弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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なんとか出張が本格的に始まる前に投稿できたァァァア!
というワケで第51話です、お楽しみください


第51話 ロンドンからの使者/ルマスの遺品

D地区 コンテナ置き場にて…

 

 

「ったく、好き勝手やりやがって」

たった今アメリカへと踏み込んだばかりの英霊は周囲の惨状を一通り見回したあと、抑えることなく1回舌打ちをする

 

 

(ランサー、分かっているとは思うが──)

「あ?ああ分かってる、俺の仕事は偵察と生き残ったマスターとサーヴァントにお前の伝言を伝えること、分かってるさ」

ビースト達に彼と彼のマスターの存在は認識されていない、言わばいつでも不意打ち可能なジョーカー枠である。ここで暴れて注意を引くわけにはいかない、だがあれでは…

 

 

「だがよ、このままじゃアメリカ軍もろとも全滅しちまうぞ」

隣地区で戦闘中の米軍はコヤンスカヤの繰り出した異聞帯産の使い魔によって包囲攻撃を受けている。

あの数相手じゃ並の英霊が数騎居たところで防ぎ切るのは不可能に近い

 

 

「直接手を貸さないにしても出来ることはあるだろ?

…なんか知恵寄越せよ」

(…うん、その通りだ。ついさっきJ地区の方にあぶれた使い魔が何体か移動していくのを探知した、駐屯地に米軍はほぼ残っていないハズなのに不可解な行動だ。

調べて欲しい)

 

 

「おいおい、基地よりも軍を守った方が良いんじゃねえのか?」

現陸軍トップであるクライム・アルバート、及びウルフルズ幹部であるバルン・ファクターがそれぞれマスターであることは彼のマスターが既に確認済み。そして彼ら2人が現在窮地に陥っている米軍の中に居ることも。

 

 

(直接出向けばビーストに私達の存在が察知される

…それにその使い魔達の動きは無視してはいけないものだ)

無視してはいけないもの、って

「なんだよソレ?根拠は?」

(無い、勘だ)

 

 

ったく、世界が変わってもアイツはアイツだな

「あー分かった、調べてくる。お前も何か探知したら教えてくれ」

あっさりと言い切る自身のマスターに頭を抱えながらも彼はすぐに持ち直し、くるりと手元の槍を1回転させ、折れるようにそう答えた

(うん、ありがとう)

 

 

ザイルとコヤンスカヤが見逃していた、いや誰にも存在を知られていなかったサーヴァント。

察知されるのを避けるためずっとロンドンで身を潜めていた彼、ランサーはマスターの命を受けて動き出した

 

 

そしてもう1騎の聖杯戦争とは関係のないサーヴァント、人理を護るための英霊──いや反英霊が米陸軍駐屯地にて召喚されようとしていることはザイルやコヤンスカヤ、バルンはおろかランサーとそのマスターでさえ知るよしも無いことだった

 

 

J地区 米陸軍駐屯地 事務室にて…

 

 

「な、なにあれ…?」

無人の駐屯地という異様な場所、その一室にてミラ・ツールは()()を見た

 

 

あれは…人?獣?

明らかに普通じゃない影の塊みたいな奴らが駐屯地の中に入って来ていた、一見人型に見えたそいつらには獣のような耳と尻尾が生えていてさらに武装もしているようだ

 

 

ヘクトールを呼ばなきゃ…!

どう見たって救助隊に見えないソレらは引き寄せられるようにフラフラとこちらを目指して歩いてきている

 

 

いざって時は連絡しな、と受け取った歪な携帯電話をバッグから取り出す

ええとダヴィンチちゃんうんたらかんたらって名前だったっけ…いや名前なんかどうでもいい、早く連絡を──

 

 

ダンッ

 

 

「びゃっ!?」

室内に響く銃声、手の中で粉々になる携帯電話

外の奴らとは別の…!?

事務室の出入り口から真っ黒ののっぺらぼうのような何かが銃を構えてこっちを覗いている

 

 

「────」

殺される──

向けられる銃口から漂う死の気配、だが──

 

 

ザン

 

 

それを一瞬で吹き飛ばす存在がすぐに現れた

!!あの、女性は…!

服装はかなり変化しているものの、ミラはその女性を知っていた

 

 

「もしかしてあなたは…」

ひょいっ

え?

 

 

投げようとした質問が謎の浮遊感によって消え、直後彼女が一言

「──手を離すな」

その言葉を聞いたのと脇に抱えられたと認識したのは殆ど同時、そこから

 

 

タン

 

 

「ウワァーッ!?」

一瞬で窓ガラスの1つを豆腐のように斬り刻み、ガラス片ひとつ触れることなく外へ。ちなみにここは5階だ

 

 

落ちていく感覚と前方180度から浴びせられる銃弾の雨。闇の空を埋め尽くさんとするそれらを彼女は刀1本で残らず叩き落とし着地と同時に水平へ跳躍、真っ黒の獣達をまるで刃の台風の如く斬り刻んでいく

 

 

今更だが手を離すなと言われたものの、こう脇にかかられては離すもなにもない。

仕方がないので簡易令呪とヘクトールが呼んでいた本と例のペンダントが入ったカバンを力一杯抱きかかえていた

 

 

そして──

 

 

「…鏖殺完了」

そこから約1分後、集まってきた獣達を全て斬り伏せた彼女がガラス細工を扱うように優しく私の身体を降ろす

 

 

「…すごい」

暗くてよく見えなかったところもあったがどう少なく見ても40匹は襲ってきていた、それを全部倒した上に彼女に疲れている様子はない

 

 

「怪我は無いな?」

「うん、ありがとう牛若姉」あとその仮面かっこいいね

帰ってくると信じていた、そう伝えると彼女は困ったような、面倒くさそうな声で答える

 

 

「牛若…?ああ、我は義経ではない。ある意味では同一人物であるが源義経とは違うのだ」

「?」

 

 

声も外見も、以前私と遊んでくれた牛若丸と同じ女性は言いづらそうに人違いだと告げる

いや、よく見ると外見は服装以外にも違いがある。…まず牛若丸はここまで身長が高くなかった、

 

 

「牛若姉じゃないなら…あなたは誰、ですか?」

「…我は『怨』そして『斬』…源氏を殺す者。

クラス・復讐者(アヴェンジャー)平景清である

挨拶が遅れた、まさか我にこのような機会が来るとは思ってなかったが…(マスター)よ」

「…」

 

 

…私?

疑問符を浮かべて自分の顔を指さす私に肯定の頷きを挟む牛若…ではなく景清姉が仮面を取り、こちらの目線に合わせるように膝をつく

「主と人理を護るため、我が怨の(ほむら)を持って一切の敵を鏖殺しよう、さぁ…敵はどこだ」

「え?えっと…」

 

 

いきなりそんなことを聞かれても私に分かるわけがない。

そもそも今のこの状況だって分からないままだ、誰か説明して欲しい…

「その私も知らなくて「下がれ、主」

またしても途中で遮られ、グイと彼女に引き寄せられる。こうして見るとやっぱり身長が高い

 

 

「…お前の言った通りだ、敵か味方か知らんがコイツは無視できねぇな」

不意に目の前から聞こえる声にハッとする

いつからそこに居たんだろう?この距離だ、暗くて気付かなかったということはありえないと思うけど…?

 

 

「貴様が敵か?」

景清が剣を抜く

「そいつはお前の態度で変わると思うぜ?」

向こうも応えるように槍…みたいなものを構える

 

 

目の前から感じる強い殺気もそうだが何より声の正体が見えない、まるでもやでもかかっているように姿が見えないのだ

直感だけど景清さんと同格かそれ以上の──

『…槍を納めてくれランサー、ここからは私が話をする』

 

 

どこからか分からない、その場に居ない4人目の声。とても落ち着いたその声に目の前から飛んできていた殺気が消えてゆく

「…チッ、分かったよ」

『ありがとう。

さて、訳あって素性を明かせないが…私達は味方だ』

 

 

声だけで容姿端麗…ようするにイケメンだと分かるくらい綺麗な声が前の方のどこかから聞こえる

「…証拠は?」

警戒心を纏えない私に変わって景清姉が立ち塞がる

 

 

『…ランサー』

「分かった、だが一瞬だけだ」気付かれるからな

「何を──」

「…偽装解除

 

 

 

 

「────」

「偽装再展開、っと…これでいいか?」便利な礼装だな

『うん、向こうに気づかれた様子は無い、充分だランサー』

 

 

まるっきり蚊帳の外の私はどうすればいいか分からずただただ景清姉の顔を見る

仮面で顔は分からないが何かを真剣に考えているようだ

 

 

「──確かにビーストやそのマスターが知ればお前を消しに来るのは間違いない、良いだろう。我はお前を信用する」

『!そうか──「だが」

 

 

刀を納めたものの、私を庇うように前へ出る景清姉の声はまだ刀を収めていないように鋭い

「我の今の主は彼女だ。貴様らを信用し、協力するかどうかは主が決める」

直後不意打ちにも程がある勢いで突き刺さる視線に若干たじろぐものの不思議と私の返答は決まっていた

 

 

「信じる」

気取った言葉が出てこず、短く簡潔な返答しか出なかったが彼らにはむしろそちらの方が良かったらしい

 

 

『…ありがとう』

「へぇ即答か、悩まない奴は嫌いじゃないぜ」

『ええとランサー?私もあまり悩むタイプでは無いが…嫌いじゃない、というのは…

その、好きでもない、ということかい?』

「ちげーよ!変な解釈すんな!あとお前はもう少し悩んでから行動しろ!」

 

 

やいやいと騒ぐ彼らに少々肩透かしを食らいながらも聞くべきことを一つ一つ思い出し、姿の見えない彼へと質問を投げかける

「ただ私もマスターとかサーヴァントとかについて殆ど知らない、みんながいったい何と戦ってるのかも…だから教えて」

 

 

牛若姉やじいやは私の知らないところで戦って、そして戻ってこなかった。

恐らく使用人達も何も知らされていなかったのだろう、だがもうそんなのは嫌だ

「貴方達は…いや、今戦っている人達はなんのために、誰と戦ってるの?」

とても怖い、怖いけどもうこれ以上知らないままではいられない

 

 

『…うん、一つ一つ説明するよ。移動しながらでいいかい?』

「うん、あとこれからどうするかも教えて欲しい」

もちろんだとも、と嬉しそうに応える彼の声と私、景清姉、ランサーの4人で移動開始。

 

 

『ランサー、運転の仕方は覚えてるかい?』

「ん?ああ、行けるぞ。ついでに鍵無しでエンジン掛ける方法もな」

『良かった、調達を頼む。アヴェンジャーの存在もギリギリまで隠しておきたいからね。

…さて、とりあえず私達の現時点での目的についてだ。

最優先するのは今コヤンスカヤの使い魔によって窮地に陥っている米軍、及び現地マスター2人とそのサーヴァントの救出にある

…あれは助けないと、この戦いは本当に詰んでしまう』

 

 

声は落ち着いているように聞こえるが僅かに焦りが混じっているのが分かる

事態は私が思っている以上に深刻らしい

『ここで会えて本当に良かった、ええと…』

「ミラだよ、ミラ・ツール。」

『ミラくん、そしてアヴェンジャー、しつこいようだがここで会えて本当に良かった

…今世界の命運はキミ達に掛かっている。私やランサーにできることは少ないがやれることを全力でやるつもりだ』

 

 

そしてそんな重荷をキミのような小さな子に背負わせてしまって申し訳ない、とも言う彼に『大丈夫』の意味を込めて頷く

ところでちゃんとこっちは見えてるのかな?相変わらず姿は無いけど…

 

 

その直後、不意に車のエンジン音が聴こえる

「おーい、エンジン掛かったぜ!」

ランサーが車の用意を終わらせたらしい

「…行こう、景清姉」

「ああ」

 

 

軍用ジープの運転席にランサー、後部座席に私と景清姉が乗車し車が動き出す

『さて着くまで少し時間がある。私に答えられることがあればなんでも答えよう』

「ありがとう!」

魔術師でないにもかかわらずサーヴァントと契約できてしまった彼女にとって彼のその言葉は渡に船だった

 

 

「それじゃあ「主、少し待て」

「景清姉?」

 

 

真横で座っていた景清がまたしても困ったような…気配?で話しかけてきた

…仮面はかっこいいけどそれのせいで表情が分からないな

「その、だな?これは先に言っておきたい、主よ。」

「なぁに?」

 

 

なんだか歯切れが悪い気がするがやがて押し出したように景清が呟く

「その、な?景清姉という呼び方はやめてくれないだろうか?」

「…?」

どうやら牛若丸とは違い、今の呼び方があまり好きじゃなかったらしい。

もちろん牛若丸をそう呼んでいたのは彼女も嬉しそうだったからであるが嫌ならそう呼ぶ意味もない

 

 

「分かった、ごめん(ねぇ)ね」

「そっ!そうではなくて!」

「ぶっ…はははははッ!!どこの英霊か知らないがアヴェンジャークラスがこんなガキ1人にフルボッコだなおい!?はははは!」

『ランサー!前!ちゃんと前を見るんだ!』

「はは、うん?ウオぁッ!?」

 

 

…結局ランサーが呼吸困難を起こし、そこから更に交通事故を起こしかねないため、景清の呼び名は当分の間アヴェンジャーとなった




Apocryphaを見てコヤンにはパイロットスーツ&戦闘機も似合いそうだな、と考えている作者のルルザムートです、ハイ。
出張ツライ…仕事事態は良いけどコンビ相手のエスターク先輩がうるさすぎてこれから1週間睡眠不足覚悟しないといけないのが…
…がんばろ
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