へ飛ぶように走っていく
もちろんザイルが黙って近付かせるワケが無く、真っ直ぐ走ってくるクライムに向けてハンドガンを撃つ
着地した瞬間の僅かな隙をカバーするために放たれた牽制の2発。下がるか横に飛べば簡単に避けられる弾丸に微塵も速度を緩めることなく突っ込む
まだ防がれる距離だ、あと少し近付かなくては──
「ぬ、あぁっ!」
右脇腹と左手小指に走る鋭い痛み、ノーアとの戦闘で改造戦闘服が破損し通常の戦闘服を着込んでいた彼にとって脇腹からの出血と千切れ飛んだ小指は決して軽いダメージでは無かった、だが──
2発…!トカレフ残弾数、無し!
痛みとして内側から湧き上がる警告を無視し、さらに駆ける
俺の方が早い!奴が着地するよりも、俺が近付くほうが早い!
着地の瞬間!ここだ──
ドゴォッ
数少ないチャンスに最後の4発を撃ち尽くすが轟音と共に一瞬浮き上がったザイルにそれが当たることは無く4発とも闇の街へ消えてゆく
背負っていたライフルを撃ったのか!
尋常ではない撃発音を立て、くるりと宙で1回転したザイルがその慣性を利用しカカト落としを繰り出してくる
避けられない…!
「なら──」
魔術で強化されているであろう一撃が身体に触れる直前、背負い投げの要領でその足を抱え込み、
「ウオリャァッ!!!」
そのまま全身を半回転させてジャイアントスイングのように投げ飛ばす
あと残ってる武器は…よし!
「地獄へ行けェッ!」
手品師の早業の如く手榴弾のピンを弾き抜き、飛んでいくザイル目掛けて投げる
…だが互いに人間が作った兵器を使う以上、思考は似かよるらしい
ヒュッ
クソッタレ!
眼前に迫る投げたものとは別の手榴弾に空のマシンピストルを投げつけて止め、両腕を交差させて顔を守る
「ぐぁああ…!!」
互いの近くで炸裂する手榴弾、少なくともクライムにとって予期せぬダメージであったがそれでも彼が倒れることはなかった
「ゼェッ…!ゼェッ…!こ、の…」
まるで何事も無く煙の中から歩いてくるザイルにクライムは言わずにはいられない
「はっ…は、義手の強化に異常はないってのに、やれやれ…」
そして過程は違うがザイルもまた同じだった
め!」
「「化け物
が。」
〜
クライムとザイルがいる場所から数ブロック離れた場所にて、まるで戦争でも起こっているかと錯覚しそうな程の銃弾、爆弾、ミサイルの嵐が局地的に巻き起こる
事情を知らない者はそれが1対1の戦いである、ということをまず認識できないだろう
「ウッワぁ…」
そしてその中心。まるで流れ作業のように雨あられと鉄の雨を降らせながら、呆れにも近い感情が思考となって彼女の頭に走る
最初から最後まで見てたワケじゃありませんが彼、クライム・アルバートは少なくとも日常生活に支障が出るレベルの重傷だったハズ。それがさも当然のように前線に出てくるとは…
「フッ!!」
「おっとっと!」
ミサイルを叩き斬り、一気に距離を詰めようとしてくるバーサーカーへ余裕を持ってショットガンを撃ち込み、再び距離を取る
聖杯戦争にて召喚されるサーヴァントはマスターと波長の合う英霊が召喚される場合が多いですが彼の場合はそれが極端ですね
「マスターとサーヴァント揃って戦う事──いいえ、特攻が生き甲斐ですかアナタ達は?」
バーサーカーもですね。外見に異常は見られませんが魔力反応が弱々しい。
恐らく魔力供給不足による弱体化…しかしクライムさんに魔力欠乏症の兆候が見られないことからそもそも最初から魔力を送れていないのでしょう。
魔力のストックに準ずる何かを使い切った、と考えるべきですね
…マスターは魔術師の『魔』の字も無いような現役軍人でサーヴァントはクラススキル『狂化』によって能力を底上げした神秘の浅い侍(?)…よくもまぁここまで生き残れたものです
「はいコヤーン、と♡」
たった1人に対してあまりにも過剰な数の榴弾が降り注ぐ
刀で斬り払おうとするバーサーカー。
だが文字通り雨の如く降り注ぐそれらを刀で1つ2つ払ったところで意味はなく──
「ぐ、あ────」
苦痛に歪む姿は弾幕に、身体の限界を知らせる声は爆撃音によって塗り潰されていく
念には念をということで多めに撃ち込んだものの、幻霊並みに弱った霊基反応にコヤンスカヤは撃ちすぎた、と僅かに後悔した
終わりましたかね?いかんせん魔力反応が小さすぎて目視でないと分からな──
「死ねッ!!!」
「きゃっ…!ちょっ!?」
『 』
それは敵を嘲笑うためか、もしくは彼女の用心深さから出た結果か
脳天から真っ二つにせんとする勢いで振り下ろされた刀はギリギリ彼女に当たる事無く、コンクリートの大地を叩き割っただけだった
あっ…ぶないですねぇ!?念のため礼装を起動しておいて良かった!
あちらはザイルさんを彼方さんから守る時に使ってしまいましたがこちらを残しておいたのはやはり正しかったようです
まぁ今の一撃なら当たったところでちょっと痛いくらいで済むので当たってあげてもよかったんですが。
「ゼェ…ゼッ…ゼェッ…」
「アナタ生前から
新撰組にて鬼の副長と言われた男、土方歳三。目に見える程弱った霊基を気力だけで押し留めて戦う彼の姿は異常以外の何物でも無かった
…例え神代の英雄でも限界を迎えて尚ここまで戦える英雄はそう居ないでしょうね、マジで人の皮を被った人外か何かでは?
「さてどうしますかねぇ…」
無謀とも言える戦いにマスター共々戦っているのは勿論玉砕なんかでは無いだろう。
彼らの狙いは十中八九、影月 彼方の排除…対ワタクシと言えるグランドアーチャーは敗北しましたが
現に彼方さんは肉の匂いに釣られる獣のように人間の多い方向…つまりクライムさんの部下がいる方へと移動している、包囲する彼らを殺しながら。
「鱗の防壁を突破できるとは思えませんが楽観視する理由にはなりませんよね!とゆーワケで、」
ザイルさん!宝具解放許可をお願いします♡
〜
「────」
コヤンスカヤと対峙するサーヴァント、たった1人の新撰組は満身創痍の身体を駆りながら考える
身体が重い、ダメージとは別に魔力供給が充分にできないだけでここまで行動に支障が出るというのは正直予想外だった
ザイル・ニッカーがこっちに来ていないということはクライムはまだ生きているようだがあの怪我じゃそう長くは保たないだろう
何よりマズいのはクライム隊だ、影月 彼方の誘導自体は上手くいってるが確認するまでも無く甚大な被害が出ている
空になったアサルトライフルの弾倉を装填し直し、異様な気配を纏わせるアサシンへ注意を戻す
「よくもまぁ神代の英雄でも無いアナタのような英霊がここまでしつこい──失礼♡粘り強い方だとは思いませんでした。
敬意を表する…つもりは一切無く、単純に目障りですのでここにてお開きとしましょう♪」
おかしな魔力を纏った、小さな戦車(?)の模型のような物を放り投げるコヤンスカヤ
なんだ…?
地面に転がった模型から吹き上がる巨大な煙、その中から現れたのはコヤンスカヤと…
「さぁさぁ!どうぞご覧下さい!これが
おい、まさか──
見上げるような大きさの、戦車と呼ぶには歪な形をした兵器が煙の隙間からその姿を覗かせていた
これは──これの標的は俺だけじゃ無い!
「精々逃げ惑って下さいませ♡
先程までが茶番と言えるほどの鉄の暴風雨、砲門の1つが
当然だがコヤンスカヤが無駄撃ちなどする訳が無い。
ミサイルの殆どは数百m後方にて、死に物狂いで影月 彼方と戦っているであろう仲間に向かって飛んでいく
「くっそ!?お前ら──」
耳をつん裂く爆撃音、持ち込んだであろう車両や兵器が宙を舞い、遠目であるがその中で確かに見える仲間の姿
「これはほんのご挨拶…さて次はもーっと派手に行きましょう♪」
もう温存している時間も余裕も無い!
クライム!聞こえるか!?令呪を──
キィ……ン
一瞬何もかもが静止したような、そんな感覚。そして──
(令呪を持って命ずる!あのクソッタレを叩き潰せッ!)
「──ああ」
任せろ…!
特に令呪について取り決めをしていた訳では無いしこちらの状況を適時伝えていたわけでも無い、だが彼は応えた。こちらの望むタイミングで、寸分違わず。
「抜刀…突撃…!」
毛の先程も無く固められたその決断に呼応するかのように、土方歳三とコヤンスカヤの周囲を囲む超限定的な空間に鳴り響き始める怒号と飛び交う弾丸、怒号は彼のものでは無いし、弾丸はコヤンスカヤのものでは無い
それは狂信とも言える彼自身の心象が形となって滲み出たもの。
満身創痍の身体をまるで何事も無かったかのように──いや、事実として霊基崩壊の迫る彼の身体は、今この時だけ無傷にも等しい能力を持って地を駆ける
「そんな宝具でなんとかなるなら兵器もサーヴァントも要りませんよ?…発射♡」
「オオオオオオ!!!」
一瞬早く自分に向けて放たれた4発のミサイルを叩き落とし、続いて仲間を狙って放たれたミサイルを砲門ごと切り刻み、発射されたミサイルはアサルトライフルで撃ち落とす
だが無数のミサイルを刀1本とアサルトライフルで防ぐにはあまりにも物量が違いすぎた。故に──
「ぼぐっ…!!ぐ、ぐおああああ!!!」
全身挽肉にでもなったかのような痛みも今の彼には関係ない。ただ数十、数百発はあろうというミサイルを自身の身体さえも武器として使って防ぎ切り、コヤンスカヤを叩く、それだけ。
「…っんと、他に手は無かったんですか?…ま、無かったでしょうが。」
「〜ッ!!!」
ミサイルの爆撃はどれも致命傷だがどれだけダメージを受けようとも身体は動く、それは奇跡などではないし神に祝福されたという訳でも無い。
『最後の新撰組として、自分が倒れる訳には行かない』…宝具にまで昇華されるその意思のみで動かしている
「よく、見て、目に焼き付けろ!!!」
爆撃により砕け散ったアサルトライフルを捨て、ミサイルの層を突破し安全圏と彼女が数秒前まで思っていた戦車の上へ駆け上がる。今にも砕けてしまいそうな刀と、砕けることない意思をもって。
「俺が…!!
「っ…小賢しいですわ!」
それまで遥か後方を狙っていた砲門が彼へ標準を変え、ミサイルを撃つ。
命中の確かな手応えと爆撃に一瞬で掻き消されたバーサーカーのうめき声に安堵した、してしまった彼女を──
新 撰 組 だッ!!!」
弾幕の中から飛び出したサーヴァントが叩き斬った
コヤンの尻尾に取り込まれて永久に生かされたままモフモフでパーになりたい作者のルルザムートです、ハイ。
久しぶりに気に入ったのが書けた気がする!(しかしそれはコヤンパートでは無い模様、何故だ。)