弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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あれ?これコヤンがメインの二次創作だよね、コヤン最近書いてないような…
それはそれとして第60話です、お楽しみください


第60話 それまで透明だった〇〇

アメリカ ワシントンD.C. J地区 米陸軍駐屯地 客室(バルンの部屋)にて…

 

 

『鬼巫女?あまり穏やかな名称じゃないね』

「…そうだな」

バルン(マスター)と2人、通信機(ダヴィンチちゃん特製通信機)越しに『鬼巫女』についての説明を続ける

向こう側で話を聞いているのはキャスターとクライムらしい

 

 

「『鬼巫女』は平安時代、つまり俺や頼光様と同じ時代から居る巫女の名称の1つ。その巫女の一族の名前は影月(えいづき)

頼光四天王と同じように民を魔性から守っていた一族だ」

 

 

『ああ納得が行った、通りで影月 遥が強いわけだ

倉庫街で戦った時の戦闘技能は一般人の域をゆうに超えていたからな』

「生身で…?いや影月家は人相手には強くないはずだ、鬼には強いが。」

 

 

そういうことだったのかと呟くクライムの声を否定する

彼が言うのなら少なくとも軍の人間より強いと考えられるがもしそうだとすればそれは恐らくそれは影月家とは関係の無い、彼女自身の鍛錬の結果だろう

 

 

…もし影月家に対する周囲の見方が変わっていないとすれば何故鍛錬に励んだのかは予想が付くな

『何か言ったか?』

「いや、なんでもない、話を戻すと影月家は言わば…都市の外で刀を振るう源氏と言えばいいか

武士では無いがやっていることは俺達とそう変わらなかった

源頼光率いる頼光四天王が都に居を構え、町を主として守る武士ならば影月家は山に居を構え、村や旅人を魔性から守る巫女だ」

 

 

 

『ふむふむ』

「人に対しては無力な巫女だが魔性に対しては強く、特に5代目鬼巫女である影月 (せん)の強さはまさに鬼神

魔性だけという制約はあったもののその強さは頼光様に近いものだった

…故に誰が呼び始めたか『鬼巫女』」

 

 

『でも魔性、鬼を退治しているのに鬼呼ばわりなんてかわいそうだね』

「鬼呼ばわりだけで終われば良かったんだがな」

『どういうことだ?』

 

 

それだけで済めばよかった、このような考え方は褒められるものでは無いが仮に影月家の巫女が敗北して魔性に喰われたとしても、ただ魔性を屠るだけの一族なら俺にはおろか、頼光様の耳にも届くことなくひっそりと滅んでいただろう

 

 

通信機越しでも分かる興味深そうなダヴィンチに一つ一つ説明する

「影月家の巫女には一つだけ、決定的に人間と違う能力があった。巫女の肉は──魔性の力を大きく強化してしまう」

肉だけではなく血や髪、爪、巫女のあらゆる部位は全て魔性の力を増幅させた

 

 

『諸刃の剣だな、大きく強化っていうのはどれくらいなんだ?』

「…線殿がかつて守るはずの旅人を人質に取られ、小鬼に片目を喰われたことがあった」

『その、鬼はどうなったの?』

「…」

 

 

あれは──

「小鬼と呼ぶには強すぎる怪物だったらしい、たまたま付近に来ていて応戦に出た坂田金時──俺と同じ頼光四天王が手こずるくらいにな

そしてその鬼を討った後、金時から頼光様に影月家のことが伝わった」

 

 

『鬼を超強化してしまう所在が安定しない巫女か、周りが鬼巫女をどう見ていたか予想がつく』

「お前が想像している通りだ、自分と同じ魔性を屠る者として頼光様は線殿に対して好意的だったが…周囲は彼女の血を恐れた」

 

 

当時の一般男性が数人集まれば退治できるレベルの鬼が目玉1つで四天王の1人が苦戦するような魔性に進化したのだ、無理もないだろう

「事実頼光様も影月家がこれ以上魔性と戦うことを止めようとしていた、当時戦い続けていた線殿には既に幼子が居たのもあるが…周囲を黙らせるのには戦いをやめさせるのが1番だったからな」

 

 

『源頼光は彼女を共に戦う武士ではなく、民として保護しようとしていた?』

「結局そうはならなかったがな

最終的には共に戦いたいと頑なに言う線殿に折れ、命令絶対服従を条件に頼光様の下に付くことになり、その戦いっぷりが知られるにつれて『鬼巫女』という二つ名も付いてきた」

 

 

そのあたりから線殿は山ではなく都の頼光様の家で過ごすことが増えたな

「しかし線殿が頼光様の下について半年も経たず事件が起きた

鬼──いや、何者かに夜襲を受けて線殿が左腕を失った」

『ちょっと待て、いくら寝込みを襲われたからといってその線って巫女は魔性相手なら無敵じゃなかったのか?それに話を聞く限り源頼光と常に一緒に居たように聞こえる、腕を失ったというのは──』

 

 

彼の言いたいことは分かる

「ああ、だから何者かが、だ

その日は都から招集があり真夜中にも関わらず頼光様は居なかったんだ」丁度その日"だけ"な

『………まさか』

「俺含め誰もその場に居なかったから断定はできない

だが魔性ではなく人間に殺されかけたのは間違いないだろうな」

 

 

「…」

バルン(マスター)は何も喋らず、ただ黙って聞いている

確かに彼も(遠いとは言え)あながち影月家と無関係というわけではないしな

 

 

「後日、都のすぐ側に強大な鬼が現れたという通報があり、頼光様及び頼光四天王全員が集められた

当時の金時が言うには線殿の目玉を喰った鬼よりさらに手強い相手といった──

が流石に5対1だ、決着がつくまでそうは掛からず都にも人にも被害は出なかった…問題はこの後だ

 

 

都にて『強大な鬼が現れたのは鬼巫女が敗北し、その身の一部を喰われたから』という噂が出回り始めた」

『なに?』

『源頼光と肩を並べられる程の人間なら鬼に対する大きな抑止力にもなりえるだろう

重傷を負ったとしてもそれが口外されるようなことはありえない

鬼に付け入る隙を与えることになるからね。それでも尚そんな噂が出たと言うことは──』

 

 

噂の広まった速度は今思い返しても不自然な程速かった

それに殺した鬼の腹から線殿の腕と思しきものも見つかったがそれを知っていたのはあの場で戦った5人だけ、頼光様自身が外に漏れないよう厳重に隠したはずのその事実すら噂の一部になっていた

 

 

『そこらの賊ってわけでも無いんだな』

「都としても鬼を超強化できる無防備な人間を放置する訳には行かないと線殿にはすぐに出頭命令が下されたものの既に線殿の家からは彼女の姿は消えていた、事態を察して身を隠したのだろう

 

 

そこから線殿は『鬼に敗北したのではなく、鬼にその身を捧げて都に魔性を手引きした裏切り者』として指名手配された

──見つかったのは意外と早かった、伊吹山だ」

 

 

見つけたのはなんの因果か、頼光様で…またタイミングも行動も最悪だった

「線殿はやってはならないことをした、それほどまでに追い詰められていたのか最初からどこかで考えていたのかは今となってはもう分からないがそれが頼光様の逆鱗に触れた」

 

 

『何を──?』

「…影月 線は2人いた実子の内の1人を贄として殺し、さらに末代に至るまでその身を捧げることを誓って(カミ)の力を借り受けた

そしてその現場を、頼光様が見てしまった」

『ど、どういうことだ!?』

 

 

頼光様は線殿が嵌められたことに気付いてから躍起になって彼女を探していた、誰よりも早く見つけて保護するべきだと。武士としてではなく子を持つ友人として絶対に守りたいと仰っていた

 

 

「だからこそ許せなかったんだろう、子を犠牲にして神の力と融合した線殿に。

激昂した頼光様が刀を抜き、戦いが始まった」

『もしかして…見てたのかい?』

「見ていた、ほんの少しだけだが線殿のもう1人の子供を保護した時にな

それから3日3晩山から戦いの音が鳴り止むことはなく、戦闘が熾烈を極めたことは直接見なくてもよく分かった」

 

 

『その後は?』

「3日後の夕方に満身創痍の頼光様が帰って来られて、ただ一言『殺せなかった』と」

『それは…どっちの意味で?』

「分からない、かつて友人だった人に対する情なのか力が足りなかったのかは定かじゃないが都に影月 線の排除を報告して以降頼光様は線殿について触れなくなった」

 

 

当事者の頼光様が話さなかった以上、これよりも詳しく知る者が居るとすれば──

 

 

日本 伊吹山 影月家にて

 

 

「とまぁ、このあたりまでが余が線から聞いた話だ

まぁ以前の呼び名などどうでも良いであろう『贄巫女』よ」

「影月 線、それが私達の先祖?──影月家のルーツ?」

 

 

出会って反射で月女神の弓矢を叩き込んだことも忘れ、食い入るように伊吹童子の話を聞き、一つ一つ理解する──いや、理解しようと努力する

アルテミスちゃんが言っていた蛇の神様のことについて、伊吹童子が彼方の背後にいることは鋳物工場での戦闘で薄々勘付いていた

 

 

『 神剣 草那芸之大刀 』

 

 

彼方から出たこの言葉と刀、そして蛇の神様と言えば該当するのは伊吹大明神、伊吹童子くらいしかいない

…人の姿を取っていたことになによりも驚いたけど。

 

 

「じゃあ、伊吹童子…様から影月家に来た訳じゃなくて…私の先祖の影月 線って人が影月家に招いたんだね」

「そうであるな。しかし…ふふ」

カミが私の顔を見て不敵に笑う

 

 

笑っているのに、真っ直ぐに私を見ているのに、まるで考えが読めない

殺気も悪意も感じないのに漠然とした、コヤンスカヤのとはまた別の恐怖が浸透してくる、まるで──

蛇に睨まれた蛙、と言おうとして直感で声を抑え込む

 

 

カミ──神様は人間とは違う。アルテミスちゃんの霊基を持っているから断片的とはいえ分かる

下手なことを言えば私はバラバラにされるか一息で呑まれて死──

 

 

「死なないよ」

「わっ、彼方?」

今の彼方は気配が伊吹童子とほぼ変わらないため、一瞬カミに話しかけられたと勘違いして変な声が出る

 

 

「彼女にはできないよ、私が生きている限りね」

「ああ、今の余にはできないぞ?ふふふ…」

「???」

 

 

〝今の〟という単語に寒気を覚えたものの、どうやら私に危害を加えられないのは本当のようだ

「それにしても本当に不可思議だ、その瞳に線の面影が無ければ影月家所縁の人間だと気付かなかった」余は長い間存在しているが印が消えるのは初めてでな?

「そうなの伊吹童子?」

「ああ」

 

 

「…」

私達が同じ種類の動物それぞれを判別できないように神様も個人個人の人間を認識するのは困難らしい、だから神様は気に入った人間に印を付ける

その『印』は人間側が呼称する時『呪い』に変わる、アルテミスちゃんが上書きして剥がしたのは恐らくこれなんじゃないだろうか

 

 

「まぁそのような些事は良い、許す

折角こうして相目見えたのだ、先にあった出来事──50年前の話でも聞かせてやろう」

えっ…?

「…それ伊吹童子が話したいだけじゃないの?」

 

 

ジト目に成りつつもちゃっかり何処かから、明らかに普通では無いお酒の樽を持ってきた彼方が言う

あんなもの家にあったの!?

 

 

「ああ話したい、そしてその代わりに影月 遥、そなたの話を聞きたい

お前のここまでの一生、その中の喜び、怒り、悲しみ、なんでも良い

お前に関わることならば」

影月 線と取引した名残か、元々そういうカミなのかは分からないが人よりずっと上の存在が交換条件を出してきたことと50年前という言葉に危うく頭がオーバーヒートしそうになるが根性で堪える

 

 

50年前の、出来事…

「お姉ちゃん?」

「…約束する前に一つ、一つだけ教えて欲しい」

「よい、許す」

 

 

 

 

「影月 此方、私達のお母さんがどうして死んだのかを知ってる?」

「ああ此方か!あれは彼方ほどは無くとも実に良き巫女で()()()

──っ!

 

 

「余が喰らった、肉体も精神も余すとこ無く全て、な」

 

 

「そう、なんだ」

落ち着け、落ち着け、伊吹童子の名前が頭の中で出てから心のどこかで分かっていたことだ

それでも

 

 

どうしてこんなことができるの?

どうして躊躇いも無く犠牲にできたの?

どうして影月家の人達は今まで贄巫女にされないといけなかったの?

 

 

カミに悪意も殺意もない、()()()()()()()()()()()()()

 

 

「お姉ちゃん?大丈夫?」

黒い渦のような何かが、これまで透明で私自身にも見えなかった渦が私の中に現れる

 

 

どうして──お母さんも私も彼方も、ここまで苦しまなくちゃいけなかったの?

ああ、これじゃ彼方のこともザイルさんのことも、もう言えないよ

 

 

「ああ、うん、話すよ。私のこと」

「ふふ、良い。それで良い。では…そうだな、余の半身をこの地に封印した異郷の魔術師のことから話してやろう」

 

 

私の先祖であり、5代目鬼巫女。末代までカミに身を差し出してカミの力を欲した人間

 

 

「目覚めたばかりとはいえあのように一方的にねじ伏せられた時は──

ああ、愉快…本当に愉快だった、何せそれまで向かってくる者すらおらぬ始末であったからな」

 

 

私や彼方、お母さん、それよりずっと前から影月家の人達を苦しめてきた原因を作った人間

 

 

「どれもこれも、奴の繰り出す術は不可思議で、未知で溢れていた

更には余が剣を抜いても仕留め切れず逃げおおせる程の。

ヒト、カミ、魔性、どれとも違う異郷の魔術師…ふふ!ああ!こうして語っているだけと言うのに!愉快!愉快!ふふふふふ!」

 

 

もはや伊吹童子の話もロクに耳に入っていない、これまで誰を憎めばいいのか理解できていなかった少女(女性)()()を知り初めて『怒り』と『憎悪』の違いを理解した

 

 

………影月 線

 

 

私はオマエを許さない




コヤンのもっふもふを抱き枕にしたいしコヤンに抱き枕にされたい作者のルルザムートです、ハイ。
ええと9月15日から2週間土木作業のため更新が止まります。
(ああ〜行きたくねぇ)
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