弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
仮想ロシア ツングースカ川上流域 殺戮領域にて…
「はっ、はぁ…く…」
銃弾に貫かれた腹部を押さえながら、子鹿のように頼りない足で立ち上がる
──無謀だった
何度も窮地を切り抜けてきたカルデアではあったものの、これまでと違いこの空間の主はあらゆる場所で彼女らを見てきた
「流石は異星の神を倒したマスター!ええ、ええ!そう来なくては♡」パチン
ダンッ
「マスター!」
どこから飛んでくるか分からない凶弾を本能で防ぎ、その大盾を構え直すマシュ
…この獣にはカルデア及びツングースカに現存する汎人類史側の全ての戦力と正面から戦ったとしても間違いなく勝てるという見込みがあった、それで尚カルデアのマスターだけを分断させ、こうして追い詰めているのは目の前の死にかけの少女をそれほどまでに警戒している、ということに他ならない
(自然界で『油断』ほど恐ろしいものはありません。まぁぶっちゃけた話どこぞのクソ坊主のように調子に乗って失敗とかゼッタイに嫌なのでぇ)
「ここはやはり敬意を払うという意味も込めて全力で潰させて貰います♡」パチン
乾いた音と共に2人を取り囲むように出現するNFFスペシャルの使い魔達、その数はもはや出現だけで相手に絶望を与えることのできる『群』だった
「こ、こんなに沢山…!」
「ではマシュさんをテキトーにあしらいつつカルデアのマスター、藤丸立香さんをここに♡」
号令と共に使い魔達が一斉に襲い掛かる
マシュも自身のマスターを守ろうと死に物狂いで応戦する、が
「あっ!?」
シールダーの名に恥じない守りの堅さも単純な物量の前に押し流され、マスターの誘拐を許してしまった
「コヤン…スカヤ…!」
コヤンスカヤという絶望を前に未だ諦めない彼女はせめてもの抵抗と言わんばかりかこちらを睨み付ける
「もー、これから長い付き合いになるんですからそんなに睨まないでほしいですわ
ホントは取り込む前に色々とお話ししようと思っていたのですが──」
(分断が解けかかってますし早めに動いた方がいいでしょう
合流しようとしているのは太公望と…うわ、これもしかして伊吹童子ですか?
ワタクシの感覚が狂ってなければ草薙を連発で叩き込んでいるようにも…)
「後でいくらでも時間はありますしここはササッと行きましょう」
使い魔から解放されて力無く横たわる彼女を9本目、最後の尾がガラス細工を扱うように優しく包み込む
「マスターっ!この…!どいてっ!!」
NFFスペシャルは既に攻撃をやめ、ただの奔流となってシールダーを押し流す
足を止めて攻撃するよりもただの濁流となって押し出した方が時間稼ぎになると判断した獣は改めてこれまでのことを思い出していた
(ここまで来るのに長いような短かったような…こうして最後のピースをはめる瞬間というのは苦労しただけあって中々感慨深いですねぇ)
「先輩っ!!やめて!やめて下さいコヤンスカヤ!どうか…!」
ここに来て何故通じると思ったのかわからない命乞いを無視し、尾への同化を始める
「ふむ」
狡猾な獣は悲願達成目前となった今でも警戒は怠っていない
マシュさんはもうこちらには来れませんし外のサーヴァント達がここに来るのに最短でもあと40秒、ストームボーダーに動きは無し、空間内に新たなサーヴァント反応も無し、立香さんの魔術礼装もたった今剥奪した。
(これはひょっとしてもう…)
「だ、めだ」
何かの雑音と聞き捨てそうになる声が尾から聞こえる
(おや?その状態でまだ他人を心配する余裕があるとは少々…いえ、かなり驚きました♡伊達に人類史を救ってませんねぇ?)
慢心しない、と誓った彼女もその他人を気遣う一言に思わず口元が緩む
だってそれは立香さん自身が
「来ちゃ、だめ──」
(別にもう来てもワタクシは構いませんよ?先程も言ったように長い、とても長いお付き合いをするわけですし気の許せる相手が近くにいた方がよろしいでしょう?ね、立香さん♡)
「ッ…!マシュっ!」
トドメとして言い放ったのが効いたのかそれは相手を気遣ったものではなく、ただの生存本能…恐怖から逃れようとするただの叫び。それを最後にぷつりと藤丸立香という人間の
「せ、先輩…そんな…」
「うふふふふ…計画通りに進められると本当に気分が良いですねぇ!」
(誕生祝いも兼ねて新しい姿でカルデアを相手にする、のもいいですが)
外からの攻撃によって崩れかけの結界を解き、NFFスペシャルも一度全て解除。雷の如く飛び込んでくるサーヴァント達を見ながら少しだけ考える
「マスター!どこ!?お姉さんがすぐ行くから!」
「………今の結界の解け方、僕が解除した訳じゃ無いし彼女がこじ開けたという訳でも無い、中から開けられたと考えるのが自然でしょう」ダヴィンチさんはどう思います?
「キミの言う通り今のは不自然だった。…まさか、ね」
「おい、どういうことだ太公望?オレに分かるように説明しろ」
(ま、カルデアにトドメを刺すというならば獣よりもこの姿でお相手する方が面白いでしょう)
「マシュだ!おいみんな、マシュがいるぞ!マシュ大丈夫か!?なあマスターはどこだ?何があったんだ?」
「ハベ、にゃんさん…先輩、は」
「皆さまが心配せずともこれこの通り、ちゃんとココに居ますよ?」
その一言にその場にいたマシュ以外の全てのサーヴァントがコヤンスカヤを見る
(あらあら、驚かれていますねぇ)
「そこまで驚きます?
ついさっきまで人類最後のマスターとして立っていたハズの少女が妖艶な笑みを浮かべ、不自然な獣耳と尻尾をフワフワと振っている
「え、なにアレ?なんでコヤンスカヤはマスターに化けてるの?」
「化けてるだけなら良かったけどあれは多分…」
「できれば調べたくありませんでしたが調べました。
…あそこに居るのは正真正銘、藤丸立香さんです。──すみません、やられました」
「そこの男が言った通り、あなた方のマスターはワタクシがありがたくいただいてしまいました♪いやー、ちょっと遅かったですねぇ」
先程退去させたNFFスペシャルを再展開、カルデア残党を排除するには明らかに過剰な数で包囲網を作る
「では再開するとしましょう、キャスターの…太公望さんでしたっけ?また煙に撒かれても面倒なのでアナタのお相手はこのワタクシが。
残りの方々は…まぁとりあえず踏み潰されといてくださいませ♡」
──そこから始まったのは戦いではなく、ただ強者が弱者を屠るだけの『狩り』だった
〜
「…はは、これは、ホントに参った。奥の手も、効果無し、と…は…」
「お、おい!太公望!?」
「終わりですか、グランドキャスターも呆気ないものでまぁ。」
倒れ伏し、幻のように消えていく男を見下ろしながら周囲の状況を確認する
まだ頑張っているようですが既にまともに戦えているのは伊吹童子さんと──…?伊吹童子さんだけ?
たんっ
おっと、上ですか
「
「バンカーボルト…!」
尾を狙って放たれた連携攻撃を軽くいなし、ロケット砲を展開
「っ!ハベにゃんさん!私の後ろに!」
「ああ──これはちょっとダメそうだ、ごめんね?マシュ」
花嫁の守護者 EX
盾の上から強引に爆撃を喰らわせる
むぅ、マシュさん
「はっ?…っ!よ、よくも…!」
「落ち着くんだマシュ!…ここは逃げよう」ニキチッチと伊吹童子が今退路を確保してる
「嫌です!マスターが、先輩が「彼女は生きてる!どういう理屈か分からないがまだバイタルは消えていない!ここは堪えるんだ!」
(ダヴィンチさんから至極最もな意見が出ましたが…)
「それを聞いたワタクシが彼女にトドメを刺すとは考えなかったのでしょうか?」
そう呟くが早いか、弾かれるようにマシュさんが1人で突っ込んでくる
(ホント愛されてますねぇ貴女。)
「やめるんだっ!」
怒りと焦りに任せて振り下ろされた大盾を防ぐことも無く受け止め、今度はショットガンを展開。
『殺戮技巧 A』
無防備になった胴体目掛けて
「マシュっ!」
(…今ので死なないとは)
「先輩…!ぐっ、倒れる…わけには…!必ず…助け出しますから…!」
縋るように彼女が立ち上がる
もはやそんな力は残っていないでしょうに
「立香ちゃん!返事をしてくれ!立香ちゃん!」
どうやらマシュさんを止めるのを諦めたのか、立香さんの方へ呼びかけ始めたダヴィンチさん、しかしそんなことしたところで──いや
(…身動き1つ取れずとも応えようとしますか、これは見上げた精神力♡)
「立─────」
ズシン
特に小細工することもなく尾の1つを振り下ろし、押し潰す
「でも残念ながらこの通り、壊れかけの人形はカンタンに壊れてしまうのです、よよよ…」
「ダヴィンチちゃん…!あ、ああああっ!!!」
(こちらもそろそろ限界のようで。うーん殺すのもなんだか可哀想になってきましたし連れて行きましょう)
「コホン…どうしたの?マシュ、私はここにいるよ?」
「せん、ぱい…?」
もはや正常な判断も難しい程に弱ったマシュさんを抱え、転移の体制に入る
(凄い速度で退路確保に回っていたお2人が戻ってきてますしとっとと行きましょう)
『単独顕現 EX』
〜
ツングースカ川上流域から4万メートル上空、宇宙空間にて…
(とりあえずマシュさんはNFFスペシャルと一緒にストームボーダーに放り込んでおきました、彼らなら例え敵に侵入されていようと死に物狂いで逃げようとするでしょうし大丈夫でしょう。──現地のお2人を見捨てて、ね
そしてやはり自分の領域に落とすのは少々躊躇してしまいます…それでもやるんですが)
「では参りましょうか。
『
〜
ストームボーダー 管制室にて…
「えー、テステス、ただいまより当機は使用用途、目的、並びに搭乗員を変更いたしましたことをアナウンス致します♡」
文字通りの殺戮領域と化した管制室にてとびっきりの笑顔でマイクに向かうコヤンスカヤをボンヤリと見つめる
《…》
自分という意識はあるのに感覚が無い、身体が無い、何も残されていないはずなのに何故か聴力と視力だけは不自由無くここにある、誰にもどうにも遮断されることのない音と景色がかつて人間だった少女の心を抉っていく
《…》
「うふふふ…ご満足いただけましたか?
「は、ぁ"っ…!?が…!」
気でも狂うのではと思うほど流れ込んでくる『藤丸立香』の感じた恐怖と無念が脳を焼く
まるで頭ん中にミキサー突っ込まれたみたいだ…!
「はっ、はっ、はっ…」
クソ…ふざけた女だとは思っていたが…やれ、やれ…
ああ、本当にふざけている。世界を滅ぼしうる災厄?誰だそんなことを言ったのは、コイツは…この女は既に
「あー?流石のザイルさんも今のはキツかったようですねぇ、大丈夫ですか?」
「問題ないが…やれやれ、お前がビーストと呼ばれる理由がこれか?」
やれやれ、全く…
頼りになる女だ。本当に、な
ほのぼのコヤンスカヤと同じくらい無慈悲なコヤンスカヤも好きな作者のルルザムートです、ハイ。
なんだろ、考えた時はもっとノリノリで書けると思ったのにいざ書いてみるとなぁ
人類の脅威なコヤンも好きなのは間違い無いんですがねぇ