弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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建物とか場所の名前は割とテキトーです


第5話 後始末

〜N地区 A病院、1階にて〜

 

 

「…」

目的の部屋を目指し、気配と足跡を消して歩く

 

 

「てっきり狙撃でもするかと思いましたが直接向かわれるんですねぇ」

俺が麻酔銃で眠らせた看護婦を跨ぎながらコヤンスカヤが言う

「ああ、敵サーヴァントのクラスが分からない以上は遠距離攻撃は伏せる、一度しくじって攻撃方法を見られれば次は無いだろうからな」

 

 

魔術師の連中にとってライフルによる狙撃なんてのは予想の範囲外というだけであって分かっていれば簡単に対処できる、狙撃するなら殺せる確信がある時だけに留めたい

 

 

もし殺し損ねて向こうが気付いたら…いや、例え正確な場所が分からずとも、当たりを付けてエクスカリバーのような宝具を撃ち込まれたら終わりだ。

狙撃は遠距離から目立たず暗殺できる強力な排除方法だが逆に言えば遠距離からやれることは狙撃だけだ。防がれれば殺される。

 

 

空爆や切嗣がやったような爆破解体も考えたが費用が馬鹿にならないし、こんな序盤で聖堂教会に目を付けられるわけにはいかないし、そもそもこの病院にいる人間…民間人も巻き込む事になる。起こすとしても小規模なものだけだ、やれやれ…

 

 

…聖堂教会をどう誤魔化していたか切嗣に聞く必要もあるな

そんな事を考えつつ目的の場所へ

「…この部屋か」

部屋の入口に付いている名前には『ルマス・プライマリー』と記入がされている。

…中からは規則性のある無機質な機械音がしていて、耳を澄ませば僅かに寝息も聞こえる

 

 

「…?」

サーヴァントの気配がしない…

「…」

この部屋に居る人間がサーヴァントを従えたマスターだと言うことは調べが付いている、見張りも交代でさせており、部屋から出ていないことも確認済みだ

 

 

また、どのクラスかは分からんが少なくともアサシンで無いことは分かるし、キャスターも…まぁ無いだろう。つまり敵サーヴァントは俺たちをすぐさま攻撃できるような位置には居ない

 

 

「サーヴァントの気配がありませんねぇ…マスターはどー見ます?」

「静かにしろ。…さて」

消去法で言えばアーチャーとライダーもあり得ない、アーチャーは単独行動のスキルを持っている。先日のようにマスターと共に行動する意味は無い。

 

 

また、ライダーなら何かしら乗り物を持っているハズだが部下の報告によれば中年の男が爆発で足のなくなった女を抱え込み、ビルからビルへ飛ぶように走っていたらしい、マスターが窮地に陥れば例え宝具を使ってでも戦線から離脱しようとするだろう、このことからライダーもあり得ない

 

 

「…」

とすればセイバー、ランサー、バーサーカーのどれかか…?理性のないバーサーカーは除外…いや、サーヴァントである以上は理性が無くともマスターを守ろうとするのは変わらないだろう、除外は出来ない…

クソ、殺せるとしてもクラスが判明してから殺すのとそうでないのとは今後の立ち回りに影響が出るが…答えが出ない以上仕方ない

 

 

「…ひとまず部屋の様子を伺って状況次第でマスターを殺害…のち、退くことにする」

「わかりました、マスター♡」

そう言って部屋に一歩、近付いた瞬間

 

 

「…ッ!?」

ゾワッ、とまるで血流が一瞬無理矢理止められたような感覚に襲われ、全力で後ろに飛び退く!そしてその直後──

 

 

ズガンッ

 

 

「あーらら、避けられるとは思ってなかったなァ」

剣…いや、槍?が壁から勢いよく突き出てきた、その切先はさっきまで俺の頭があった場所を正確に捉えている

 

 

「…チィ、ランサーか!」

直前まで気配は無かった…令呪の瞬間移動か?

なんにせよそんなことを考えている余裕は無い!

 

 

槍が引き抜かれ、部屋から中年の男が出てくる

「あーやっぱりアンタらか、こうして顔を合わせた以上はもう俺のマスターに手出しはさせない、いつもならそちらさんが諦めるまでイヤになるほど守りに入るんだが…今回ばかりはそういうワケにもいかないなァ!」

 

 

…ッ!仕方ない!

「アサシン、戦闘態勢だ、俺の身を守れ!」

「ようやくですか?かしこまりました、マスター♡」

不安要素はあるがそんな事を言っている場合じゃない、生身でサーヴァントを相手にはできない!

 

 

「そらよっと!」

俺を殺そうと振われるランサーの槍、それをコヤンスカヤが蹴りで打ち払う、が──

「まーだまだっ!」

カチンとランサーの武器が変形…分離して切先だと思っていた槍の刃が一本の剣に変わり、そのまま斬撃が繰り出される

 

 

「!」

何処から取り出したか分からんアサルトライフルでそれを防ぐ、が──

「…ッ!いったいですねぇ…!」

少し勢いを弱めた程度でライフルはあっさりと折れ、ランサーの剣がコヤンスカヤの左腕を斬りつける

 

 

まずいな…そもそもアサシンは正面切って戦うようなクラスじゃない、本来ならマスターとは別行動が当たり前のクラスだ。加えて相手はサーヴァントの中でも優秀な部類のクラスである、セイバー、ランサー、アーチャーの内の一騎…だいたい、何故サーヴァントのくせにわざわざ人間の兵器を使うんだ…?

分が悪いどころかこのまま続ければ負けるのは明白だ、なら──

 

 

「ッ!」ダッ

左手に持った対物ライフルの銃口をランサーとは真逆の方向に向け、全力で床を蹴って前へ!

「マスター!?」

「ッと!?」

 

 

俺を驚異と認識するや否やコヤンスカヤを器用に押し退け、再び槍へ形態を戻したランサーの横薙ぎの一撃が迫る!

…やはりどうやっても一撃は貰うか

「っ…『レオレオ!防御機能強化!』」

詠唱、義手の耐久力を強化してガードする

 

 

ガンッ!

「よし…!」

防いだ!ふざけた詠唱だが機能は本物だ、ただの横薙ぎとはいえサーヴァントの一撃、それを受けて義手には傷もついちゃいない!

 

 

「なにっ!?く!」

一撃を防がれたランサーは一瞬だけ動揺したがすぐに持ち直して再び攻撃体制に入る、だがそれは敵わない

 

 

槍という武器の特性上、リーチが長い代わりに隙がでかい。それが弾かれたものなら尚更だ、ならば奴が次に取る行動は──

「させんよ!」パキン

予想通りに振り下ろされる剣の一撃、それを一瞬前に撃っていた対物ライフルの反動で病室内に逃げ、回避する

 

 

「…!!」

ライフルを捨て、対神秘改造コルトパイソン…マグナムをホルスターから抜き取る

 

 

「終わりだ!」

俺がベッド上の敵マスターへ銃口を向けるのと──

「うおおおっ!」

ランサーが俺と敵マスターの間に割り込もうとしたのはほば同時であり、厳密に言うのであれば──

 

 

「…やれやれ」

ランサーの方が一瞬だけ、早かった

 

 

「だが無意味だ」

しかしランサーがどれだけ早く割り込もうと関係は無かった、何故なら俺が撃った弾丸は正確に、敵マスターの額に風穴を開けていたのだから

 

 

「な…!マスター!?馬鹿な!今のは間違いなく防いだはず──」

「フッ!」

 

 

狼狽えるランサーに閃光弾を投げつけ、コヤンスカヤの手を掴んで外へ

「もう充分だ、退くぞ!」

「わ、わっ!?走れますので引っ張らないでくださいませ!」

お構いなしに最短距離で走る

 

 

予想できた事ではあるがやはりライフルは回収できそうにないな、諦めるか…

走りながら遠隔で自壊機能を作動させてライフルを処分、部下に用意させておいたバイクに跨る

 

 

「残弾数は11発…特殊弾(コイツ)はもう補充が効かないということを考えれば1発で済んだのは理想形だろう」

仮にアレで生きていたとしても保険は掛けておいた、追ってくる気配もない…ランサーはもう問題ないだろう

 

 

「あのー、マスター?差し支えなければさっき起こった事象について教えていただけませんか?」

「ん?ああ、いいぞ」

 

 

これについては教えたところで特に問題はないだろう

「知人の持っていた礼装を参考に作った俺だけの礼装だ、といってもコレを礼装と言っていいか怪しいもんだが…」

「と、言いますと?」

 

 

バイクを走らせながら説明する

「俺は神秘にも魔術にも理解が浅い上にそもそも適性がほぼゼロだからな、魔術師殺し(ヤツ)のように魔術や魔術回路のような神秘に干渉するには義手が無いと無理だ、だから逆に徹底して神秘に干渉できない弾丸(・・・・・・・・・・・)を作ることにした」

「ふむふむ」

 

 

「結論から言えばサーヴァント…神秘の塊みたいな存在は軒並みこの弾丸に干渉できない、撃たれても傷付かないのはもちろん、掴むことも弾き飛ばすこともできん。

神秘の差が開きすぎて互いが別次元の存在となり、干渉を拒む…そうだな、霧に石を投げつける様子を想像しろ」

 

 

「なるほどなるほど、確かに石は霧を晴らせませんが霧もまた石を止められない、と」

「その通りだ…目的無く、感情無く、愉悦も無く、先を見失ったまま戦場で無意味な虐殺を繰り返し…また、繰り返させてきた俺が作れたもの」

 

 

王のような使命もなく、勇者のような蛮勇さもなく、騎士のような誇りも無く、動物のような種の繁栄欲求も無く、殺人鬼のような快楽すら持たない英霊(英雄)というものを根本から否定したザイル・ニッカーという男が作り出したもの

 

 

コートの内側にしまってある残り11発の内の1発を取り出し、コヤンスカヤに見せて言う

「これが俺の礼装…『()幻想弾(げんそうだん)』だ」

「うーん、ダッサい名前ですねぇ…」

 

 

…やれやれ

「最初の感想がそれか、名前なんて付いていればどうでも良いだろう」

「貴重な品こそ名前は大事だとワタクシは思いますが…材料は何を?」

「一昔前に切り落とされた右腕の…その5本指全てだ。

親指、薬指、小指で2発ずつ、人差し指と中指で3発ずつの計12発だ」

 

 

「整備をした時は魔術や神秘を必要とした作業はありませんでしたがアレは?」

「整備内容自体は普通の銃や弾丸と変わりない、違いは整備する者が魔術に対してある程度の理解があるかどうか、それと整備にかける時間と回数だ」

『奴』曰く、神秘の存在を知っている者があえてそれを使わずに『ただの整備』を『何度も』やることに意味があるという

 

 

「ようするに神秘の否定という概念を補強してやっているんだ、俺の装備に『対神秘』と書かれているものは──」

「否幻想弾の能力を損なわず装填、撃発できるように神秘を薄めた武装…ですね?」

「ああ」

そういうことだ…ん、

 

 

ちょうど説明が終わったところでアジト…に繋がる入口の1つである喫茶店に到着する

「今日はここから帰る、ついて来い」

「はい、ただいま♡」

 

 

部下にバイクを処分するようにメールを送り、俺たちは喫茶店の中へと入った…

 

 

 

 

〜その頃、N地区 A病院 1階にて〜

 

 

「はっ、はっ、はっ、」

身体機能強化の術式を両足に集中させ、今にも消えてしまいそうな魔力反応に向かって走る

「マスター、待て!1人で行くな!…っとと!?この看護師のねーちゃん達はなんでこんなトコで寝てんだ!?」

 

 

後ろから聞こえるアーチャーの声も無視して前へ、前へ…そして──

「ここだ、ヘクトールさん!ルマスさん!」

部屋に入って最初に目についたのは額から血を流し、ベッド上で動かなくなったルマスと何も映さなくなった心電図、そして──

 

 

「…よォ、来たのかい、お二人さん」

「クソッ!ヘクトール!」

力無く壁に寄りかかって煙草をふかしている彼──ランサーの姿があった

アーチャーも遅れて後ろから追いついてくる

 

 

「ここで何が──」

カチッ

駆け寄る私を拒むかのように異音がして

 

 

…!?今の音は──

「!!! マス──」

 

 

離脱する間も無く、大きな音、衝撃と共に真っ白な炎が私達を包む

当然アーチャーは無傷で済むだろうが私は──

 

 

「へ?」

──私も無傷だった

これは一体…?

 

 

「…はは、今度はちゃんと間に合ったらしい、いつでも発動できるように身構えてた甲斐はあった」

「…!そうか!『トロイアの守護者』か!」

アーチャーが納得したように言う

そうか、私はランサーに、ヘクトールさんに守られたんだ

 

…あ!

「ヘクトールさん、身体が…」

「ああ、うん、流石に…無理、しすぎたらしい…俺は、ここまでだなァ」

 

 

光に包まれ、足の先から徐々に消えていくランサーに私はただ狼狽えることしか出来なかった、けど──

「消える、前に、伝えておかなきゃ、ならないことが、ある…」

 

 

下半身が完全に消えても彼は諦めず言葉を紡ぐ

「いいか、俺のマスターの足を吹き飛ばし、お嬢ちゃんの事も…吹き飛ばそうとした、敵マスター、は──」

 

 

カチッ

 

 

「ッ!?」

また異音が──

さっきの爆発とは別の場所から来る衝撃、だがまたしてもそれは私に届くことは無く──

 

 

「…ああ、ったくよォ…あの一瞬で、仕掛けられる、のは…1個だけだと…思ったんだが、な…しかし、あいにく、と…守る事に関しちゃ、俺は──」

「ヘクトール!」

 

 

音も無く落ちた煙草の吸殻だけを残し、ランサーは…ギリシャの英雄、ヘクトールは完全に消滅した…私を、守って。

「…マスター」

「うん、分かってる…他にも爆弾があるかも知れない、早くここを出よう」

 

 

〜ランサー敗退〜

 

 

 

 

↓プロフィール

 

 

ザイル・ニッカー

 

8

軍隊すら恐れる最悪の犯罪組織集団ウルフルズ、そのリーダー。

年齢、性別、人種問わず人を惹きつけるカリスマと人や兵器に関する豊富な知識…そしてなにより、どこまでも冷酷、残忍になれる人間性の無さから生じる高い戦闘能力を持つ男。

 

7

堅実なやり方を好み、博打を嫌う慎重派。やれやれ、が口癖

『まぁ生死がかかってるからな、慎重になるのは当然だろう?』

 

6

魔術などの神秘に対しての理解や適性はお世辞にも良いとは言えず、外付け魔術回路である義手を使っても大した魔術を公使することは出来ない、故に相手が誰であれ、彼の手に取る武器は『()幻想弾(げんそうだん)』を除き、現代兵器のみである…今のところは。

 

5

ウルフルズという組織は大規模ではあるが武力だけで言えばただ規模のでかいテロリストと何も変わらない、軍隊が──いや、国が恐れている理由は武力よりも、ザイルに…ウルフルズに魅了されている大勢の民間人の存在である。

 

4

民間人にとってウルフルズに魅了される理由はいくつかあるが最も強いのは『富を独占する数%の人間からそれを奪い、貧困の者達へ流す』というものだろう、それによってタダ同然で救われた者はウルフルズに、ザイルという人間に興味を持ち、憧れる──だがザイルにとっては『大勢の民間人』という柱が欲しいだけであり、そこには愛も、慈悲も、関心も無く『必要だからやっただけ』である。

 

3

ザイル・ニッカーという名前も本名では無い、時と場合により彼は名前を使い分ける。

冷酷無慈悲な殺人機械としてのザイル・ニッカー

人を惹きつけ、魅了するウルフルズのシンボルとしてのガルシア・クラウン

街を歩き、ただ知人に会いに行くだけのアンペルト・ローラー

信用できる人間には名前を使い分ける事はしないがアテにするわけでは無い。

 

2

人を惹きつけられるのは1人1人の『言って欲しいことを理解し、発言する』から、残忍になれるのは『他人に興味が無い』から、どんな危機的状況でも冷静に判断が下せるのは『自分の生き死にすら興味が無い』からである。彼が切嗣から依頼を引き受けた理由の半分は『とりあえず今は死ねない理由』ができるからである。

 

1

生きる理由も死ぬ理由も見つからない彼が勝ち残り、もし聖杯が彼を認めたとしたならば、願望機が叶える願いは果たして──




タマモキャットの尻尾ビンタで気絶したい作者のルルザムートです、ハイ。
fgoのプロフィールみたいなことをやってみたかったの巻。メッチャ長くなってますやん…汗
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