弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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また最近ペースが落ちてる…


第6話 夢/信仰者

──にて

 

 

「…」

…?

気付けば俺は『そこ』にいた。

 

 

そこは檻だか牢だかの巨大な格子(こうし)が立ち並んでおり、それ以外は真っ黒に塗りつぶされたような暗闇で、内部の様子どころか周囲の様子も見えない。

身体は俺の意思とは関係無く、暗闇の中その格子に沿って歩いていく

 

 

「…」

少し間を置いて現状を認識する『ああ、また(これか)』と。

もう何度目か分からない夢、毎度場所や状況に違いはあれど本質的な内容は変わらない

 

 

「…」

しばらく歩くと牢屋(?)の入口らしき扉の前に着き、耳にこびりつくような不快な音を立ててひとりでにその扉が開く

…見えないな

扉の向こうも闇だけで何も──

 

 

「…!」

これは…

扉をくぐった直後、今までの暗闇が嘘のように晴れ、桃色を基礎色とした女児が好みそうな部屋へと地点が変わる

 

 

「…」

デフォルメされたたくさんの動物の人形が部屋の隅で山積みになっており、その中で1つだけ誰かを象ったのであろう精巧な人間の人形がポツンと今にも埋もれそうな形で乗っている…部屋で真っ先に気付いたのはそれだ

 

 

「…!」

次に部屋の1番奥にあるベッドに誰かが寝ているのに気が付き、近付いてみる

幸い、今は自由に自分の意思で動けるようだ

 

 

「…」

「   」

ベッドには1人の少女が横になっていた、寝ていたと表現しないのは少女が眠っていないからだ、開いている目は俺を見ることもせず焦点の合わない目でただただ天井をずっと見ている

 

 

「…」

他に何か無いのか調べるために周囲を見回す

 

 

「…?」

居心地の良さそうなソファや隅々まで清掃の行き届いた部屋、どれだけカフェインを摂取しようが眠れそうなふかふかのベッド、テーブルの上に用意された暖かい料理に、クローゼットを開ければ新品同様の子供用ドレス(中〜高校生くらいの?)が丁寧に入っている…

 

 

「…」

寝たきりの子供がここまで用意できるとは思えない、おそらく他の誰かが用意したのだろう、あのベッドの少女は余程大事にされているらしい

 

 

「…!」

再び身体が勝手に動き始める

真っ直ぐ少女の元へと戻り、彼女の顔をもう一度覗き込む

…相変わらず少女は目を開けてはいるものの何も見ていない

 

 

「…」

赤い刺青…令呪の刻まれた右手で少女の頬を撫でる

「   」

生きているのは間違いない、だがやはり少女が反応を示すことは何もなかった

 

 

「…」

どれくらいそうしていただろうか?それはよく分からないが少女を撫でる俺の手は急にそれを止め、すぐ横のテーブルの上へと右手を伸ばす

 

 

「…」

先程までは無かったハズの『ソレ』を手に取り、読み終わった本を棚に戻すように優しく、ゆっくりとした動作で『ソレ』を少女に向けて構える

 

 

「…」

やはりこうなったか、と内心思いつつも特に狼狽えることも無く、俺は勝手に動く身体を受け入れていた

 

 

カチリ

引き金へかかる人差し指に力が入り、そして──

 

 

「…やれやれ」

ベッドの上の少女は声一つ上げることもなく死んだ

 

 

ウルフルズアジト、ザイルの自室

 

 

「…」

目が覚めると同時に、枕元にあるであろう置き時計を右手で引き寄せる

やれやれ、相変わらずな内容の夢だな

 

 

何故こんな夢を見たのか少しだけ考える

原因は…先日ベッドで寝ていたランサーのマスターを撃ち殺したことか?

日頃、殺し合う夢を見る事はあっても無抵抗の人間を殺す夢は珍しい…

 

 

「…」

時計を引き寄せるついでに自分の右腕を確認する。

…右肩から下にかけて覆うように接合された義腕、見ていると重くなりそうな黒鉄色、ところどころに施された外に出るたびに偽装の手間が掛かってしまう淡く光る翠色の装飾と、義腕上部に彫られた俺には一生理解できなさそうな芸術(彫刻)が静かに神秘を感じさせる

間違いなく俺の義手であり、現実だ。

 

 

時計は午前5時を指しており、珍しくいつもより1時間も起床が遅いことが分かった

さて、普段ならすぐに端末かパソコンを立ち上げて部下たちからの報告を確認するところだが…それより先にやる事がたった今見つかった

 

 

「…おい」

ぐいっ!と原因の首根を掴み、ベッドの外へ追い出す

「きゃーん♡乱暴はおやめくださいませー」

「…」

ため息をつくような出来事に遭遇することはよくあるが…これは初めてだ

 

 

「………何をしている」

自分でも分かるくらいウンザリとした声色でコヤンスカヤに問い掛ける

「はい?護衛兼添い寝ですが何か?」

「…護衛も添い寝もいらん、第一サーヴァントに睡眠は必要ないだろう、余計な事をするな」

 

 

サーヴァントは魔力供給が充分なら睡眠の必要性は無いことは知っている

「んー、ですが最初の令呪行使の影響でマスターの側からは離れられませんし?ワタクシとしてもやる事が無くて暇というか困ると言うか〜」

「やれやれ…」

 

 

征服王のようか命令を聞きそうにないサーヴァント、騎士王のような変な正義感のあるサーヴァントでない分良しと思っていたが…これはこれで鬱陶しい。

「武器整備の仕事を任せる、だからどけ」

「かしこまりました〜♡」

厄介払いのために適当な仕事を押し付け、部屋を出る

 

 

確かカロリーメイトが棚にあったな…

「お待ちくださいマスター!」

「………」

背後から聞こえるキンキン声、それを無視したい衝動を抑えて振り向く

 

 

「……………なんだ」

「ワタクシ、こう見えてキチンとした食事も作れますので、そちらをお食べになってくださいませ♡」

栄養調整食品ばかりでは味気ありませんし、何より不健康ですよ?とツカツカ台所へ向かうコヤンスカヤを引き止める

 

 

「作っている時間が惜しい、暇なら武器整備をしろ」

時間は有限だ。…といっても俺の場合、時間の使い方の大半が睡眠、団員のスカウト、戦闘のどれかだが

 

 

令呪の命令で俺はコイツを連れ回す必要がある、こういう時間は大事にしたい

──のだが

「ええ、そう仰られると思いましてぇ…既に完成した物がこちらです♡」

 

 

俺の考え事など完全無視し、台所に昨日は無かったはずの鍋を手で示すコヤンスカヤ

「シチューか…いつ作ったんだ?だいたい令呪行使の影響で俺からは離れられないんじゃなかったのか?」

「それはマスターが寝ている間にちょいっとマスターを抱えて台所へ行ったのでなーんにも問題ナシなのです♡…にしてもよくシチューだと分かりましたねぇ…」まだ蓋も開けていないのに

 

 

「…そうだな」

言われてみれば…なんでシチューだと分かったんだ?…というか抱えて台所に、ってそれに気付かなかった事実が衝撃だな…

「まぁそんなことはさておき、これをお皿によそいまして…はい!召し上がりくださいまし〜♡」

ホクホクと食欲を誘う暖かい匂いがし、盛り付けられたシチューを思わず凝視してしまう

 

 

「…あのー?その様子だと今までロクな物を食べていなかったのではありません?」

「…まぁ、そうだな」

正直なところ栄養調整食品(流石にカロリーメイトだけで済ましては居なかったが)だけで今まで済んでいたのでこう言った料理は俺にとって新鮮なものだった。

 

 

料理の手間も無く、手早く、そして後始末が楽。そういった理由で俺は食事を作らなかった…というかそれに慣れすぎて作れない、というのが正しい。

生き残る上で食べることのできる動植物やその処理法などは知っているが…これを料理といったら面倒なことになりそうなので言うのはやめておく

「…」

 

 

椅子に座り、用意されたスプーンで一口食べてみる…

シチューを口に運んでから遅れて『もう少し毒物とかに警戒するべきでは?』とは思ったが…今更思っても遅い。

「…!」

そして次の瞬間その警戒心も緩む

 

 

「どうですか?マス「コヤンスカヤ。」

スプーンを一旦置き、顔だけコヤンスカヤの方へ向ける

「はい?如何なされましたかマスター?」

「次からは俺に一声かけてから作れ、それと…久しぶりに美味いものを食べた。ありがとう。」

 

 

素直な気持ちをコヤンスカヤに伝え、残りのシチューを食べ始める…と

「え?あのーマスター?変なモノでも食べました?」

目を丸くして聞き返すコヤンスカヤ

 

 

これは本気で驚いているな、やれやれ

「…お前俺をなんだと思ってるんだ?」

「無気力無関心ファッションセンスナシ人間…ですかね?」

「………ああ、もうそれでいい」

ため息をついてから再びシチューを口に運ぶ

 

 

信の置けない奴なのは変わらないが少なくとも現時点で害意は無い、流石に手放しでそのまま用意された物を食べる、なんてことはこれっきりにするべきだが…

「…!」

気付けば皿の中のシチューはもう無くなっていた

 

 

「おかわり、します?」

ああ、貰う──と言いかけたがやめた、最優先で片付けなければならない事項がたった今発生したからだ

 

 

「どけコヤンスカヤ」

椅子に座ったままぐいっ!とコヤンスカヤをどかし、ホルスターのハンドガンを抜き取り目標に向けて2発。

 

 

バキャッ

 

 

サプレッサー(消音器)を付けたハンドガンから放たれた銃弾は1発目で正確に超小型ユニットが積んでいたカメラを破壊し、2発目でユニット本体の芯を捉え、破壊した

 

 

「おや、入って来た瞬間破壊しようと思ってましたが…マスターはまるで来るのが分かってたみたいですねぇ」

「…まぁな、こんな時間に寄越すとは思わなかったが。」

やれやれ、あの女…

 

 

 

 

〜同時刻、とある場所の地下研究施設〜

 

 

「ギャー!1秒で壊されたぁぁぁ!!!」

「うっ、わ!?い、いきなり叫ぶなよ!」

あまりのショックで彼のビビり声も耳に届くことはなく、ジタバタと汚い床を転げ回る

 

 

「あ、ああっ!おまえ!ついさっき僕に洗濯させたばかりじゃないか!なんてことするんだよ!?」

そしてそのせいで洗濯した(させた)ばかりの白衣が埃やら私が食べこぼしたカップ麺の残骸やら私の唾液やらが付いてぐっちゃぐちゃになる

 

 

「ええい!白衣なんぞ知ったことじゃない!

あーあ、光学迷彩(ステルス)に加えて魔力も遮断したのに…なーんでバレたのかなぁ」

「…だいたい、お前さっきから何やってるんだよ?」

「え?盗撮だけど?」

「盗撮だけど?じゃなーい!」

 

 

「んー、やっぱり義手がアシストしてるのかな?いやそれも違うか、彼ったら義手付ける前から私に関しては割と敏感だったし…」

「こら!こちとら昨日の夕方から待ってるんだぞ!話を──」

「!!!」

 

 

ここで私、衝撃の真実に気付く!

「『私に関しては敏感…』なるほどなるほどぉ〜…そうか、そうなんだねザイル!ンモー素直じゃ無いなぁ、えへへへへへへでへへへへへ」くねくね

 

 

その事実の嬉しさのあまり自分でもキモいと思えるようなくねくね踊りをしていたが──

バッシーン!

「オギャア!?」

 

 

頭部へのキツい1発により踊りが中断される

ォーいてぇ…

「いい加減にしろおまえ!僕はキチンと話しただろう!今度はそっちが話す番だ!」

 

 

そう言って怒る彼の手には私がこの前キャスターのお尻を叩いたハリセンが…

あー、どーりで痛いワケだわさ

「分かった分かった、ちゃんと話すからまずそのハリセンを置きなさいな、ウェイバー君。」

 

 

怒る彼をなんとか落ち着かせて地味にお値段が高いソファに座る

「そいでは改めまして。私は世界一の科学者であり一級魔術師!ノーア・クランツェル!好きなものはザイルと船旅!宜しくウェイバー君!」

 

 

…むぅ、できる限りの笑顔をしたハズだったんだが…ウェイバー君は依然として不機嫌なままだ

「…知ってるよそんなこと、さっきも聞いたし」

「えー?ならなんで言わせたのさー」

 

 

せっかく自己紹介したというのにこれではあんまりである!

「誰も聞いてないだろ!」

「…の割には名前で呼んでくれないよねー」

 

 

名前呼びしないウェイバー君に若干むむっとしながら、集めた情報をまとめたファイルを机から取り出す

「えーと?誰だっけ?」

「ルマス・プライマリ、だよ!何回言わせるんだ…」

 

 

「はいはいちょっと待っててね〜…うん、あったあった!」

ファイルの中の…ルマス・プライマリの資料を取り出して読んでみる、と

「…あー、うん、ウェイバー君?ルマスちゃんってあなたの恋人?」

「はぁ?何言い出すんだいきなり?ただの同級生だよ」

 

 

んー…聖杯戦争のことを話している時点でただの同級生じゃないと思うけど…そういうならいいか

「んーとね、結論から言うと…彼女、もう死んだよ」

「っ…確かなのか?生きてたりは──」

「確定だよ、なんなら回収した遺体、見るかい?」

 

 

「…遠慮しとくよ」

「うん、それがいいね」

そう言ってウェイバー君はアップルジュース、私はオレンジジュースを互いに飲む

 

 

「にしても…アンタ何者なんだ?いくら世界一って言ったってただの科学者がここまで魔術…というか聖杯戦争の事を知っているなんて普通じゃないぞ?」

もうジュースを飲み干したウェイバー君がジト目で言う

「アレッ、私一級魔術師って言わなかったっけ?」

そう言った瞬間『お前みたいなふざけた魔術師がいるわけない』というありがたーい言葉が帰ってきました!わー、かなしー

 

 

「進歩のために貪欲に色々吸収していった結果魔術師にも手を出したというワケだわさ、魔術も科学も片方だけで出来ることなんてたかが知れてる、でもそれらを組み合わせる、なんていうことをやってる人はそこまで多くない。私は科学の発展のために魔術というものに手を出してみたのさ!」

 

 

…まー、科学の発展のために、なんてのは嘘なんだけど。

「……なるほど」

 

 

「んでどーする?泊まってく?泊まってくなら色々用意するけど?」

「いや、すぐにここを離れるよ。ルマスが死んだのなら僕がここにいる理由はもう無い。参加者でも無いのに聖杯戦争真っ只中に留まるのは避けたいからね。」

 

 

「んー…ねーウェイバー君」

ふと気になって聞いてみる

 

 

「彼女に聖杯戦争の事を話したの、悪い事をしたと思ってる?」

「…そりゃあ思うに決まってるだろ、事実僕のせいで死んだようなものじゃないか」

 

 

彼は前回の冬木で行われた聖杯戦争にて敗退したにも関わらず生き残った稀なマスターだ。その彼が彼女…ルマスにそれを話した事で彼女の心に火をつけてしまったらしい

通話越しにそれを察知したウェイバー君が慌てて彼女を止めるために遠路はるばるやって来て…で町でたまたま私と会ったワケだ

 

 

征服王のマスターだったという情報面では彼のことは知っていたので顔はすぐに分かったのが幸いだ、そこで私はルマスの情報と引き換えに資料だけではわからない、彼の経験した聖杯戦争について聞いていた(+雑用もさせてた)…というところだ

 

 

「…まー、あまり引きずるなよー?としか言えないなぁ、生者がどんな思いを描こうが死んだ人の心は分かんないし。」

「…」

 

 

結局その後ウェイバー君と何か話をするわけでもなく玄関(といっても地下なので厳密にはただの出入口だが)から彼を見送った

 

 

「ああ眠い…いつも昼まで寝てるもんだから頭が重くって仕方ないよ…」

「の割にはキミ、ザイルくんを盗撮するときは目がパッチリしてたね?」

不意に背後からキャスターの声が聞こえる

 

 

「そりゃあね?ザイルだし?」

「ホーント好きだねぇ…ところでさ?冬木?の聖杯戦争の話きいたんだよね?私にも聞かせておくれよ〜」

ぎゅーと押し倒す勢いで背中からホールドしてくるキャスター

「はいはい、用事が済んだらね…ところでキャスター?」

 

 

なんだい?と聞き返す彼女に答える

「私の白衣、今メチャクチャ汚いけどそんな密着して大丈夫?」

「え?」ぬちゃあ

 

 

「…」

「…」

「キャス」

「ギャー!なんでこんなことになってるんだキミはーっ!?」

…うん、ご愁傷様。切り替えていこー!

 

 

ぽかすかと頭を叩いてくるキャスターを引き摺り下ろし、右手で彼女の頭を撫でながら左手でケータイという名のスマホを開く

「盗撮はできなかったし直接電話して…お?」

 

 

ここでまさかの着信音、相手は──

「はぁい…もしもし?」

『ザイルさんじゃないからって露骨にガッカリしないで下さい』

期待したけどザイルじゃなかった…

 

 

「はぁ…で?」

『はい、G地区にて戦闘が発生、おそらくマスター同士がぶつかり合っているのかと──』

なるほど他マスターか、ふむふむ…ならばここは──

「無視、二度寝する。」

『え、ちょっと待って』

 

 

ぶちっ

「さてとキャスター?私は寝るから何かあったら起こして〜」

「もーマイペースだなぁ、いいよ。ゆっくり眠りたまえ…起きたばかりのキミに言うのも変なセリフだけど。」

 

 

「むふふ…そろそろ会えそうだね。」

ザイルに会ったら…そうだ!一緒にドライブ行きたいな!

よくわからない期待に胸を弾ませ、私は二度寝の快楽へと堕ちていった…




昨日久しぶりに家に帰って物の整理してたらぐだ子が玉藻の尻尾にサンドされて魔力根こそぎ取られるっていう内容が詰まったノートが出てきて『自分こんなことしてたの…』と引き気味の作者のルルザムートです、ハイ。
…といってもこれ以上書くこともないのでこれにて…
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