弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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お待たせしました第61話です、お楽しみください


第61話 異郷の痕跡

伊吹山 山頂《跡地》にて…

 

 

「………ええと?望月さん?」

「ここに」

いやそこにいることは知ってんですよ、並んで歩いてきましたし。

ワタクシが聞きたいのはですね

 

 

「伊吹山山頂って…どこです?」

「それはここでござる。その、筈で、ござる」

「「・・・」」

今のワタクシは誰が見ても『何言ってんだコイツ』みたいな顔をしていたんでしょう、望月さんの声がどんどん自信を無くしていきます

 

 

で、目の前に広がっているのは山の頂でもなく山道でもなく──クレーターな訳ですが

穴の中央は何か黒い靄のようなもので覆われており、ここからはよく見えない

「これは何が原因でできたんですか?」

「そ、それは…その…分からないでござる」

 

 

「…その様子だと忘れているとかでなくそもそも知らないかもしれませんねぇ」

「面目ござらぬ、だが一つだけ分かっていることが「神霊伊吹童子がこのクレーターの中央に封印されている、ですか?」

その言葉に望月さんは声を上げずに頷く

 

 

ということはここで伊吹童子を封印した『誰か』が取りこぼした分が彼方さんに憑いているということ?草薙を操れていたということは取りこぼしたとか言える質量ではなさそうですが

 

 

「ふむ、しかし…」

どうにも引っかかることがあり、クレーター内部へと降りる

「コヤンスカヤ殿!?なっ!何を!?気配から荒御魂が出てくるとは思えぬが中央に溜まっているあの黒い靄は危険でござる!」

「おほほほ、ビースト舐めないで下さいます?残り香でどうこうできるほどワタクシは安くありませんわ」

 

 

靄を掻き分けて中心部へ

なるほど、確かにこれは普通のサーヴァントでは耐えられませんね

「…?………っ!?」

穴の中央には彼方さんが持っていた物とよく似た翡翠色の剣、草薙の剣がエクスカリバーのように突き刺さっていた、おそらくこれが楔なのだろうが──

 

 

「…本当に、50年前ここで何があったんです?」

それを、封印を実現していた技術は過去、人類の歴史を余すところなく振り返ったとしても──

この世界に存在する筈のないものだった

 

 

村落跡地 とある民家にて…

 

 

「コヤンスカヤ殿、先の()()()()()なるものの調査はもうよろしいのでござるか?」

「ええ、あの場でこれ以上得られることはもう無いでしょう」電話するので少し待ってて下さい

 

 

ザイルに『うるさい色』と言われた桃色の携帯を取り出し、()()()()()連絡を入れる

流石ワタクシ!ワンコールで出ました♡

 

 

「こちらフォーリナー、ええとザイルさんは近くに?…そうですか、伊吹山を調べて分かったことがいくつかありまして…──え?」

向こうの状況を聞き、一瞬固まる

 

 

「ああ、威力偵察ですか。まぁ確かに警戒しておくに越したことは無いですが」

部屋の真ん中でコヤンスカヤが携帯を片手に、なんとなく部屋を歩く

 

 

「ですが様子見とはいえ相手が相手です、何が起きても不思議ではありません、ここからはお互い更に事細かく情報を共有しましょう」元より自分自身ですし難しいことではないですが

 

 

「ではまた、くれぐれも彼に深追いしないよう伝えといて下さいまし」

伝えるべき要件は伝え終え、携帯をしまう

自分との連絡手段にもちろん携帯電話の必要性など皆無だがザイルにも会話の内容を伝えるため、録音可能な機器を敢えて通している

まぁ念じれば自分だけと会話できるのでザイルさんに『何の保証になるんだ?』って言われましたけど

 

 

「さて、とりあえず結構な量の情報は仕入れました、遥さん達の元に戻りましょうか」

手元の戦利品(コレ)についてザイルさんにも話そうかと思いましたがあちらはあちらで忙しい様子、後にしましょう

 

 

「む、コヤンスカヤ殿、そちらのノートは?」

「ああコレ、ここに居たマスターの誰かが集めた『研究成果』のようです

内容は医学と拷問…ザイルさんは喜びそうですね」というかなんですかこの組み合わせ

 

 

そしてご丁寧に召喚したサーヴァントのことまで書いてあります

クラスアサシンの記述…望月さんのマスターですか、てっきり影月 此方がマスターだと思ってましたが

本を閉じて外に出る、と

 

 

「コヤンスカヤ殿」

「ええ、貴女もまぁまぁ愛されていますね」

先程まで気配しかなかった魔性類、端的に言って鬼の群れがワタクシ達を取り囲んでいた

 

 

狙いは望月さんですか、ワタクシの方には見向きもしていない…いや、目を合わせられないのでしょう、知性のない鬼の影とはいえ大自然の塊と殴り合うのは躊躇われるようです

「ではここで質問です、望月さん♡」

「む?」

 

 

「貴女が一度もワタクシから離れず進めばこの包囲網はモーゼの海割りのように開けるでしょう、この成れの果てさん達にワタクシまで攻撃する度胸はありませんから

しかし今この地域には遥さん達も来ています、彼女らの安全を確保するという意味でワタクシは排除しておきたいんですが貴女は戦われますか?」

「当然!」

 

 

わぁお即答、まぁフォーリナーとして身体の勝手を知る良い機会なのでどっちだって良かったんですが

…遥さんも彼方さんが居るのでそもそも襲われないでしょうし

「では──行くぞ、木端共

 

 

影月宅にて

 

 

「消えた…」

お酒を樽で呑みながら50年前について楽しそうに語っていた神霊伊吹童子は一通り話し合えると、満足したのかそのまま消えてしまった

うーん、まだ私のことについてあんまり話していなかったんだけど…

 

 

「気にしなくていいよ、彼女お酒が入ったらああなるから」

東から太陽が登ってくることのように当然と言った表情で彼方が笑う

参ったなぁ、影月 線のことで頭がいっぱいになって50年前のことについてあんまり聞いてなかった

 

 

「ぐびぐびぐび…お姉ちゃんも飲む?あったまるよー」

「え?あ、じゃあ貰おうかな」

あげる、と差し出されたコップから中の液体をひと飲みする

…この時ちゃんと飲む前に中身を確認しておけばよかった

 

 

「ごくっ…ングッ!?」

コップだったからお茶か何かだと勝手に思ってたけど、これって──

「ね、あったまるでしょ!伊吹童子のお酒!」

ドーンと身体の中で大噴火でも起こったような衝撃。

ちなみに私は今の今までお酒を飲んだことが無く、これが初飲酒だった

 

 

あの樽の中身は全部伊吹童子が飲んでたからもう無いかと思ってた!し、しかも!

「あ、これ、すっごく!おいしい!」

「でしょ!」

 

 

一口飲んだだけで口から幸せみたいな暖かさが広がっていくような…

「い、いや!だめ!今はそんな場合しゃないわ!」

「なんで?」

「らって、私はここに戻ってきて、50年前のこととか調べないといけないと思ってるし」

「?でも働きっぱなしは身体に悪いし、それにそれなら伊吹童子からまた聞けばいいよ、お姉ちゃんが相手ならいくらでも話してくれる」

 

 

気のせいか家が傾いている気がする

「で、でもぉ」

「美味しいものを飲んで幸せになるのって何が悪いの?いいじゃん、たまにはさ!」

 

 

………

幸せになることの何が悪いのか、その言葉に私の欲は少し自由になった

そうだ、少しくらいなら…

「…じゃああと少し、一口だけ」

「分かった!はいどうぞ!」

 

 

コップを彼方に渡し、そして返ってきたコップを口元に。

あったかぁい、ぽかぽかする…

「あ、あとちょっとだけ」

「沢山あるから遠慮しなくて大丈夫だよ!」

 

 

彼方の輪郭が溶け始めたし家もゆらゆら揺れ出したけど、まぁいいか

「はうぅ…本、ホント、ホンひょにおいしい…」

べっちゃりと液体にでもなれそうな感覚をよそにいつの間にか3杯、4杯と飲み始めていく

 

 

おさけってこんなに早く回るんだぁ、じゃあきっと覚めるのも早いよねぇ

酔いにより謎理論を打ち立てて更に飲む

「うー、彼方は優しいね、それに比べてオリオンは…」

そして──

 

 

〜15分後〜

 

 

「…何か弁明はありますか?」

「無いよ?」

発信機を頼りに遥さん達に合流したのはいいですがなんで彼女が酔い潰れているのか…

 

 

「うっ、うっ…オリオンのばか、ばかぁ!浮気者!薄情者!イケメン!女たらし!ぐすっ、彼方ぁ…オリオンが、オリオンが…!アルテミスちゃんという(ヒト)が居るのにオリオンが私に優しいのぉ…!」

「よしよし、泣かないで」なでなで

 

 

「…」

いやなんですかこの状況は、仮にも人類の敵陣営に連れられているという自覚あるんですかこの人

「その、コヤンスカヤ殿?この状況が理解できないのは拙者の持つ現代の知識が足りないということでござろうか?」

「心配せずともワタクシだって分かりませんよ、酔いが覚めるまで放っときましょ」

 

 

しかし彼女達だけで飲み始めるとは考えづらいですし…

「…」

チラリと無造作に置かれた樽を見る

空の樽から漂う酒類の香り…内側を見るにほぼ満タンまで入れられていた跡…

なんらかの形で伊吹童子がここに来ていた?酒を交えてということなら50年前に関する情報の一つや二つポロっと喋っててくれそうですし聞いてみましょう

 

 

「ずずっ…ぐぅ…」

「──酔いが覚めた後に。ということでパートナー交代です

望月さんは遥さんの看病、彼方さんはワタクシと村の調査を」

「承知」

「ええー?」

 

 

「ええー?じゃないですよ、誰のせいですか誰の。十中八九貴女が薦めたんでしょう?行きますよ、まだ調べることは沢山あるんですから

携帯電話を1つ置いていくので遥さんが目覚めたら教えてください」無理に起こさないで結構ですので

「はっ!」

ぶーぶーと抗議する彼方さんを引きずって再度村へ向かう

 

 

「彼女にどんな酒を飲ませたんですか?女神の霊基を持った人間をあそこまでパーにできる酒というと限られますが」

「これだよ、コヤンスカヤも飲む?」

差し出されたのはなんの変哲もないコップ、匂いも特におかしいところはない

 

 

「ふむ…」ちょび

………これ人間が飲めるようなものではないでしょう、美味しいですけども。

「彼女、よく酔っ払うだけで済んだものですよ全く

神霊への捧げ物の品なんて色んな意味で人間には危険です、戻ったら没収で」

そこから更に文句を言い始める彼方さんに多少面倒くさいとは思ったものの仕事は仕事。そう割り切って探索を再開するのだった

 

 

 

 

「寝坊助さんですねぇ、こう言ってはなんですがザイルさんの方がモタついていて助かりました」

次の日まで彼女が起きることはなく、村の探索や封印の調査を夜通し行い、気付けば太陽が空高く登ったころにようやく連絡がきたが──

 

 

「…」

「もー貴女はなんなんですか、純情な中学生みたいに塞ぎ込んで」

「ほっといて…」

こ綺麗な居間の真ん中でふて寝する遥さんと彼女の頭を撫でる望月さん

どうやら昨日の夜の記憶がしっかり残っているらしい

 

 

「別に言いふらすような人居ないでしょう、被害妄想ですよ」

「?なんの話?」

話の内容が分からなかったらしい彼方さんがひょっこり顔を出して話に割って入ってくる

望月さんビビりすぎです

 

 

「昨日の遥さんの言動ですよ」

「ああ!『オリオンのばかぁ!』とか言ってたやつね!」

 

 

「言わないでーっ!」

 

 

「は、遥殿!少し落ち着い──ひゃっ!」

畳の上でワニのように転がりまくる遥さん、巻き込まれて轢かれた望月さんを見ながらどうしたものかと考えていると

 

 

「やれやれ、何を…いや、本当に何をしているんだお前らは」特に姉さんとアサシン。

「おや」

「お館様!」

 

 

何度も聞いた呆れ声、声の方を見ると『ついさっきまで殺し合いをしていました』と言わんばかりのボロボロのザイルさんが

本人はそこまで負傷してませんが、いかんせん戦闘服が爆風でも受けたみたいに…実際受けてきたんでしょう。本当に殴り込んだようです。

 

 

「その様子だとそちらは大変だったようで、どうでした?」

「どうもこうも記録で見た以上だ。アレは本当に人間か?」

その気持ち、すっごく分かります。いやぁ『異星の神』が目を付けるだけはありますよ、ホント

 

 

「ところでもう1人のワタクシはいずこに?」

「消耗が激しかったらしくボーダーで休んでいる

…なるほど、あちらが消耗したからといってこっちの力が低下する、というわけではないんだな」

そりゃそうでしょう、そんなことになったら分身した意味ありませんよ

 

 

「あー…と?なぁザイルさんよ、そろそろ俺も自己紹介したいんだがいいかい?」

「ああ、いいぞ」

うん?

 

 

ふとザイルさんの後ろに人間が1人居ることに気づく

気配が無かった…しかし魔術行使の様子は無し

「誰です?」

「…新しいお友達だ」

「いや、新しいも何もお前友達居ないだろ絶対。

とりあえず名乗らせてくれ」

 

 

ザイルさんの後ろから男が前に出てくる

──って!

(記録見た上でスカウトしたんですか?彼は毒にしかなりませんよ?)

「毒で結構、最初から最後まで毒として動いてもらう」

「ありゃりゃ、これでも『狼男』って呼ばれてたんだがシンプルに毒とは!

とうとう生き物ですら無くなっちまった!」

 

 

まぁいいさ、とギャングとチンピラの中間みたいな格好をした男はズレかけた眼鏡を指でそっと直して名乗った

 

 

「ベリル・ガットだ、職業は魔術師兼殺し屋!楽しくやろうぜ!」




お山に幽閉中、コヤンのモフ尻尾に抱きついたりメリュ子のドラゴンテールに押し潰されたりオルタニキの尻尾にドス刺されたりする妄想をしながらなんとか生きて帰ってきた作者のルルザムートです、ハイ。
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