弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
第54話です、お楽しみください
時は巻き戻り米軍とNFFスペシャルが激突している頃
???にて…
「」
暗い
手元すらロクに見えない暗闇の中、必死になって何かに…いや
「────!」
自分を呼ぶ誰かに手を伸ばす
──お前は誰だ?
誰か分からないのに、
伸ばした義手ではないズタズタの右手に見える使用済みの令呪跡、少なくとも俺の使っていた令呪とは形状が違う
「…?」
俺?俺とは誰のこと?
ズキン
「…!?ガッ…ア"…!?」
バラバラになりそうな身体の痛みと訳の分からない浮遊感の不意打ちが『私』を襲う
こ、これ は
違う
暗いんじゃない、そう見えるのは、私が死にかけているからだ
「う…!?」
身体が動かない、大きなダメージで動かないのならまだ理解できる。だが──
身体が…!?
輪郭が不鮮明の真っ赤な尾が今にも私を取り込もうとしていた。
既に下半身と左半身は沼に沈むように完全に尾の中へ取り込まれており、感覚は無い
「…っ!」
徐々に尾の中に引きずり込まれて行く
尾に近い場所から順に身体の感覚が痛みと共に消えてゆく──というのに意識だけは変わらず覚醒したままだ
『死ぬよりも恐ろしい何か』という理由の無い漠然とした恐怖に支配されそうな中、眼前の…私が手を伸ばそうとした少女が自身の身体より大きな盾を振りかざし、NFFスペシャルの使い魔を蹴散らしながら走ってくる
私を助けるために。
「だ、めだ」
掠れて潰れそうな喉から押し出した声
彼女が今ここに来てももうどうにもならない、なんとか彼女だけでも逃がさないとだめだ…!
おや?その状態でまだ他人を心配する余裕があるとは少々…いえ、かなり驚きました♡伊達に人類史を救ってませんねぇ?
「う、ううっ…!」
別に脅された訳でも無いのにその声を聞いただけで臓器を鷲掴みにされたような恐怖が再燃する
それ、で、も
「来ちゃ、だめ──」
「マシュっ!」
「──っ??」
黒鉄の義手、壊れかけているにも関わらず思い通りに動くソレは何もないマイルームの天井目掛けて手を伸ばしている
「………夢にしては」
少々現実味が過ぎる。それに今俺が叫んだ名前…
「…」
…少なくとも俺にマシュなんて名前の知り合いはいない
夢の内容は既に朧げだが嘔吐するのではと思いそうな気分の悪さはそれが悪夢であったことを証明するには充分すぎたし、覚えていることもあった
「途中で聞こえた声…あれは間違いなくコヤンスカヤだな」
ベッドから起き上がり、眠気覚ましの缶コーヒーを冷蔵庫から取る
「」ぐびっ
やれやれ、不味い上に気分は最悪だ
ゴミ箱に缶を投げ込み、部屋を出る
奴は確か操舵室に居ると言っていたな
船の中とは思えないほど広い廊下を歩き、俺はコヤンスカヤの元へ向かった
〜
NFFボーダー 操舵室にて
「コヤンスカヤ」
「おやザイルさん、彼方さん達と一緒にいると思っていましたが。」
「ん?ああ、あいつらなら姉妹仲良く夜のお昼寝中だろう」放っておけ
「ふむ」
彼女らがいるであろう部屋のカメラ映像へと切り替える
「うーん…捕食でもするつもりなんですか?アレ」
船室の1つにて、シングルベッドの上でもぞもぞと動く影。ズームすると彼方が自分の尻尾を1回、2回、3回と遥の身体に巻きつけ、すやすやと眠っているのが見える
「どうだかな、ウッカリ喰ってから自殺でもしてくれればありがたいんだが」
…当たり前だが遥さんは寝ていない、あの状況で眠れる方がどうかしている
助けて、とカメラ越しに目で訴えかけているのが見て取れるが面白いから──いや、ザイルの命令で放っておくことにした
「でももしお姉さんが食べられそうになったらザイルさん助けに行くでしょう?」
「………」
妙に長い沈黙と欠伸を挟み、彼は呟いた
「…さぁな」
「ふーん…まぁそれはそれとして、何かご用ですか?」
今のところザイルが仕事以外で彼女の元を訪ねてくることは無い。コヤンスカヤもそれを分かっていたため『今後の方針が決まったのでしょう』くらいにしか思っていなかった
「ああいや、今後の予定とかが決まったわけじゃない」
「では義手ですか?」
「それも違う。…用というのはお前自身だ」
…?
「ワタクシに?」
「アサシンのサーヴァントとしてではなく、またNFFサービス代表としてでも無い。
災厄の獣、ビーストとしてのお前に聞きたいことがある」
「──」
へぇ
いつかはこういう日が来ると分かっていたがそれでも口元が緩んでしまう
「──ま、別に良いですが…もっと先かと思ってましたよ」
「俺もそう思っていた、だが…ちょっと夢見が悪くてな
それにこの空間には俺とお前だけだ。いい機会だろう?お前の過去について聞きたい」
ふむ、なるほど
空席となっている沢山の椅子の1つに彼はアップルジュースを片手に腰掛けた
…関係ないが彼という存在自体は影月 彼方から生み出されたものであるため、趣味趣向は
「また何かくだらないことを考えているのか?」
「いえとんでもございませんわ。さーて、ワタクシの過去をお話する前に情報料のお話ですが…」
「…?
おやおや、全くザイルさんは…
「ちょーっと目を離したスキに随分賢しくなりましたねぇ、ですがまぁそれを言われたらこちらの負けです、二言はありません。…お話しましょうか」長くなるのはお覚悟くださいまし♡
〜
???にて…
「──で?なんだこれは?」
俺はコヤンスカヤにお前の過去について聞きたい、そう言ったハズで奴もそれを了承していたと思うが。
(ワタクシの過去をお話しするにあたってこれが1番理解されやすいかと思いまして?ええ。)
コヤンスカヤの声、そしてこの聴こえ方…愛玩の檻だろうか?
気付けば俺はどこかの施設のようなところに放り出されており、自身の身体にも異常が見受けられた、というのも──
「これが俺か?」
白いカッターシャツ…というのも違うか、制服のような白い質素な服を来た橙色の髪をした女性と呼ぶには少々幼い少女が無造作に置かれた鏡に映っている
(ええ、今ザイルさんにはその人間の人生を追体験させています
過去をお話しする以上どうしても彼女と彼女の所属する組織について知っていただかなければなりませんので)
「…?」
この少女、マスターではあるようだが別段魔術師として優れているというわけでも無さそうだ、コイツとコヤンスカヤにどんな関係が…?
(丁度いい枠があるので後からお供致しますわ♡
『冬木』の攻略が終わり次第、ワタクシもそちらに♪
あ、グダりそうならカットしますからご安心くださいませ!)
「???」
まるで意味が分からないままどうすべきか考えていたがそうするまでも無かったようだ
「いきなり鏡をじっと見つめて…大丈夫かい?」もしかしてどこか具合が悪いとか…
男の声?
「…あの、誰ですか?貴方は?」
誰だお前は、とそう言おうとした。言ったハズの言葉は何故か多少丁寧な言葉へと置き換えられ喉から出る
男の正体よりも声の高さと勝手に変換された言葉の方に興味が行きそうになったがとりあえず眼前の男に意識を集中させる
「おいおいしっかりしてくれよ、今自己紹介したじゃないか?
…ボクはロマニ、ロマニ・アーキマン。
このカルデアの医療部門トップだよ、みんなからはDr.ロマンと呼ばれてる
改めて宜しく!藤丸立香ちゃん」
「…」
直感だが…長くなりそうだな、これは
コヤンスカヤと夏祭りに行きたい作者のルルザムートです、ハイ。
ここからの展開を1話を書いた時からずっと書きたくてようやく辿り着いた感で震えています
まぁ尾が9本ある時点で、ね?